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症例集めの難しさ一因か・・・精神保健指定医の不正取得問題

2016年10月17日 | ニュース(精神)
症例集めの難しさ一因か 患者「信頼揺るがす事態」 精神保健指定医の不正取得問題
2016年10月17日 (月)配信共同通信社

 全国の精神科医100人前後が「精神保健指定医」資格の不正取得に関与した疑いがあることが9月に明らかになった。申請時に提出する症例リポートの使い回しが横行。症例集めの難しさが一因との指摘もあるが、強制入院の判断など強い権限を持つだけに、患者側は「信頼を揺るがす事態」と批判する。識者からは「精神科医療の在り方を見直す機会にすべきだ」との声も出ている。

 ▽100人

 聖マリアンナ医大病院の医師が資格を不正取得していた問題が発覚したのは昨年4月。指導医を含む計23人の資格が取り消され、症例リポートを使い回して申請する手口が常態化している実態が露呈した。

 厚労省はその後、診療記録の保存期間が法律で5年となっていることから、過去5年に資格申請を受け付けた2千人以上の症例リポート1万6千件超をデータベース化。患者名や入院期間に重複するものがないかどうか調査を続けてきた。

 その結果、指導医も含め100人前後の不正関与疑いが判明。聖マリアンナ医大病院の別の医師や、相模原の障害者施設殺傷事件で逮捕された容疑者の措置入院判断に関わった医師もおり、同省担当者は「ここまで多いとは」と声を落とす。

 指定医の数は、昨年7月時点で1万4793人。同省幹部は「5年以上さかのぼれば、不正取得者がもっといる可能性はある」と認める。

 ▽絶対的存在

 患者本人の意思にかかわらず強制入院させる措置入院や、患者の自由を奪うことにもつながる身体的拘束―。人権の制限にも関わる判断を実質的にしているのが精神保健指定医とされる。精神障害者の家族らでつくる「全国精神保健福祉会連合会」の小幡恭弘(おばた・やすひろ)事務局長は「患者や家族にとっては絶対的な存在。今回の問題は重大な判断の正当性を揺るがし、資格への信頼性を損なわせる深刻な問題だ」と指摘する。

 指定医の資格取得には3年以上の実務経験の他に、「統合失調症」「そううつ」など6分野8症例以上のリポート提出が必要。常勤の医師として診療した患者の症例に限られ、原則的に同じ患者の同一時期のものは認められない。

 6分野の中には「児童・思春期精神障害」など症例数が少なく、患者を受け入れている医療機関が限られるものも。医師が、必要な症例を得るために病院を移って短期間働き、複数で1人の患者を順番に担当することもあるという。

 自身も指定医の白石弘巳(しらいし・ひろみ)東洋大教授は「臨床をしながら資格を目指す若手にとって『症例集め』が大きな負担となっているのは事実」と明かす。

 ▽資格不要の任務

 それでも白石教授は、権限の重さを考慮すれば資格要件は緩和すべきではないと主張。一方で「今の精神科医療は強制入院が中心に据えられ、『指定医になって一人前』という風潮がある。そのため大半の医師が資格取得を目指す状況になっている」と分析する。

 信頼関係構築に向けた粘り強いコミュニケーションや、家族や地域と一体となったサポートなど、指定医資格を取得する前に精神科医として習得すべきことがあると指摘。「こうしたことが当たり前に行われるような体制が整備できれば地域で生活できる患者は増えるはず」と話す。

 今回の問題を受け、症例リポートのチェック強化など国の対応が注目されるが、「この機会に精神科医療がどうあるべきかを改めて考える必要がある」と訴える。



聖マリ病院医師さらに2人 精神指定医の不正取得
2016年9月5日 (月)配信共同通信社

 全国の複数の精神科医による「精神保健指定医」資格の不正取得問題で、新たに関与が疑われている100人前後の中に聖マリアンナ医大病院(川崎市)の医師2人(1人は既に退職)が含まれていたことが5日、分かった。同病院では昨年4月に問題が発覚し、不正取得した11人と指導医12人の指定医資格が取り消されており、今回の2人はこれらとは別。

 厚生労働省は審議会で処分を決める方針で、この2人の資格が取り消されれば、過去5年に同病院で指定医資格を取得した13人全員が不正をしたことになる。同大総務課は取材に「事実だとすれば大変残念。申し訳ない」としている。

 厚労省は昨年の同病院の問題を受け、過去5年間に資格を申請している医師の症例リポートを調査。その結果、同じ患者の同一期間の症状を扱ったリポートを多数確認し、診療記録などから医師や指導医100人前後の不正への関与疑いが判明した。

 これまでの大学や病院の調査では、資格を不正申請した医師が、自分が十分に関わっていない患者の症例に関し先輩のリポート資料の表現を変えて提出するなどしていたことが確認されている。

 今回新たに不正疑いが浮上した2人は当時の調査に「リポートが手元に残っていない」と回答。病院側は不正を確認できずに調査を終えていた。

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