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再出発の英文法:倒置・疑問文

2008年05月27日 18時01分51秒 | 英文法の話題

[1]5文型論の裏の意味
日本の英語の授業の定番、「5文型」を思い出してください。それは「すべての英語のセンテンスは五つの文型のどれかに当てはまりますよ」という考え方でした。そして、例えば、

”Ponko-san is a weblogger .”
”Is she a famous weblogger?”
(Ponkoさんはブロガーです)
(彼女は有名なブロガーですか)

のような疑問文、そして、感嘆文等の<文法的な倒置>の場合を除けば、5文型は単語の配列についてのルールでもあります。つまり、語の配列の順番を「→」で表せばこうなる。

S→V.
S→V→C.
S→V→O.
S→V→O→O.
S→V→O→C.


ところが、現在アメリカに留学中皆さんや、英語圏駐在、あるいは、海外の取引先とよく連絡を取っておられる方なら骨身にしみておられることでしょうが、実は、英語のネーティブスピーカーが話し書く英語は5文型論が教える語順通りとは限らない。例えば、

O→S→V:
High marks Sachiko has got.(幸子、凄い点数取っちゃった!)

O→V1→S→V2:
No answer have we received so far from ABC Corporation.
(ABC社からは今の所、なしのつぶてだ)

Together we stand!(労働組合の活動などで、団結頑張ろう!)
(S→Vの語順は通常だが、普通、togetherは文末に来る)

前置詞や冠詞と同じで、倒置も省略も英語の母語話者でない我々が自信をもって使えるようになるのはほぼ不可能と言われています(涙)。けれども、TOEFLやTOEICに出題される範囲を押さえるのはそう難しくはありません。この機会に倒置の大枠をマスターしましょう。

尚、文法用語で「倒置」というと、主語と述語動詞の語順がひっくり返るケース(V→S)に限定して使われる先生方もおられます。しかし、ここでは少し広く、5文型論が教えてくれる「センテンスの通常の語順」が変更されるケース全体を「倒置」と読ぶことにします。而して、重要なことは「倒置」には大きく2種類のパターンがあるということ。次項では先ずその2種類の一つ「文法的倒置」の例文を紹介します。

2種類の倒置:
(A)文法的倒置:必ず倒置が起こる表現のパターン
(B)修辞的倒置:倒置を使っても文法的に間違いではない表現のパターン




[2]2種類の「倒置」―文法的な倒置

◆文法的な倒置
・疑問文と感嘆文と祈願文
Is she one of the National Defense Academy students?
(V→S→C:彼女は防衛大学校の学生ですか?)

How sexy this Aegis destroyer is!
(C→S→V:このイージズ艦はなんてカッコイイんだ!)

May God forgive my prodigal daughter.
(Vの一部→S→Vの残り:神様、あのドラ娘をお許しください)


・直接話法のセンテンスの言及
"I'd like to see the project develop into a window for consultation for troubled people,"Prime Minister said. (O→S→V:「そのプロジェクトが困難を抱えている人々の相談窓口に発展していくことを望んでいます」と首相は述べた)

・否定の副詞(句/節)が文頭にくる場合
Hardly had he returned from Yasukuni Shrine when an admission notice was sent from the National Defense Medical College.(否定語→Vの一部→S→Vの残り:靖国神社から帰ったらすぐに防衛医科大学から合格通知が送られてきた)

・ifが省略される仮定法の文の場合
Had I known you are coming to Bangkok, I would’ve gone to the airport to pick you up.(前節ではifが省略されている。正式には、”If I had known you are coming to Bangkok,”:あなたがバンコクに来られると知っていたら、空港までお迎えに行きましたのに)

文法的な倒置とは「必ず倒置が起こる」ケースであり、逆に言えば、上記の構文で倒置が起こっていなければ文法的には間違いなのです。それに対して、次に紹介するケースは、話者や作者が強調のために5文型の語の配列を乱しているケース」(そして、文法的にそれが許されているケース)です。次に進む前に『ロイヤル英文法』や『基礎からよくわかる英文法』等、お手元の英文法の参考書で「文法的倒置」について復習していただければと思います。復習の便宜も考えて以上の情報を整理しておきます。

【復習】
倒置とは5文型で決まっている文の要素の順番が変わること。
何がどう変わるの? はい、ここが最初のポイント。日本では中学校以来、英語のセンテンスでは、主語(S), 述語動詞(V), 補語(C), 目的語(O)という文の要素は、普通、「S→V→・・・.」の順番に配置されると習いますよね。

倒置というのはこの普通の「文の要素が配置される順序」に変更が加えられることです。ただ、主語(S)と述語動詞(V)の順序が逆転すること(V→S)だけを「倒置」と呼ぶ方もおられるので文法解説を読む時には注意が必要。

倒置:
文の要素の変更、特に、主語と述語動詞の順序が逆転すること


英語の倒置は大きく2タイプに区別される。文法的倒置と修辞的倒置。「修辞」というのは「ことばを飾り立てる」という意味です。朝日新聞の社説なんかを思い浮かべられれば分かりやすいかも、です。

要は、文法的に必ず倒置が生じるケース(その場面では倒置を使わないと文法的に間違いとされるケース)、もう一つは、話者や書き手が何かを特に強調するために倒置をあえて使うケース(倒置を使っても文法的に誤りではないケース)の2タイプが倒置にはあるのです。


[3]2種類の「倒置」―修辞的な倒置

◆修辞的倒置
実は、「倒置を英語の母語話者でない我々日本人が自信をもって使うようになるのはほぼ不可能」なだけでなく、修辞的倒置を使いこなすのは英語のネーティブスピーカーでも至難の業なのです。英語に燃えているこのブログの読者の方に「水をぶっかける」(to pour cold water on your strong motivation to study English)ことになりかねない物言いですが、日本語の母語話者だからと言って皆が、短歌や小説を書けるわけではないのとこれは同じ理屈。

しかし、朗報(Good News I have in my hand.) TOEICやTOEFLで出題され、ビジネスレターで頻繁に使用される修辞的倒置のパターンはそう多くはない。次の3種類しかないと言っても過言ではない。つまり、この3種類を使いこなせるのならば、倒置に関してはそう不自由はしないですむということです。

・O→S→V型
Choi Ji Woo I love. (チェジウ姫、超好き!)
Good News I have in my hand.(良い情報を携えて来ましたよぉー)

・C→V→S型
Great was her surprise.(彼女の喜びようは凄かったんだから)
ここで C になれるのは形容詞(相当語句)だけで、名詞(相当語句)はこの倒置構文の C にはなれません。倒置でない通常の第2文型の文と区別がつかなくなるからです。試してみましょう。

This is a dictionary.
A dictionary is this.

二番目の英文は「正にこれこそ辞書と呼ばれるものでしょう」「(幾つかある)辞書の一つがこれです」と些か曖昧ながら、「(その殺人現場に落ちていた何冊かの)辞書の一つがこれです」とかなんとか、満更、ありえない英文ではない。ですから、これを最初の英文”This is a dictionary.”の倒置表現として、例えば、「(このキティーちゃんの形をした置物)これがさー、なんと辞書なんだよ!」と言っているつもりでも他者にはその意味の英文としては必ずしも通用しないのです。

・副詞(句)→V→S型
Down came a huge rock.(でっかい岩の塊が、ずどーんと落ちてきた)

・O→S→V型での直接話法のセンテンスの言及(再掲)
上の説明では「文法的倒置」と括りましたが、新聞記事などでよく使われる修辞表現が直接話法のセンテンスを引用するこのパターン。これです。

"Prime Minister Abe has cleared a major hurdle to revising the old Constitution,"Upper House lawmaker Eriko Yamatani said. (「安倍首相は古い憲法を改正するための主要なハードルの一つを越えた」そう山谷えり子参議院議員は述べた)

この記事では例文の訳はくだけた表現が多くなっていると思います。簡単に言えば、これが「修辞表現」ということなのです。下手をすれば、朝日新聞の社説のように「空虚な虚飾」に陥りかねない。よって、修辞的な倒置を使う場合は、「ここぞ」という時にのみ使用する。これが英語の母語話者ではない我々にとっては無難な方針だと思います。



[4]疑問文
疑問文が「倒置表現」と聞いて怪訝な顔をされた方も少なくないかもしれません。しかし、「倒置」を主語と述語動詞の語順が逆転することと理解するとしても(「S→V→・・・」→「V→S→・・・」)、あるいは、より広範に「5文型論が定める文の要素の配列の順序が変化すること」と理解するとしても、間違いなく疑問文や感嘆文は「倒置」の一形態。

而して、英会話にはもう一つ自信がもてないとか、TOEICではパート2が「自分の鬼門」だと仰る方の相談に乗っていると、「疑問文」の理解不足が原因だったケースはよくあることなのです。よって、ここで疑問文について説明することにしました。まずは基本の確認から。

◆疑問文の2大パターン
・Yes/No Question:それに対する答えが「Yes/No」で始まる疑問文
・WH Question:疑問詞つきの疑問文


Is Mr. Obarin one of your assistant managers? (Yes/No-Question)
Yes, he is /No. he isn’t (one of my assistant managers).
Who is the gentleman who is talking with our president.(WH-Question)
He is the new personnel director.
(オバリン氏は課長さんの一人ですか。はい/いいえ)
(うちの会長と話しているのはどなたですか。新しい人事担当取締役ですよ)


◆疑問文の2大用法
・直接疑問文:質問する用法
・間接疑問文:文の一部(=「節」といいます)になる用法


What kind of organization is Greenpeace Japan? (直接)
I would like to talk about what kind of organization Greenpeace Japan is.(間接)
Do you know what kind of organization Greenpeace Japan is?(直接*)
(GPJは何をやっている団体なんですか)
(GPJが何をやっている団体なのかについて話させていただきます)
(あなたは、GPJが何をやっている団体かご存知ですか)

*第三番目の例文は、間接疑問文を目的語とする直接疑問文。これは、Do you know something about it?(Do→S→V→O:それについて何かご存知ですか)と同じ文型。さて、日本人が苦手な「間接疑問文」のお話し。


◆「間接疑問文を含む直接疑問文」の2タイプ
Do you know who she is ? (彼女が誰かご存知ですか)
Who do you think she is? (彼女を誰だと思いますか)

間接疑問文を(「名詞節」として)文の要素に含む直接疑問文で、疑問詞が、前例文のように文中に来るか、後例のように文頭に来るかは直接疑問文自体の述語動詞のタイプによって決まってきます。ここで疑問詞をWHと記すとしますと、「助動詞→S→V→WH型のセンテンス」を導く動詞と「WH→do→S→V型のセンテンス」を取る動詞は、

Do→S→V→WH型:know, explain, remember
WH→do→S→V型:think, believe, expect, suggest, suppose


例文で理解を深めまておきましょう。

Can I make an appointment with Professor Ohio this week?
May I ask what it's about?
May I know what it is (that)you would like to talk about with her?
(オハイオ教授と今週アポイントを取りたいのですが)
(何に関するアポイントかお聞きしてもいいですか)
(オハイオ教授と何についてお話になりたいのか伺ってもいいですか)

What else does Dean Heidi suggest formulating as new guidelines?
(ハイジ学部長は、新しい指針として他にどんなことの文章化を提案していますか)

What do you think were the ten main news items of this year?
(今年の10大ニュースは何だったと思いますか)


間接疑問文を(センテンスの目的語である名詞節として)含む直接疑問文がTOEICやTOEFLで出題されるパターンは、(i)疑問詞の位置を問う問題、(ii)直接疑問文の述語動詞(直上の例文のsuggestとthink)を空欄にするケースがほとんどです。しかも、このブログの管理者である私はここ3年ほど毎回TOEIC公開テストを受験していますが、この論点は文法セクションでは年に1-2回出題されるかどうかというむしろマイナーなトピックだと思います。

けれども、この論点が侮れないのはそれが Listening の<躓きの石>になるから。この論点克服は文頭の聞き取りのパフォーマンスに直結しているからです。TOEFLやTOEICのスコアアップを狙っている方は、「倒置構文」「疑問構文」の理解とともに、是非、上に挙げた例文を暗唱して間接疑問文の音の流れを体内に取り込んでみてください。スコアアップの効果は絶大です。






<確認演習>
この記事で説明したことを例題で確認しましょう。

▼例題1:
Shall I have Akira < > you back as soon as he gets back?
(A) calls
(B) call on
(C) call at
(D) call


訳:アキラが帰社次第折り返し電話させましょうか。
正解:(D)
説明:疑問詞のない助動詞(Shall)を使った「Yes/No Question」です。空所には、「have+人+V原形」で「人に~させる」という使役構文の一部。ちなみに、call on は「人を訪ねる」「人に頼みごとをする」, call atは「場所を訪れる」の意味の群動詞です。


▼例題2:
When does Mr. Guevara < > the amendment of the constitution will be finished?
(A) predict
(B) know
(C) explain
(D) remember


訳:いつ憲法の改正が終了するとゲバラ氏は予想しているのでしょうか。
正解:(A)
説明:間接疑問文の節を目的語として組み込んだ疑問文です。疑問詞が文頭に来るか文中に埋め込まれるのか(「What do you think he is doing」型か、それとも、「Do you know who he is」型なのか)は、疑問文の述語動詞次第。後者のタイプの疑問文はこのようになります。

Do you know when North Korea conducted the nuclear bomb test?
(いつ北朝鮮が核実験を行ったか知っていますか)

predict以外の選択肢はすべて「Do you know who he is」型の動詞。逆に、thinkタイプの動詞にはpredictの他にbelieve, imagine, supposeがあります。


▼例題3:
< > Japan received from North Korea so far.
(A) Two answers have
(B) No answer has
(C) No answers have
(D) Have answers


訳:今までのところ北朝鮮から日本はなんの回答も得ていません。
正解:(B)
説明:目的語(No answer)を強調するために、「O→S→V」の倒置が起こっています。


▼例題4:
Let's go to the new Thai restaurant after the meeting is over, < >?
(A) shall we
(B) will you
(C) do we
(D) we shall


訳: 会議が終わったら最近開店したタイ料理屋さんに行きましょうよ。
正解:(A)
説明:「勧誘」を表す「Let's・・・」 の構文を付加疑問文にするにはshall we を付加します。


▼例題5:
Pass me the document, < >?
(A) do you
(B) will you
(C) shall we
(D) are you


訳:その書類を取って下さい。
正解:(B)
説明:「依頼」を表す命令文を付加疑問にするにはwill youを付加します。


▼例題6:
Mr. Minamide, the advocator of the“Nullification Doctrine on the Constitution of Japan,” can hardly speak English, < >?
(A) can't he
(B) can he
(C) doesn't he
(D) does he


訳:「憲法無効論」の唱道者である南出氏はほとんど英語が話せないんですよね。
正解:(B)
説明:hardly は「ほとんど~ない」という否定の意味の副詞。hardlyを含む文の付加疑問は肯定形の形になります。


▼例題7:
< > was her delight that she was speechless when she saw her children safe, whom had been abducted by North Korea.

(A) Very much
(B) Great
(C) So
(D) Such


訳:北朝鮮に拉致されていた子供達の無事を見て、喜びのあまり彼女は言葉も出なかった。
正解:(D)
説明:例文は、「S(her delight)→ was →such that [S→V→・・・]」で「Sが大変大きかったので[such that以下]でした」という意味の構文です。この構文ではしばしば「主節の補語」であるsuchを文頭に出した倒置が起こります。


▼例題8:
< > the shrine priest got somewhat academic perspective on the constitution, he would have not assented to such a stupid fancy on the Constitution of Japan.

(A) If
(B) Unless
(C) Had
(D) Were


訳:その宮司さんがかって幾らかでも憲法を体系的に学んだことがあったならば、彼が日本国憲法に関するそんな馬鹿げた妄想を支持することもなかったでしょうに。
正解:(C)
説明:仮定法の条件節でifが省略されるにともない、「If+S → [had+V-pp] →・・・」から「Had → S → V-pp →・・・」の倒置が生じているケースです。
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