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「刑事政策と刑事手続き」の区別もできていない中森明夫氏の<須藤凜々花>擁護論の悲惨な滑稽

2017年08月29日 14時51分34秒 | アイドルグループ論

 

 

アメリカのホテルで朝食をいただくと、大概、「玉子はどうなさいますか:How would you like your eggs? (Boiled ones or?)」と尋ねられますよね。日本語の「バイキング」方式、英語のbuffet スタイルでは、あらかじめ何種類か用意されていますよね。KABU は昔から、なぜか日本にいるときは「目玉焼:sunny-side up」が好きなのですが、アメリカに降り立った途端、「炒り玉子:scrambled eggs」派に豹変するひとだったりします。不思議。これもチョビッと変形した、

There is no accounting for taste.(ヒトの好みは説明不可能)

の事例の1つでしょうか。閑話休題。

さて、難しげに言えば、「観察する方法が対象を決定する」という新カント派の方法二元論のコロラリーの1つ。すなわち、その材料はまったく同じだけれど、<料理>の仕方の違いによってぜんぜん別のものになるケース。こんなことは――別に、朝食の玉子、傍から観察された場合の「万引き」と上得意のお客様の「後日自己申告型のつけ払い」等々――人生にも社会にも、世間にも世界にも少なくないと思います。なに言いたいのか。はい。

 味噌汁の赤や白、焼酎の麦か芋かの好みが個人的なものであるように、あの「年に一度のAKB48グループ総選挙の当日、自分の順位発表直後の答礼スピーチで結婚宣言をやらかした須藤某を含むNMB48運営」への評価なりが個人的な好みの表明である限り、それは説明不可能(No accounting)でもあるでしょうし、他者に説明を要求される筋合いもないことだろうということ。しかし、その須藤某に対する社会的評価が、よって、この寄生虫アイドルに対する社会的制裁の是非とその制裁メニューが議論されている文脈で、このような主張(⬇)をする限りは、その論者・中森明夫氏は、少なくとも、批判は覚悟されているのだろうと思わざるをえません。

 

▼「壮大なアイドルの実験場」という原点

作家でアイドル評論家の中森明夫氏は「間違いなく今年の主役は須藤。僕は評価します」とこう総括する。

「そもそもAKBとは何かを考えてほしい。既成の概念にとらわれない壮大なアイドルの実験場だったはずなんです。それがCDを買わせて人気投票を行う総選挙も批判の的だったのが9回目を迎えて当たり前の行事になってしまった。そして指原1強にうんざりしていた閉塞感。それを須藤がぶち壊したことで爽快な風が吹いたのです。ドーム球場でやる野球はそれはそれで快適ですが、天候と同じく予定調和ではなく、思い通りにいかないからこそ人生は面白い。賛否両論、激論を喚起した須藤の行為こそが、これぞAKBという痛快な出来事なのです」

くしくも今回の総選挙のキャッチコピーは「さあ、革命の時間だ。」。少々デキ過ぎな感もあるが、大きくなった組織の土手っ腹に風
穴をあけた革命児が、AKBの体現者であるのは間違いない。

https://news.infoseek.co.jp/article/gendainet_397905/

 

▼メンバーとファンが作る「世界観」 リスク管理に不備はなかったか

「アイドルと結婚」。古くは1980年に21歳で引退した山口百恵さんのケースでも語られてきたテーマ。困惑や批判、そして祝福が飛び交う今回の事態を専門家はどう見ているのか。

「婚活」という言葉を世に広め、アイドルにも造詣が深いジャーナリストの白河桃子さんは「20歳の女性が結婚すること自体は、おめでたいことだと思う」と祝福。一方で、AKB総選挙は立候補制でもあることから、「事前に総選挙を辞退するなど、アイドルもファンも守られるような道を作れなかったのかという思いはある」と話す。

アイドルの世界は、本人やファンたちが努力して構築した壮大な『ファンタジー』という側面もある」と白河さんは指摘する。たとえば、宝塚歌劇団は「清く正しく美しく」という劇団の理念に基づいた行動を求められ、その結果、世界観が守られている、と話す。「今回のことは『世界観』を一緒に作るチームのメンバーやそのファンのモチベーションに関わること。大人である運営サイドのリスク管理が求められる」と話した。

「アイドルとは」「結婚とは」 考えさせた須藤さんを評価

アイドル評論家の中森明夫さんは「CDを買って投票したファンや、他のメンバーに対する部分で批判の声が上がるのは理解できる。しかし須藤さんは、一世一代の舞台で、リスクを背負いながら、思い切った発言で私たちにインパクトを与え、総選挙の主役になった。AKBに興味がなかった層でさえ『アイドルとは何か』『結婚とは何か』を話題に盛り上がっている。この点は大いに評価したい」と称賛する。

2005年の最初のライブから、AKB 48を見つめてきた中森さんは「何が起こるか分からない」ことがグループの魅力と考える。「AKBはこれまでのアイドルの既成概念にとらわれず、次々と新しいことを打ち出してきた。09年に始まった総選挙もその一つで、9回目を迎えた今回、何事もなく終わっていたらマンネリ感も出た。20歳のアイドルが話した数分のスピーチが、空気を読んでそんたくしたり、不祥事がすぐにバッシングされたりという、息苦しさ漂う現代社会に風穴を開けてくれたとさえ思う。これから大変なこともあると思うが、アイドル史に残る一大事件だ」と熱を込めて語った。(下線はKABUによるもの)

 https://mainichi.jp/articles/20170621/k00/00m/040/040000c

 

 

敷衍します。簡単な話です。繰返しになりますけれども、中森さんが、(甲)個人的な好みやご自分の美意識を論じられたとすれば、それが「全国区」の週刊誌で述べられようと全国ネットの地上波TVで述べられようが、誰からも――逆に、それに賛否を表明するのは読者視聴者各人の自由ではあるけれど――説明を要求される義理はない。

而して、(乙)この須藤某が2017年6月17日の沖縄でやらかしたことを、日本の「アイドルビジネス」や「アイドルカルチャー」を――業界人のみならず広くこの日本の社会の中で――捉え返す契機と受け止めて、そんな再構築ムーブメントに千載一遇のモメンタム(推進の切っ掛けと推進力)を与えた須藤某の<蛮行>を評価すると、中森さんが言われているのなら、それはそれで真っ当な主張だとわたしは思います。ただ、広い意味の同郷人、九州出身者としては指原莉乃さんは――柏木ゆきりんと宮脇咲良ちゃんほどではないにせよ――嫌いではないので「指原1強にうんざりしていた閉塞感」と書かれるとチョビッとカチンと来なかったかと言えば嘘になりますけれども。

蓋し、(丙)中森さんの発言で致命的に問題なのは、(乙)のマクロ的な「アイドルインダストリー」再構築における須藤某のやらかしたことの、それなりの意味と意義から、個別、NMB48のメンバーである「須藤凜々花」のそのやらかしたアクション(行動)に対する、――アイドルと運営とファンが形成するヴァーチャルな――アイドルコミュニティー内のアクション(訴訟)において、違法性なり有責性を阻却(否定)または減価(低減)させてもよいのではないかという、中森さんの理路です。それは、本記事のタイトルにも記した如く、そのような理路は「刑事政策」的の主張を、具体的な被告人を巡る具体的な「刑事手続き」の審理に密輸する悲惨な論理か滑稽な弁明、あるいは、その両方でしかないでしょうから。

・応報刑思想の逆襲(1)~(5-資料編)
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/96510cf17d1e91d2471c047147362d70

・オウム事件-松本被告精神鑑定☆朝日新聞の司法への過剰な期待を嗤う
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/a411379e16ef2f9bd0ae25199b2e6bb5

補導少年や引きこもり児童生徒のデータベース化、ならびに、貧困世帯の増加動向および分布の変遷の知見から、より、当該地域の惧犯少年クラスターを対象とした――子供たちの目線にあわせ、厳しくもガッツリ向き合う――見守る人員の確保とその人員への――ネット情報システムの有効活用から進路指導のプライマリーサプライからの――恒常的で良い意味でエンドレスの研修をより優れたコストパフォーマンスで具現化する。これなどは、「刑事政策」的の知見が刑事政策的の現場で適切に運用されるイメージでしょう。

また、ある少年たちのアクション。わたし自身現地で――この事件に衝撃を受けた外国人の子供たちのメンタルケアの一環として――聞き取り調査のボランティアをしたこともあり、この事件は冗談で取り上げる物では断じてないのですけれど。1988年に埼玉県三郷市で起きた、所謂「女子高生コンクリート詰め殺人事件」で、1988年、当事、17歳の女子高生をわいせつ目的で拉致、その後、41日間も監禁し、性的暴行を繰り返した上で殺害、もって、コンクリート詰めにして遺棄した犯人の少年たちのアクションが、刑事政策的にその後の「少年犯罪への社会予防施策」の立案に、千載一遇のモメンタムを与えたから、つまり、意味と意義があったからといって、その三郷の鬼畜の餓鬼どもの刑事手続きにおいて、そのような刑事政策的な意味と意義とが、そう、刑事政策の専門家からの肯定的な評価がなにかしら意味があると考える方はそう多くはないのではないでしょうか。

畢竟、中森明夫さんの須藤某擁護の議論は、個人の自由な意見表明ではあるものの、彼がもしその主張でもって、現実的にも須藤某というこのアイドル寄生虫を含むNMB48の運用を擁護するものならば、社会的な批判は覚悟するしかない理路に踏み入っていることは自覚していただきたいと思います。

要は、ご本人は須藤某のアクションに関して個人的な、かつ、アイドルインダストリー全体にとっての意味とかいう一般的な意見を聞かれていると思い――比喩を使えば、つまり、記者の質問「玉子はどうなさいますか:How would you like your eggs?」を、一般論として「Boiled ones, scrambled ones, or sunny -side up?」と尋ねられていると思ったけれど――、しかし、実際の質問は、「ゆで玉子ですが、完熟と半熟のどちらになさいますか:How would you like your eggs, hard-boiled or soft-boiled?」と尋ねられていたということ。そう、世間と社会の関心は須藤某へのサンクション(制裁)の種類と軽重、NMB48が今後も存続可能かどうかにのみあるのですから。だって、「社会的な関心」なのですから。個人的な好みを越えて議論するに価するものは。以上


 

<関連記事>

・目次:AKB48関連記事
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/fccf7d442d636d957a5c1d46ce872827

・AKBは終わりました、以上
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/78799c7bb9ac3777b26578910b435b9f

・AKB総選挙という<窓>から考える生態学的社会構造の実相
 https://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/65362478.html

・総選挙が証明する経済の成長戦略の思想的可能性
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/905095d73cbeec96c10d3be301792706

そして、

・アイドル産廃=須藤某の「卒業公演」まだやる気らしい、正気か❗
 ――〈(内木志)/
 https://ameblo.jp/kabu2kaiba/entry-12305084623.html

・須藤凜々花さん、取り返しのつかないことやったの? 
 タイムスリップしたらまたやるの? どっち❗
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/6c9c908f05c1ffbccdda0d2cb61bba57

 

 

 ◆<資料再録―「アイドル」って何?>

尚、「アイドル」ていうのが今一つわからへんねんけど、という皆さまのご参考に、

「専門書」(⬅冗談半分ですが良書です)から関連する部分を引用転記しておきます。

そう、本稿で俎上に載せた中森さんの著書(笑)

◆アイドルとはどんな仕事なのか?
 ――中森明夫『アイドルになりたい!』(ちくまプリマー新書・2017. 4.10)より転記

アイドルって何?
歌がうまくない。ダンサーとも違う。美人とは限らない。
スタイルばつぐんじゃない。いったい何のプロなのかな?(ibid, p.13)

アイドルは歌がヘタだ、とよく言われる。
ダンスだって、・・・あきらかにプロのダンサーとは違う。
かわいい女の子ってこと?
でも、・・・アイドルグループで一番人気の子が、【AKBグループの前田敦子さんや、
指原莉乃さん、NMB48の山本彩さんのように】美人とは限らない。(ibid, p.12 )

<アイドルは「好き」になってもらう仕事>
<アイドルは欠点が魅力>⬅【松田聖子さんの「O脚」のように】
アイドルに大切なものは・・・▽「運」(ibid, p. 128)

だから、街角で偶然もらったチラシ(偶然見かけたポスター説もあり。本人に聞いても正確には覚えていないらしい)をみてオーディションに応募した引っ込み思案の千葉の中学生の少女が<前田敦子>になった経緯。あるいは、だから、ほとんど「引きこもり」の埼玉の小学生の少女がAKB48に出会い、10年後の今、AKBグループの正統なエース<渡辺麻友>になったのは神慮としか言いようのないことなのだと思います。彼女達は秋葉原で神様に<なりたい自分を見つけるための方法論>をいただいたの、鴨ということ。而して、】

アイドルとして成功する子は・・・【渡辺麻友さんがその理念型だけれども】
「友達のいない子」
「携帯電話もっていない【のと同じくらい携帯電話をあまり使わない】子」(ibid, p.136ff)

 

【アイドルになりたいのなら覚悟しなさい! アイドルになれば、】
きみは【今までの】友達を失う(ibid, p.139)


【そして、】恋愛禁止(ibid, p.142ff)
明確なルールはなくったって、アイドルの世界では、
ほぼ暗黙のうちに恋愛禁止だ。
それは、みんなわかってる。(ibid, p.142)

ファンの多くは、アイドルを疑似恋愛の【あるいは「アイドル育成ゲーム」の】対象として見る。だからCDをたくさん買ったり、サイン会や握手会へかけつけたりして、お金を支払う。【アイドル業界というのは】そういうビジネスだ。(ibid, p.143)
【ならば、一般論としては、】アイドルが特定のファンや、あるいはアイドルどうしで恋愛して、それを公言していたら、たちまち人気をうしなうだろう。実際、・・・【そんな】アイドルがいっぱいいる。

これでは【スキャンダルを「芸の肥やし」というより、寧ろ、<武器>や<梃子>にして一層活躍する、極々一握りの例外の存在は、寧ろ、グループ全体やアイドル業界全体から見れば「徒花」であって、】ビジネスにならない。そこで【渡辺麻友さん(まゆまゆ:まゆゆ)の尾木プロとかサッシーの太田プロ、岩田桃夏ちゃんのShowtitle とかのアイドルが所属する】事務所サイドやマネージャー、運営はアイドルに恋愛禁止を申しわたす。(ibid, p.143)

【ファンのマジョリティが同性の女性だから、アイドル業界よりもこの規制が緩やかなはずの宝塚歌劇団と比べて見ると分かりやすい、鴨。あの宝塚歌劇団には「恋愛禁止ルール」などはない。しかし、<宝塚>は恋愛禁止ではないけれど――特に、男役のスターさんは!――、交際している場合、交際していることを退団まで絶対に悟られないように振る舞われる。そして、交際を公表するとすれば<寿退団のサヨナラ公演>の舞台終了後の挨拶の際に、(時には、自分の後任の)組長さんから促されて、嫌々ながら照れながら行うケースが、多分、専科を除き全5組トータルで10年に2回あるかどうかというとこ。アイドル業界でなくともそれくらい、この「恋愛禁止」を巡るルールはそのビジネスにおいて大切にされているということ、鴨。】

【念のめに、アイドル志望のきみに言っておこう】
バレなきゃいいじゃん!って思うかもしれないね。
でも、バレるんですよ。ブレークしたら、絶対に。
【AKB48の前田の敦子ちゃんも、柏木のゆきりんもそれで一時期――バラしたとおぼしき親友との絡みで――人間不信になったとかならなかったとかの都市伝説にことかかないくらいだから、アイドル業界は!】世の中は、そんなに甘いもんじゃない。

恋愛を取るか、アイドルを取るか?
確実に選択をせまられる。(ibid, p.143)


【最後にノウハウの伝授。】
さっきも言ったけど【cf. ibid, pp.137-138】、
写真には気をつけたほうがいい。恋人と撮った写真は、
きみがアイドルになったら必ず流出する。(ibid, p.143)

(以上、転記終了。【】内はKABUによる補足、為念)

 

P/S

私事ながら追記。別の記事でも書いたことですが・・・、問題の総選挙2017の6年前、岩手県宮古市内で震災被災者のみなさんを元気づけるためか、確か「What can I do for someone?」のスローガンのもと来られていた可憐で凛乎、気丈な渡辺麻友さん率いるAKBのメンバーの清々しい活動を同じく旧友の身をあんじて岩手県に滞在していて偶然見かけたわたしには、そのような良い意味のアイドル文化圏に侵入しようとしていたこの「寄生虫=須藤某」は到底許せるものではないのです(『AKB48、被災地に行く』(岩波ジュニア新書・2015年5月)によれば、わたしがまゆまゆ(=まゆゆ)を見かけたのは2011年6月11日のこと、だから、そのまゆまゆは高校3年生17歳の渡辺麻友さん(まゆゆ)だったらしいのですけれども)。

 

https://youtu.be/xtv1gSI6rrQ

 


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