英語と書評 de 海馬之玄関

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再出発の英文法:比較表現

2008年05月27日 12時04分02秒 | 英文法の話題

今回のテーマは「比較の表現」です。「チェジュ姫は宮崎あおいさんより奇麗だ」「日本は韓国より人口が多い」「国語は英語より大切でないわけがない」とかとか、何かと何かを比べる言い方は英語でも日本語でもよく使われます。そして、「比較」表現はTOEFLでもTOEICでも重要論点なのに、日本人受験者の鬼門(graveyard)の一つ。先ずは、比較の基本的な形を確認しましょう。


[1]比較表現の基本形

◆基本:比較表現の主要パターン
・比較級+than A
・as 原級 as A
・less 原級 +than A


ポイントは、比較級の形は、原級が3音節以上の場合には「more+原級」になりますが、1音節の場合にはほぼ100%、2音節の場合にもほとんどが、原級に語尾(er)がついて「原級+er」になること。


◆応用:否定語+比較表現の主要パターン
・主語+no more/less ~ +than A= 主語とAは同じくらい
・主語+not more/less ~ +than A= 主語はせいぜい/少なくとも~だ


Ms. Rinko Kikuchi has no less than 5 books.(5冊も持っている)
Ms. Rinko Kikuchi has not less than 5 books.(少なくとも5冊持っている)
上の意味はジャスト5冊。下の意味は5冊以上なのです。

尚、more/less than A=「Aより大きい/小さい」とthanを使う表現は「A」を含みません。何をいいたいのか。はい。

例えば、A>10, A=10, A<10 はそれぞれ、
more than 10, no less/more than 10(be equal to 10),
A less than 10 になります。つまり、
「10 未満」はless than 10 で良いのですが、
「10以上」は be equal and more than 10となる。


【復習コーナー】
▲復習1:比較表現の主要パターン
・比較級+than A
・as 原級 as A
・less 原級 +than A

▲復習2:否定語+比較表現の主要パターン
・主語+no more/less ~ +than A= 主語とAは同じくらい
・主語+not more/less ~ +than A= 主語はせいぜい/少なくとも~だ

▲復習3:more/less than A=「Aより大きい/小さい」は「A」を含まない。
例えば、A>10は、more than 10



[2]比較の慣用表現
比較の次のポイントは「比較の慣用表現」です。

◆same

His dictionary and mine are the same.
=His dictionary is the same as mine.
(彼の辞書と私の辞書は同じ(出版社の同じ種類)のものだ)
尚、「the same as」とthe はsameの前につきます。これは、TOEICの穴埋め問題でも時々出される論点。この機会に是非覚えてください。

◆クジラの法則

A whale is no more a fish than a horse is (a fish).
=A whale is not a fish any more than a horse is (a fish).
(クジラが魚でないのは、馬が魚でないのと同じだ)
A whale is no less a mammal than a horse is (a mammal).
(クジラが哺乳類なのは、馬が哺乳類であるのと同じだ)

◆A is to B what C is to D

The individual is to the family what the family is to the nation.
(個人の家族に対する関係は、家族の国家に対する関係と同じである)

この構文は、A is +(to B)+[what C is to D]と考えられ、S+V+(修飾語句)+[補語]の第2文型です。この構文は諺とかでも頻繁に使われますが、TOEICやTOEFLそして英字新聞でも頻出表現。この機会に覚えてください。


ここまで読んでいただいた方の中には比較表現といっても「受験英語」とあまり変わらないと感じた方もおられるかもしれませんね。その通りです(!) 受験英語もTOEFLの英語も時事英語もアメリカのキャンパスで使われる英語も、実は、同じ英語です。違いは、受験英語では英語を使ったコミュニケーションがそれほど行われないこと。このブログの読者の方は、是非、ここで覚えた表現を使ってみてください。英語が楽しくなります。英語は使えば使うだけ得意になり、使うのも学ぶのも楽しくなりますから。


[3] 「比較・最上級とthe」の関係
「比較」の三つ目の論点は「比較・最上級とthe」の関係 。まずは、[1][2]の復習。

▲復習1:比較表現の主要パターン
・比較級+than A   (Aよりも~だ)
・as 原級 as A     (Aと同じくらい~だ)
・less 原級 +than A  (Aよりも~ではない)

例えば、TOEICのReadingセクションのパート5と6(穴埋め問題)では、比較構文はこの3パターンしか出題されないと言ってもよいと思います。唯一の例外は、
She is six years senior to me.(彼女は6歳私より年長だ)という、「inferior to」(~より劣っている), 「superior to」(~より優っている)という、ラテン語起源の「-or」で終わる形容詞が比較の意味に使われる際に「than~」ではなく「to~」を取るというケースだけでしょうか。

▲復習2:否定語+比較表現の主要パターン
・主語+no more/less ~ +than A= 主語とAは同じくらい
・主語+not more/less ~ +than A= 主語はせいぜい/少なくとも~だ

more/less than A=「Aより大きい/小さい」は「A」を含まない。
例えば、A>10は、more than 10

▲復習3:same
His dictionary is the same as mine.
(彼の辞書と私の辞書は同じ(出版社の同じ種類)のものだ)

「the same as」とthe はsameの前にきます。これ、TOEICの頻出論点ですよ。

▲復習4:A is to B what C is to D
The individual is to the family what the family is to the nation.
(個人の家族に対する関係は、家族の国家に対する関係と同じである)

この構文は[what C is to D]がA isの補語になっている第2文型。この構文はTOEICやTOEFLそして英字新聞でも頻出。



よく、「中学校でも最上級には定冠詞のtheがつくと習ったけど、TOEFLやTOEICの長文問題や英字新聞を読んでいると最上級にtheがついてないケースも見かける。一体、最上級にtheはつけなくてもよいのですか」という質問をいただくことがあります。good question! 

この点についてお答えしましょう。幾つかの例外を無視すれば、「最上級とtheを巡るルール」は簡単です。

・限定用法の形容詞の最上級には原則 the がつく!


つまり、最上級にtheがつくのは、「限定用法」の「形容詞」の場合に限られ、他方、「叙述用法の形容詞」や「副詞」の最上級には原則theはつかないのです。「その「げんていようほぉーのけいようし」って何?」と呟いたあなた(笑)。疑問点があれば即質問する! もしくは、辞書代わりの英文法の参考書で調べましょう。ただ、説明の便宜上ここでは、限定用法(制限用法)と叙述用法(非制限用法)について簡単に説明しておきましょう。

●限定用法の形容詞
限定用法の形容詞。つまり、形容詞が名詞を直接修飾する場合(例えば、a white dog「白い犬」のような場合)の最上級の形容詞にはtheがつく。例えば、
She is the smartest student (in this university).
(彼女は(この大学で)一番、学業優秀な学生だ)。

逆に、形容詞が第2文型や第5文型の補語になるケース(これを、限定用法に対して叙述用法や非制限用法と呼びますが、例えば、This dog is white.「その犬は白い」のような場合)の最上級にはthe は<原則>つきません。<例外>は、「~の中で」という語句が省略されているのが文の前後関係や会話の状況から自明なケース。例えば、

Stellar is smartest. (ステラ姫は(漠然と話者間で通じる範囲で)一番賢い)
Choi ji woo is tallest.(チェジュ姫は(漠然と話者間で通じる範囲で)一番背が高い)
Erika is the tallest (freshman)of all this year freshmen.
(エリカ様は今年の新人の中では一番背が高い(新人)です)

●副詞の最上級
形容詞ではなく副詞の場合。副詞の最上級には、普通、theはつきません! 
この「副詞の最上級にはtheがつかない」。例外も多いので、厳密には「副詞の最上級にはtheをつけなくとも間違いではない」「副詞の最上級にtheがつくのは特に「強調」したい時や、in/of~「~の中で」という状況を限定する句が併用されている時の例外です」と言うべきでしょうが、この知識は、日本人の英文法知識の中でしばしば「断線」している箇所だと思います。例えば、

In my team, Kei drives most carefully.
(私のチームでは、ケイが一番慎重に運転します)

この機会に整理しておきましょう。








<確認演習>
この記事で説明したことを例題で確認しましょう。

▼例題1:
Any fighter plane of JASDF can’t fly as < > the F-15 Eagle.
(A) faster as
(B) faster than
(C) fast as
(D) fast than


訳:航空自衛隊(Japan Air Self-Defense Force)の戦闘機の中でF-15イーグルより速く飛ぶものはない。
正解:(C)
説明:「as +原級+ as」を使った比較構文です。
「S(1)→V(1)→【as +原級+ as】→S(2)→V(2)」の構文は、元来、「S(1)がV(1)するのと、S(2)がV(2)するのは同じくらいだ」(そして、この「as +原級+ as」を使った比較構文ではV(1)とV(2)はほぼ確実に同じ動詞になるのでV(2)が省略され)、つまり、「S(1)とS(2)は同じくらいV(1)だ」という同等比較の構文です。

ということは、S(1)とS(2)に(意味内容として)差をつけたい場合には、(a)【as +原級+ as】を否定するか、(b)S(1)を工夫するかします。例題は、can’t flyとセンテンス自体を否定文にすることで(a)の道を選んだもの。而して、(b)の工夫には次のようなものがあります。

No fighter plane of JASDF can fly as fast as the F-15 Eagle.
The F-15 Eagle can fly faster than any other fighter plane of JASDF.


▼例題2:
Japanese work < > than Americans per week.
(A) four hours long
(B) longer four hours
(C) four longer hours
(D) four hours longer


訳:日本人はアメリカ人より週当たり平均4時間長く働いています。
正解:(D)
説明:空所の直後のthanがヒントです。この形を使う場合には「比較級+ than」の構文しかありません。この感覚は多くの例文を読んで書いて暗誦して体得してください。「体得」のためにも例文を幾つか書いておきます。

AMC company seems to have sold 6,000 more kilos of pickled ume this quarter than last quarter.
(今四半期にABC社は前の四半期に比べて6,000キロ多く梅干を販売したもようです)

The Asian-Pacific market is much more active than the European one.
(アジアの市場はヨーロッパの市場よりもはるかに活発である)

How many years older is Erika-sama than Momoko-hime?
(沢尻エリカ様は上田桃子姫より何歳年上ですか)

Our company’s sales were 15% lower than last year, whereas profits were 50% higher. 
(当社の売上は昨年から15%減ったけれど、逆に利益は昨年より50%高となりました)


▼例題3:
The population of China is about < > that of Japan.
(A) ten times as large as
(B) by ten times as large as
(C) as large ten times as
(D) as ten times large as


訳:中国の人口は、日本の人口の約10倍です。
正解:(A)
説明:「as +原級+ as」を使った比較構文で「何倍・・・」を表現するには、「as +原級+ as」の前に「x times」と倍数を明記すればよいのです。基本はあくまでも「as +原級+ as」の内部は「差別のない静寂の世界」ということでしょうか。

尚、「as +原級+ as →S(2)→V(2)」「not so +原級+ as →S(2)→V(2)」の比較構文では、後の方のas以下の「as →S(2)→V(2)」は文脈上意味が(原則誰に対しても)明らかな場合には、しばしば遠慮なく省略されます。特に、英字新聞ではほぼ「φ」「as」「as →S(2)」のどれかであり「as →S(2)→V(2)」が全部揃うことなどまずないと考えていた方がよいと思います。

【「φ」のケース】
You are diligent, but Momoko is several times as diligent (as you are).
(君は勤勉だが、上田桃子姫のほうが(君より)数倍練習熱心だ)

By 2000, China's bilateral trade surplus was as large as Japan's; by 2004, it was twice as large (as Japan’s were). (2000年までは支那と日本の貿易収支は拮抗していましたが、2004年には支那は日本の2倍になりました)

【「as →S(2)」のケース】
Toyota Motors produced twice as many cars as Hyundai in 2007.
(2007年、トヨタ自動車は現代の2倍の車を生産した)



▼例題4:
There were < > a hundred cherry trees at the campus of the National Defense Medical College.
(A) not more as
(B) as more than
(C) less much than
(D) no less than


訳:防衛医科大のキャンパスには百本もの木があった。
正解:(D)
説明:「no less than ~」は「~ ほど多く」「どう転んでも ~ より少ないことはない」という意味で、「as many[much] as ~」と書き換え可能です。ところが、「not more than ~」だと「せいぜい~ くらい」というニュアンスになってしまい、これは「at most」や「only」に近い。誤解を恐れず白黒はっきり言えば、

no less than(no more than)a hundred cherry trees =100本の桜の木
not less than(not more than)a hundred cherry trees =100本以下の桜の木

よって、この両者はこのようなニュアンスをともなっているのです。

Momoko earned no less than 166 million in 2007.
(桃子姫は2007年度に1億6千6百万円稼いだ!)
Momoko earned not less than 166 million in 2007.
(桃子が史上最年少賞金女王? 彼女が稼いだのはせいぜい1億6千6百万円まででしょう)


▼例題5:
I don’t have < > as you.
(A) so many treatise on law
(B) treatise on law so many
(C) so less treatise on law
(D) more treatise on law


訳:私はあなたほど多くの法律専門書を持っていない。
正解:(A)
説明:「not so[as] ・・・ as ~」で「~ ほど・・・ではない」という意味を表します。


▼例題6:
Ms. Kannazuki has gone to as many open bases of JSDF < > among her colleagues.
(A) as anybody
(B) as nobody
(C) so nobody
(D) than anybody


訳:神無月さんは彼女の同僚の誰よりも多く自衛隊の基地一般公開イベントに足を運んでおられます。
正解:(A)
説明:「as ・・・ as anybody」で「他の誰よりも ~」という意味。肯定文で使われるanyは「どんな~も」という意味になります。any を使ったこれらの構文は意味的には最上級を内包しているのです。


▼例題7:
If you need an attorney of New York, there’s < > than Mr.Yamada.
(A) nothing better
(B) none better
(C) better nobody
(D) anybody better


訳:ニューヨーク州の弁護士が必要なら山田弁護士が最適だ。
正解:(B)
説明:否定と比較の併せ技で最上級的な意味を表すことができます。「山田さん」は人間なのでnoneという否定の代名詞が使われています。


▼例題8:
Manmaruko looks < > when she is eating.
(A) happiest
(B) the happier
(C) the happiest
(D) the happy


訳:まん丸子ちゃんは食べているときが一番幸せそうにみえる。
正解:(A)
説明:同一対象における比較。例えば、「沢尻エリカ様は今日は昨日より機嫌がよいみたいだ」とか「朝日新聞の最近の反日言動は1年前の安倍晋三首相攻撃の時に比べても凄まじい」とかの「同一対象における比較」の際には最上級であってもtheをつけないことがポイントです。


▼例題9:
We < > support Amnesty International than we support Greenpeace..
(A) not more
(B) at least
(C) no more
(D) not less


訳:我々はグリーンピースを支持しないのと同様にアムネスティーも支持しない。
正解:(C)
説明:「S(1)→ no more →V(1) → than →S(2)→V(2)」の構文は「S(2)がV(2)しないのと同様に、S(1)はV(1)しない」という並列構造を持った「否定の構文」です。


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