Joe's Labo

城繁幸公式。
というか避難所。移行か?
なんか使いづらいな・・・

「夢がない」という夢のある話

2010-01-03 09:46:09 | その他
「経済にせよ雇用にせよ、最近は暗い話題が多いですね」というような
ことをよく言われる。といっても実際そうなんだから仕方がない。
非正規切りにしても、06年から警告し続けてきて実際そうなって
しまったわけだし。
「現状で問題ありません!これからも日本は繁栄し続けます!」
なんていうのはただのバカか詐欺師だ。

ところで、あちこちで話をしていて気付いたことがある。
「終身雇用を柱とする昭和型システムは絶賛崩壊中」
という現状を解説すると、反応はどうも2種類に分かれるようだ。
まずは「はぁ…そうなんですか」と萎えるタイプ。新人から50代まで幅広いが、
かちっとした会社の勤め人が多い。要するに昭和型システムで守られている
(と本人は思って生きてきた)グループだろう。

一方で、「そりゃ面白いですねえ」とポジティブにとらえるグループもいる。
こちらも年代問わずだが、フリーや年俸制など、非昭和型のワークスタイルだ。
「面白いとはなんだ」と思うサラリーマンもいるかもしれないが、彼らにしてみれば
汚れ役や使い捨てにされるわ、賃貸やローンは借りにくいわ、彼女の実家に挨拶に
行ったらイヤミは言われるわ、雇調金はもらえないわ(でも税負担はさせられる)
でいろいろ言いたいこともあるのだろう。

そういえば年末。某週刊誌の記者が二人、2010年の展望を取材に来て、
「サラリーマンの平均賃金はさらに10年下がり続ける」
「もう景気は大きくは回復しない」
「従業員数万人規模の超大企業で潰れるところが出始める」
「年金は実質破綻している。医療も団塊世代分までは支えられない」
「いずれにせよ現状のままなら、財政的に行き詰まる」
なんてダークな話をこってり話してあげたのだが、二人の反応が180度違っていて
興味深かった。簡単にいうと、怯えた子犬のような目をするおじさんと
ワクワクする若手で、もちろん後者はフリーライターだ。
両者の間の壁が消え、制度に守られていたアドバンテージが
消失するのだから、究極の格差是正といえるかもしれない。


考えてみれば、「幕府が倒れるから心配だ」というのは幕府の中の人だけでよいので
あって、今から考えればそれは喜ぶべき進歩だった。
リセットボタンを押すか押さないかの違いはあるにせよ、リセット自体は遠からず
なされるだろう。それを暗い話だと感じてしまう僕自身、まだまだ昭和的なモノを
内部に引きずっているようだ。

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29 コメント

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格差是正は規制緩和から (松本孝行)
2010-01-03 10:25:36
 あけましておめでとうございます。
 本年もブログを拝見させていただき、逐次コメントさせていただこうと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 そういえば私が独立した時、クレジットカードを作ろうとしたら、銀行系では見事に蹴られました(笑)ですので、流通小売のポイントカード兼クレジットカードにしましたね。サラリーマンの時なんて、ゴールドカードの案内来てたのに(笑)

 信用力を人ではなく会社で見てるっていうのが丸わかりです。こういうのされると、非正規雇用はさらに暗くなっちゃうんですよねぇ。信用は個人につけるという基本原則を守って欲しいものです。
日本型雇用が崩壊して困る人は (氷河期戦士)
2010-01-03 11:24:51
>昭和型システムで守られている
(と本人は思って生きてきた)グループ

だけじゃなくて、底辺の人たちもそうだと思いますね。
(フリーや年俸制など、非昭和型のワークスタイルの人たち
ではなく、「フリーター」で単純労働しか経験してこなかっ
た人たち)

で、そういった「フリーター」の人たちが2000年以降、急速に増えていって、そういう人たちが「日本型雇用がきちんと機能していれば、俺たちは正社員として雇用されていたんだ!」と感じているから、中々新しい雇用モデルへと転換しないのでしょう。

非昭和型のワークスタイルの人というのは、むしろ昔のほうが多かったくらいなのではないでしょうか?だから、どんどん「フリーター」だけが増殖し、無いものねだりをしていくことになる。ただ、別にそれは仕方ないと思います。これ以
上、雇用の流動化が起これば、彼らの生活は益々駄目になっていくことは容易に彼ら自身が予想できるからです。

だとしたら、「フリーター」の人たちが非昭和型のワークスタイルで生きていけるためのシステム作りが先決だと思います。その前に雇用の流動化(企業側が首を切りやすくするだけ)をやってしまうことに関しては受け入れてくれないでしょう。

「希望は戦争」 (Unknown)
2010-01-03 11:25:35
「希望は戦争」とか言ったことで叩かれていた人もいたけれど、
今の日本にとってリセットは最後の希望です。

最大の問題は、リセットがかかるまで飢え死にせず、自分が
生きのびられるかということですね。
Unknown (ほる)
2010-01-03 13:00:42
>今の日本にとってリセットは最後の希望です。

リセットすれば最初からなんて、昭和のファミコンですね。

そうやって周囲の変化が自分を変化させると考えているのが昭和的です。
社会が変わるのを待つ間に、あなたが自分自身を変化させれば済む話ですよ。
Unknown (kenji)
2010-01-03 13:38:17
昨日会合に行ってきたが、昭和型の世界を生きてきた人が8割で、既に定年前に退職して、年金を信じきっている人々がいた。彼等にはなしても。全く受け付けない。我々のように小企業で定年近くまで来た人々は年金もそれほど当てにならない(つきに9万位ですときたが、納めた額に、金利を計算すると大体77歳くらいがトントンで、会社負担分も考慮するとである。つまりそのブンだけ貯金をしていたほうが、よかったこと歴然としている)
 然しそれらは実現しないと私はおもって、その用意もしてきたが、最早無理だなという判断である。
 この頃日本人は気が狂っているなと、思うこと仕切りである。
 売り地、売り屋、閉店が目白押しで。何が起きているか判りそうなものだと私は思うが、その余裕もないのだろうか。多分そうだろう。
 何か大きなものが生き残れるものも道ずれにして、どこかへ行こうとしている、気がしてならない。
 地方分権というが逆だろうすることは。
国家依存からの脱却 (Unknown)
2010-01-03 13:45:46
>氷河期戦死さん

貴方の意見は結局、国が面倒をみろという社会主義を唱えてるだけです。
中小や非正規は規制緩和しなくても実質流動化しています。
それに加えて大企業正社員の椅子がガチガチに固定されてるから一層息苦しくなっているのでは。

昭和的価値観はコテコテの社会主義で国家依存、安定志向、横並び志向が非情
に強く刷り込まれています。

リセットにはサッチャーのような問答無用の急進的な改革しかないでしょう。
小泉のような改革のかけ声だけの政権ですらヒステリックな反応を示す国民性だから呆れてしまいます。
「虜人日記」小松真一 (tkskk)
2010-01-03 14:46:08
の本にも書いてあるのを読んで、なるほどと思ったところがあります。

終戦の知らせを聞いて愕然としていた将校たち。

終戦の知らせを聞いて、内心意気揚々としていたのは技術系の社会人や職人たちだったようです。

既存の価値観が崩れて、新しい価値を見いだせるのは、常に、冷静に現実を観ている人たちなのでしょう。

一方で大部分の人は同じ思考から脱せずに、半世紀以上も根本的な問題を繰り返している、ともいえますが、、、
Unknown (現フリーター)
2010-01-03 15:02:15
僕たちフリーターにとっては、これ以上流動化してもらっちゃあ困る。ますます使い捨てられるだけだ。

2001年に大学を卒業したけれども、当時は就職超氷河期。僕はどこにも採用されず、いまだにフリーターやっているのだけれども、当時は「今はつらいかも
しれないけど、将来は雇用が流動化して必ずチャンスがやってくる。」と言われた。で、小泉政権を支持し
、派遣法改正も受け入れた。でも、結局、僕たちフリーターにはチャンスが巡ってこなかった。

城さんは昭和的価値観と批判しているようだが、本当の昭和の時代では新卒で就職しなくてもチャンスはあった。むしろ今よりずっとチャンスがあった。だから
雇用を流動化しても、元々スキルのある人だけにチャンスが巡ってくるだけで、僕のような正社員歴なしの人間にはチャンスはないのだろうと思う。

雇用流動化より、就職氷河期世代の雇用義務化などの施策を政府に求めたい。明らかに僕たちは上の世代の犠牲になったのだから。
年頭に想うこと (がけっぷち)
2010-01-03 16:21:23
特権と将来世代のツケで生きていく時代は完全に終わりましたね。日本は世界各国にさきがけて、低成長、超高齢化の超成熟社会を迎えることになるとおもいます。

昭和型システムが崩壊して格差が是正され、自由競争になるだけでなく、日本全体が身の丈にあった生き方を求められるような気がしてます。
そこで、限られたパイをどう平等に分配するか、という話だけでなく、雇用の流動化によって産業をどう活性化させるか、いかに付加価値の高いモノ・サービスが作れる体質に改善していくか、という視点も大事かなと思います。
それができるようになれば、日本は先進国の1つのモデルになるんじゃないでしょうか。

本年もご活躍を期待しております。
一体何人が (Chic Stone)
2010-01-03 16:38:22
ここが一番、城さんとは見解が違う気がします。

城さんは「レールから降りるのがよい」という立場のようですが、現実にはレールから降りて食べていけるのは何%でしょうか?
活躍している人たちがいて、その影に何十倍もいる、レールから降りて生活できないし今更レールにも戻れない人々のことは見えていますか?
十何年前からのフリーターブームが現在の派遣村に至ったとき、それは日本全体に「レールから降りて夢を追って、それで食えるのはごくわずか、残りはこうして野垂れ死にするんだ」という教訓を骨身にしみるまで思い知らせたのでは?
それで山田氏が指摘するように若者が保守化しているのでは?

新しい雇用モデル、それも百人中一人二人しか生き延びられないようなものではなく、ほとんどがちゃんと生きられる…できれば結婚し子供を大学に生かせ、家と車を手に入れて老後の準備もできる…ような、そんなものはあるのでしょうか?
99%は野垂れ死にする「新しい雇用モデル」に価値があるとは思えないんですが。

もちろん、「昭和的価値観」のままでも生きられるとは限らないのは確かです。
レールそのものも、レールに乗り続けるのも、特に生まれた年代によってはひどく狭き門になってしまっています。

昭和的価値観は崩壊しましたが、レールの外ではほとんどが生きられないし、レールの上でも常に厳しい選別がある、そんな地獄のような社会になっただけのことでは?
価値観とかじゃなくて、歴史経済の流れが引き起こした人間選別でしかない、と思っています。
価値観に関わらず、高度成長が終ってグローバル化した事の必然として、かなり多くの人間が中流から脱落して生活不能になり、おそらくは餓死する、それだけのことだ、と。