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佐藤優『はじめての宗教論――右巻――見えない世界の逆襲』

2010-02-18 15:30:39 | ときのまにまに
佐藤優氏の本を初めて読んだ。佐藤優といえば鈴木宗男氏との関係で一躍「外務省のラスプーチン」という名でマスコミ界を賑やかした人物である。彼は同志社大学神学部で学び、大学院では「チェコスロバキアの社会主義政権とプロテスタント神学の関係について」を研究し神学修士号を取得している。彼がとくに興味を抱いたテーマはチェコの神学者、ヨセフ・ルクル・フロマートカで、そのためチェコに留学を希望したが難しく、チェコ語を身に付けるために外務省の専門職員募集に応募し外務省のノンキャリアの職員に採用された。それから後の彼の職歴は凄い。
ともかく、何だかんだあって鈴木宗男代議士と親しい関係になり、その事件に関連して、背任容疑で逮捕され、無罪を主張したが認められず、1審で有罪判決、2審で控訴棄却、2009年6月30日には上告したが棄却、懲役刑が確定した。そのため同日付で外務省職員をくびになった。1審判決後、事件の内幕や背景などをつづった著書『国家の罠』を出版し、本格的な執筆活動をしている。現在の肩書きは「起訴休職外務事務官」を名乗っている。
ともかく彼がマスコミの前に登場した頃から、神学をやって外務省それもロシア関係ということで、どうも胡散臭いという印象をもち、いろいろでている著書も論文も対談もほとんど読んだことがない。
さて、そのような経歴の人物が『はじめての宗教論――右巻――見えない世界の逆襲』(NHK出版)を著したと言う。読まないわけにはいかないだろうという簡単に気持ちで、早速、入手し読んだ。非常に面白い。驚くほどまともである。キリスト教理解もちゃんとしている。一般的日本人からはかなり距離があるキリスト教や神学について、興味深い問題を取り上げ、解説し、退屈させない。50年以上神学のキリスト教の世界で生きてきたわたしにとっても新しい情報が豊富にある。たとえば、東欧社会におけるキリスト教の歴史や現状はニュースである。ロシア革命の精神的背景は今まで知らなかった情報である。この本の最大の貢献は第6章「宗教と類型」で、ここでは佐藤氏の先生筋に当たる魚木忠一先生の『日本基督教の精神的伝統』が詳細に紹介されている。魚木先生のこの書は戦後一種の危険思想として封印され、キリスト教界では忘れられてしまった。しかし、魚木神学はそのようにして消し去ってはならない重要な課題を現在も残している。
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