『ハートは心臓にある』 (グリオーマ・脳腫瘍・てんかん発作・へたれ日記)

脳腫瘍(グリオーマ)と共に生き、人生を哲学します。2015年2月に再発・手術、膠芽腫と診断→抗がん剤治療中です。

人が鏡になる。

2009年09月30日 23時47分08秒 | わたしの部屋


以前は、出かけるときに鏡を見ていた。


人と接する仕事をしていたから、
笑顔を作ってみて、そして、ちょっと怒った顔を作ってみて、
最後に、もう一度、笑顔になって、
それから仕事に出かけていた。


今、僕は、ほとんど鏡を見ない。


顔の筋肉を動かすと、けいれん発作が始まってしまいそうだし、
顔のけいれんは、笑っているときの状態に似ているので、
自分の顔を鏡で見ていると、今にも発作が始まりそうで、
不安な気持ちになる。


朝、髭の剃り残しを確認する程度しか鏡は見ない。


ここ数日、ひとつの文章を書くのに、
かなり苦労していた。


どうしても書けなかった。


文章を書くのは、自分自身を鏡に映すのと似ていると思う。


書いては消し、書いては消し、を繰り返して
諦めかけたとき、ふと思いついて、
ちゃこさん(妻)の前で話してみることにした。

何度も話すうちに、口は疲れるけれど、
だんだん話がまとまってきた。


ちゃこさんに、箇条書きでメモをとってもらい、
それを基に原稿を作る。


なんとか、無事、完成した。


人に話すための文章を書くときは、
人に話しながら考えるのがいいのかな、と思った。


ちゃこさん(妻)、仕事で疲れているのに、
速記、ありがとう。助かったよ。

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左手くんとの会話

2009年09月29日 20時58分49秒 | わたしの部屋


食事をしているときに、ご飯をこぼしてしまうことが増えた。


だから、お皿に顔をくっつけて食べる習慣になった。


外に出ているときは大丈夫だけど、
家にいると気が緩んでいるので、
左手、左足が、ときどき、言うことをきかなくなる。


ついさっきも、左手でお茶の入ったコップを持とうとして、
ひっくり返してしまった。


とりあえず、明後日、ギターを弾くのだから、
せめて、そこまでは、しっかりしてくれよ、左手くん、と思う。


いつも、頭や顔が火照るような感覚がある。


今日は、アルバイト先で、かなり根をつめて
ディスプレイに向かっていたから、
もう秋だというのに、クーラーとアイス枕で
頭を冷やしている。


インフルエンザが流行っている時期なので、
体温を計ってみることにした。


僕個人としては、インフルエンザになろうが
どうだろうが、今さら、たぶん平気だけど、
誰かにうつしてしまったら大変だ。


僕は、平熱が高いのだけど、
左腕で測ったら、何回やっても、
「35.6」という数字が出た。


右腕ならどうかな、と思い、試したら
「36.4」といつも通りの数字が出て安心した。


躓くことは増えたけれど、まだ歩ける。
ミスタッチは増えたけれど、まだ、キーボードを両手で打てる。


体温も、36.4度、だ。


いい数字だけを見て、頑張ろうと思う。

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たまには、が、いきなり本番になっちゃったりする。

2009年09月28日 22時34分03秒 | わたしの部屋


僕のギターは、部屋の隅に置いてあります。
もう弾くことは無いので、部屋の飾りになっています。


それが、一転、明後日、
ある事情から、人前で弾くことになりました。


たいへん!まず、弦がありません。
また、弦を巻き取る部分に油(?)を差すのですが、
それも固まってしまっていて、
すぐにチューニングが狂ってしまいそうです。


また、僕は普段、音叉を使って音を合わせるのですが、
当日、演奏する場所は、音叉を使えそうにないので、
“おもちゃ箱”の中からチューナーを引っ張り出しました。


チューナーを使うには、
ギターとチューナーをつなぐ、シールドと、
それぞれに電池が必要です。


仕事帰りのちゃこさん(妻)にお願いして、
楽器屋さんに連れて行ってもらいました。


遅い時間に営業している楽器屋さんがあって
運が良かったです。


楽器屋さん、というのは、
かつての僕にとって、夢の場所だったので、
照明を受けて輝く新品の楽器類を見て、
悲しい気持ちになりました。


かといって、無駄に落ち込んではいられないので、
家に帰って、さっそく、音を合わせてみました。


ギターのピックアップの部分も
チューナーも、ずっと使っていなかったので、
それぞれ調子がおかしくなっていました。


特にチューナーは、電気製品には定番(?)の
“叩くと直る”状態になっていました。


その様子が自分と重なって、可笑しかったです。


ちょっとくらいのショックや、
プレッシャー、ストレスが無いと、
僕はすぐにぼんやりしてしまうからです。


高校生の頃からずっと使っている楽器や機械を
新しい線でつないで、新しい弦で音を出します。

弦にピックを当てるまでは、重い気持ちだったのですが、
ドミソの和音がきれいに重なったのを聴き、
嬉しい気持ちになりました。

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頑張る論

2009年09月27日 22時24分34秒 | 考えごと


手帳で明日からの予定を確認する。


僕にしては、けっこう忙しそうだ。


やることがあるのは幸せなことだけど、
やっぱり、ちょっと不安になる。


“足元”がしっかりしていれば、
もうちょっと踏ん張れるのにな、と思う。


でも、いざ発作が始まってしまえば、
歯を食いしばることも、足で踏ん張ることも、
出来ないし、頑張ろうという意思自体が
ぐちゃぐちゃになってしまう。


心配しても仕方が無い。


頑張るのは良いことかもしれないけれど、
努力が実るとは限らないし、
頑張らなかった人が悪いわけじゃないし、
成果がでないことが努力不足というわけでもないし、
頑張ろうにも頑張れない事情、
どんなに頑張ってもどうしようもないことも
たくさんあるんだよなぁ、と切に思う。


月曜日は、月に1度の通院日だ。


ペース配分に気をつけながら、
2週間乗り切ろうと思う。

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頭の中も洗車してほしい…。

2009年09月26日 22時45分21秒 | たまにはおでかけ

  


ちゃこさん(妻)と、夜のドライブに出かける。
目的地は自宅から車で5分のガソリンスタンドだ。


先日の遠出で、フロントガラスが
ずいぶん汚れてしまった。


スタンドに着き、洗車機にコインを投入する。


窓を閉め、サイドミラーをたたみ
指定されたラインまで車を進める。


僕とちゃこさんは、この「機械洗車」が
とても好きだ。


遊園地に行くことはもう無いかもしれないけれど、
僕らにとって、洗車はちょっとしたテーマパークだ。


洗車機が、前後すると、
車は動いていないのに、
自分たちは動いているような錯覚に陥る。


大量の水しぶきと、洗車用の洗剤、
高速で回転するゴムのベルトが車体を打つ。


車の中で、その様子を楽しむ。


乾燥の段階になって、
ちゃこさんが「もう終わっちゃうのかー」と
言っていた。


もう一周して、もう一回洗ってもいい、と思う。
ジェットコースターにもう一度乗りたくなる気持ちに似ている。


身近なことも、一緒に楽しんでくれる人と暮らしていると、
小さな世界で暮らしていても、たくさん楽しむことができる。

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いい波

2009年09月25日 23時15分31秒 | わたしの部屋


ふだん、僕の携帯電話は、めったに鳴らない。


でも、旅行に出ると、急に鳴りだす。


今に始まったことではなくて、
前から、こうだったと思う。


自分が動くことで、自分の周りも動き出し、
自分自身も動きだすんじゃないか、と
根拠は全くないけれど、勝手に思っている。


宿泊先の旅館で、ちゃこさん(妻)が
温泉に入っている間、
電話を何本も受けて、ノートパソコンを広げ、
作業をする。


帰宅してからも、また電話が鳴り、
昨日の夜から、今日の夕方にかけて、
とにかくやることがたくさんあって忙しかった。


ずーっと前だけど、友だちが言ってくれた言葉がある。


『オマエ、今、いい波来てんだよ、乗っちまえよ!』


その言葉をいつも胸において
つらいときは思い出してきたけれど、
今、また、“いい波”が来てるのかな、と思う。


乗り遅れないように。
考えてたって仕方ない。


乗っちまうか!!

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海を見に行きました。

2009年09月24日 21時06分35秒 | たまにはおでかけ


海を見に行きました。


病を得てから、
最大の“冒険”になったと思います。


途中、欲張って、山を見に行きました。


やはり、「気圧」が体調に関係していると思います。
頭が重くなり、手がしびれるのを感じました。


たぶん、もう、飛行機には乗れないと思います。

無事、自宅に帰ることができました。


『日本海 ついに見ちゃった 嬉しいな』(ちゃこ

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行けないし

2009年09月23日 12時56分45秒 | たまにはおでかけ


体調が良くないと、家にばかりいるようになって
休みすぎて、また、発作になって…。


はぁ、どこかに行きたいなぁ。


でも、疲れちゃうよなぁ。その後の発作が怖いなぁ。


とりあえず、アメリカ、行ってみよう!

Google map」 で、USAまでの道順を調べたら、
『太平洋をカヤックで横断する』と出現。


35日もかかるのかぁ、って、遭難しちゃうよ…。


迷子にならない程度に、どこかにお出かけしてきます。

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発作後のためふわふわです。

2009年09月22日 22時59分00秒 | てんかん・けいれん発作の記録・考察


最近は訊かれなくなったのですが、
病院で看護師さんに
「発作があったそうですが、何分くらいでしたか?」と
よく訊かれて、「えええ!?」と驚いていました。


『部分発作しかも意識あり』なので、
教科書的に考えれば、時計を見ること余裕がありそう、
ということなのかぁ、と感じました。


実際問題として、発作中は、時計どころか、
まず、まぶたのコントロールもできないので、
どのくらい発作が続いたのか、は、
発作中に聞こえた音などから、類推しています。


今日はちゃこさん(妻)が家にいたので、
時間は、40分、と分かりました。


夕食のあと、でした。


途中、2度、強い発作に発展(?)しそうな
場面があって、ひやっとしましたが、
顔のけいれんのみが断続的に起こるだけで済みました。


昼食のとき、ちゃこさんがデザートに、
プルーンを出してくれました。


それがとても美味しかったせいか、
僕の記憶は昼食以前に戻り、
「発作が終わったら、プルーンを食べよう」と
けいれんに耐えながら思いました。


途中、何度か途切れたので、
その間違いに気付き、
「プルーンはもう食べちゃったし、
 そもそも、それが発作に耐えることの“対価”として
 扱われてるっていうのは、どうなんだろう?」
と、発作中に考えました。


思考はぐちゃぐちゃです。
今日の文章も、ふわふわしています。


やる気とか、希望とか、喜びとか、
全ての根幹を砕かれているような気がします。


頭の中に浮かぶ断片的な映像は、
懐かしい人の顔ばかりです。


みんなどうしているんだろう、と
思うと、切なくなります。


それでも、ひたすら続いて、
からだは左側に傾いて
左半身の感覚が怪しくなって、
どういうわけか、眼鏡を体の下に敷いてしまい、
フレームを、ひんまげて、発作は終わりました。


最近は、3日に2回くらいのペースです。


過去の映像の中に、10年前のものがありました。


当時、もう、左手のしびれなど、異変を感じてはいたけれど、
それでも、それでも、
もし願いが叶うならば、1日だけでいいから、
その当時の1日に戻してほしい、と思いました。


考えても仕方のないことは考えないようにしているけれど
思考の根っこを揺すぶられると、自分の弱さが
一気に噴き出してきて、
こうして発作が終わった後に、
向き合うことになります。

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おしなべて

2009年09月21日 22時43分51秒 | わたしの部屋


「シルバーウィーク」という言葉を聞いて、
ちょっとびっくりしました。


いつの間に、そんなことになっていたんだろう・・・。


発症から3年以上が経ちました。
いろいろ試してみたけれど、
体調を維持するためには、
「規則正しい生活」
「適度のストレス」
「適度の運動」が、大切なんだなぁ、という、
なんだか、当たり前みたいなんだけど、
でも、とても大切な結論に達しています。


だから、毎日、だいたい同じ時間に起きて、
アルバイトがあるときは出かけて、
そうじゃないときは、少し外を歩いて、
自宅で仕事っぽい事(?)をします。


やり過ぎることも無いけれど、
何もしないで終わっちゃった、という
1日を作らないようにしています。


それは、気持ちの健康を保つ上で
重要なことだな、と感じています。


とりあえず、形だけでも何でもいいから、
今日1日に、しっかり意味を与えること、
こうしてブログを毎日書いているのも、
その一環です。


忙しい時期でも、マイペースに
好きな本を読む時間、
コンピュータでゲームをする時間、
ストレッチをしてからだを伸ばす時間、
昼寝をする時間、
ちゃこさん(妻)と話をする時間、を
確保するようにしています。


もともと、極端な性格なので、
物事をついつい「0か100か」で捉えてしまいがちです。


だから、
「まぁ、ほどほどでいいか」と思えるように意識しています。


休日だからといって、
気を緩め過ぎると発作を起こしてしまいます。


そんなわけ(?)で、
僕の毎日は、とにかく、おしなべて平均的に、淡々と
過ぎています。


まぁ、こんないい加減な生活を送っていられるのも
家族と、ちゃこさんのおかげなので、
感謝しなくちゃいけないよな、といつも思っています。


高速道路の渋滞情報を見ながら、
はぁ、なんだか、世界の回るスピードは速いなぁ、と
感じつつ、いつも通りの日々です。

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シール売り場に行く、の巻

2009年09月20日 23時41分21秒 | たまにはおでかけ


デパートのシール売り場に行く。
たくさんのシールが並んでいる。


僕は大学で哲学を専攻し、
教員免許を取得し、
学校で働き、この国の教育のために
自分を高め、働いていこうと思っていた。


それが、どういうわけで
シール売り場に来ることになったのか、
人生というのは、ほんとうに不思議だ。


「わー、これ、かわいいー!」
高校生くらいの女性の声がする。


僕も同じく、『わー、これかわいいー』と声を上げる。
もはや、完全に“変なおじさん”だ。


僕はもともと、「かわいいグッズ好き」なので、
三十路男性の平均値から比べれば、
「かわいいー」の概念への理解があるのでは、と自負している。


しかし、それではだけでは到底足りない。


小学生くらいの女の子が走ってくる。


「マカロン無いかなー」


ま、マカロン?


僕はてっきり、“マカロンちゃん”という
キャラクターがあるものと思い、
小学生の視線を必死に追った。


子どもの目線は低い。
商品もそれに合わせて陳列されているはずだ。


やがて、マカロン、は、キャラクターの名称ではなく、
全般的に、お菓子を扱ったシールが多いことに気づく。


売り場にしゃがみ込み、
女の子たちの動向、および「かわいいー」の
基準を探りながら、そしてかなり楽しみながら、
シールを選ぶ。


僕が何枚もシールを買おうとしているので、
ちゃこさん(妻)は、あっけに取られていた。


とりあえず、手にとって見る、くらいに思っていたようだ。


「はい、jiveくん、選んだシールはここに入れてね」と
カゴを持ってきてくれた。
なるほど、ここに入れて買うのか。


おこづかいをもらって、
わくわくしながらシールを選ぶ気持ちになる。


どれが、かわいいかな、
どこに貼ろうかな、友だちへの手紙に
貼るとかわいいよね、あ、お気に入りの手帳とかにも
貼っちゃおうかな。


とにかく楽しい気持ちになる。


1枚50円から、150円程度、
イラストのテーマや、シールの質感などごとに、
バリエーションを持たせ、シールを選ぶ。


家に帰り、さっそく袋を開ける。


なんだか、うきうきする。


と同時に、シールをスキャナーにかけ、
ナンバリングをし、一覧を印刷する。

シールの台紙の面積と、シールの数の比率、
価格との兼ね合いなどを分析する。


一見、バラバラに見えるけれど、
数値化していくと、共通点が見えてくる。


商品として販売しているのだから、
必ず、「基本」となるパターンがあるはずだ。


コンピュータに向かって、数字を打ちこんでいたら、
ちゃこさんが、
「それ、あとで、どこかに貼ってみたら、楽しいよ」と言った。


その通りだ、と思った。


やっぱり、楽しいところから始めなくちゃ、と思う。
シールを貼るって、楽しいことなんだ。


でも、その前に、まずは、分析、だ。


それが役に立つかどうかは別として、
何に対してでも楽しく夢中になれるのは、
得な性格だよなぁ、と思った。

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割れちゃった。

2009年09月19日 21時49分01秒 | わたしの部屋


ちゃこさん(妻)が珍しく早く仕事をから戻ってきたので、
夕食の相談でもしようかな、と思っていたら、
ベランダから音がした。


ガチャン!ぱらぱらぱら。


昨日の夕方のことだ。


ベランダに出てみると、
外で遊んでいる子どもたちが、
当惑した表情で、
自宅のベランダを見つめている。


『あ~、割れちゃったね~』ちゃこさんの声がした。


子どもたちが投げた石、
後で訊いたところによると、金属バッドで打った石のかけらが
和室の窓ガラスにあたり、ひびが入っていた。


子どもたちが親を呼びにいったり、
子どもたち同士で事態の収拾について話し合ったり
しているので、止むなく、外に出る事にした。


家を出る前に、すばやく、ちゃこさんと、
「jive家としてはどういう態度で応対するか」の
基本路線を策定した。


外に出ると、子どもたちが、たくさんいた。
いつも、遊んでいる声は聞こえるし、
見かけることもあるけれど、
僕は近所の「変なおじさん」なのだから、
声をかけることはない。


子どもたちの輪の中に入っていくとき、
胸が熱くなった。


喜ぶ場面ではないのかもしれないけれど、
子どもたちと接する機会がある、というだけで
僕は嬉しい気持ちになる。


なにより、子どもたちに石が当たらなくてよかった。
あと、僕らより、もっと怖い人の家に
飛び込まなくてよかった。


僕は、芯から、
子どもが好きなんだな、と思った。


あとで自宅に、
石を打ち込んでしまった小学生の男の子と、
そのお母様が、謝りにきた。


さんざん怒られたんだと思う。
彼は泣きじゃくっていた。


僕は、膝を落とし、
彼に視線を合わせて言った。


『今回は窓だったからよかったけど、
 友達に当たったりしたら危ないよね。
 だから、石を投げたりしちゃダメだよ。』


手を差し出したら、彼は、少し迷った後、
涙と鼻水でいっぱいになった小さな手を
差し出して、握手に応じてくれた。


握手をしながら、
『立派な大人になってね』と声をかけた。


お母様には、
『彼はもう、じゅうぶん反省しているように見えるので、
この件は、もうここでおしまい、ということにして、
家に持ち帰って、もう1回怒る、っていうのは、
無し、でお願いします』と頼んだ。


怒られるから、やらない、ではなくて、
石を投げるということは、
人や物を傷つけてしまう可能性のあることだから、
そのこと自体を、反省してくれたら、いいな、と
思った。


誰だって、失敗を繰り返して大人になる。


僕は、子どもが好きだ。
そこに未来を感じるからだ。


たくさん遊んで、勉強して、失敗して、
明日の世界を担う大人になってくれたらいいなぁ、と
思った。

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トラブルがトラブルで…。

2009年09月18日 22時09分46秒 | わたしの部屋


トラブル続きの1日だった。


発作が起きたとか、体調が悪くなったとか、
からだに関するトラブルでは無くて、
「自分以外」のことに関するトラブルだった。


毎日、自分のからだに異変が起きているので、
なんだか、そういう外の世界で起きていることに
ついては、映画を観ているような気持ちになる。


面白い、と言っては不謹慎かもしれないけれど、
何が起こっても、楽しく感じる自分がいる。


***


コンビニエンスストアで写真を印刷しようとしたら、
複合コピー機が止まってしまった。


画面には『従業員をお呼びください』の文字が
表示された。


アルバイトの店員さんでは対処しきれなかった。
コンビニエンスストアは、コピー機だけにとどまらず、
「なんでも」できるようになってきているから、
働く人はたいへんだと思う。


続いて店長さんが来てくれた。


一生懸命、コピー機のカバーを開けたり、
用紙を入れ直したりしてくださった。


でも、画面に表示されている従業員向けの
メッセージから察するに、
おそらく、コピー機の紙詰まりではなくて、
接続されているコンピュータの異常だ、と思われた。


コピー機の電源を切り、
その後、コンピュータの電源を入れなおさなくては、
トラブルは解決しない様子だった。 


僕は、若い頃、
印刷機を扱うアルバイトをしていたことがあって、
機械の調子が悪くなると、呼び出されていた。


でも、だからと言って、
ただの客に過ぎない僕が、
何かを言うわけにもいかないし、
あーでも、そのやり方じゃ、
ずっと上手くいかないよ、たぶん…。


僕が壊したわけではないけれど、
なんとなく、責任を感じて、ほんとは、
一緒に、直したかった。


変に責任を感じたり、
知識をひけらかしたり、
でしゃばったりするのは、ほんとうに、
僕の悪い癖だ。


写真の印刷は、急ぎではなかったので、
店長さんにお礼を言って店を出ることにした。


帰り際に、
「わたしが言うのも失礼なのですが、
 コピー機の電源はこのカバーの下です。
 切ったあと、コンピュータの方も切らないと
 直らないと思います。
 画面に、そう表示されています」
と、店長さんに話した。


店長さんは振り向きさえしなかった。


あー、また余計なことをしたなぁ、と思った。
でも、途中まで印刷されたものを見る限り、
状況は紙詰まりじゃなくて、
明らかにデータを送信する側のトラブルだし、
画面には、「コンピュータの電源を切ってください」と
表示されているのに、いくら、紙を点検したって…。うーん。


店を出て、窓の外から様子を見る。
僕が不必要なことを言ったせいか
どうか分からないけれど、
店長さんは、とにかくコピー機本体を開けたり閉めたりしていた。


はぁ、なんだか、申し訳ない気持ちになった。


店は、家路に着く人たちの夜のお買いもので
混雑していたから、早く、機械の調子が戻るといいなぁ、と
願っている。


何かを必要以上に掻き回して
混乱させたり、誰かの矜持を傷つけたり、
そういうのは、もう、止めようと思った。

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希望の物語

2009年09月17日 23時39分40秒 | 本音とか愚痴とか


何冊もあるわけではないけれど、
今、自宅にある小説を全て読んでしまった。


数ページ読んで、休んで、また読んで、を
繰り返していると、自分が、
“大人しく”なっているのを感じる。


グリオーマという病気について、
僕は、ひとりの患者に過ぎないので、
詳しいことは、当然、知らない。


英語で書かれた医学論文なんて、
読めないし、読む意味も分からない。


ただ、ひとつ分かるのは、
現時点で、僕は、事故にでも遭わない限り、
だいたい、告知された通りに
病気の進行を迎えることになる、ということだ。


僕は、ハッピーエンドの物語が好きだ。


そして、できれば、最後のページで、
「この先、登場人物たちは、どうやって
 暮らしていくのかな」と
楽しく想像できるような話が好きだ。


グリオーマについて、知ろうとすればするほど、
そこにあるのは、想像力の破壊だ。


症例が多い分だけ、類型化され、予測がつく。
でも、知ったところで、現時点では、避けられない。


医学の進歩に期待を持つとかそういうこと以前に、
僕は、今、逃げ込める場所が必要だ、と思う。


だから、活字を追うのも、小説の人物に共感するのも
苦しいけれど、熱心に物語を読む。


自分以外の物語を僕は、必要としていると思う。


“希望の物語”が読みたい。

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仕事タイマー

2009年09月15日 21時50分45秒 | てんかん・けいれん発作の記録・考察

 


僕のからだには、
「仕事タイマー」が仕込まれている。


病を得る前から、その機能は搭載されていた。


9/13 (日)外出
9/14 (月)午後から夜にかけて集中的に自宅作業
9/15 (火)午後から外出


「タイマー」は、14日の深夜に発動した。


『あばあばあばあばあばあばあばば』
布団に入って眠ろうとしたら、頭の中で声がした。


続いて、『アオーン』と音がした。
文字で表現する事のできない、不思議な音だった。


危険を感じた次の瞬間には、
けいれん発作に捕えられていた。
途中で、お腹が痛くなったけれど、
発作後、そのまま眠った。


15日、早朝4時、腹痛で目が覚めた。
朝からトイレにこもって、
吐き気と食欲不振でふらふらになった。


でも、次の予定は、15日の午後だ。


その時間までには回復できる。


何度も顔を洗ったり、
家の中をぐるぐる歩いたり、
ストレッチをしたりして、
からだの調子を整える。


用事を済ませ、帰宅してから、
一気に眠った。


夜になって目を覚まし、
こうしてブログを書いているけれど、
かなり、からだが重い。


明日出かけるなんて無理だよ、と
思うけれど、明日は朝から用事があるので、
朝になったら、
ちゃんと(?)体調がある程度戻っていると思う。


けいれん発作や体調不良は避けられないので、
社会生活に支障がないように、
体調不良を自宅にいる時間に“割り振って”くれる。


「仕事タイマー」は、なかなか優秀だ。
・・・けどなぁ。

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