横浜スローライフ -- My slow life in Yokohama

位置情報、地理情報に関するサービス、その他日常生活から思ったことを気ままに記す不定期のんびり日記

ジオロケーションカンファレンスに(リモートで)参加

2011年03月06日 23時42分28秒 | 地理情報関連
 ジオロケーションカンファレンスに(リモートで)参加した。
 当初、六本木に出かける予定であったのだが、仕事の宿題を抱えている中、往復4時間弱の移動時間がどうにも取れないこと、花粉症がかなりひどく、とても外出する気持ちになれないこともあり、断念。その代わり、Ustの中継を見ることにした。幸い、映像も音声もパーフェクトに近く、PCで仕事をしながら遠隔参加が実現した。おまけに、家族とゆっくりと夕食を取ることもでき、Ustってありがたいな、と実感した。

 今回のカンファレンスでは、「ジオロケーションの巨人」と銘打っていることが、個人的にはちょっと違和感がありなのだが、これから国内で巨人を目指すヤフーと、2005年以来、世界を制覇してきたGoogle、さらに、これからさらに存在感を増すであろうOpenStreetMapという、それぞれ同じ次元からの比較はし難い「3巨人」を集めた、ということだろう。

 ヤフーに関しては、私の以前の投稿でも書いたが、YOLPは随所に工夫がされていることが今日の説明でもわかったのだが、”世界で初めて”という、とんがったものはない。むしろ日本の企業らしく、気の利いた工夫、使い勝手の良さに価値を見出しているようだ。その反面、ちょっと物足りなく感じたのは、YOLPを運営することの”野心”がどうも伝わってこないところだ。もともと、この会社は中短期の事業性を優先する傾向が見られるので、Googleに時々ある冒険に見えるような試みはしないのかも。OSMへの地図資産の提供も、昨秋からワッチしていたらそれを指向していることは読めていたので、もっと早く発表すれば良かったのにと思った。

 Googleは、Fusion Tableの説明が主体。かなり練られている。そしてSpatial Queryをサポート(しかもOGCのSF4SQL!)しているのは”ジおじさん”としては感心した。プラットフォーマーとして一日の長がある。ただ、地図コンテンツという点では、OSMの歩みに比べるとGoogleのMapMakerは中途半端で、ジレンマに陥っている感じだ。

 そしてOSM。Steve Coastのプレゼンは毎年のように聴いているので、私には新味はさほどなかったが、メモを用意して日本語でいろいろ挨拶をしたのは、「英語でしゃべって当然」的に来日するG社の人々と比べると、やっぱり好印象だ。彼が2004年に始めたというOSMも、今や誰もが否定できないほどの存在感を発揮していて、ここ日本でもかなり勢いが出てきている。これが一年早ければ「巨人」仲間に入れてもらえなかったはずで、実によいタイミングでの来日だと思う。

 ここで、open.mapquest.jpというサイトの発表がされたが、私の地元のOSMは、その9割以上は私が足で稼いで入力したものであり、そのデータを元に検索結果が表示されるのは結構嬉しいというか不思議な感覚である。ただ、これって、事業的に簡単には定着しそうにないし、趣味的にもまだまだオタク心をいまいちくすぐってくれない。

 その理由のひとつには、日本のOSM(マップ)の整備がなかなか進まないことにあると思う。日本には無償で閲覧できる圧倒的に高品質な地図データがあるし、関連サービスも充実している。そういう中にあって、「車輪の再発明」のように、GPSを持って実際に走ってログを取り、地図を入力するというのは、私のような物好きには結構楽しめるが、社会的な広がりはあまり期待できない。実際、2008年から開始した私の地元のマッピング、結局3年後の今も私1人でエリアを広げているだけで、なかなかご近所さんとのドッキングの機会が訪れない。

 それもあって、「日本のOSMって何なの?」という悩みを私はずっと感じている。

 2008年2009年の秋にOSM日本のメーリングリストで、「全部をGPSでやるのではなく、(測量成果などを)トレースして作ったらどうか」という提案をした人がいた。その人の投稿に対して、当時OSMの活動を積極的に行っていた複数の人から「自分たちの力だけで地図作りをするのがOSMのやり方だ」という拒否反応的な意見があり、それ以降は道路のトレースという話しはほとんど出てこなくなってしまった(あれから2年少々が経ち、昨年末のBingの写真提供の際には、さすがにトレースに拒否反応を示す意見は無かったが)。確かに、独力で地図を作るのは(一部の人には)とても面白いし、結構やみつきになる。だけれども、それだけでは何年経っても全国を網羅する「使い物になるストリートマップ」は完成しない。Bingの提供で、横浜もようやく地図が増え始めているものの、このトレースだって、車輪の再発明の効率を高めているに過ぎない。国土地理院の測量成果の使用承認を受けたとしても、これもなぜ、わざわざトレースしないとダメなのか、データそのものをインポートできないのか、というジレンマからは解放されないだろう。なので、ヤフーがどのような形で地図資産をOSM日本に提供するのかは大変興味深い。

 まぁ、こんなことを悩んでいるのは私くらいかもしれないし、5月になって、花粉の飛ばない季節になったら、また自転車で走り回ってログ取りに出かけてしまうだろう。

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2 Comments

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Unknown (ikiya)
2011-03-07 18:22:43
2008年秋のMLスレッドは見つかりませんでした。2009年秋ではないでしょうか?
またtalk-jaでのいろいろとご提案あればありがたいです。
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2009年11月でした (moritoru)
2011-03-08 10:47:05
ご指摘、ありがとうございます。2009年11月でした。ブログ本文を修正します。
FOSS4GTokyoの懇親会での中村さんの発言が印象に残っていたのですが、1年間違えてしまいました。
そのスレッドをすべて読み返してみたのですが、皆が反対というのでもないですね。推進する人はトーンが低く、反対されている方の印象が私に強く残っていたようです。
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