横浜スローライフ -- My slow life in Yokohama

位置情報、地理情報に関するサービス、その他日常生活から思ったことを気ままに記す不定期のんびり日記

wifi版iPadの位置情報から見る、Core Locationのすごさ

2010年07月10日 11時52分48秒 | 地理情報関連
 私の持っているiPadはwifiモデルである。これにはGPSは装着されていないが、現在位置をかなり正確に出してくれる。AppleはCoreLocationという、位置情報を取り扱うインフラを提供していて、GPSによる現在位置情報だけでなく、wifi基地局の位置情報をもとに自己位置を算出する。どのくらいの誤差があるのかについては、私の自宅では40mくらい、会社付近では50mくらい、先日訪問した鹿児島でも同じ位で、おおむね数十メートル以内に収まっているので、GPS(正確にはNetwork assisted GPS)と大きな差がない。

 では、ここで問題。Appleは、日本中のwifi基地局情報をどうやって取得しているのだろうか?

 先日、iPhoneOSのアップデート時に「iPhoneソフトウェア使用許諾」に同意する必要があったのだが、その中に、「位置データ」という項目が書かれていた。以下、その使用許諾から転載をすると・・・

b) 位置データ
Appleならびにそのパートナーおよびライセンシーはお客様のiPhoneを通じて得た位置情報にしたがって、お客様にサービスを提供いたします。これらのサービスを提供し、改善するにあたり、利用可能な場合、Appleならびにそのパートナーおよびライセンシーは、お客様のiPhoneのリアルタイムの地理的位置を含むお客様の位置情報および場所検索を送信し、収集し、保持し、処理し、使用することができます。Appleが収集する位置データおよび場所検索は、お客様を個人的に特定しない形で収集され、位置情報に基づく製品およびサービスを提供し、改善するためAppleならびにそのパートナーおよびライセンシーが使用することができます。


 この、太字部分を読めばわかるように、Appleは、iPhoneOSの利用者を通じて、近傍のwifi基地局位置情報を収集している。これはきわめて効率の良いやり方で、Appleはお金をかけずに、世界中に散らばるiPhoneユーザーの行動エリアにほぼ等しいエリアのwifi基地局位置情報を自動的に集めているわけだ。

 先日、Googleがストリートビューの撮影と同時にwifi基地局位置情報を集めていて、そこに本来は取得すべきでない情報まで集めていたことが問題になった。私は、Googleは単にストリートビュー制作という「写真撮影キャラバン」を活用して、wifi基地局位置情報までも集めているスマートさに感心したのだが、Appleの方が、さらに一枚も二枚も上手なのだ。なんと言っても、ストリートビュー制作のようなお金がかかっていないし、世界中相手に網羅的であり、さらに日々更新されるからだ。

 そうして考えてみると、日本でも全道路を走行して撮影するプロジェクトが、地図会社や測量会社系で複数あったのだが、それはいずれもカーナビなどの「単目的」「単発的」であって、事業の広がり的にもコスト的にも、Googleやさらにその上を行くAppleには太刀打ちできない。

 さらにそのApple、彼らのビジネスモデルには知恵がある。ハードウェアデバイスと卓越したユーザー体験が、元来彼らの得意分野であったが、今やサービス(アプリや楽曲の販売の仕組み)も統合して「お金が入り続ける仕組み」を確立している。さらにすごいなと思うのは、最もお金がかかり、許認可などの政治的リスクのかかるネットワークオペレータ(携帯電話会社)の部分は、自ら投資をしないことだ。日本においては、ソフトバンクが自らの契約者数を増やしたいがために、まるでAppleへの「思いやり」代理店みたいに必死で販売促進を行っている。Appleは、ここでも自らほとんど汗水垂らさずして、おいしいところだけを手中に収めているようだ(う~ん、なんか日本とアメリカとの根本的関係に似ている気もする orz)。


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