横浜スローライフ -- My slow life in Yokohama

位置情報、地理情報に関するサービス、その他日常生活から思ったことを気ままに記す不定期のんびり日記

未来の地図 ローカルサーチを語る会は懐かしい話で盛り上がった..

2007年03月24日 13時38分05秒 | 地理情報関連

 昨夜、日本のローカルサーチの草分けの人の一人である、高橋克巳さん主催のイベントに出席した。「未来のローカルサーチ」を語るというタイトルなのだが、参加者は高橋さん周辺で古くから位置情報サービスの実験的試みに関わっていたメンバー(高橋さんが在籍している会社の研究部門の人が多い)が多かったこともあり、いきなり90年代前半を皮切りに、なつかし話で盛り上がってしまった。あの、モバイルインフォサーチ実験がどの様にして出来上がったのか、インターネットタウンページの創始期の話などを、懐かしいNetscape Communicatorのユーザーインターフェイスや95年当時のインターネットマガジンと共にしばしタイムスリップ。あの、バブルへGo!という映画的に考えると、「インターネット創始期にGo!」というノリである。
 現在、GoogleMapsが提供しているローカルサーチ機能は、90年代後半のモバイルインフォサーチ実験+プロアトラス(マップサーバスクリプト使用)でほぼ完全に実現していたし、クローリングのプログラムも動いていた。インターネットタウンページに関しても、日本のGoogleMapsもタウンページデータベースを購入して使っているので、その点ではあんまり違わない。

 90年代の意欲的な研究や実験は、その後苦難を余儀なくされる。基礎的な研究では予算が確保できなくなるという風潮に加え、まさにモバイルでの実展開を図る、当時圧倒的な成長を遂げたその関連会社では、位置情報そのものをビジネスに結びつける困難さを過大評価して、経営陣がGPS携帯電話の導入の否定を明言する誤りを起こした。せっかく先進的な技術やノウハウを持った人材を社内に抱えながら、気の毒にも数年間我慢を余儀なくされてしまう(その間隙を突いて競合会社がGPS携帯電話で何歩も先を行ったことはご存じの通り)。そこもようやく昨年末から対応を開始したが、その陰には高橋さんと共に90年代から地道に研究を続けてきた人達が大勢いることを改めて知ることができた。
 高橋さんご自身も、2005年に、それまでの集大成的なサービスiタウンページをリリースされ、新たな段階に入っている。

 参加して改めて感じたことは、日本の中にも先進的な研究や実験をしてきた人材は何人もいて、高いモチベーションでそれを発展させ続けていることだ。ただ残念なことに所属する会社がおかれた環境や、その時の経営方針によって、社会に還元されないリスクが結構多い。結果として、その会社を離れて大手情報提供業に身を投じた人もいるが、米国のようなベンチャー企業として世に打って出る例はほとんど聞かない。

 私は、大学生のアルバイトが縁で、この「業界」を愛するようになり、以来ずっと関わっている。マーケティングとプロモーションが専門なので、せっかくのローカルサーチの研究が社会に幅広く還元されないのにはいつももどかしく感じてしまう。さらに、良い研究も日本国内だけに留まって、後から来たGoogleのようなサービスに席巻されてしまうのはなんとも残念である。もちろん私はGoogle社のサービスの恩恵を大いに受けているのだが、ローカルサーチの創始期に少しばかり関わっただけに、それが今はサービスとしてメジャーになっていないことは残念である。

 よく考えると、出席者のなかで私は多分最年長(?)のようだ。ローカルサーチの主メンバーも30代の後半から40代になってきている。もっと若い年代は「既にある」サービスのマッシュアップに関心が行っているのかもしれないが、そのサービス自体を作り出すという、もっと深いレベルからのアプローチに、もっと価値を認めて、それを思う存分にやれる環境を企業が用意することが必要だと思う。その点、高橋さんが勤務している会社は(少なくとも90年代は)かなり恵まれている。一方、私の会社にそのゆとりがあればといつも思うのだが、日本の事業環境は小企業が日常的に食い扶持を稼ぐ方法が限られていて、どうにもそれは難しい。

 ちょうど年度末も大詰め。1月以降、月月火水木金金で、とにかく滅茶苦茶忙しい毎日で、日々のオペレーションに忙殺されてしまっている。その中で高橋克巳さんのイベントに参加できたことで、本当に久しぶりに中長期のスパンでいろいろ過去を振り返り、明日を考えることができた。高橋さん、大変ありがとうございました。そして、博士号取得、おめでとうございます!


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