仙人をめざして

2011年1月新装 
 第1部「パン屋の気持ち」及び 第2部「疾風伝」は 2010年12月26日で閉幕

年の瀬にもう一度

2013年12月28日 | Weblog

  年の瀬がさし迫って、溜息つきながら思う。この一年氾濫した「スピード感・ねじれ解消・決める政治・成長戦略・グローバル化・世界で打ち勝つ」という言葉を 多くのメデイアが使い、我々等に「賢く 効率よく 手っ取り早く テキパキ進められる者こそが、世の中で重んじられて当然で それなりの報酬を手に入れられる」とし 「並みの頭で ちょっとルーズで 時として怠け者で 能率よりも伝統や手作り感を大事にしてきた者」を まるで時代遅れの落ちこぼれだと 言わんばかりだった。時代遅れの しかも おっとり型の者には少々苦労してもらいましょう、世界中の何処ででもどんな劣悪な仕事でもやり切りますよっていう者にだけ 報酬を払えばいいのです、と言っているようなものである。 百歩譲って そんな考えが正当化されるところはと言われれば それは企業だけだろう、利潤の追求を目的とする企業なら止むを得まい、なのに 今や 一般の我々の社会にも それに教育現場や町村の首長選任にも こんな理屈を持ち込もうとしている。

 何度も書いてきたが、そんな理屈 一見正しく見えるが、それは違う、政治や行政のやるべきことは 全くの逆であるはずなのだ。大多数の 普通の人達、私を含めた ちょっと のろくて、怠け者で飽きっぽくって、英語も不得手で そう頻繁に引越ししたくなくって・・・・そんな者にこそ、手を差し伸べ 肩を抱き寄せるのが 政治や行政の本来の仕事である。 

 もう一点、「アベノミクス、アベノミクス効果…」というもの。 これなどは典型的な「メデイアの大失態」だと思う。 いかにも 安倍政権の経済政策が正当で 我ら庶民を豊かにするのだ、という錯覚をさせた、しかも定着してしまったようでもある。 豊かな生活を期待できる経済政策、これを アベノミクスという、というくらいの大変な誤解、」間違ったイメージを浸透させたのは 本来庶民の側に立つべきマスメデイアだ。  連日、テレビでは 何かと言えば「アベノミクス…云々」と口走る、つい職場でも使い始める…、残念ながら 間違っているように思える。     物価が上がれば 企業は収益も上がり やがては給料も上がる、という理屈、これも違う。   会社勤めの者ならよく知っているはずだ。 企業が賃金を上げます、っていう時は 収益とは必ずしも連動しない。先ず、内部留保に動く、次に中期計画や見通しを精査する、これならいけるとなっても当面は一時金で出し惜しみする、賃金に反映させようとするのは、事業計画に必要な働く人たちが不足し、かつなんとしてでも採用したいという時になってからである。 それでも 非正規、派遣労働者でやりくりを先ずやるのだから、国内企業の90%を占める中小の大半の会社で 給料が上がるというのは 随分先の話である。 なのに、アベノミクスさえ、物価上昇さえ 整えば、国民は豊かになる、見たいに言い放っている。そう信じ込まされてしまったようでもある、マスコミも その悪巧みの一端を担いで久しい。

 なんとも、残念な 安倍政権になってからの一年だった。 ただ、それにとって代わる者がいないのも事実である。  だからといって、不幸な国に住んでしまったんだと 諦めるわけにもいくまい。 先ずは 心の奥底に 本来のあるべき姿を しっかり 打ち込んでおくことから始めたい。