ロンドンやパリは、夏は、夜9時、10時ぐらいまで明
るいのです。明るいので、だまされて、ふと時計を見ると、
え?もう10時なの?という感じです。
逆に、冬の夕方は、早くに暗くなります。
朝も、明るくなるのが遅い。
それは、ロンドンやパリが、北緯50度という緯度の高
い地域にあるからです。
地球の地軸が傾いているから、どうしても、そうなるの
ですね。
ニューヨークは、ロンドン、パリほどではありませんが、
夏は夜9時ぐらいまで明るい感じです。
ニューヨークの緯度は北緯42度ぐらいです。
ロンドンやパリの北緯50度というのは、日本でいえば、
北海道よりはるか北、サハリンの中ほどのあたりです。
ニューヨークの北緯42度ぐらいというのは、ようやく、
青森あたりです。
東京は北緯36度ぐらいですから、欧米とくに欧州の主
要都市に比べると、かなり緯度が低い。
欧州が高緯度の亜寒帯とすれば、東京は中緯度の温帯と
いえます。
ロンドンやパリ、ニューヨークにいると、夏よりむしろ、
冬の寒さ、冬の日の短さがこたえます。
そのぶん、夏は大切なシーズンです。
ロンドンやパリ、ニューヨークの市民が、いつも朝6時
に起きるとしましょう。
冬だと、6時なんて、つらい。もっと遅くに起きたい。
しかし、逆に夏だと、6時はもうかなり明るい。そのへ
んが高緯度の特徴です。
6時に起きたらもう明るい。それはもったいない。もっ
と早く起きたい。といって、ひとり、5時に起きても、こ
れはさすがに街はまだ活動を開始していない。
であれば、時間を1時間前倒しにして、冬の間の朝5時
を、6時ということにしましょう。そうすれば、朝6時に
起きても、実際は、5時に起きたことになります。
1時間早めるわけです。
それがサマータイムでs。
そうすると、夜も、冬の夜9時が、サマータイムだと1
時間早くなって、夜10時というころになります。
時計を見て、「おっ、もう夜の10時だ」と思っても、
実際は夜の9時ということです。だから、夜の10時でも、
実際は夜9時の明るさです。「明るさ」というと変ですが、
高緯度地方では、夜9時は「暗さ」というより「明るさ」
という感じです。
これがサマータイムです。
では、サマータイムの設定で生活はどうなるでしょうか。
ニューヨークを例に取ると、アメリカ人は、午後5時な
り6時に仕事が終わると、ともかく家に帰ります。日本人
は会社の同僚と連れだってどこかに飲みに行きますが、ア
メリカ人は、そういうことはしません。
5時に会社が終わると、6時には家に着きます。
そうすると、例えば彼らは、家の近くのゴルフ場に、奥
さんとゴルフに行ったりするのです。
アメリカのゴルフは、9ホール終わったところで食事を
したりしません。いわゆるスルーで18ホール、そのまま
回ります。すると、午後6時にラウンドを開始したとして、
まだ日の明るい午後10時には終わるのです。
こうやって、夏の長さを楽しみます。
では、日本は?
東京は北緯36度ぐらいの中緯度ですから、夏と冬で、
極端に差があるというわけではありません。
もちろん、冬のほうが日の出が遅く、日の入りが早くな
ります。でも、そうむちゃくちゃ大きな差があるわけでは
ありません。
そんなところでサマータイムをやっても、意味がないの
です。
たとえば、もっと南のほう、沖縄とか、インドネシアを
考えてみてください。あるいは、ハワイでもいいです。
ハワイがいいですね。
緯度は北緯22度とか23度とか、そんなものです。
ハワイは常夏です。
日本人は大勢ハワイに行っているので、ちょっと思い出
してほしいのですが、あの一年中、夏だけどからっとして
快適な気候のハワイで、サマータイムなんて、必要ないで
しょう。
もっと南、赤道に行くと、ほんと、サマータイムなんて、
何の冗談かと思われることでしょう。
こうやってみるとよく分かるように、サマータイムとい
うのは、緯度の高い地域で初めて意味のある制度です。
日本で導入しても何の意味もありません。
以上が、サマータイムを日本で導入することに反対する
理由の第一です。
もうひとつ、理由があります。
それは次回に。
理由はややこしいからです。
あなたはロンドンの例を挙げておられますが、私はそれより北のスコットランドにいました。
どういうことが起きたか?大学の教室の掛け時計をすべてサマータイムに合わせて変更しないといけないのに、それが行われていないから、時間の勘違いが起きるのです。
>時間を1時間前倒しにして、冬の間の朝5時を、6時ということにしましょう。そうすれば、朝6時に起きても、実際は、5時に起きたことになります。
>1時間早めるわけです。
>それがサマータイム
それならば、サマータイムは必要ありません。夏は職場も学校も1時間早く始まる、とすればいいだけです。時間そのものをいじくる必要はありません。