「自閉っ子」こんな風に生きてます

元気溌剌!「自閉症おねえさん」の生活記録

昨日の美佳

2010-03-31 10:42:04 | 日記

 朝起きてきた美佳が居間に来たので、「おはよう」と言ったら、「おはようございます」と挨拶は返ってきた。しかし、目はあらぬ方を見ている。
 で、目を覗き込んで「こっちを見て!」と強要したら、美佳「お父さん、どいて!ちょっとトイレに行くから・・・」。そう、トイレに行きたかったの?大変失礼しました。

 見送りに出た父に、美佳「今日、雨降る?->父「大丈夫だと思うけど、小さい傘を持って行ったら・・・」に納得して傘を鞄に入れた。そして、美佳「今日はバスで・・・」と言いかけて、「自転車で行きます」と訂正。父「雨が降ってきたら、自転車は作業所に置いて来るんだよ」に、「はい」と元気よく答えてお出かけ。

 返ってくるなり台所に来て、美佳「今日のおかずは何ですか?」。母が「今日はすき焼きよ。いいお肉があったから」と答えると、美佳「どこで買いましたか?」「どこ産ですか?」と厳しくチェック。
 ダイエットのため、肉より魚が多い美佳。大好きなすき焼きとあって、夕食の席にもいつもより早く現れた。こういうところは、シッカリしているんだから・・・。


お花見

2010-03-29 18:31:37 | 日記

 開花宣言は出たけれど、厳しい花冷えが続く東京地方。例年だと近くの公園で行われる作業所のお花見が、今年は上野・浅草方面へ行くことになった。

 帰宅してからの美佳との会話。父「さくらはどうだった?」->美佳「上野は咲いてたけど、浅草は咲いてなかった」。父「浅草はまた一人で見に行くからいいよね」に、あっさり「はい」。
 父「お昼は何を食べたの?」->美佳「xxでバイキング」。父「浅草へは何で行ったの?」->美佳「xxから水上バスに乗った」->母「水上バスって幾らだった?」->美佳「(指導員の)梶川さんが払った」。小遣いはシッカリせしめて行ったのに、「そうだ、みんなタダだったんだ」と父と母は苦笑い。
 家族へのお土産は浅草まんじゅうとドラえもんの人形焼。ドラちゃんファンの美佳だから人形焼はわかるけど、どうして浅草まんじゅうまで買ってくるの?買ってくるだけで自分では決して食べないくせに・・・。
 ブツブツ言いながら食べてしまう父と母も悪いのだが。次は小遣いを減らしてみるか?


半纏

2010-03-27 20:39:26 | 日記

 春らしい暖かさから一転して冷たい雨に変わった日。夕食の場に現れた美佳はパジャマ姿。風邪をひいたら・・・、と気を遣った母が「それでは寒いんじゃないの?上に何か羽織ったら。お母さんの“あれ”貸してあげようか?」と美佳に訊ねた。
 ところで、“あれ”って具体的に何を指すのか?母も歳のせいで、咄嗟に固有名詞がでてこない。「”あれ”・・・」と言いながら、焦れた母が隣の部屋に取りに行こうとしたら、美佳が「上の半纏」と言い捨てて自分の部屋に戻り、真綿入りの半纏を羽織ってきた。

 ”上の”というのは”上に着る”という意味合いだが、何よりも母が言う”あれ”という曖昧な言葉が、何を指すのか理解できたことが嬉しい。自閉症児は抽象的な言葉・概念の理解が難しいという。美佳も最近になってやっと、こういう曖昧な言葉での会話が成立する場面が増えてきた。
 それはいいのだが、食卓に戻った美佳は半纏を脱ぎ椅子の背にかけて食べ始めた。”ご要望通り半纏は着てきた。だけど要らない”というデモンストレーション?


人魚大海戦

2010-03-25 14:03:14 | 日記

 日曜日、「近くの公民館まつりに行く」と言って出かけた美佳のバッグに、新しい「ドラえもんグッズ」が入っていた。「そうか、今日は”人魚大海戦”を観に行ったのか」と父はニヤリ。前売り券を買って、カレンダーにも予定が書き込んであったものネ。
 従来だと直接映画館へ行ったのに、何故前売り券を・・・?と不思議に思ったが理由は簡単。テレビで映画の上映予告を見たあと、たまたま作業所近くのコンビニへ行ったら、前売り券を売っていたという。
 数日前には、夕刊をジッと見ているので何を見ているのかな?と思って後で調べたら、広告欄に上映館ごとの開始時間がでていた。きっと、これを見て公民館まつりと映画へ行くスケジュールを考えていたのでしょうね。

 帰宅しての会話。父「のび太は誰を助けに行ったの?」->美佳「人魚姫」。父「人魚姫は何で困っていたの?」->美佳「サメに苛められた」->父「美佳はサメを見てどう思った?」->美佳「大きい。怖い」->父「のび太はどうしたの?」->美佳「ドラえもんに“何か出して”って」->父「何を出してくれたの?」->美佳「xx釣堀セット」->父「それで、どうしたの?」->美佳「人魚姫を釣った」。まあ、何となくストーリーは想像できるのだが。


さくら

2010-03-23 11:23:09 | 日記

 「もう少しで桜が咲くねえ」という話をしていたら、美佳「お父さん、お花見はどこ?」。一瞬意味がわからず「えっ!」と言ったら、美佳「お花見はどこへ行きますか?」と訂正。
 父「そうねえ、いつものK大学とゴルフ場で見るくらいかな?美佳はどこへ行くの?」と訊くと、美佳「浅草と上野。それから、(作業所近くの)○○公園」。父「他にもSD会とかで行くんだろう?」と水を向けると、美佳「(隣町の)K公園。○○植物公園」とすらすら。最近は地元のメインストリートの桜も育ってきたし、美佳には楽しみ満載の桜シーズンが待ち遠しい?

 お彼岸恒例のお墓参りは、祖母の体調が悪いため中止。暇を持て余した美佳「お父さん、桜はどこが咲いていますか?」と訊くので、「○○植物公園なら咲いているかも」と教えた。
 夕食時の美佳との会話。父「今日はどこへ行ったの?」->美佳「○○植物公園」->父「どうやって行ったの?」->美佳「バス。吉田(バス停)から
36番に乗った->父「ふ~ん。で、桜はどうだった?」->美佳「少し咲いてた」。これから2週間あまり、楽し~い”お花見”は続く。ホントに君は日本に生まれてよかったねえ!


言葉の進化②

2010-03-21 14:16:03 | 日記

 雪が降った夜、二階のベランダでゴソゴソやっていると思ったら、降りてきてお湯で手を温めながら、美佳「雪ウサギ12個も作った」と満足げ。12個もという気持がこもった言い方が出てきたのが嬉しい。

 テレビで”難病プロゴルファー復活への道”を放映していた。ゴルフ好きの父は熱心に見入っていたが、美佳には興味がない。コマーシャルタイムになり、父がお茶を取りに立ち上がった途端、美佳「面白くない」と言ってチャンネルチェンジ。
 父の意向を聞いてくれればベストだが、理由を言ってくれたことは大きな進歩。今までだと黙って変えてしまったので・・・。

 夕食のあと、父「後片付けはどうする?」と訊くと、美佳「する。やる。洗う」。こういうさまざまな表現が出てくるようになったのは、美佳の内的言語の世界が拡がっている証拠?


言葉の進化①

2010-03-19 14:17:42 | 日記

 朝食を摂りながら、美佳「昨日、可愛い赤ちゃんに会ったヨ」と母に話しかけた。従来の「会いました」という報告口調から、少しずつ普通の会話に近づいてきた。
 更にその後、出かける準備をしながら美佳「今日、食パン買ってくるわ、私」と母に話しかけた。今までの「美佳さん、食パン買ってきます」に比べると、万歳したくなるほどの表現の大ジャンプ。どうして急にこんな表現が出てきたのだろう?と訝る父を尻目に美佳はお出かけ。
 帰ってきた美佳を相手に試してみたが、父との受答えは従来のパターンのまま。美佳の内面世界ではどんな変化が起きているのだろうか?現象的には行きつ戻りつだが・・・。

 インスタント味噌汁がなくなったので、母が美佳に買ってくるよう頼んだ。母はいつもの”あさげ”の積りでお金を渡したのだが、美佳が買ってきたのは“あさり・わかめ・しじみetc”さまざまな種類のものが入ったお特用袋を含めて40食分。
 一種類では飽きてしまうから?「お特用袋ねえ」と”あさげ”ファンの父はガックリ。


♪幸っちゃんはネ・・

2010-03-17 10:08:27 | 日記

 美佳は「私が・・・」「美佳が・・・」と言うところを「美佳さんが・・・」ということが多い。これはオウム返しの名残り?気がつくたびに訂正しているのだが、一人称と二・三人称、謙譲語と尊敬語、身内と他人、のコンセプトが確立していない美佳にどう教えたらいいのか?頭を悩ませてきた。

 で、思いついたのが”幸っちゃん”の歌。「♪幸っちゃんはネ・・」と歌って、父「この歌知ってる?」と訊くと「知ってる」という。父「・・・だけど小っちゃいから 自分のこと幸っちゃんて呼ぶ(?)んだネ おかしいな幸っちゃん」と節をつけて歌いながら、「どうしておかしいの?」と訊いてみた。が、美佳は「・・・・」。
 そこで、幸っちゃんを美佳さんに変えてやってみた。しかし、結果は変わらず。”馬鹿にするな!”と言わんばかりの露骨に嫌そうな顔になって、あとは何を訊いてもノーコメント。
 間違えても注意すれば言い直すのだから、美佳も頭の中では解っている?子ども扱いされてプライドが許さなかったのかも?


VHS

2010-03-15 09:35:34 | 日記

 美佳がやってきて、「お父さん、ビデオがおかしい」という。「あのほら、テープを入れても動かないの」というので美佳の部屋に行き、問題のテープをセットし再生しようとしても直ぐに停止し、テープはリジェクトされてしまう。
 機械の故障?と思ったが、念のためDVDでやってみると正常に機能するし、別のVHSテープをセットしても問題なし。
 調べてみると、問題のテープは7年前のS&W会の舞台を撮影したもの。美佳はこのテープがお気に入りで繰返し見たので、テープが磨耗し再生できなくなったらしい。

 テストの経緯を見ていた美佳も、問題のテープだけが再生不能であることは理解した。しかし、愛着あるテープをどうやって諦めさせるか?
 そこで、父「美佳さあ、このテープは7年間何回も見たよね。洋服だって何回も着るとボロになっちゃうよ。このテープもボロになって使えなくなっちゃったんだ」と説明すると、美佳はすんなり納得。
 美佳「これはどこへ捨てますか?->父「燃えないゴミかな」->美佳「お願いします」、で父はやれやれ!


最近の会話から3/3

2010-03-13 10:39:40 | 日記

 籠に入っているものが洗濯済みかどうか分からなかった父、居間に戻って「誰が洗濯機を回したの?今は一回目?二回目?」と訊くと、美佳「私がしました。一回目」という。
 父「二回目じゃないのね」としつこく念を押すと、美佳が中指を立てて父のほうに突き出し一回目」。言葉と行動が同期した応答はこれが始めて!新たな発見に父は嬉しさ百倍。

 作業所から帰ってきた美佳が「頭が痛い」と訴える。父「いつからなの?」と訊くと、美佳「今日の午後、作業所で仕事をしていたときに痛くなったの」。時間だけでなく、状況説明がついてきた。こういう会話が増えて欲しい。

 靴下を洗濯機に入れようとして行くと、ちょうど美佳がふたを閉めるところ。父「ちょっと待って」と言いながら片方を脱いで放り込み、美佳に話しかけようとしたら、美佳は黙って父のもう一方の足を指差し、「早くしろよ!」という表情。
 その剣幕に押されて、靴下が優先し会話に到らず。君も強くなったねえ!