中国の領土侵略へのけん制を訴えている。
<自衛隊との共同訓練を期待…フィリピン大統領>(読売)
■【マニラ=西島太郎】フィリピンのアキノ大統領は4日、マニラのマラカニアン宮殿で読売新聞など日本記者クラブの取材団と会見し、集団的自衛権の行使を限定容認した日本政府の閣議決定について支持を表明するとともに、「今後日本の自衛隊とフィリピン軍が(共に)訓練できるよう期待している」と述べた。
中国と領有権を争う南シナ海問題を念頭に、共同訓練強化への期待を表明したものだ。
スプラトリー(南沙)諸島などの領有権を巡る中国との対立については、「国際法に基づいた話し合いによる平和裏の解決が重要だ」との考えを重ねて示した。南シナ海の問題を巡っては、フィリピンが昨年、国連海洋法条約に基づく仲裁裁判所に訴訟を起こし、今年3月に陳述書を提出。裁判所は中国にも陳述書を出すよう要請しているが、中国は裁判所の仲裁を拒否している。■
APECシュを前に、読売は社説でもこの問題を取り上げている。
<南シナ海情勢 緊張高める中国の「現状変更」>
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20141104-OYT1T50129.html
■南シナ海の平和について協議しながら、一方的な「現状変更」を強行する。これでは、関係国との緊張と相互不信を拡大させるばかりだ。
中国の習近平政権がスプラトリー(南沙)諸島で、実効支配する岩礁を埋め立てて、「人工島」を造成する工事を進めている。七つの岩礁中、六つが対象という。いずれも、ベトナムやフィリピンなどと領有権を巡って係争中だ。
中国は、国際法を無視する形で独自に設定した「九段線」を基に、南シナ海のほぼ全体に主権が及ぶと主張している。しかし、九段線には法的根拠がなく、日米欧を含む国際社会は認めていない。
事態の複雑化や紛争を避けるため、中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)が2002年に署名した南シナ海の「行動宣言」にも反する行動ではないか。
ベトナムやフィリピンは強く反発し、関係国は懸念している。中国は、実効支配の強化を狙った人工島造成を自制すべきだ。
中国誌は10月、満潮時に水没する暗礁だった「永暑礁」が、南沙諸島で最大の約1平方キロの「島」になったと伝えた。軍関係者約200人が駐留し、飛行場の建設も決まっているという。
現在、南沙に中国の飛行場はない。「制空権確保」に向け、永暑礁を軍事拠点化する中国の狙いは明らかだ。防空識別圏の設定を検討しているとの見方もある。
日本や米国にとって、南シナ海は主要な海上交通路(シーレーン)に位置する。「航行の自由」の確保が死活的に重要だ。中国の覇権主義的行動は、看過できない。
ASEANは、南シナ海の「行動宣言」を、関係国への法的拘束力を持つ「行動規範」に格上げすることを求めている。
中国は、協議に応じながらも、規範策定には極めて慎重だ。10月の高官協議でも、原案の策定作業に入れなかった。人工島などの既成事実化までの「時間稼ぎ」と批判されても仕方あるまい。
来週には、北京でアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議、ミャンマーでは東アジア首脳会議(EAS)が開かれる。
南・東シナ海の安全保障情勢も一つの焦点となるだろう。
軍事力や経済力を背景にした一方的な現状変更を許さず、「法の支配」による海洋秩序を構築する。この重要性の認識を首脳レベルで広く共有しなければならない。
安倍首相やオバマ米大統領が、関係国と連携し、中国に責任ある行動を促すことが大切である。■
正論である。中国が「正論」に耳を貸すはずもないが。独裁国家・中国が信奉しているのは、「力」である。経済力と軍事力を背景に、ごり押し、無法、横暴、暴挙を繰り返している。今日の読売には、中国が東シナ海に投入するため、1万トンの大型巡視船を建造中との記事もあった。
宝石サンゴの密漁も同根の問題だ。この国の無法は官民を問わない。
産経が社説で訴えている。
<【主張】中国船サンゴ密漁 摘発強め断固たる抗議を>
http://www.sankei.com/column/news/141105/clm1411050003-n1.html
■小笠原諸島や伊豆諸島周辺の日本の領海および排他的経済水域(EEZ)に中国漁船が大挙して押し寄せ、高値で取引される赤サンゴを密漁している。
日本の法令やEEZを定めた国連海洋法条約に明白に違反する行為だ。中国政府は、自国の漁民の恥ずべき行為を直ちにやめさせなければならない。
押し寄せた多数の漁船に対する日本側の取り締まりが後手に回ったことも否めないが、見過ごしは許されない。さらなるルール破りを封じるためにも断固とした摘発を求めたい。
中国外務省報道官は記者会見で、「違法行為に対する法の執行を引き続き強化してゆく」としつつも、日本側に取り締まりを「理性的かつ抑制的」に行うよう要求した。
自国民が外国に迷惑をかけていることへの反省がないのは、あきれるばかりである。
密漁目的とみられる中国漁船は9月から目立ち始めたが、先月末からは200隻以上に激増した。自国の港を出入りする漁船の取り締まりが不十分であるなど、中国政府が真剣に防止しようとしているのか疑われる事態である。
菅義偉官房長官は、政府が中国側に遺憾の意を伝え、再発防止を強く求めていると説明したが、誠意をみせない中国に対しては、より高いレベルで、いっそう強い抗議が必要だ。
最優先の課題は罰則の強化である。逮捕された密漁船の船長が釈放時に払う担保金(罰金)が密漁のもうけと比べて低いことも、犯罪の抑止効果を減じている。金額引き上げや漁船押収なども含め、実効性ある対策が急務だ。
海上保安庁は取り締まり強化のため、大型巡視船や航空機を集中的に投入した。しかし、息の長い警戒監視には、海保の増強や関係省庁の協力も不可欠である。
小笠原諸島は、中国海軍が進出をはかる第2列島線にあたる。中国漁船の予想外の急増は、手薄になりがちな太平洋方面における日本の海上警備態勢を試す意図があると懸念する声も、政府・自民党内に出ている。
同諸島自体は世界自然遺産に指定されているが、周辺海域のサンゴも日本の貴重な自然である。海洋の自然保護の観点からも、日本は関係国と協力して中国にルールの尊重を迫るべきだ。■
ただ、産経によると、<菅義偉官房長官は5日の記者会見で、サンゴ密漁を狙った中国船とみられる多数の外国船が小笠原、伊豆諸島沖に押し寄せている問題への対処に苦慮していることを認めた。「大型巡視船や航空機を集中的に投入し、特別態勢をとっている。やりくりをして対応しているが非常に無理があることは事実だ」と述べた>という。体制が追いつかないのだ。コレも中国の狙いか?
今日の読売によると、中国漁船はなお205隻もいるという。台風20号が接近している。それでも・・・
<台風の場合でも中国船員の上陸認めず 太田国交相>(産経)
■小笠原・伊豆諸島(東京)周辺で中国のサンゴ密漁船が急増している問題で、太田昭宏国土交通相は4日の閣議後会見で「台風20号の接近で中国漁船が小笠原諸島に避難してきた場合でも上陸させない」と述べ、避難目的での乗組員の上陸を認めない方針を明示した。3日現在、小笠原諸島周辺に103隻、伊豆諸島周辺に102隻の計205隻が確認され、密漁が横行している状態に変わりはない。
周辺では6日に大型で勢力の強い台風20号が接近するとみられ、島民の間から台風回避を口実に中国船団が島に近づくことを懸念する声が高まっている。
海上保安庁は、国際慣習に従い台風接近や船体の大規模な損傷などやむを得ぬ場合に限り、領海内の沖合で外国船の停泊を認めている。今回のケースでは、仮に小笠原諸島付近で中国漁船が停泊する場合は海上保安官が漁船への立ち入り検査を行い、乗組員が上陸しないよう24時間態勢で監視下に置くとしている。
海保は現在、周辺海域にいる中国漁船に台風の接近を伝え、海域から退避するよう指示している。太田国交相は「海保の巡視船を伊豆諸島周辺に追加で派遣し、取り締まりを強化している」と明らかにしたが、台風接近に備え大規模船団の動きを全て監視下に置くことには限界もある。
東海大の山田吉彦教授(海洋政策)は「乗組員の上陸に備え、島民への注意喚起を徹底するとともに、警視庁から派遣されている機動隊員らと連携して速やかに身柄を確保できる態勢を整えるべきだ」と指摘する。
点在する無人島にも上陸する可能性があるため、「大型巡視船を周辺に配備し、可能なら自衛隊の投入も検討すべきだ」と話している。■
中国漁船の緊急避難を拒否することにはならないのか?対応を誤れば、中国に日本批判の口実を与えることにもなりかねない。台風を目前にして、帰港もせずに居座る中国船の狙いは、そこにあるのではないのか?
こんな「密約」など存在するはずがない。
<靖国参拝自粛「了解は存在しない」 政府答弁書で中国側主張を否定>(産経)
■政府は4日の閣議で、首相、外相、官房長官による靖国神社参拝の自粛を日本側が了解しているとする中国政府の主張について「了解は存在しない」と否定する答弁書を決定した。
中国側は「1985(昭和60)年に当時の中曽根康弘首相が参拝した後に、日本の顔である首相、外相、官房長官の3人は行かないと紳士協定を結んだ」(2005=平成17年4月、当時の王毅駐日大使)と主張。日本政府は否定してきた経緯がある。
無所属の浜田和幸参院議員の質問主意書に答えた。■
●気になるニュース
▽香港の民主化デモが手詰まり状態になっている。中国政府の思うつぼか。
<占拠は支持失いつつある…香港中高生が危機感>(読売)
■【広州=比嘉清太】香港で行政長官選挙の民主化を求めて大通りの占拠を続ける学生組織と連携する中高生らのグループ「学民思潮」のリーダー、黄之鋒氏(18)は3日夜、政府庁舎前での集会で、「占拠行動は民意の支持を失いつつある。このままでは強制排除されてしまう」と述べ、危機感を示した。
香港商業ラジオなどが伝えた。
学生らは、占拠開始から1か月以上がたち、明確な運動方針を打ち出せない状態が続いている。占拠に反対する署名活動を行った親中派団体は3日、10月25日から今月2日までに計約183万人が署名したと発表。政府ナンバー2の林鄭月娥・政務官に署名を提出し、デモ隊の早期排除を要請した。事実であれば、住民の約4分の1が署名したことになる。■
▽つくづく恐ろしい国である。
<中国、高官ら40人超不審死 事実上「粛清」との声も 汚職撲滅キャンペーンで>(産経)
■【北京=矢板明夫】中国の習近平国家主席が主導する汚職撲滅キャンペーンで、共産党幹部の自殺や不審死が頻発している。今年になってから「不自然に死亡した」と認定された党、政府、国有企業の幹部らはすでに40人を超えた。党の規律部門のずさんな捜査と過酷な取り調べが官僚たちを追い詰めたとの指摘は多い。捜査対象に習主席が所属する派閥、太子党の関係者がほとんどいないことから「反腐敗の名を借りた“粛清”だ」との声もある。
遼寧省高級人民法院(高裁)のナンバー2だった女性副裁判長、徐安生氏(55)が10月29日未明、同省内のホテルで、バスローブの帯で首をつり、遺体は同日朝に発見された。同日正午頃には、同省の身体障害者協会のトップ、任志偉・共産党書記(55)が勤務先のビル7階の窓から飛び降りて自殺した。
同じ省の局長級幹部2人が同じ日に自殺を図ったことはインターネットなどで話題を集めた。地元紙記者によると、徐氏は汚職問題で党の規律部門の調査対象になっており、自殺した日の午前には、規律委員会との面談を控えていたという。任氏にも汚職の噂があった。ネットには「2人は死ぬことで上にいる大幹部を守ろうとしたのでは」といった書き込みもあった。
中国メディアの統計によれば、2003年から12年まで、中国で自殺した官僚は毎年10人以内だった。ところが12年11月に習近平指導部が発足して以降に急増し、13年は23人を記録した。今年は昨年からさらに倍増する勢いだ。自殺する官僚の多くは、地方指導者や国有企業の幹部で、病死と発表されたケースもあるといい、すでに50人を超えたとの見方もある。
党の規律部門は、今年になってから1日2人の速いペースで汚職官僚の摘発を進めている。証拠調べはずさんで「調査対象になったら、無罪になることはまずない」(共産党幹部)という。汚職官僚に認定されると財産が没収されてメディアで宣伝され、子供の進学や就職にも影響が出る。こうした事情が、取り調べ前の自殺を選ぶ原因になっていると指摘されている。
また一連の汚職撲滅キャンペーンで、摘発され自殺した共産党幹部は、胡錦濤前主席や江沢民元主席の派閥の関係者が多く、習派の太子党につながる人脈はほとんどいないといわれている。■
▽独裁、人権無視、恐怖政治はこの国も同じである。
<張氏側幹部を粛清対象…北、恐怖政治で体制固め>(読売)
■【ハバナ=吉田健一、ソウル=豊浦潤一】北朝鮮の金正恩キムジョンウン第1書記の側近、崔竜海チェリョンヘ朝鮮労働党書記が、昨年末に処刑された当時政権ナンバー2の張成沢チャンソンテク・国防委員会副委員長に近い幹部を、粛清対象者としてリストに掲載するよう軍に命じていたことが4日、分かった。
複数の北朝鮮関係筋が読売新聞に明らかにした。
粛清はこのリストに基づき行われているという。張氏の処刑から約11か月が経過しても、恐怖政治で体制固めを進めていることを示すものだ。
崔氏は粛清理由とともにリストを金第1書記に提出したが、同筋は、張氏と関係が薄い人物も含まれていると指摘。「経済利権を巡り、崔氏や軍部と対立する人物を排除する口実に『張氏との関係』が使われている」との見方を示した。■
<自衛隊との共同訓練を期待…フィリピン大統領>(読売)
■【マニラ=西島太郎】フィリピンのアキノ大統領は4日、マニラのマラカニアン宮殿で読売新聞など日本記者クラブの取材団と会見し、集団的自衛権の行使を限定容認した日本政府の閣議決定について支持を表明するとともに、「今後日本の自衛隊とフィリピン軍が(共に)訓練できるよう期待している」と述べた。
中国と領有権を争う南シナ海問題を念頭に、共同訓練強化への期待を表明したものだ。
スプラトリー(南沙)諸島などの領有権を巡る中国との対立については、「国際法に基づいた話し合いによる平和裏の解決が重要だ」との考えを重ねて示した。南シナ海の問題を巡っては、フィリピンが昨年、国連海洋法条約に基づく仲裁裁判所に訴訟を起こし、今年3月に陳述書を提出。裁判所は中国にも陳述書を出すよう要請しているが、中国は裁判所の仲裁を拒否している。■
APECシュを前に、読売は社説でもこの問題を取り上げている。
<南シナ海情勢 緊張高める中国の「現状変更」>
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20141104-OYT1T50129.html
■南シナ海の平和について協議しながら、一方的な「現状変更」を強行する。これでは、関係国との緊張と相互不信を拡大させるばかりだ。
中国の習近平政権がスプラトリー(南沙)諸島で、実効支配する岩礁を埋め立てて、「人工島」を造成する工事を進めている。七つの岩礁中、六つが対象という。いずれも、ベトナムやフィリピンなどと領有権を巡って係争中だ。
中国は、国際法を無視する形で独自に設定した「九段線」を基に、南シナ海のほぼ全体に主権が及ぶと主張している。しかし、九段線には法的根拠がなく、日米欧を含む国際社会は認めていない。
事態の複雑化や紛争を避けるため、中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)が2002年に署名した南シナ海の「行動宣言」にも反する行動ではないか。
ベトナムやフィリピンは強く反発し、関係国は懸念している。中国は、実効支配の強化を狙った人工島造成を自制すべきだ。
中国誌は10月、満潮時に水没する暗礁だった「永暑礁」が、南沙諸島で最大の約1平方キロの「島」になったと伝えた。軍関係者約200人が駐留し、飛行場の建設も決まっているという。
現在、南沙に中国の飛行場はない。「制空権確保」に向け、永暑礁を軍事拠点化する中国の狙いは明らかだ。防空識別圏の設定を検討しているとの見方もある。
日本や米国にとって、南シナ海は主要な海上交通路(シーレーン)に位置する。「航行の自由」の確保が死活的に重要だ。中国の覇権主義的行動は、看過できない。
ASEANは、南シナ海の「行動宣言」を、関係国への法的拘束力を持つ「行動規範」に格上げすることを求めている。
中国は、協議に応じながらも、規範策定には極めて慎重だ。10月の高官協議でも、原案の策定作業に入れなかった。人工島などの既成事実化までの「時間稼ぎ」と批判されても仕方あるまい。
来週には、北京でアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議、ミャンマーでは東アジア首脳会議(EAS)が開かれる。
南・東シナ海の安全保障情勢も一つの焦点となるだろう。
軍事力や経済力を背景にした一方的な現状変更を許さず、「法の支配」による海洋秩序を構築する。この重要性の認識を首脳レベルで広く共有しなければならない。
安倍首相やオバマ米大統領が、関係国と連携し、中国に責任ある行動を促すことが大切である。■
正論である。中国が「正論」に耳を貸すはずもないが。独裁国家・中国が信奉しているのは、「力」である。経済力と軍事力を背景に、ごり押し、無法、横暴、暴挙を繰り返している。今日の読売には、中国が東シナ海に投入するため、1万トンの大型巡視船を建造中との記事もあった。
宝石サンゴの密漁も同根の問題だ。この国の無法は官民を問わない。
産経が社説で訴えている。
<【主張】中国船サンゴ密漁 摘発強め断固たる抗議を>
http://www.sankei.com/column/news/141105/clm1411050003-n1.html
■小笠原諸島や伊豆諸島周辺の日本の領海および排他的経済水域(EEZ)に中国漁船が大挙して押し寄せ、高値で取引される赤サンゴを密漁している。
日本の法令やEEZを定めた国連海洋法条約に明白に違反する行為だ。中国政府は、自国の漁民の恥ずべき行為を直ちにやめさせなければならない。
押し寄せた多数の漁船に対する日本側の取り締まりが後手に回ったことも否めないが、見過ごしは許されない。さらなるルール破りを封じるためにも断固とした摘発を求めたい。
中国外務省報道官は記者会見で、「違法行為に対する法の執行を引き続き強化してゆく」としつつも、日本側に取り締まりを「理性的かつ抑制的」に行うよう要求した。
自国民が外国に迷惑をかけていることへの反省がないのは、あきれるばかりである。
密漁目的とみられる中国漁船は9月から目立ち始めたが、先月末からは200隻以上に激増した。自国の港を出入りする漁船の取り締まりが不十分であるなど、中国政府が真剣に防止しようとしているのか疑われる事態である。
菅義偉官房長官は、政府が中国側に遺憾の意を伝え、再発防止を強く求めていると説明したが、誠意をみせない中国に対しては、より高いレベルで、いっそう強い抗議が必要だ。
最優先の課題は罰則の強化である。逮捕された密漁船の船長が釈放時に払う担保金(罰金)が密漁のもうけと比べて低いことも、犯罪の抑止効果を減じている。金額引き上げや漁船押収なども含め、実効性ある対策が急務だ。
海上保安庁は取り締まり強化のため、大型巡視船や航空機を集中的に投入した。しかし、息の長い警戒監視には、海保の増強や関係省庁の協力も不可欠である。
小笠原諸島は、中国海軍が進出をはかる第2列島線にあたる。中国漁船の予想外の急増は、手薄になりがちな太平洋方面における日本の海上警備態勢を試す意図があると懸念する声も、政府・自民党内に出ている。
同諸島自体は世界自然遺産に指定されているが、周辺海域のサンゴも日本の貴重な自然である。海洋の自然保護の観点からも、日本は関係国と協力して中国にルールの尊重を迫るべきだ。■
ただ、産経によると、<菅義偉官房長官は5日の記者会見で、サンゴ密漁を狙った中国船とみられる多数の外国船が小笠原、伊豆諸島沖に押し寄せている問題への対処に苦慮していることを認めた。「大型巡視船や航空機を集中的に投入し、特別態勢をとっている。やりくりをして対応しているが非常に無理があることは事実だ」と述べた>という。体制が追いつかないのだ。コレも中国の狙いか?
今日の読売によると、中国漁船はなお205隻もいるという。台風20号が接近している。それでも・・・
<台風の場合でも中国船員の上陸認めず 太田国交相>(産経)
■小笠原・伊豆諸島(東京)周辺で中国のサンゴ密漁船が急増している問題で、太田昭宏国土交通相は4日の閣議後会見で「台風20号の接近で中国漁船が小笠原諸島に避難してきた場合でも上陸させない」と述べ、避難目的での乗組員の上陸を認めない方針を明示した。3日現在、小笠原諸島周辺に103隻、伊豆諸島周辺に102隻の計205隻が確認され、密漁が横行している状態に変わりはない。
周辺では6日に大型で勢力の強い台風20号が接近するとみられ、島民の間から台風回避を口実に中国船団が島に近づくことを懸念する声が高まっている。
海上保安庁は、国際慣習に従い台風接近や船体の大規模な損傷などやむを得ぬ場合に限り、領海内の沖合で外国船の停泊を認めている。今回のケースでは、仮に小笠原諸島付近で中国漁船が停泊する場合は海上保安官が漁船への立ち入り検査を行い、乗組員が上陸しないよう24時間態勢で監視下に置くとしている。
海保は現在、周辺海域にいる中国漁船に台風の接近を伝え、海域から退避するよう指示している。太田国交相は「海保の巡視船を伊豆諸島周辺に追加で派遣し、取り締まりを強化している」と明らかにしたが、台風接近に備え大規模船団の動きを全て監視下に置くことには限界もある。
東海大の山田吉彦教授(海洋政策)は「乗組員の上陸に備え、島民への注意喚起を徹底するとともに、警視庁から派遣されている機動隊員らと連携して速やかに身柄を確保できる態勢を整えるべきだ」と指摘する。
点在する無人島にも上陸する可能性があるため、「大型巡視船を周辺に配備し、可能なら自衛隊の投入も検討すべきだ」と話している。■
中国漁船の緊急避難を拒否することにはならないのか?対応を誤れば、中国に日本批判の口実を与えることにもなりかねない。台風を目前にして、帰港もせずに居座る中国船の狙いは、そこにあるのではないのか?
こんな「密約」など存在するはずがない。
<靖国参拝自粛「了解は存在しない」 政府答弁書で中国側主張を否定>(産経)
■政府は4日の閣議で、首相、外相、官房長官による靖国神社参拝の自粛を日本側が了解しているとする中国政府の主張について「了解は存在しない」と否定する答弁書を決定した。
中国側は「1985(昭和60)年に当時の中曽根康弘首相が参拝した後に、日本の顔である首相、外相、官房長官の3人は行かないと紳士協定を結んだ」(2005=平成17年4月、当時の王毅駐日大使)と主張。日本政府は否定してきた経緯がある。
無所属の浜田和幸参院議員の質問主意書に答えた。■
●気になるニュース
▽香港の民主化デモが手詰まり状態になっている。中国政府の思うつぼか。
<占拠は支持失いつつある…香港中高生が危機感>(読売)
■【広州=比嘉清太】香港で行政長官選挙の民主化を求めて大通りの占拠を続ける学生組織と連携する中高生らのグループ「学民思潮」のリーダー、黄之鋒氏(18)は3日夜、政府庁舎前での集会で、「占拠行動は民意の支持を失いつつある。このままでは強制排除されてしまう」と述べ、危機感を示した。
香港商業ラジオなどが伝えた。
学生らは、占拠開始から1か月以上がたち、明確な運動方針を打ち出せない状態が続いている。占拠に反対する署名活動を行った親中派団体は3日、10月25日から今月2日までに計約183万人が署名したと発表。政府ナンバー2の林鄭月娥・政務官に署名を提出し、デモ隊の早期排除を要請した。事実であれば、住民の約4分の1が署名したことになる。■
▽つくづく恐ろしい国である。
<中国、高官ら40人超不審死 事実上「粛清」との声も 汚職撲滅キャンペーンで>(産経)
■【北京=矢板明夫】中国の習近平国家主席が主導する汚職撲滅キャンペーンで、共産党幹部の自殺や不審死が頻発している。今年になってから「不自然に死亡した」と認定された党、政府、国有企業の幹部らはすでに40人を超えた。党の規律部門のずさんな捜査と過酷な取り調べが官僚たちを追い詰めたとの指摘は多い。捜査対象に習主席が所属する派閥、太子党の関係者がほとんどいないことから「反腐敗の名を借りた“粛清”だ」との声もある。
遼寧省高級人民法院(高裁)のナンバー2だった女性副裁判長、徐安生氏(55)が10月29日未明、同省内のホテルで、バスローブの帯で首をつり、遺体は同日朝に発見された。同日正午頃には、同省の身体障害者協会のトップ、任志偉・共産党書記(55)が勤務先のビル7階の窓から飛び降りて自殺した。
同じ省の局長級幹部2人が同じ日に自殺を図ったことはインターネットなどで話題を集めた。地元紙記者によると、徐氏は汚職問題で党の規律部門の調査対象になっており、自殺した日の午前には、規律委員会との面談を控えていたという。任氏にも汚職の噂があった。ネットには「2人は死ぬことで上にいる大幹部を守ろうとしたのでは」といった書き込みもあった。
中国メディアの統計によれば、2003年から12年まで、中国で自殺した官僚は毎年10人以内だった。ところが12年11月に習近平指導部が発足して以降に急増し、13年は23人を記録した。今年は昨年からさらに倍増する勢いだ。自殺する官僚の多くは、地方指導者や国有企業の幹部で、病死と発表されたケースもあるといい、すでに50人を超えたとの見方もある。
党の規律部門は、今年になってから1日2人の速いペースで汚職官僚の摘発を進めている。証拠調べはずさんで「調査対象になったら、無罪になることはまずない」(共産党幹部)という。汚職官僚に認定されると財産が没収されてメディアで宣伝され、子供の進学や就職にも影響が出る。こうした事情が、取り調べ前の自殺を選ぶ原因になっていると指摘されている。
また一連の汚職撲滅キャンペーンで、摘発され自殺した共産党幹部は、胡錦濤前主席や江沢民元主席の派閥の関係者が多く、習派の太子党につながる人脈はほとんどいないといわれている。■
▽独裁、人権無視、恐怖政治はこの国も同じである。
<張氏側幹部を粛清対象…北、恐怖政治で体制固め>(読売)
■【ハバナ=吉田健一、ソウル=豊浦潤一】北朝鮮の金正恩キムジョンウン第1書記の側近、崔竜海チェリョンヘ朝鮮労働党書記が、昨年末に処刑された当時政権ナンバー2の張成沢チャンソンテク・国防委員会副委員長に近い幹部を、粛清対象者としてリストに掲載するよう軍に命じていたことが4日、分かった。
複数の北朝鮮関係筋が読売新聞に明らかにした。
粛清はこのリストに基づき行われているという。張氏の処刑から約11か月が経過しても、恐怖政治で体制固めを進めていることを示すものだ。
崔氏は粛清理由とともにリストを金第1書記に提出したが、同筋は、張氏と関係が薄い人物も含まれていると指摘。「経済利権を巡り、崔氏や軍部と対立する人物を排除する口実に『張氏との関係』が使われている」との見方を示した。■