場を浄める教育実践 管理職自ら校舎を美化した結果

久々に教育実践の話題で書きます。

私の勤務する小学校は開校140年を越える歴史ある学校です。そのためでもないのですが、校舎が古くなり、改築することになります。もしかしたらその改築を支えるために私が赴任したのかもしれません。改築だからといって今の校舎を汚くしてよいとは思いません。汚い校舎に福は寄り付かないと感じています。

日本の著名な教育哲学者である森信三先生は、学校をはじめとする教育組織を再生させる三原則として、次の言葉を残しました。

「時を守り 場を浄め 礼を正す」

これを実践することで、どれだけ廃れた教育組織であっても再生するのだという教えです。かなり多くの学校で、この言葉は使われています。額縁に入れて、正面玄関に掲示している学校があることもたくさん見てきました。誤解があってはならないので書いておきますが、こうした掲示物のある学校が廃れているわけでもありませんし、私の勤務校も廃れているわけではありません。私の勤務校は、正直なところ、都内トップの学校だという自覚が、卒業生の方々、保護者の方々にある教育の旗頭のような学校です。それでもまだまだ上のステージに向けて再生できると私は感じるので、森信三先生の三原則のうちのひとつ、「場を浄める」を実行に移しました。何をしたのかというと、要するに、学校内の掃除をはじめたわけです。

「場を浄める」という言葉を教育に使おうと教師が思った時、おそらく多くの教師は“子供たちに浄めさせる”ためにはどうしたらよいだろうと「やらせる」ことを考えます。私の場合は、この逆を実践していきます。別に子供たちが場を浄めなくてもいい。まずは「場を浄める」と何が起こるのか、自分の心身をもって人体実験するところから教育実践を開始します。ですから今回も、誰にも言うことなく、一人静かに雑巾がけとホコリ払いを始めました。

この「一人掃除開始」の教育実践理論の裏付けのひとつに、ハワイの問題解決方法である「ホ・ポノポノ」の考え方も取り入れました。
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潜在意識へのアプローチ。学校集団の過去からの記憶にアクセスし、悪しき記憶をクリーニングしていく問題解決方法が「ホ・オポノポノ」です。この「ホ・オポノポノ」を実践する時のキーワードは、「ありがとう」「ごめんね」「ゆるしてね」「愛してる」の4つです。自分の体での人体実験を意識している私は、校舎に対して「ごめんね」の言葉を心に秘めて、学校内を雑巾がけしていきました。なんとか学校集団潜在意識レベルでの変革をするための手法です。

こうした学校マネジメントを実践していくにつけて、よく間違えてしまい、改革途中なのにあきめてしまうケースがほとんどです。その理由は、手法を学ぶ人というのは、悩み苦しんでいる人が多いため、短期で改革できるものと錯覚を起こしてしまいがちだからです。本格的な改革には、少なくとも3ヶ月間は時間が必要なのです。3ヶ月間、ねばり強く「クリーニング」していける意思があるからこそ改革の波が静かに起こるのです。

こうして私が単独で、学校の美化運動を起こしてから2週間が過ぎました。その間、子供たちからも、大人からも私にかかる言葉が変わってきました。

「先生、どうして掃除しているんですか?」
という、教員も子供たちも同じように、疑問から始まった言葉が、
「先生、ありがとうございます。」
に変わり、さらにはPTAの方から、
「私たちも掃除をしますから、掃除機を貸してください。」
という声があがるようになり、2週間たった今日は、とうとう4年生の子供たちから、
「先生、私たちがいる3階はピカピカにしたから見に来てください!!!」
と呼び止められるくらいになりました。
こうして2週間で、学校の何かが変わる手応えを得た、人体実験者・井上です。


ここで、平成26年にこのブログで私が紹介した「広島観音高校」の教育実践を紹介します。
まずは写真をご覧ください。

この写真は広島観音高校の畑喜美夫先生が指導し、2006年インターハイで日本一なった広島観音高校サッカー部の荷物です。「勝利の神は細部に宿る」という考え方からこうした荷物指導をされている。それも「こうしなさい」とは決して言わない。問いを投げかけ、子どもたちに考えさせ、自ら行動できるように仕向けている。心を整え、人間力を磨き、日常生活全てで強くなる。良い習慣は良い結果をもたらす。このような考えから荷物指導が行われているそうです。

辰巳ジャンプでもさっそく教育実践開始。
今日の新チームの子どもたちの荷物は、私が体育館に行った時に、この写真のような状況でした。

そこでミーティング開始。まずは観音高校の荷物写真を見せる。

私からの問いかけ。
「この写真を見て、感じたことを発表しましょう。」
子どもたちからの意見。
「荷物がきれいにならんでいて、すごいと思いました。」
「私たちの荷物はいつもきたないと思います。」
「こういう荷物の置き方をするチームの方が強いと思います。」
写真を見せただけで、いろいろな気づきが生まれます。

私から、
「どうしてこの写真を見せたんだと思う?」
子どもたち。
「荷物をきれいにするためです。」
「荷物をきれいにできれば、他のチームもビックリすると思います。」
私。
「では、5分間時間を取るから、今自分が感じたことを行動にしてみよう。」
子どもたちは、「はいっ!」と返事をして行動開始。
その後、私が何も指示しなくても、荷物がこの写真のようになりました。

小学生の真っ直ぐな心というのは高校生以上だなと感心しました。

「さて、今は気持ちが切りかわったから荷物がきれいになったんだけど、これを3週間続けることを宿題にします。家でも荷物をきれいにすることを毎日やって、3週間すると習慣になります。楽しみにしているからね。」
保護者の皆さん、家の中までは私に分かりませんので、子どもたちが宿題を忘れているようでしたら、広島観音高校の荷物写真を見せてあげてください。
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通知表分析からのバレーボール目標設定

辰巳ジャンプの所属する江東区の小学校は、3学期制ではなく前後期の2学期制を実施しています。そのため、前期の通知表を受け取る時期は、この10月の3連休前となります。

辰巳ジャンプは、小学校の管理職をしている私が指導をする小学生スポーツでは特別な状況のチームですから、その立場的特色を活かすために、今日は全員に通知表を持ってこさせ、一人平均30分間の個人面談をしました。その目的は次の通りです。

(1)通知表を分析し、次への課題を明確にすることで、大きな学習成果を生み出し、子供たちの自信につなげること。
(2)学校の授業での学びと、バレーボールの技能との関連を明らかにし、どちらも努力することで相乗効果を生み出し、その結果、学業成績・バレーボール成績共に向上すること。
(3)学び方を身につけること。
(4)学ぶということの精神的な意義を実感すること。
(5)人間の脳の働きを理解し、プラス思考がいかに効果のある考え方であるかを理解すること。

何度も書きますが、私は小学校の管理職であり、しかも管理職になってから赴任している2校は、ともに東京都内でも名門校と言われる、優秀な子どもたちが通う学校です。その区は3学期制になっていますから、1年に3回、全児童の通知表を点検しています。これまでに、のべ5000人の通知表を真剣に確認してきました。しかも私の上司であった、某校長先生は、全国女性校長会の会長を務めるほどの方であり、その方から3年間、徹底して通知表の見方も鍛えられてきました。はじめは、私が点検して、「修正しなさい」という赤ペンを入れた通知表を、その校長先生が点検して、私の直したところを赤ペンでさらに直されるということもありました。こうしてとても厳しい訓練を受けた結果、たぶん、通知表の成績の付け方、所見の書き方を見れば、担任の先生がどういう年代で、どのような指導を好んでする方なのか、どのような規準で評価をしているのかということを想像がつくところまで鍛え上げられてたのだと感じます。今回、辰巳ジャンプの子供たちの通知表を見させてもらうにあたっても、「この〇〇先生は、ベテランの先生でしょ。」「この〇〇先生は30代の先生であってる?」「この先生は20代だね。」と子供たちに確認したところ、100%合っていました。


ところで、各チームの保護者の皆さんは、子供たちの通知表を一緒に見ながら、次への課題を真剣に、冷静に話し合ったことがあるでしょうか?
今回、私が辰巳ジャンプの子供たちの通知表と真剣に向き合うにあたり、とくに注意をしたのが、通知表とは何のためにあるのかということを教えることです。日本の学校教育は、すべて日本国憲法、教育基本法、学校教育法といった法律を基にして動いています。じつはこうした法律の中に、「通知表を作成し、子供たちに渡すこと」という項目はいっさいありません。法律で決められていないので、本来は出しても出さなくてもよいものなのです。実際に通知表を出さない学校も少数ですが、あると聞いています。

では、通知表は何のために出しているのでしょうか。
私が今日、子供たちに指導をした内容は次の通りです。
(1)通知表は現時点での、あなたの学習状況を伝えるものである。
(2)この通知表に書かれた内容は、すでに過去のものである。どんなに努力しても変えることができない。喜んだり悲しんだりすることは無駄である。
(3)大切なことは、この通知表をしっかり分析をして、自分の課題を明らかにし、大きく成長できるように、次の目標を立てることである。
(4)分析をするためには、ABCで評価されている項目がどんな意味をもっているのか理解することが必要である。
(5)さらには担任の先生が、あなたをどう見て、何を期待し、どうなってほしいと思っているのかと読み取り、その期待に応えるように学習態度を変えていくことができれば通知表の成績は、信じられないくらいに上がるはずだ。


あとは子供たち一人一人、課題が違いますから、個別に分かりやすく指導を入れておきました。
全員に、私が通知表を分析して課題を明らかにしたメモを持たせました。そのメモはものすごく大事だから、なくさず持っていて、毎日読みなさいとも伝えました。
子供たち全員に確認したことですが、通知表の意味、通知表の見方、通知表から考えられる次への努力方法や目標設定方法、通知表とバレーボール技術との関連など、どれかひとつでもいいから、先生か親といっしょに考えたことがありますか?と聞いたところ、全員が「ありません」と答えました。子どもの学びを引き出すためには、大人が子どもの10倍学ぶ必要があります。これまでの大人としての経験に自ら疑問を投げかけ、我が子を革命的に伸ばすためにはどうしたらいいかということを、ぜひ模索してほしいと思います。
チームの保護者の皆さんは、創意工夫した「その子にあった指導の方法」という答えを私に教えてくださると、私としてもとても助かります。

こんな感じで、これまでの辰巳ジャンプの卒業生や、私が担任してきた子供たちも、「ありえない成長」を遂げてきました。
その一端を、教え子のお母様からのコメントで紹介して終わります。

「先生、ご無沙汰しております。どこに書いていいか分からず、でも一言お礼と報告をとこちらに書かせて頂きます。先生の最後の受け持ちのクラスにいました娘の母親です。この春、無事に娘が都立J高校に入学しました。習い事に打ち込んでおりましたので、塾も行けない中、希望の学校に入学できたのは思い返すと先生からの考え方の教えが根底にあってのことと思います。本当にありがとうございました!毎日、嬉々として学校に通っております!」
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第16回学校俳句研究会で教育実践報告をしました

本日、江東区立八名川小学校で開催された「第16回学校俳句研究会」で、文京区立明化小学校での教育実践報告をさせていただきました。内容としては次のようなものです。

(1)自己紹介・学校紹介
(2)明化小学校が俳句に取り組み始めたきっかけ
(3)東京都言語能力向上推進校・拠点校としての研究
(4)俳句コンクールの成果
(5)俳句にまつわる児童のエピソード
(6)管理職の立場での実践(ESDの視点から)
(7)成果と課題
(8)質疑応答

今日の研究会には、元同僚、教育実習生として育てた現職新人教諭、かつてお世話になった校長先生といった方々も参加してくださり、私の拙い話を聞いてくださいました。そして何よりも私にこのような機会を与えてくださった、日本学校俳句研究会代表(江東区教育委員会学校支援課勤務)の小山正見先生に感謝申し上げます。今回、私が最もお伝えしたかったことは、江東区立香取小学校時代の校内研究会で講師としてお世話になった進藤先生に徹底的に教えていただいた「同一パターンのグレードアップ」という考え方です。明化小学校の俳句教育は、特別なことをしていたのではなく、ただひたすらに「毎月一俳句・一句会」を実践し続けたことで成果があがった事例です。
加えて、学校の管理職として、言語能力向上拠点校としての役目を果たすため、地域を巻き込んでの「大人俳句大会」を、楽しく開催することができたことを報告させていただきました。



さて、学校俳句研究会の皆様のご配慮で、私の発表を最初にしていただき、失礼ながら発表後すぐに、辰巳ジャンプの練習に向かいました。
今日は江戸川区のお馴染みのチームとの練習試合を組んでいました。そのチームは、明日、スポーツ少年団都大会をひかえているそうで、辰巳ジャンプの子供たちを相手に、充実した練習ができたように感じました。良い試合をしてくれることを期待しています。

辰巳ジャンプの子供たちは、とても良くなってきました。このごろ強く感じることがあります。それは、ほんの少しですが、大人になってきたことです。私の愛する辰巳地域の子供たちです。もともと他の地域にない飛び抜けた素直さがあります。この素直さは指導する私の心を洗われるくらいの感覚があります。それに加えて、何となくですが大人っぽさが出てきた感じがしています。この発達段階に入ると、辰巳ジャンプは一気に伸びていく可能性が出てきます。なぜなら、私から言われることではなく、自分の意思でバレーボールをするようになっていくからです。5年生9人のチーム。急上昇の成長段階に入ってきました。保護者の皆さん、当番の日でなくても、練習見学をすることをおススメします。1回1回の練習で、どんどん伸びていく子供たちの姿を目に焼き付けるチャンスが到来しています。
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嬉しいお知らせ

昨日、私が平成22年度に、担任生活最後の学年として4年生を受け持った時の女子児童の保護者様からブログにコメントをいただきました。個人情報を伏せて、可能な限り公開させていただきます。

【S様より】
先生、ご無沙汰しております。
どこに書いていいか分からず、でも一言お礼と報告をとこちらに書かせて頂きます。
先生の最後の受け持ちのクラスにいました娘の母親です。
この春、無事に娘が都立J高校に入学しました。習い事に打ち込んでおりましたので、塾も行けない中、希望の学校に入学できたのは思い返すと先生からの考え方の教えが根底にあってのことと思います。
本当にありがとうございました!
毎日、嬉々として学校通っております!



この学級は、3年生の時に少々乱れてしまい、当時もっと乱れていた6年生の大改革を行っていた私であるのに、その6年生をほっておいて、何度もお助けに入った学級でした。ですから、4年生になる時に、「私が担任します。」と校長に申告し、立て直しに入りました。そして見る見るうちに成長して、素晴らしい学年になったことをしっかり覚えています。Sさんは、4年生当時には口数も少なく、大人しい女の子でしたが、心根は強くしっかりしていましたので、将来を期待していました。その期待通りに成長してくれたご報告が入りました。これこそ教師冥利に尽きるという出来事です。


さて、その平成22年当時に私が何を指導していたのか、過去の記事からいくつかコピーしてみましょう。

【平成22年4月11日 3分間で学級再生】
前学年の時にちょっと乱れてしまった子どもたちを受け持っているのですが、今回は「3分間で何とかする」という、他人が聞いたら訳の分からない目標を掲げて、再生に向けてスタートしましたが、本当に3分間で学級再生してしまったのを周りの先生や子どもたちが見ていて、けっこう大きな衝撃を受けているみたいなのです(笑) 私の耳に入ってくる、「ニュー井上チーム」の子どもたちに対する評価を紹介します。
「○○ちゃんがあんなに楽しそうな笑顔を見せてくれるなんて、涙が出そうになりました。」
「井上学級の子どもたちがいっぺんに変わってしまったのをうちのクラスの子たちが敏感に感じていて、負けられない!と焦っているみたいなんです。」
「3年生が“井上先生のクラスには負けない!”と頑張っています。」
「とにかく“笑顔”が輝いている。毎日楽しそうにしている。仕事も一生懸命やってくれます。」
「あの子たちが別人のようになってしまった。井上先生、いったいどんなマジックを使ったんですか?」
どんなことをしたらクラスが良い方向に激変するかという「方法」を皆さん知りたがるのですが、方法なんて何もありません。私は「統率者」として「存在」しているだけなんです。意識していることはけっこう簡単なことです。
「本気で子どもたちを大好きになる」
これだけです。ここに本気になれるかどうか、自分の潜在意識(=無意識・生命状態・オーラ・気とも言えるかな)を担任発表までに全力で整えておいただけです。ひとつのクラスが成長を始めると、相乗効果で周りのクラスも伸びることを今回は強く感じさせてもらいました。校舎の3階が中学年なのですが、3階の空気が変わったという手応えをみんなが感じています。今、3階には何とも言えない「やる気」に満ち満ちているのです。
中学年の先生たちには、「最強の中学年担任軍団を作ろう」と呼びかけています。授業研究も行事への取り組みも、新しいことをどんどん提案して、「AHA!体験」を呼び起こし、先生たちを元気にしています。どうやら井上効果は自分の学級だけにおさまらなくなってきたみたいです。

【平成22年5月10日 マイ新聞】
今、受け持っている4年生がすごいことになり始めたというのは、数字的なデータによる判断です。3年前の5年生の中で、初めて個人100号を書いた子が出た時期は6月でした。ところが今受け持っている4年生、4月中に100号を達成した子が1人出ました。それに続いて、ゴールデンウイーク明けに2人の子が100号を達成しました。クラス全体でも5月7日時点で1000号を超えることができました。これは井上指導史上最速のスピードなのです。
このように、書いた枚数にこだわっていると、「きれいな字で書くこと」や「誤字脱字に気をつけて書くこと」、「書いている内容のレベルを上げるような指導」といったものを、もっとしっかりやってくれないかという声も、保護者の皆様からはあがるだろうと思っています。そういうことも必要だとは思っています。
それにしましても、たった1ヶ月間で100枚もの新聞を書く小学4年生がどこにいるでしょうか。100枚=ノート2冊と言っていい数です。そしてクラストータルで1か月に1000枚も書く小学4年生がどこにいるでしょうか。私は細かいことには少し目を瞑り、とにかく文章を書く「量」に視点を当てて指導をしていきます。たくさん書いていくうちにだんだん高いレベルを目指すようになり、直した方が良い部分も徐々に直っていくからです。
1か月で100号を達成した子は、「マイ新聞」について、このように書いています。
「新聞を書くことが楽しくて楽しくて、何かあるたびに書いてしまいます。授業が終わったら、勉強したことを書き、楽しいことがあったらすぐに新聞に書きます。私はマイ新聞を1000号は書きたいです。」
この短い言葉に、学習にとって重要な「強化学習」効果が表れているのです。
「学ぶことが楽しいという正のスパイラル現象」
「書くことで自分を表現した瞬間にドーパミンが放出されている」
「1000号という目標意識を持つことによる脳の自動操縦効果」
「頑張っていることを友達にも担任にも親にも認められる承認欲求の充足感」
さらに
「授業のふりかえりを即座に行うことによる学習の定着」
という効果も上がっています。
書けば書くほど学力が高まる「マイ新聞」です。

【平成22年6月21日 クラスイメージ作り】
私たち4年1組はみんな親友のように仲良く、友達がいっぱいいる。男女は一丸となってまとまっている。

みんなの心は、素直でやさしく、いつも下級生や弱い立場の子を守っている。そしてクラスの仲間もお互いに守り合っている。そのため、いつも元気で全員が休まずに出席している。性格は明るく、健康で、聞いている人を元気にしてしまうあいさつをしている。いつも「ミラーニューロン」を意識して、お互いに良い影響を与え合っている。

自分の生活態度についてはきびしいが、人にはやさしい。自分でできることは何でも行う。最近は料理や掃除なども、大人から言われなくてもしっかりやる。もっと上のレベルに行けるようにと、上級生の良いところをどんどん見習っている。

態度を良くしていくことにも挑戦している。
4年1組のみんなは、いつもニコニコ明るく笑っている。教室は笑い声にあふれていて、そこにいるだけで、だれもがみんなうれしくなってしまう。
言葉づかいも良く、「さんづけ」も学校のどのクラスよりもしっかりできている。人を傷つけるような言葉はけっして言わず、気持ち良さバッチリである。
また、先生や友達の話をしっかり聞いているし、何を言おうとしているのかを理解して聞いていこうとする態度も持っている。
みんな、いつも真剣で、ビシッと決めている。授業態度はまじめで静かだ。そんな4年1組は心も体もたくましいクラスである。

やってはいけないこともしっかり分かっている。
先生や大人には、はむかわない。
勉強や係、当番の仕事もさぼっていない。
苦しくても難しくても、絶対にあきらめない。
人に迷惑のかかるようなことを、たとえば、うるさくしたりしていない。
怒りの気持ちが起こったとしても、みんな自分の力でおさえることができ、けんかになることはない。

そんな4年1組の能力はとても高く、特に集中力はどんどん上がっている。その結果、テストをやれば全員が100点ばかりであり、IQも急上昇し、天才の集団なのではないかと思えるほどである。それはすべて「ミラーニューロン」を意識しているからこそ、お互いに伸びていこうとするのである。

このような4年1組を私たちは「世界最高、最強のクラスであり、世界一である。」とイメージしている。他の人が見ても、すごいクラスだと認めてもらっているし、だれもが「あのクラスはうらやましい」と思っている。だからこそ、他のクラスの人にもよろこばれるような行動をし、だれからも好かれる学級となっている。その結果、みんなが「あのクラスはかっこいい!」とあこがれを持ってくれている。

私たちが目標としていることは、4年生のうちにクラスの全員が、読書100冊を読み、4年生で習う漢字200字を全部覚えること。そしてマイ新聞をまずは全員が100号達成し、200号、500号、1000号、3000号と、どんどん達成していくことだ。その結果、クラスでは10000号など軽く達成できることが見えている。また、下級生や困っている人のめんどうもしっかり見ていきたい。
これだけではない。もっとがんばるつもりである。
運動ではスーパードッジボール大会で優勝する。
マインドマップをたくさんかいて、上手になり、名人と言われるクラスになる。
声のものさしを意識して、場面に応じた声の大きさで話せるようにする。
字をきれいに書く。

このような目標を達成できるようにがんばっていくことで、私たちはみんな、2011年3月1日には、勉強を十分にしており、勉強することが好きになり、みんなよくできる子どもたちになるのである。

これが「宇宙の大新星・4年1組」なのである。

【平成22年9月11日 学級経営の四段階】
(1)担任からの指示が中心な段階
子どもたちが、まだ担任とのラポールが不十分な段階で、担任の指示や授業のやり方について、「どんなものなのか?」と待っているような段階。また、担任の方針を徹底すべき段階。TOSS(教育技術の法則化運動)の先生方は、この段階は学級のスタート3日間で勝負を決していなかんくてはならない『黄金の3日間』と呼んでいますね。私も同感です。担任となったからには、そのくらいの気概を持たないといけません。そして3日あれば大概の方針は感じさせられるものだと思います。

(2)担任が子どもの内面を把握する段階
自分の方針を意識させられた所で、次の段階は担任が子どもたち一人一人をよく観察し、働きかけ、内面にある向上心、興味関心、努力目標、家庭環境、友達関係、不安要素など、プラス面もマイナス面もしっかり把握する必要があります。さらにその把握した情報を元に、一人一人への指導方針を立てる必要があります。
特別支援教育では「個別支援計画」というものを立てることになっていますが、この個別支援計画という考え方は、何もハンディを持っている子どもたちだけのものではないと私は思います。すべての子どもたちに「個別支援計画」が必要なのであり、今、目の前にいる一人の子に最も適切な指導をしていけるように計画する必要があるのです。


(3)子どもが自ら担任の指導を求める段階
「担任してくれているこの先生は、自分のことを本当に考えてくれている。」
このようなラポールが取れ、学習に集中することができ、学ぶ楽しさや必要性を感じた子どもは、担任からの指示を待たずに自ら学びへの道を開拓していきます。
今担任している私のクラスで言えば、私が何も要求しなくても「マイ新聞」という日記新聞をじゃんじゃん書いてきます。4月から今日現在でクラス合計5900号も書いています。
今はこの「マイ新聞」というひとつの学習方法を身につけさせただけなので、他の行動は起こっていませんが、4年生の後半は様々な自発的行動を促すようにしていきたいと思っています。その結果として、
「先生、こんなことを調べたんですが、先生はどう思いますか?」
「昨日、○○という本を読んだだけど、すごくいい本だから先生も読んでみて!」
な~んていう言葉が聞けるようになってきたら、第3段階に進んだことになります。

(4)担任を必要とせず、子ども同士で学び合える段階
究極の学級経営は「担任がいなくても学び続けるクラス」です。つまり「学ぶことによって、自分の人生が豊かになる。人と比べるのではなく、自らの力で道を切り開こうとする“絶対的な幸せ”を実感することができる」という学級です。学級の全員が、学ぶ価値を感じていれば、子ども同士でどんどん学び合っていく集団になります。このあたりの考え方に近いのは、上越教育大学の西川純先生を中心に進められている『学び合い』の考え方を参考にされると分かりやすいでしょう。

いずれにしても、「教師」というプロフェッショナルになるには、なんとなく目の前のことをこなしているだけではダメです。常に自己研鑚に励み、自分の信念とできるだけ普遍的な価値基準を持って学級経営にあたり、日に日に新たな自分を生み出していくような存在であることが大事だと思います。

【平成23年1月6日 4年生は2030年を目指そう】
今から20年たつと2030年。
そのころ、今の小学校4年生は30歳になっている。
君たちが生まれたのは、2000年、2001年と
希望の21世紀へと人類がジャンプした時だ。
私たちの世代は小学生時代に、「君たちは21世紀を目指せ、そこが本当の晴れ舞台だ」と言われて育った。
21世紀に希望を持って歩んでいくために、勉強し、体を鍛え、友と手を取り合って、全員が力をつけると誓った。
それが少年時代の約束だった。
だから21世紀の前半は、私たちの世代が責任を持って創る。
人類のかかえる問題は決して簡単ではないが、
そこに立ち向かい、人を育て、人と連帯して、
新しい世界を創っていくのが私たちの世代の責任だ。

君たち4年生は次の世代の人材だ。
私たちが創った新しい世界の中でのびのびと学び、たくさんの知識を身につけ、
そしてその知識を生かして次の時代の価値を生み出す。
世界を平和と文化と安心の花咲く楽園にしていくために、学びに学んで力をつけよう!

人間は小さなことで満足してはいけない。
考えられる智慧をすべて使って、考えられないほど大きな夢を持ってこそ
自分の中から、自分の心の底から、
かくれていた本当の力がわき出てくるのだ。
夢というのは、自分だけの夢ではない。
世界を動かしていくような、世界中の人たちを幸せにしていけるような、
大きな大きな夢を持とう。
それが何なのか、はっきりしたものを今は持っていなくてもいい。
「世界の人たちのために自分ができることは何なのか?」と考えるだけで良いのだ。
その思考が、その行動が、君を自然に動かしてくれるはずだ。

2030年まで20年間。
今年2011年はそのスタートである。
30歳になった未来の君たち全員が、君たち自身の力で幸せをつかみ、
人のためにその力を使っている姿を夢見ながら、今日もまた君たちの前に私は立とう!
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俳句教育への理解をうながすマンガを読んで研修を積む教師チーム

私の勤務する小学校は、学校俳句研究会代表の小山正見先生から様々にご指導をいただき、3年間かけて俳句の教育に力を注いできました。その成果が各種俳句コンクールであらわれていて、今や東京都を代表する俳句学校となったと自負しています。昨年も今年も東京都教育委員会児童・生徒表彰に俳句の成果を出した児童を推薦し、さらにその予備軍までいるくらいです。今日時点では発表することができませんが、1月の終わり頃には、学校としてもとても大きな表彰を受けることが決定しています。

このような取り組みをしてきた私たち教員チームが、3年間の反省で最も多く出たことは、子どもたちの俳句を確実に見取り、より効果的に評価することのできる教員の実力をどう高めるかということでした。おそらく教員が俳句を通して、自ら楽しむことができれば道は開けるだろうと思った私は、昨年末に「校内大人俳句大会」を企画・推進してみました。その効果は大きく、教員の中には本気で入賞をねらい、練りに練って俳句をひねり出した人がたくさん現れ、その人たちがみごと入賞しました。この大人俳句大会が私の予想以上に盛り上がったので、年が明けた1月からは、保護者や地域をも巻き込んだ大々的なものにしようと企画拡大をねらっています。これこそ地域の「言語能力向上」を推進する力となることでしょう。

さて、題名にはマンガのことを入れました。こと俳句というと、難しく考えてしまいがちなので、我が校の教員はマンガで研修を積んでいます。今は「あかぼし俳句帖」を回し読みしているところです。私自身の今のおすすめは「ぼくらの17-ON!」です。高校生が俳句甲子園の優勝を目指して、俳句仲間とともに成長する姿は、俳句のことをそれほど分かってはいない我々現場の教員の姿ともかぶります。私が読み終わったので、来週から次の教員に回す予定です。このように、あまり、難しいことを考えずに、楽しいマンガで俳句に親しむことが、多忙な教師にはストレス解消にもなるかもしれません。そのようなメンタルヘルスまで考えての、私発信のマンガ研修であります。

あかぼし俳句帖 1 (ビッグコミックス)
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ぼくらの17-ON! (1) (ジュールコミックス)
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俳句トゥ ザ フューチャー (芳文社コミックス)
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俳句指導・・・積み重ねが本当に大事だと分かった

写真画像は、この記事とはまったく関係なく、なかなか手に入らない「ニャシュマロ」というお菓子の画像です。
期間限定販売のお店にわざわざ買いに行って、私の勤務校の職員全員に配ってみました。あまりにもかわいいので、「これは食べられませんよ~」という女性教員もけっこういました(笑)


さて、今日はバレーボールではなく、私の仕事の話題となります。
それもたまにはよいでしょう。
教育の話題を期待している方もたくさんいらっしゃいますから。

私の勤務校は、東京都言語能力向上拠点校という研究指定校として3年目の研究を継続しています。東京都言語能力向上拠点校という取り組みは、「古典文学の音読や暗唱、説明や討論等の言語活動を取り入れた授業の実施など、伝統的な言語文化の理解や、社会生活に役立つ言語の技能の育成を重視した具体的な取組を推進する。」というねらいのもとに、各校独自の研究を進めているものです。

勤務校では、古典的文学の推進については、「俳句指導」に力を注いできました。3年前の研究をスタートした時点では、「どうして俳句ばかりやらせるんだ」というご批判がけっこうあり、理解をしていただくまでに乗り越えなくてはならない山がたくさんありましたが、ねばり強く指導を続けることで子どもたちの言語能力がとても向上し、今では何かあれば俳句をひねることが当たり前の学校に成長してきました。

自校だけの取り組みに終わると自己満足になってしまいますので、江東区教育委員会学校支援課俳句指導担当の小山正見先生に直接ご指導を仰ぎながら取り組んできました。小山先生とは、2003~5年頃に江東区の学校ホームページ充実への取り組みを通して知り合い、以来様々にご指導を仰いできた私の教育上の師匠のお一人であります。小山先生は江東区内全小中学校の俳句指導を支援されている方でもあります。

小山正見先生のブログ「十分間俳句」

言語能力向上拠点校として俳句の研究に取り組むなら、外部のコンクールにどんどん応募することが、最も客観的に評価ができるというご指導通りに、我が校の子どもたちは年に何度もコンクールでの腕試しをしてきました。この12月、9月に応募した「角川ジュニア俳句」の結果が届きました。開けてみてビックリ。重要な入選作に、我が校の子どもたちが10人も入っていたからです。素晴らしい成果をおさめることができました。

バレーボールのプレー感覚が練習量と比例することと同じように、俳句作品を創ることについても、できるだけたくさんの俳句をひねることが、言語感覚向上に結びつきます。

新年に向けて、次の新たな俳句企画も考え済みです。学級担任ではなかなか実現不可能な取り組みになります。管理職という立場にあるからこそできることにチャレンジするからこそ楽しい。この新企画が実現し、成果を上げられたならば、取り組みをまとめた上で、教育界に発表してみようと思っています。
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順天堂大学「がん教育についての講演会」にパネラーとして登壇します

仕事の宣伝をします。

順天堂大学が開催する「がん教育に関する講演会」のパネルディスカッションに、小学校を代表して私・井上が登壇することになりました。
予定は次のとおりです。


がん教育に関する講演会
「がん教育を進めるにあたって」
(日時) 平成27年10月21日(水)18:00~20:00
(会場) 順天堂大学 本郷・お茶の水キャンパス センチュリータワー南棟10階
(内容) (1)開会挨拶 順天堂大学大学院医学研究科 新井 一 研究科長
     (2)基調講演1 「がんの基礎知識とがん教育の現状」 順天堂大学大学院医学研究科 臨床腫瘍学 加藤 俊介 教授
     (3)基調講演2 「今後のがん教育の在り方」 順天堂大学大学院医学研究科 分子病理病態学 樋野 興夫 教授
     (4)Open Discussion・・・私はここに登壇します
     (5)閉会挨拶 順天堂大学大学院医学研究科 呼吸器内科学 橋 和久 教授


☆ 申込書URL http://ganpro-ict-plan.jp/event/lecture/151021/data/151021.pdf 
10月13日(火)申込締切となっています。


現在、がん教育は全国70校が文部科学省指定のモデル校として授業研究をしています。また、医療の分野での研究も急ピッチで進められています。この成果をもとにして、平成29年度からは全国の小中高各学校で必ず指導する内容となる予定です。日本人の2人に1人またはそれ以上が、がんにかかる現実がある中で、早期予防や正しいがんの知識を得ること、さらには命を尊び、差別のない社会を実現するために、「がんを通して生き方を学ぶ」という教育にしていけたらよいのではないかと私自身は感じています。

大切な教育です。今回基調講演で登壇するお二人の先生のお話も、とても参考になるものであり、聞き逃すにはもったいない内容です。
参加費は無料ですから、ぜひお申し込みください。

【関連サイト】
がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン ~ICTと人で繋ぐがん医療維新プラン~
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授業とは、まずは子供の理解からだろう

1週間に1回更新するかしないかのブログになっているため、常連の方が離れてしまった感じがする今日この頃です。今しばらく副役職が続きますので、以前のような毎日更新は控えなくてはなりません。なにしろ某都道府県教育委員会の管理局から、今の立場からは「あまり具体的なことは書かないように」という指導も受けておりますもので。思い切り表現もできません。

それはそれとして、最近とても強く思うことがあります。授業=教育とは、誰のためにあるのかということからつながって、教師の満足のためにあるのではない。教師の考える通りに子供たちを枠にはめていくためにあるのではない。目の前にいる子供のすべてをいったん受け止めて、この子がいったい何を望んでいるのかを十分理解したところから教育は始まるのではないのか。そんな基本中の基本を、2007年問題(急激な世代交代の時代の始まり)が継続している今の時代は、何度も何度も確認する作業を繰り返す必要があるということを、毎日のように感じています。

このお手本となるのが、映画「みんなの学校」で紹介されている大阪市立大空小学校の教育実践だと考え、日々、自分の教育実践で試しています。

大阪市立大空小学校の取り組みを追ったドキュメンタリー!映画『みんなの学校』予告編


幸い、私の学校では、私の呼びかけに応じて、3月に渋谷で上映されたこの映画を、教員がたくさん鑑賞してくれました。目の前の子供から教育を考える土壌はできています。大空小学校から学ぶことは、何も特別な子供だけの教育観ではない、すべての子供のことに通じると考えています。次は私が、より効果的、具体的な指導方法を考え出せばいいだけです。「子供のために」を合い言葉に、教師としてまた一歩、上の段階に進むつもりです。
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志を立てること

NHK大河ドラマ「花燃ゆ」の中で、吉田松蔭が弟子たちに「きみの志は何ですか?」とたびたび聞きます。教育界の指導者の中には、このドラマの言葉をスピーチに活用して「志」にスポットを当てている方も多くいます。ここで、志について昭和11年から13年にかけて、教育哲学者の森信三先生が講義した内容を紹介します。

「諸君らは、もし真に志を立てたならば、いかに微々たりとはいえ、その人が一生をかければ、多少は国家社会のために貢献し得るほどのことは、必ずできるはずであります。かくして人生の根本は、何よりもまず真の志を打ち立てるところに始まるわけであります。」

「人間の活動を大体60歳頃までと考えますと、そのうち20歳までは志を立てる時代と言ってよく、すなわち将来国家社会のために役立つ人間になろうという志は、15歳頃から、遅くとも20歳までには確率せねばならぬのです。そしてそれから以後の20年は、いわば準備期と言ってもよいでしょう。」


まったくその通りだと実感します。私も18歳から20歳の間に立てた志のままに、教育こそが未来をつくる聖業であるとして生きてきましたし、そこから今までの期間で自ら修行をし、自分なりの授業、指導方法を作り上げてきたつもりです。また、その修行があってこそ、これからの新しい時代にあった教育方法にも抵抗なく取り組める気がします。

バレーボールの子どもたちにも、現場の教員にも、この「志」を考えさせるようにしたいと思っています。
バレーボールだったら、「チームのために貢献するために、自分が努力して成長するための志」を、自分の力で立ててほしい。

さあ、あなたの志は何ですか?

森信三一日一語
クリエーター情報なし
致知出版社
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辰巳ジャンプは「ボトムアップ指導法」を実践する数少ない小学生バレーボールチームになります

先週は練習を休みにし、京都まで日本体育協会指導者資格更新研修に日帰りで行ってきました。(写真は京都タワーから見た京都駅)

京都までの日帰り強行研修を組んだ最大の理由は、以前から私の関心事だった池上正先生(京都サンガ)の講演を聴きたかったからでした。研修では池上先生の「子どもたちに考えさせ、子どもたちに決めさせる」という指導方法に大いに共感しました。この研修に参加したもうひとつの目的は、広島県安芸南高校サッカー部監督の畑喜美夫先生の「ボトムアップ指導法」を学ぶことでした。畑先生は、この指導方法で強豪ひしめく高校サッカーの日本一を勝ち取っています。私がわざわざ京都まで足を運んだことは大きな意味があって、この研修受講の結果、辰巳ジャンプの指導方針を大変革することにしました。

まずは写真をご覧ください。

この写真は畑喜美夫先生が指導し、2006年インターハイで日本一なった広島観音高校サッカー部の荷物です。「勝利の神は細部に宿る」という考え方からこうした荷物指導をされている。それも「こうしなさい」とは決して言わない。問いを投げかけ、子どもたちに考えさせ、自ら行動できるように仕向けている。心を整え、人間力を磨き、日常生活全てで強くなる。良い習慣は良い結果をもたらす。このような考えから荷物指導が行われているそうです。

辰巳ジャンプでもさっそく教育実践開始。
今日の新チームの子どもたちの荷物は、私が体育館に行った時に、この写真のような状況でした。

そこでミーティング開始。まずは観音高校の荷物写真を見せる。

私からの問いかけ。
「この写真を見て、感じたことを発表しましょう。」
子どもたちからの意見。
「荷物がきれいにならんでいて、すごいと思いました。」
「私たちの荷物はいつもきたないと思います。」
「こういう荷物の置き方をするチームの方が強いと思います。」
写真を見せただけで、いろいろな気づきが生まれます。

私から、
「どうしてこの写真を見せたんだと思う?」
子どもたち。
「荷物をきれいにするためです。」
「荷物をきれいにできれば、他のチームもビックリすると思います。」
私。
「では、5分間時間を取るから、今自分が感じたことを行動にしてみよう。」
子どもたちは、「はいっ!」と返事をして行動開始。
その後、私が何も指示しなくても、荷物がこの写真のようになりました。

小学生の真っ直ぐな心というのは高校生以上だなと感心しました。

「さて、今は気持ちが切りかわったから荷物がきれいになったんだけど、これを3週間続けることを宿題にします。家でも荷物をきれいにすることを毎日やって、3週間すると習慣になります。楽しみにしているからね。」
保護者の皆さん、家の中までは私に分かりませんので、子どもたちが宿題を忘れているようでしたら、広島観音高校の荷物写真を見せてあげてください。


続いて、「ボトムアップ指導法」へ井上の指導が変わることを理解してもらうためのミーティング開始。
辰巳ジャンプは大人が「ああしろ、こうしろ」という「トップダウンのチーム」から、選手が練習や試合のすべてを考えて決め、私の承認を仰ぐかたちの「ボトムアップのチーム」になることを、いろいろな例え話をまじえなから説明。
「自分達で、今やらなくてはいけない練習を考え、『先生、こういう練習をする必要があるので、こういう球出しをお願いします』と言えるチームにしていこう。」
と投げかけ、意見を聞いてみると、子どもたちの声はこのような感じ。
「たしかに、自分達で練習を考えてやってみる方が面白そうです。」
「その方が私たちは強くなれそうです。」
「私たちで考えて練習すれば、バレーボールのことがもっと分かると思います。」
まとめとして私。
「このボトムアップ指導法は、小学生バレーボールチームではやっているチームを聞いたことがない。これからまずは1年かけて、辰巳ジャンプが実験をしていきます。そして、1、2、3年生で3年間かけて試してみます。日本では見たこともないチームになっていくと思うよ。」

主体的な意識になった子どもたちの行動はさっそく向上しました。自分達で筋トレをしなくてはいけないと決めたので、今までやったことのない「腹筋50回」にも挑戦しました。これまで私から言われてメニューをこなしていたトレーニングへの態度とは明らかに違いました。

「ボトムアップ指導法」
興味をもった指導者の方は、ジャパンライムサイトの「指導者.COM」にリンクしましたので、ご覧ください。
進化するボトムアップ理論

畑喜美夫 NO3~ボトムアップ理論~


サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法 (edu book)
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子どもが自ら考えて行動する力を引き出す 魔法のサッカーコーチング ボトムアップ理論で自立心を養う
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教師が変われば子どもは良くなる

勤務校の生活指導夕会で、ちょっと語ってみました。

「教師は最大の教育環境です。子どもたちを変えたいならば、自分自身が変わることが近道です。 今から私が言うことは、教師として、自己変革を簡単にできる方法です。3つの例を出しますから、自分自身を振り返ってみましょう。

①職員室の印刷機周りに、印刷用紙や原本がいつも置きっぱなしになっていますが、誰が片付けているか想像したことがありますか?

②紙ゴミを乱雑に捨てている方がいますが、そのゴミを次に主事さんが整理していることを想像したことがありますか?

③トイレの前に足ふきマットが置いてあって、いつも置き方が乱れていますが、整えている方はいますか?

今、自分のしていることについて、次の人が苦労をしない、自分のしたことの後処理に負われないようにするということは、想像力を働かせて行動すれば難しくないことです。こうした何気ないこと、ほんの少し想像力を働かせることに教師自ら挑戦することで、学級の子どもたちが劇的に変わるのです。教師という教育環境が整うからです。」

これを受けて、さっそく実践に応用してくれたのは、6年生担任の若手女性教師でした。嬉しい笑顔で語ってくれたのは、給食の片付けについて、「乱雑に片付けたら次の人はどうなるのかな?」と指導したところ、心ある子どもたちの行動が、給食以外にも改善された。「こうしたら、下級生は困るよね。」という発言が見られたということでした。

私たち教育管理職がすることは、こういうことが大事なんだなと学びました。
私が語ることで、一人の教師が自己変革してくれれば、その先にいる30人の子どもたちが救われる。

今後、大いに井上教育論を語ろうと思いました。
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映画 『みんなの学校』 ・・・これは必見です

『みんなの学校』劇場予告篇


この映画は実話です。
現実に大阪府の小学校が取り組んでいる学校教育のドキュメントです。映画の紹介にはこのような記事が書かれています。コピーさせていただきます。


大空小学校がめざすのは、「不登校ゼロ」。ここでは、特別支援教育の対象となる発達障害がある子も、自分の気持ちをうまくコントロールできない子も、みんな同じ教室で学びます。ふつうの公立小学校ですが、開校から6年間、児童と教職員だけでなく、保護者や地域の人もいっしょになって、誰もが通い続けることができる学校を作りあげてきました。
すぐに教室を飛び出してしまう子も、つい友達に暴力をふるってしまう子も、みんなで見守ります。あるとき、「あの子が行くなら大空には行きたくない」と噂される子が入学しました。「じゃあ、そんな子はどこへ行くの? そんな子が安心して来られるのが地域の学校のはず」と木村泰子校長。やがて彼は、この学び舎で居場所をみつけ、春には卒業式を迎えます。いまでは、他の学校へ通えなくなった子が次々と大空小学校に転校してくるようになりました。


現職の教師はみんな見るべき映画だと私は直観しました。 こういう学校経営もできるんだということをほんの少し映画サイトと学校サイトを見るだけで感じました。これからの公立学校教育を考えるときに、非常に参考になる事例だと思います。

渋谷で2月21日(土)から1か月間ほどしか上映されませんが、私はなんとしても見に行くと決めました。

大阪市立大空小学校サイト
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【副校長の仕事の楽しさ(2)】 人をそろえ、育てる

この立場でないとできない仕事が「人をそろえる」ということです。着任以来こだわり続けてきた「協力者の輪」のひとつが、現役大学生を学習指導補助員という立場のボランティアとして招くことです。今年の目標に設定していたのが月曜日から金曜日までの毎日、ボランティアさんが私の学校に協力をしてくれる状況を生み出すこと。その目標が、この5月前半で達成されました。総勢9名の女子大生たちが通ってくれるようになりました。今後さらに大きく輪を広げ、15~20名くらいの大学生ボランティアが活躍するようにしてもいいと計画しています。これだけの大学生たちが学校に協力をしてくれるのは、たぶん日本では、あまり例がないのではないかと思います。

私が力を注いでいるこの学校経営に、ピタッとマッチした運動を展開している学生団体を紹介します。

「ROJE(日本教育再興連盟)」の大学生さんたちです。

この学生NPO法人の目指すものは以下のとおりです。

日本教育再興連盟 (ROJE : Renaissance Of Japanese Education)は、「日本の教育をよくしていきたい」という強い思いを抱く各界のエキスパートたちが、全国の教職員の方々や、保護者の方々、企業や学生たちと共に立ち上げ、活動している団体です。子どもたちの豊かな成長のために、それぞれの強みを生かして行動し、それを互いに評価しあい、連動させていきます。教育活動のベストプラクティスを創造・発掘・発信することを通した、ボトムアップの教育改革、これが、私たちの目指すものです。


ROJEの志ある学生たちと力を合わせ、学生たちの思いを表現する場を提供してあげることで、やる気に満ちた学生たちは勇んで学校にかけつけてくれる。よく「鉄は熱いうちに打て」と言いますが、18歳から22歳の人生で最も大事な時期に、教育の現場を経験し、敏感な感性でつかみ取った財産は、学生たちの将来に必ず役に立つことは間違いないと信じています。

また、ROJEの大学生だけでなく、教育現場での経験を求める大学生たちはたくさんいます。すべて私の下で育てたい。10年後、20年後、30年後の日本を支えていくのが、今の大学生たちですから。
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この頃、次々と聞こえてくる声

ここ1、2ヶ月、このブログ記事について、教育関係者からたびたび言われることがあるのです。

「副校長になってから、学校教育について書くことがめっきり減りましたね。最近はバレーボールのことばかりですね。ちょっとさみしいです。」

今日も俳句教育のことについて、府中市の先生に連絡し、私の知らないことを教えてもらったのですが、やはり「教育のことを書かないのですか? 楽しみにしているんですよ。」とご要望がありました。

そうなると書かないわけにはいかないのかなぁという気持ちになりますし、私が教育のことを書くことで、何人もの方が前進できるのならば大義名分もできるかなと判断します。もともと誹謗中傷を書くようなことは細心の注意をはらってきましたし、個人情報に関してもできる限りの配慮をしてきました。私が教育のことを書けない状態にすることの方が、じつは重大な問題(表現の自由に対する人権侵害)だとも理解していました。そしてここ2年半、私は正直なところ表現の自由を奪われてきたと感じてはいます。なぜ教育管理職は自分の考えを表現してはいけないのか。そんなことはなく、言葉の隅々にまで責任をもって表現することまで制限されてはいないのです。問題になるのは、表現することで、それを是としない方々までにも配慮ができているかどうかということなのです。

方々から「教育について語ってほしい!」というご要望があがっている今、少しずつでも書き残しておく必要があると判断し、再挑戦を開始いたします。
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「勝利を目指す前に大切なことがある」(日本卓球協会 作成)

小学生スポーツの指導者は、自分が指導している競技からだけでなく、あらゆるスポーツの良い面を取り入れていく必要があります。そうすることで、指導者としての幅が広がることは間違いありません。今日紹介するものは、スポーツ指導者だけでなく、小学校の教師にもぜひ読んでほしい内容です。

この4月、日本卓球協会が渾身の思いを込めて作成した冊子があります。スポーツを指導する立場の方々に、ルールやモラルを学ぶこと、そして子どもたちに教えることの大切さをとても分かりやすくまとめています。さらに卓球協会はすごい!と思わせられることがあります。それは、この冊子が大人向けのものだけではなく、なんと子ども用の冊子まで作られたことです。日本卓球協会は長い年月をかけて、計画的にオリンピックや世界選手権でメダルを取れる選手、そしてマスコミの中でも引き立つスター選手を育ててきました。その一端が子ども向けの冊子にていねいに表現されています。この冊子を一目見れば、「良き選手である前に、良き人間であってほしい」という思いが伝わってきます。素晴らしい冊子です。辰巳ジャンプでもさっそく活用します。この記事を読んだ方は、ぜひダウンロードしてご自身の指導の糧にしてください。

啓発冊子「勝利をめざす前に大切な事がある」

この指導者向け冊子の最後に、有名な言葉が載っていますので、紹介します。


「子ども」  ドロシー・ロー・ノルト

批判ばかりされた 子どもは 非難することを おぼえる

殴られて大きくなった 子どもは 力にたよることを おぼえる

笑いものにされた 子どもは ものを言わずにいることを おぼえる

皮肉にさらされたこどもは 鈍い良心の もちぬしとなる

しかし、激励をうけた 子どもは 自信を おぼえる

寛容にであった 子どもは 忍耐をおぼえる

賞賛をうけた 子どもは 評価することを おぼえる

フェアプレーを経験した 子どもは 公正を おぼえる

友情を知る 子どもは 親切を おぼえる

安心を経験した 子どもは 信頼を おぼえる

可愛がられ だきしめられた 子どもは 

世界中の愛情を 感じとることを おぼえる


「あなた自身の社会」(川上邦夫 訳)より
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