BSE&食と感染症 つぶやきブログ

食品安全委員会などの傍聴&企業・学者・メディア他、の観察と危機管理を考えるブログ by Mariko

4月8日:OIEのコード改正に関する会議・委員の意見をPick UP

2005年04月15日 22時29分53秒 | アメリカ牛は安全か?
4月8日に行われたOIEの会議にて、
先日お知らせした、生きた牛の末梢神経からもプリオンの情報のほか、もう一点重要な点がありましたので、報告を。。(農水省のHPには、まだ資料UPされませんね)
http://www.maff.go.jp/soshiki/seisan/eisei/bse/bse_j.htm

先生方が質問して、官庁が回答していたのですが、OIEの「侵入リスク」には、鹿のプリオン病のCWDや羊のスクレイピーも含まれるとのことです。とすると、北米はCWDがかなり発生しておりますので、評価上かなり影響があるように私は思いましたがどうなのでしょう。

他にも、こんな内容の意見が出ていました。
★「ピッシングやスタニングの汚染ばかりが触れられているが、背割りや脊髄除去時の汚染も無視できるリスクではない。それらに触れないのは科学的とは思えない」
★「骨付きと骨なしで分かれているが、骨だけに重点を合わせるのがおかしい。骨だけが感染源ではない。末梢神経、副腎など、わからないSRMが見逃されてしまう。昔のままの古い知見による考えが続いているように思う」
★「【輸入国が要求できる】という点は、コードの中に”明記”文面化されているのか?」
★「”アクティブサーベイランス”は、ある程度しっかり汚染状況を調べたり対策を取ってから行われたこと。リスク不明な国でアクティブサーベイランスが機能するか疑問」
★「OIEの提言のポイント制によるサーベイランスだと、例えば米国の場合、ポイントの高い「症状牛」2~3000頭程度の(自己申告)検査でOKとされてしまう。ポイント制は意味をなさない」
★「効果的なフィードバン、の記載について、抽象的すぎる。具体的にどういうことかを記載すべき。自己申告では困る」
★「客観的に評価する機関?が必要」
★「食肉検査に「BSE検査」が入っていない」
★「発症牛と感染牛の扱いの違いがわからない。OIEの理論でいうと、日本の感染牛はすべて発症前なのだが。」
★「症状のない牛を真面目に検査している国のほうが、検査頭数が少ない国より不利になるのはおかしい」
★「健康牛の有病率こそが大事になってくる。日本の蓄積したデータを出すことが大切」
★「30ヶ月区切りには科学的根拠はない」
★「OIEのサーベイランスの診断方法は診断マニュアルがあるが、IHC,WBなど、検査方法に何の方法を使うかがはっきりしておらず、各国だのみ」
★「SRM除去については、評価の異なる国によってSRM除去要求の有無を分けるのはやめるべき。プリオンが肉骨粉になり、グローバルな輸出入で、世界中にBSEが広まる可能性がある。米国はアジアにかなり肉骨粉を輸出している。SRMは30ヶ月以上は全頭取るようにしたほうがいい。」
★「腸のSRM指定については、”科学的にはリンパ組織があり全腸が危ない”、ということなのに、SRM除去の方法の違いやら、EUが食べない云々などの問題によりコードが改定されることが、大きな問題だ。」

2005年6月21日訂正。この腸の話は、ちょっと違うニュアンスで言われていたみたいです?議事録が出たのでご覧ください。
http://www.maff.go.jp/soshiki/seisan/eisei/bse/h170408gijiroku.pdf
しかしながら「回腸近位部」なんかは「調べたことがない」んだそうです。それじゃ「感染性不明」が正解ですよねぇ。
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/c9037118b6ff953ec23f7963de33d244

なお、委員会の中には消費者代表の方もおられましたが、ぜひ消費者の代表として、がつん、と言っていただきたかったのですが、今回発言がございませんでした。

OIEのコードの位置づけについての政治的な側面からは、
http://www.sasayama.or.jp/saboard/b_board.cgi
[1046] Re: OIEのコードの位置づけについて
[1049] もっと娑婆臭くOIE基準をみてみると
掲示板のご投稿をご参照。。。

4 コメント

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Unknown (通りすがりのフリーター)
2005-11-25 00:38:10
「腸のSRM指定については、”科学的にはリンパ組織があり全腸が危ない”」と言いますのは、英国でvCJDを発症する8ヶ月前に切除した虫垂から異常プリオンが発見されたという所に端を発しているんだと思います(虫垂はリンパ系の組織です)。小腸の遠位部が危険だというのは、単に異常プリオンが小腸の遠位部(具体的にはパイエル板という、腸管の免疫機能を司るリンパ系の組織)でみつかったという事実に基づくもので、小腸近位部の安全を保障するという意味ではありません。パイエル板は確かに小腸遠位部で発達していますけれども、近位部にもあります。



それじゃあ、小腸近位部も危険なのか?と言われれば「現時点では分からない」というのが正解でしょう。気になるなら、食べなければ宜しいかと思います。



少々乱暴な物言いになってしまうのですが、交通事故で死亡する危険性とBSEから変異したvCJDで死亡する危険性とを比較すると、これは明らかに交通事故で死亡する危険性が高い訳です(日本で年間約1万人の方が亡くなっています)。そうしたリスクと比較してなお、食べることをためらうなら食べなければ良いと思います。



私はできる限り食べないよう努めるつもりです。少なくとも北米産の牛肉はね……。長くなってしまってすいません。汗)
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いっつも思うんだが (通るすがる)
2005-11-25 10:05:28
どうして獣医学系の人は人の公衆衛生の問題を一緒に考えられないかねぇ。。。



交通事故は1件発生してもそれから二次災害が起こることがないが、こういう病気は多数に影響するから問題なのに。



獣医の部門はこの程度のリスクだからOK,

人から人感染?そんなもの関係ありませんよ。知りませんよ、というスタンスで全く無責任に思える。

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Unknown (通りすがりのフリーター)
2005-11-25 21:45:16
えっと、家畜の方も大変ですよ、正直。それに、BSEについては「多数に影響するから問題」である点は家畜も同じ。そして、生体牛のリスクはそのまま食肉のリスクであると思っています。



でも上の文だけ読むと、確かに無責任に読めますね……。汗)



分からないことが多いのは事実。でも、分からないからこそ、異常プリオンが確認されなくともELISA陽性なら淘汰。その上で、ELISAの検出限界を下回る異常プリオンの蓄積を懸念して、ELISA陰性牛についてもSRMを除去することで食肉の安全性を確保してきた訳です。



ところが、ここへ来てプリオン調査会の論調が段々と変わってきて、SRMさえ除去すれば良い様な感じに傾き、最終的には「消費者がリスクを判断すれば良いことだ」という様な内容の答申(案)を出してきたので、それを受けて一消費者として「リスク」について「必要以上に過敏になる必要はないんじゃないか」という意味合いで発言したのです。



獣医領域でモノを言うのであれば「こんな状態で輸入解禁など、農水省や厚労省の姿勢がBSE対策当初の姿勢に矛盾しているとしか見えない」というのが本音。



しかし(実質的に)決まってしまったものを今さらどうこう言ってどうなる訳でもない。消費者が各自でリスクを考えるしかない。一人の消費者の立場として言うならば、交通事故よりはリスクが低いという事。でも、私個人の(消費者としての)判断としては怖いので食べない……という事です。
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食べたくない罠 (かつ)
2005-11-26 01:27:54
ここのブログのまとめだけど、人間の方もなかなか診断がつかないようだし。



アルツハイマーとヤコブ病の誤診・集団発生など、情報リンク

http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/c094e704f8b3b1260ca616eb4c1dcb97



本当に自動車よりリスクは低いのかね?

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