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新国立競技場 有識者会議

2015年07月18日 21時45分45秒 | 新国立競技場
有識者会議の責任 ~国立競技場将来構想有識者会議~




 「各界を代表する学識経験者や実務経験者などで構成される会議。主として国・地方自治体などの諮問機関として設置される。経済界・学界・関連団体・文化人・マスコミなど多様な分野を代表する識者が選ばれ、幅広い観点から議題について検討する」(出典 デジタル大辞典)
“有識者”とは、幅広い“見識”と“知性”、豊富な“専門知識“、そして“信念”を持ち合わせている人をいうのであろう。

■「国立競技場将来構想有識者会議」(有識者会議)発足
 2012年1月31日、日本スポーツ振興センター(JSC)は、ラグビーワールドカップ2019大会と2020年東京オリンピック・パラリンピックの招致活動を目的として、国立競技場の将来構想について審議するために「国立競技場将来構想有識者会議」(有識者会議)を発足させた。



 日本のスポーツ界を代表する“そうそう”たるメンバーで14名で構成されている。
 安西祐一郎(日本学術振興会理事長)▽安藤忠雄(建築家)▽小倉純二(日本サッカー協会名誉会長)▽佐藤禎一(元文部事務次官)▽鈴木秀典(日本アンチ・ドーピング機構会長)▽竹田恒和(日本オリンピック委員会会長)▽張富士夫(日本体育協会会長)▽都倉俊一(日本音楽著作権協会会長)▽鳥原光憲(日本障がい者スポーツ協会会長)▽馳浩(スポーツ議連事務局長)▽舛添要一(東京都知事)▽森喜朗(東京五輪・パラリンピック組織委員会会長)▽横川浩(日本陸上競技連盟会長)▽笠浩史(東京五輪・パラリンピック推進議連幹事長代理)=敬称略、五十音順


■最後の議論の場
 2015年7月7日、激しい批判にさらされた新国立競技場の建設計画を巡って、「最後の議論の場」となる“有識者会議”が開催された。
「2520億円」という当初計画の「1300億」の約倍に膨れ上がった建設経費やデザイン案維持への納得のいく説明がされないまま、責任の所在もあいまいなままで進めらてきたこことに世論の批判が殺到していた。JSCが施工業者と契約する7月上旬までに公で行われる「最後の議論の場」にもなるだけに、多くのキーマンが顔をそろえ、JSCの諮問機関の役割を果たす有識者会議がどう意見を集約するかが注目されていた。
 JSCはこの会議で、総工費が基本設計段階から900億円も膨らんだ経緯や本体工事と周辺整備費の内訳、維持・管理費の見通しなどを説明し、「10月着工」、「2019年」完成で、工事着工に向けた「大きなステップ」(JSC)として、建設計画について了承を得たい考えだ。
“有識者会議”は、文科省の管轄下にある日本スポーツ振興センター(JSC)の理事長の私的諮問機関であり、あくまで“意見を集約”する場で、議決する場ではない。会議の出席者が順番に各人の意見を述べる場だとされている。
しかし、建設計画の了承には、出席委員の過半数の支持が必要になるとされ、仮に支持が過半数に達せず、“承認されず”となれば、建設計画を前に進めるのは事実上不可能だろう。
 なお有識者会議には、安西祐一郎氏(日本学術振興会理事長)と安藤忠雄氏(建築家)が欠席した。新国立競技場のデザインを選定した国際デザイン・コンクールの審査員長を務めた安藤忠雄氏は、この日、大阪で所用があったとして、欠席した。


■ “全員一致”の“了承” 「有識者」の責任
  会議では、日本オリンピック委員会の竹田恒和会長が、五輪招致で安倍晋三首相が「このスタジアムを造る」と発言したことに触れて「国際公約を守るのは重要」と指摘するなど、スポーツ界の重鎮からは計画推進を求める声が相次いだ。
 「膨れる不安にも説明が必要だ」と膨らむ総工費に疑問を投げかけたのは、「東京五輪・パラリンピック推進議員連盟」幹事長代理の笠浩史衆院議員(民主)だけだったという。委員からは逆に、「(ピッチサイドの移動席が)仮設ではサッカーW杯を招致できない」(日本サッカー協会の小倉純二名誉会長)、「屋根がないことで外国人アーティストと長期契約が結べない」(日本音楽著作権協会の都倉俊一会長)との注文が相次いだ。
出席者によれば、「『2520億円』の金額の根拠について、JSCから十分な説明はなかった」とか、「どの時点で計算が違ってきたのか、説明がないのでみんな驚いていた」(週刊文春 7月23日号)としている。
会議を締めくくったのは森喜朗東京五輪組織委員会会長で、「(総工費は)極めて妥当なところ」とし、これを受けて、河野日本スポーツ振興センター理事長が「異議なしで宜しいでしょうか」と述べて(週刊文春 7月23日号)、「2520億円」の「基本計画」は“全員一致”で“承認”され、会議は1時間あまりで終わった。

 「有識者会議」で“全員一致”のゴーサインが出て、わすか10日後、安倍首相は、一転して「白紙撤回」を表明したのである。
 多様な分野を代表する“識者”で構成され、幅広い観点から、“見識”と“知性”を持って“議論”をして、意見をまとめるのが“有識者会議”だろう。豊富な“見識”と“知性”の元に、“信念”を持って、JSCの「2520億円」の建設計画を“了承”したことを忘れていはならない。「有識者会議」の全員一致の結論が、安倍首相の“鶴の一声”で覆されたのである。“信念”を持って、「2520億円」の建設計画を“支持”したなら、「有識者会議」のメンバーはなぜ反論をしなのだろうか? それとも“信念”も何も無く、世論の批判には一切耳を閉ざし、“了承”したのだろうか? 
 どちらにしても、“有識者”の“看板”が泣いている。“見識”と“知性”と“信念”を持ち合わせているのが“有識者”だ。唖然である。
 2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催で、これから先の50年、100年の“レガシー”(未来への遺産)を残すことが求められている。
 先が思いやられると憂慮するのは筆者だけであろうか?





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2015年7月18日
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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
E-mail thiroya@r03.itscom.net  /  imssr@a09.itscom.net
URL http://blog.goo.ne.jp/imssr_media_2015
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