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パリオリンピック2024 Paris2024 開催経費 高額チケット批判 テロの脅威 警備

2024年05月17日 16時27分54秒 | パリ五輪2024
“Games where everyone can participate”を掲げてパリ夏季五輪大会開催


セーヌ川開会式  出典 Paris2024
 パリ五輪2024は、7月26日から8月11日まで開催され、32競技329種目が行われ、参加選手数はTokyo2020より約600人少ない1万500人に絞った。男女それぞれ5250人で、五輪史上初めて男女同数の大会となる。
 前回のTOKYO2020は、新型コロナのパンデミックの影響で無観客試合となったが、コロナも収束して、再び満員の観衆を前にして熱気を取り戻した五輪大会となる。
 主要競技会場は、、セーヌ川に沿って集中的に行われ、エッフェル塔やグランパレ、コンコルド広場、アンバリッド廃兵院などのパリを象徴する歴史的ランドマークが利用される。
 異色なのはサーフィン会場、タヒチのティーポオで開催され、史上初の海外開催となる。
 合計41(39)の競技会場が整備されるが、95%が既存または仮設施設利用する。新設はアクアスティックセンター(Aquatics Center/Sant-Denis 6000席 アーティスティックスイミング、飛び込み、水球)とスポーツクライミング( Le Bourget Climbing venue/Saint-Denis)の2競技場のみだ。
 オリンピック選手村は、パリ北部のサンドニに約20億ユーロ(約3200億円)を投じて建設された、約70%が民間資金で、公的資金は6億5000万(約1000億円)ユーロが投入された。
 大会期間中は約14000人の選手や関係者の宿泊施設となる。大会終了後は2220戸以上の一般市民用の住居と770戸以上の高齢者や学生向けの住居が設けられ、医療施設や学校も整備されて約6000人が暮らすニュータウンとなる。また約6000人が働くオフイススペースも整備される。
 開催経費は、インフレの影響で当初予算から約35%増加し、組織委員会予算で約44億ユーロ(約7400億円)、競技会場やインフラ整備を担当するオリンピック施設庁(SOLIDEO)予算で約45億ユーロ(約7600億円、合計89億ユーロ(約1兆5000億円)程度とされている。
 ちなみにTokyo2020では組織委員会経費が6404億円、国や東京都が7834億円、計1兆4238億円、ほぼTokyo2020と同額の開催経費となった。
 開催都市が選べる追加競技は、ブレイクダンスが初採用された。スケートボード、スポーツクライミング、サーフィンはTokyo2020に続いて採用したが、野球・ソフトボールと空手は実施しない。若い世代の重視を強調した戦略だ。
 Paris2024の最大のハイライトは、史上初のセーヌ川(River Seine)で開催される開会式、206 の国と地域の選手や関係者、数千人を乗せた100隻(当初計画は160隻)以上のボートが、セーヌ川を約6km(4マイル)航行、ルートにあるパリのランドマーク、ノートルダム寺院、ルーブル美術館、オルセー美術館、、ポンヌフ(パリ最古の橋)、コンコルド広場、グラン パレ、エッフェル塔を通過する史上、最も華やかな開会式になる。 当初計画では「開かれた大会」を目指して、空前の60 万人以上の観客動員を計画したが、警備の難しさから32万6000人程度(有料席10万4000人、無料席22万2000人)に半減された。
 パレードの出発地点のオステルリッツ橋(Pont d'Austerlitz)から最終地点のエッフル塔前のイエナ橋(Pont d'Iena)の間の川岸下部エリアはチケットの購入が必要な有料席、川岸上部エリアは組織委員会の招待者専用無料席が設置される。当初計画にあった市民が自由に出入り可能な席は無くなった。
 そして観客のためにルートに沿って 80 の巨大なスクリーンが設けられる。
 またエッフェル塔の向かいにあるトロカデロ広場(Trocadéro square)には数十人の各国首脳と政府や国際機関の関係者、約200人が出席する予定だ。
  Paris2024では、「オリンピック史上最も壮観でアクセスしやすいセレモニー」になるだろうと語った。まさに世界に冠たる観光都市、パリを前面に押し出した大会となる。

Paris2024開会式  出典 Paris2024

唯一新設したアリーナ、オリンピック・アクアスティック・センター(Aquatics Center/Sant-Denis 6000席) 出典 Paris2024

唯一新設したアリーナ、オリンピック・アクアスティック・センター 出典 Paris2024

パリの象徴エッフェル塔前の公園 ビーチバレー競技会場 出典 Paris2024

パリの代表的な歴史遺産 グランパレ(Grand Palais) 1990年パリ万博会場として建設 4億6600ユーロ(約760億円)をかけて大改修 フェンシングとテコンドーの競技会場 出典 Paris2024  

シャネルが2500万ユーロの協賛金を改修費用に拠出  出典 Chanel

ベルサイユ宮殿 馬術競技会場 出典 Paris2024

異例の展開 2024夏季大会招致
 Paris2024が決まったのは、極めて異例の展開の中で行われた。
 2024年夏季五輪大会に最終的に立候補したのは、ブダペスト、ローマ、ロサンゼルス、パリの4都市だった。パリは1924年パリ五輪から100周年の節目の年の開催を目指した。
しかし、暴騰する開催経費の懸念や住民の反対運動などでブダペスト、ローマが相次いで撤退し、結局残ったのはロサンゼルス、パリの二都市となってしまった。
 国際オリンピック委員会(IOC)は、住民の理解が得られず五輪大会の開催地に手を挙げる都市がいなくなることに危機感を抱き、立候補したパリとロサンゼルスを24年と28年の2大会の開催都市に振り分ける異例の同時決定を行った。
 IOCはどちらの都市が先に開催するかは、二つの都市で話し合うことを求め、その結果、「100周年」を掲げるパリが24年、ロサンゼルスが28年開催で決着した。
 IOCのしたたかな戦略が浮かび上がる。

マクロン仏大統領とバッハIOC会長  出典 IOC Media

高額批判殺到 Paris2024のチケット
 Paris2024組織委員会は、1350万枚(約1000万枚は一般市民に売り出し)のチケット販売で約12億7000万ユーロ(約2100億円)(ホスピタリティパッケージを含む)の収入を得ることを想定、これは組織委員会予算の約44億ユーロ(約7260億円)の約3分の1に相当する。組織委員会の予算を黒字にするためには、スポンサー収入(12億2600万ユーロ)と並んでチケット収入の確保は必須となっといる。その結果、2012ロンドン大会や東京2020を上回り過去最高の高額チケットになったと批判が集まっている。
 Paris2024では"Games Wide Open" を掲げて多くの市民にオリンピック競技を観戦してもらいたいとしてチケットの価格設定をしたとしている。
 このの象徴として100万枚のチケットが24ユーロ(約4000円)で提供される。しかし約半数は国が買い上げて地域社会にに割り当てられ、一般市民向けに販売されるのは約半分にとどまる。一般市民向けの販売されるチケットのほぼ半分は50ユーロ(約8250円)になるとした。
 組織委員会のエスタンゲ会長は、「大規模なコンサートを見に行くと、チケットは数百ユーロかかる。遊園地に行ってもほぼ同じだ」とし、「オリンピックは100年に一度。地球上で最も偉大なチャンピオンであり、価値がある」と述べた。
 またエスタンゲ氏は、セーリング、7人制ラグビー、ゴルフ、フットボールのチケットはまだ24ユーロで、あらゆるスポーツで24ユーロのチケットが100万枚あるとした。そしてパリ2024大会は第1段階で販売されたチケットの平均コストが74ユーロ(約1万2210円)で、チケットの50%、500万枚のチケットは50ユーロ(約8250円)以下だと、「2012年のロンドンよりも『高くはない』」と語った。
 チケットの販売は158の国と地域で行われ、3分の2はフランス国内である。

 セーヌ川開会式の座席の価格は90ユーロ(約1万4850円)から2,700ユーロ(約17万5500円)。開会式のチケットは合計7万枚が販売される。
 VIP スタンドの価格はフロアで 5,500 ユーロ (約90万円) 以上、最高価格はクルーズ船からセーヌ川のスポーツ代表団を間近で見ることができるプレミアムシートで25000ユーロ(約375万円)。

 2023年3月、仏メディアが実施した世論調査では、フランス人の82%がパリ2024年のチケットは高すぎるとし、79%が発券プロセスが煩雑すぎると考えていることが明らかになった。
 批判が集まっているのは980ユーロ(約16万1700円)で販売された陸上競技のチケットである。
 世界陸連のセバスチャン・コー会長は、Paris2024noチケットは「高価」であるとし、「私たちのスタジアムがオリンピックに参加する余裕のある人だけでなく、私たちのスポーツを愛する人々で満たされることが重要だ」述べた。選手の家族が来年の五輪でキャリア最高の瞬間を逃すのではないかと懸念していると述べた。
 その一方で、「たとえチケット代が高価であっても、スタジアムを満員にするために全力を尽くすのが私の責任だ。Paris2024が国際競技連盟にとってもファンにとっても最も費用がかかる大会になることを受け入れなければならない」と弁護した。


出典 Paris2024
 第1段階の売り出しは、2023年2月23日~3月11日まで、300万枚が発売された。
 チケットの購入申請者は、同時に 3 つのイベントの入場券を購入することが義務付けられた。第1段階で325万枚のチケットパッケージを販売を達成、これは目標数字を25万枚上回った。
 チケットの価格は、格安の24ユーロ(約4000円)が13%、100ユーロ(約1万6500円)未満が70%、200ユーロ(約3万3000円)未満は4.5%で、数百万枚が50ユーロ(約8250円)程度だった。

チケット売り出しプロセス 出典 おr

 第2段階は5月11日に開始、全スポーツの150万枚のシングルチケットと開会式と閉会式を発売した。約10%が15万枚を24ユーロで販売し、200ユーロ(3万3000円)以上のチケットが10パーセントある。第一段階と第二段階で、発売される1000万枚のチケットの内、約半分が販売されることになる。
 ブレイキング、スケートボード、BMXの決勝戦のチケットは50ユーロ(約8250円)、手に入る。バスケットボールの決勝戦では、 95 ユーロ(約1万6000円)陸上競技では、最高料金が980ユーロ(約16万円)の3つのセッションがあり、特別な夜の陸上競技は125ユーロ(約20万円)である。
 セーヌ川開会式の座席の価格は90ユーロ(約1万4850円)から2,700ユーロ(約17万5500円)、スタッド・ド・フランスでの閉会式は250ユーロ。

 第3段階は2023年11月30日に開始、パリ地域のイベントの37万枚以上を含む40万枚のチケットが発売された。これまでに約1000万枚の内、約720万枚が売れている。
 発売されたチケットは、サーフィンを除く全種目で、1/3 は 50 ユーロ以下、ほぼ 2/3 は 100 ユーロ未満の価格である。
  40 万枚のチケットのうち約3万枚が陸上競技、2万4千枚がテニスである。
 組織委員会はパラリンピックのチケット280万枚の販売する計画だと発表した。。

出典 Paris2024
 最終段階の売り出しは2024年4月に開始、25万枚を売り出した。半数以上が100ユーロ未満で、その中に24ユーロのチケットが約2万枚含まれる。
・ベルサイユ宮殿の庭園で行われる馬術イベントは9000枚、24 ユーロから 420 ユーロ
・アクアスティック・センターの水泳は 15万000枚、価格は 24 ユーロから 980 ユーロ
・ベルシー アリーナの体操競技は 1万枚、24 ユーロから 690 ユーロ
・エッフェル塔スタジアムでのビーチバレーボールは3万5000枚、24ユーロから420ユーロ
・ローランギャロスでのテニスは 1万2000枚、24 ユーロから 420 ユーロ
・グラン・パレの柔道は2000枚、24ユーロから380ユーロ
・ サンカンタンアンイブリーヌ競輪場のトラックサイクリングは2000枚、24ユーロから380ユーロ
・パリ南アリーナ(ポルト・ド・ベルサイユ)の卓球は 1万2000枚、 24 ユーロから 280 ユーロ
・セーヌ川での開会式は90ユーロ、スタッド・ド・フランスでの閉会式は250ユーロ

 物価高騰で開催経費が増加し、収支のバランスを維持するのに苦戦するParis2024、チケット収入をあてにせざるを得ない中で、高額チケットの批判の市民の反発は頭が痛い深刻な問題である。根源的な問題は毎回、肥大化するオリンピック大会、スリム化に舵を切らなければ解決策は見当たらない。


出典 Insidethegames
テロの“悪夢”
 華やかな国際都市パリは、テロの脅威に常にさらされている都市でもある。
 2015年11月に発生したパリ同時多発テロ事件の強烈なインパクトが今でも残る。
パリ市街と郊外(バンリュー)のサン=ドニ地区ので、イスラム過激派よる銃撃おや爆発が同時多発的に発生し、死者130名、負傷者300名以上の犠牲者を出した大惨事となった。
 爆発が起きたサン=ドニにあるスタジアム、スタッド・ド・フランスでは、男子サッカーのフランス対ドイツ戦が行われており、フランスのオランド大統領とドイツのシュタインマイアー外務大臣も観戦していたという。
 フランスの治安専門家は、「オリンピックは治安リスクの悪夢になるだろう」と述べている。
 Paris2024には、世界各国から1,200 万人の観光客が訪れるが、その安全を確保すると共に、オリンピック選手村や競技場エリアに出入りする大会関係者を監視しなければならない。
 最大の問題は、セーヌ川で開催される開会式である。当初は60万人(その後30万人に半減)を超える観客が殺到することが予想され、「無差別テロ」のリスクは極めて高い。
 フランスは、テロの脅威からParis2024を守るために、毎日、約4万5000人のフランス警察と治安部隊、2万~3万3000人の民間警備員、約1万5000人の軍隊を動員、史上最大規模の警備を実施する。
 セキュリティ経費の膨張も悩みの種で、3 億 2,000 万ユーロ (約450億円)に増加し、ウクライナ戦争の泥沼化に伴う治安情勢の悪化で、さらに増額する可能性が大きい。
 一方、フランスの国内情報機関DGSIも警察や治安部隊を支援するために、特別なオリンピック情報センターを設立し、総力戦でテロ対策にあたる。
 テロの脅威からParis2024をどう守るか、フランス警備当局に最大の試練が待ち構えている。

ドローン・テロの脅威
 フランス国防省は、Paris2024向けレーザー兵器システムのプロトタイプを 配備する。
 このシステムは「HELMA-P」と呼ばれる対ドローン用レーザー兵器システムで、強力なレーザー ビームを発射して、ミニまたはマイクロ ドローンを無力化することが可能だ。
 またアンチドローンシステムには、ドローンの位置を特定するのに役立つレーダーや無線周波数センサーも含まれている。
 セキュリティ専門家は、ドローンの脅威は近年、オリンピックなどの大きなイベントなどで指数関数的に増加しているとしている。

 2024年3月、フランス・パリ近郊のヴィラクブレー軍空軍基地で、夏季オリンピックの開催に先立ち、対ドローン防衛装備、対ドローンライフルの演習が行われた。
 フランスは無人機対策部隊の支援を受けて大会の安全確保に向けてあらゆる手段を講じる。ィラクブレー軍事基地は、ドローン対策調整センターの本拠地となり、警察、憲兵、陸軍将校が連携してドローンの脅威を封じ込める。
 ドローン対策調整センターでは、「他の目的使用されたドローンを兵器に変えるのは容易だとうということを痛切に感じている」と話す。
 セキュリティ担当者は、オリンピック会場の地上でレーダー、カメラ、妨害アンテナを備えた対ドローンユニットを配置してオリンピック期間中に航空交通を監視する。危険なドローンを識別して、数キロ離れたドローンを無力化する。
 ドローンの無線信号をスクランブルしたり、レーザーで撃墜したりする対ドローンライフルも自由に使用することが可能だ。
 対ドローン作戦が難しのは、「ドローンはメディアだけでなく、一部の競技では審判にも使用されているため、完全に禁止することはできないことだ」と話す。
 フランスの警備責任者は、武器や爆発物のテロの脅威に対しては相当程度、警備が可能になってきたが、「ドローンはまったく新しい脅威だ」と述べ、「戦場でない市街地に爆発物を積んだドローンが登場するのは初めて、この脅威が現実になるかどうかは分からないが、阻止するのは最も難しい。」と述べた。
 ドローン攻撃に対抗するための新しい防空技術は、ラグビーワールドカップ・フランス大会で試験導入された。
 開会式はセーヌ川の全長6キロメートルに沿って3時間以上かけて行われ、200カ国以上からの選手や関係者を乗せた約100隻のボートが参加する史上初の競技場外の開催となる。国家元首や政府首脳を始め30万人(当初は60万人)の観客がこのルートに集まる。川沿いには80の巨大スクリーンが設置され生中継される。開会式はテロ攻撃の格好の標的になる懸念が大きい。
 またマラソン、パリ市庁舎をスタートし、ルーヴル美術館、ヴェルサイユ宮殿、エッフェル塔などの歴史手的名所を巡る42.195kmのコース、まさにパリが世界に誇る観光名所をアピールする狙いが込められている。五輪マラソンと同一のコースで市民参加マラソンも行われるのも目玉だ。
 しかし、その警備は極めて困難なものとなりそうだ。

警備の主役は街中に設置された無数の監視カメラとAIテクノロジー プライバシーとセキュリティのバランスで議論噴出。
 警備当局が重要視するのはスマートカメラ監視システムをパリ市内に無数の設置することである。
 不審な動作を発見する大規模なリアルタイム・AI監視カメラシステムの導入に期待をかけている。
 AIアルゴリズムによってサポートされるこのシステムを有効に機能させるためには「監視権限拡大」が必要となる。警戒すべき群衆の動きなどの不審な行動や放置された不審な荷物を発見するアルゴリズムや顔認識テクノロジーを作動さなければならない。
 しかし、不特定多数の群衆を監視するAI監視カメラはプライバシー侵害、フランスが「監視国家」に変貌してしまうのではないかと懸念も強まっている。「オリンピックはセキュリティ技術業界が長年待ち望んでいた措置を通過させるための口実として利用されている」という批判が強まっている。
 マクロン大統領は、多数の議員らが懸念を表明したことを受けて、フランス政府はすでに顔認証技術の導入は撤回した。 また、国のデータ保護当局と最高行政裁判所から、導入にあたってはより多くのプライバシー保護手段を組み込むように命令された。
 その上でリアルタイム・AI監視カメラシステムの導入は、「実証実験」として実施することを認める法案が通過した。「実証実験」は9月と10月にフランスで開催されたラグビーワールドカップから始まり、Paris2024大会終了から10か月後の2025年6月に終了する計画である。
 この法案ではスポーツ・イベントだけでなく、通常のイベントや文化的な集まりについても適用されるため、オリンピック後に「実証実験」が終了した時に監視カメラに搭載された AIデバイスをどうするかが問題になりそうだ。
 AI監視テクノロジーのソフトウェアは、Atos、Idemia、XXII、Datakalab などのフランス企業が提供可能としている。
 テロの脅威に対してリアルタイム・AI監視カメラシステムは果たして有効に機能するのだろうか。

マクロン大統領 テロ警戒レベルを最高水準に引き上げ、モスクワ乱射事件受け
 2024年3月、マクロン大統領はモスクワで発生した銃乱射事件を受け、フランスの警戒レベルを最高に引き上げると発表した。この決定は「”イスラム国」(IS)”が犯行声明を発表したことと、わが国に対する脅威の増大を受けたもの」と説明し、犯行声明を出したISの組織は「フランス国内でもこの数か月、複数回テロを企てようとした」ことを明らかにして危機感をあらわにした。
 フランスのテロ警戒レベルは3段階あり、最高レベルは国内外でテロが発生した場合と、テロ発生の危険が迫っているとみなされた場合に発動される。鉄道の駅や空港、宗教施設などの公共の場における軍による巡回強化といった例外的治安措置が認められる。
 フランスでは2023年10月、ガザ地区で軍事衝突が発生した直後、高校教師がイスラム教徒の男に殺害される事件が発生、このとき3段階ある警戒レベルを、最高水準に引き上げたが、その後、引き下げという経緯がある。

マクロン大統領、セキュリティ上の懸念あれば会場変更も パリ五輪開会式
 2024年4月、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は、セキュリティ上の脅威が生じた場合、Paris2024の開会式会場がセーヌ(Seine)川からスタッド・ド・フランス(Stade de France)に変更される可能性があると述べた。
 マクロン大統領は選手団がボートでセーヌ川をパレードする代わりに、式典をトロカデロ広場(Trocadero Square)」の建物内に限定するか、あるいは「スタッド・ド・フランス」に移すこともできる」と語った。 ウクライナ戦争やパレスチナ自治区ガザ(Gaza Strip)での戦闘が激化しているが、大会組織委員会(COJOP)は開会式が別会場に変更される可能性をこれまで否定していた。  
 大統領は「この開会式は世界初だ。私たちにはできるし、やるつもりだ」とししながら、会場を変更する「プランBやプランCがある」と述べ、「リアルタイムで分析を行う」とした。
 フランスの“夢と野望”を背負った2024パリ夏季五輪、“華麗”と“安全”狭間で7月26日の開会式まで苦悩が続く。



 



2024年5月15日
Copyright (C) 2024 IMSSR

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廣谷 徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute(IMSSR)
President
E-mail
imssr@a09.itscom.net
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