建築設計者の日々是好日

建築家として感謝をもって生きる日々の記録

住宅の設計施工一括請け負いで起きている問題と建築主の不利益

2014年12月05日 | 建築
住宅の設計施工一括請け負いで起きている問題がある

設計事務所登録もしている施工会社が設計者となり施工も請け負うことは法的には問題がない
ところが、設計事務所登録をしていないため(していても同様だが)、設計を他の設計事務所に依頼して建築確認申請では設計者は別で、施工のみ自己名義として、設計施工一括請け負いするケースがある
設計者欄には設計事務所の名前が記載され、施工者欄に施工会社の名前が記載され法的には設計監理責任は設計事務所に帰すことになるわけである
しかし、ほとんどの場合は建築主と設計事務所との間で設計委託契約は取り交わされず(素人は設計施工一括で設計を下請けに出していると思っているので)、施工会社が下請けとして建築確認を取る為にだけ設計事務所を利用するケースが目に付く
建築主から見ると設計者は設計事務所であり、施工は別の法人であるはずなのに、設計料が設計事務所に直接支払われることはなく責任の所在が曖昧だ

どういうことが起きているか?
設計のみ下請け的に事務所にやらせて設計料を支払い、監理業務はやらせないで施工会社が勝手に自分の都合のいいようにすすめるという事態がおきる
設計事務所は依頼されていないものをやるわけにはいかないし、やる必要もない
工事の進捗に必要な設計内容の確認が設計監理者によることなく工事が進められるばかりでなく、工事完了時の完了検査を受けずに(工事中に問題があれば検査が通る訳はないので)引き渡され、使用開始されるケースが非常に多い
これは、建築基準法違反ではないのか?

後になって違反状態が露見するのだが、完成当時は素人である建築主は知る由もない
建築主が増築をしようとしたときに、検査済み証がないために申請も出せず許可が下りずに不利益を被ることになる
時間が経っている為に建設会社が倒産でなくなったり、設計事務所も閉鎖していて責任を問うことが出来なくなっているケースもあるだろう

これは誰が責任を負うべきなのか?
設計者なのか?施工会社なのか?
設計者は頼まれた設計だけをやったと主張するだろう
その上、建築確認申請では、「設計者」に加えて「代理者」という欄がある
建築確認申請を行う代理者という意味である
この代理者の責任は?
なおわかりにくいのは、建築確認申請書で、(設計)監理者という欄があるが、これに設計者が記名しているのがほとんどだが先に述べたように実際には監理していない
設計監理者は監理報告責任から逃れることは出来ないはずだ

当面は検査済み証を取得しないで建築主に引き渡すことを厳しく処分するしかないと思う
一般向けに検査済み証がない建物に入居することは違反であることを法律で明示し広報するべきだ
一般の方にはわかりにくい建設業法、建築基準法、建築士法を一挙に整理統合して建築に係る法律の再整備を急ぐときだと感じる

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