いちごわさびの徒然草

アニメ大好き! ガンダム大好き! そんなこんなを徒然なるままに・・

<第55話>情報戦・・ / [小説]ガンダム外伝

2012-01-31 08:12:43 | [小説]ガンダム外伝

<ここまでの話>
【第1部】
<第1話> から <第24話>までのリンク
【第2部】
<第25話> から <第46話>までのリンク

【第3部】
<第47話>月面着陸・・
<第48話>敵か味方か?
<第49話>アロー市自衛軍
<第50話>大丈夫だよね・・
<第51話>フォン・ブラウンへ・・
<第52話>セカンド・ルナ
<第53話>スパイ容疑・・
<第54話>特務の内容・・
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「少々トラブルがあって、コンタクトが遅れたが・・ 例の・・ グラナダに新たな動きがあるか?」

「あるある♪・・ 
 今、裏を取ってるんだけど、ちょっとやばいよん
 まだ、キシリア少将の『パープル・ウィドウ(チベ級)』は、帰ってきてないんだけど・・
 キシリア不在の中、ルーゲンス司令が射殺されたって情報が入電・・ 反乱かな? これ調査中!
 そして、今日は定期便や輸送艦以外に3隻の戦闘艦船がグラナダを出航してるね
 この3隻の戦闘艦については行き先を調査中だけど・・ まぁ後情報は無いかもね・・
 ただね・・ その中の1隻はフォン・ヘルシング大佐の『グラーフ・ツエッペリン(チベ級)』なんで
 こりゃ、何かありますよね!」

「なに、ルーゲンス司令が? それは本当か?」

「俺っちが嘘ついて誰得ぅ? って、あと、劇ヤバなのが、もうひとつあんだけど・・ 」

「なんだ?」

若者が私を見た・・

「ん? ああ・・ ワサビィか? 彼は大丈夫だ・・」

「了解! 劇ヤバって情報は・・
 ジオンは、南極条約を破るつもりかもね・・ グラナダ保管の核弾頭が消えたってさ・・」

「何だって!? 核弾頭だとぉ!!」

おもわず、話に立ち入ってしまう・・
私達、スペースノイドにとっては、毎日のように、あの1週間戦争の惨事が記憶上で蘇るからだ・・
若者はちらっと私を一瞥し、話を続けた・・

「うん・・ これは、ルーゲンス司令の射殺と関連ありそうだね・・
 というか、地球でもオデッサから脱出する際に、マ・クベ大佐も使っちゃってるよね・・
 運よく阻止されたそうだけど・・ あっ・・ これ裏情報だったよね・・
 あと、連邦軍のオーストラリアの核貯蔵基地に対しても、核弾頭奪取計画があるって噂だし・・
 ジオンというより、ギレン総帥の公国親衛軍の直轄というか、私兵というか・・
 危ない奴らが最近好き勝手している・・って、情報もあってね
 きっと焦りを感じている・・というか 元々戦争大好きって奴らばかりなんんだけど、
 奴らって、ほんと何をやらかすか想像できなくなってるから・・」

「ま・・ まさか・・ サイド6への攻撃か?」

トムが私の問いに答えるように言う・・

「だな・・ 私もそれを感じた、核のチョイスはある意味適切だからな・・
 戦艦やMSで攻撃しても、あの巨大な構造物は、そう簡単には破壊できるものではない
 破壊するには時間がかかるからな・・ その時間の間に目標物が脱出できてしまう・・
 しかし、核弾頭だと1発でコロニーは崩壊し、お陀仏・・ 新型MSも脱出不可能だ・・
 良い作戦だろ?・・」

「おいおい! 良い作戦って・・
 新型MSの1機を葬るために、150から200万人の市民を・・ 戦争とは関係ない命を奪うってのか?
 それが良いのか? もう、1週間戦争の二の舞は見たくない!」

「悪かった・・ 言葉が過ぎた・・
 今の情報だけで考えると・・
 ヘルシング大佐の艦隊がその可能性があるが、ヘルシング大佐は筋金入りの軍人だ・・
 そんな卑怯な手を打つ武将ではないのだが・・
 キシリアがグラナダに戻ってくる前に、発進させられた・・ ということも考えられるか・・
 一体何が起こっているか解らんな・・
 とにかく、情報を全て私の所に回してくれ! 些細な情報も・・ 全てだ!」

「了解! こりゃ勤務交代どころじゃないですね~ 苦いコーヒーでも入れましょうか?」

「ああ・・ 苦い奴を頼む しかし、砂糖は4つだ♪」

・・・

苦いが甘いコーヒーを飲みながら、次々と入ってくる情報に目を通していく・・
数時間が経過し、コーヒーも3杯目になっていた・・
情報は断片的だ・・ しかし、トムの知識、特にグラナダの組織や体制などの情報から
断片的な情報を繋ぎ、提示してくれる・・
その情報に対し、私達の感情的な意見や、憶測、論理の飛躍が無いか、などの検証を行うのが
私とチーフの2人の仕事になっていた・・

そんな中、私の知識が役に立つ事象もあった

「キリングとは誰だ?」

「おう・・ その名前・・聞いた事があるぞ!」

「いや、あの有名な、キリング・J・ダニガン中将ではないぞ・・ 違うキリングだ・・」

「解っている、キリング中将は宇宙攻撃軍第2制宙師団の司令官だろ? 彼はドズル配下だ・・
 聞いたと言ったのは、キリング・・ 確か中佐だっけ・・
 グラナダに来た、ギレン総帥の公国親衛軍直轄の参謀だと聞く・・
 最近捕虜にした、ジオン軍補給部隊の士官から聞いた名前だが、同名だったから覚えていた・・
 奴はギレン総帥の私軍をも自由に使える立場にあるようだ・・
 ジオンの中では嫌われ者だそうで・・ かなり厄介な奴でもあるらしい・・
 中佐だが二階級特権だと言っていた・・ 少将の権限を持っているのではないか?
 そのギレンの私軍らしき、海兵隊というか・・ そんな部隊と戦った事があるのだが・・
 そいつらも、実に嫌な奴らだった・・ 」

「そうか・・
 このキリングって奴は、キシリア配下ではなくギレン側の参謀かぁ・・
 キシリア少将は留守・・ 
 ルーゲンス司令が射殺・・
 消えた核弾頭・・
 少将相当官・・ ヘルシング大佐より上の権限・・ 
 ヘルシング艦隊の出航・・ 」

そして・・
断片的な複数の情報が繋がり整合性が合ったとき、単なる仮定は1つの重要な情報に変化していた。

「繋がったな!
 こいつが、ルーゲンス司令を射殺し、核弾頭をヘルシング艦隊に積んで出航させている・・
 ワサビィの推測通り目的地は、サイド6だ!
 実は、新型MSの奪取作戦の責任者がこのキリングなんだ! まだ作戦は終ってないということさ! 
 よし! この情報を検証するぞ! あくまでもまだ仮説の段階だ! 1つづつ検証する!
 情報をツリーにして関連で繋いでいってくれ! 発生時刻の検証も忘れるな!」

既に情報の文章は事実のみの簡潔な言葉になっており、そこには「思われる」や「だろう」などの
憶測の内容は削除されていた。
分析員は、それらの言葉を時系列につなぎ、事象の変化に飛躍が無いかの検証が行っていく・・
私のように先入観や感性で判断する輩には、絶対に出来ない高等な作業であり、
全て事実のみから構築されたツリーを見ると、素人目にも仮説の正しさを読み取る事ができた・・

「さて・・ この仮説を見て・・ どうする、ワサビィ大尉?」

「まずはワッケイン司令に連絡だ!
 そして、ヘルシング艦隊の位置情報を特定する! できるか?」

「すまん・・ それは難しいだろう・・ 何らかの情報がないと難しい・・
 月からサイド6への航路など、無限にあるからな・・」

「ああ・・ そうだな・・ しかし、この月からサイド6に向かっている事は事実だ!
 途中で網を張る・・ というか、サイド6の手前で待ち伏せる!」

「連邦の艦隊が・・ か? 今それどころではないのでは? おい!そうだよな?」

「そうっすねぇ・・ 昨日から情報統制が掛かってて、連邦との交信は全く出来ない状況ですね・・」

「なに? そうなのか? ワッケイン司令とは連絡が付かないって事か?」

「多分ねぇ・・ 一方的にこちらからの電文を、連邦軍が受信する事はあるかもしれないけど・・
 その場合は秘匿通信じゃなくなるから、みんな聞けちゃうね・・
 まぁ暗号コードを知っている場合だけど・・ もちろんジオンは知っているよ♪」

「なんだと? 連邦の暗号コードが・・」

「だから・・ さっき言ったよな・・ 情報はジオンにも連邦にも、だだ漏れなんだって・・
 ただ、その情報は断片的だったり、偽装情報だったりするから分析に時間がかかり、
 時間が経過すると意味の無い情報に変化する・・ 情報は生物ということだ・・」

「つまり・・ ここからではワッケイン司令に伝える事は、難しい訳だな?」

「どうやら、状況を飲み込めたようだな・・
 さて・・ もう一度聞く・・ ワサビィ大尉・・ どうする?」

「解った・・ ちょっと時間をくれ・・」

「ああ・・ いいぞ・・ だがな、さっきも言ったが情報は生物だ・・
 この情報を生かすも殺すも、ワサビィ・・ 貴様の考え1つで運命が変化する・・
 200万人の市民の命と共にな・・」

トムのその言葉を聞いて、重圧のあまり体が鉛のように重くなっていった・・
『私は一介のMSパイロットにすぎない・・』などの言い訳も脳裏に浮かぶ・・
しかし、私がここに居る理由・・ そして、重要な事実を知った理由・・ それらを考えると
そんな言葉を発する事は出来なかった・・

(考えろ! ワサビィ!! 策があるはずだ!!)

自分自身に問いかける・・ 自分にも出来ることがあるはずだと・・
ジオン艦隊の所在が判明したとしても、核弾頭の使用を阻止するためには、ジオン艦隊に攻撃を
かけダメージを与えるか、内部反乱などを引き起こし、内部で阻止させるかのどちらかだ・・
内部にスパイがいれば、ミサイル発射装置の故障などを工作する事もできるだろうし、
そのスパイがグラナダやサイド3に居るのであれば、ジオン上官からの中止命令も工作できる・・

しかし、スパイ工作は練りに練った計画が必要で、今からでは多分間に合わない・・
何らかの手段で、敵艦にもぐりこむ事が出来れば・・ いや、それは最後の手段に近い・・
そうなると・・ 出来ることは、ジオン艦隊の所在を明らかにし、何らかの手段で攻撃をかける・・
多分この方法しかないだろう・・

攻撃をかけるのは連邦軍が適任だが、現在はソロモン決戦のため、サイド5からサイド4の残骸が広がる
宙域に展開しているはずだ・・
そして、その位置は、サイド6が位置するラグランジュポイントL4とは真逆で、地球と月との距離よりも
遠い位置になる・・ そうなると、L4駐留軍か・・

「すまんが、隠密で展開しているL4駐留軍との連絡ルートはあるのか?」

「ああ・・ L4ね・・ サイド6は・・ 今はちょっと無理だと思うよ・・
 だってね、数日前のコロニー内の戦闘で、サイド6の世論が高まってさ・・
 L4駐留軍は追い出された可能性もあって・・
 数日前からトレースできてないというか、情報が全く入ってないのね・・」

「追い出された・・って? それは憶測だろ? なにか情報が無いか、悪いけど調べてくれないか・・」

「そだね・・ ちょっと調べてみるね・・ 」

「なぁ・・ 中尉・・」

と、チーフが話に割り込んだ・・

「中尉が乗ってきた戦闘機って、どこかに無いのか? というか探さないのか?
 今、ジオンの艦隊に一番近い場所にいるのは俺達だ・・
 我々には、戦闘機やモビルスーツは無いけど、もし中尉が乗ってきた戦闘機があれば・・
 って、言っても1機だけじゃ、蛙の面に小便かもしれんが、指をくわえているよりマシだろ!」

その話を聞いて、トムが思い出したように言う・・

「おお!・・ そうだったなチーフ! B-17だっけ?
 おい! L4駐留軍の件より先に、昨日、宇宙戦闘機を回収したか、確認してくれないか?
 ジャンク品も含めてだ・・ 頼む!」

「ん? 依頼内容の変更ね? そこのアローの旦那・・ それで良いよね?」

「おう・・ そうだな、すっかり忘れていた・・ 実は私の搭乗機なんだ・・ 頼めるか?」

「了解♪ で・・ 戦闘機って、セイバーフィッシュ?」

「いや、もっと大型のプロトタイプだ・・『YUKIKAZE』と側面にペイントしてある・・」

「もっと大型ね・・ 了解っ!!」

「チーフ・・ もし私の機体が見つかったら、本当に何か出来るかも知れんぞ!」

「ん? たった1機の宇宙戦闘機でか? プロトタイプって言ったよな・・ モビルアーマーか?」

「ああ、それに近い・・ 軍機だがな・・
 実は、巡洋艦クラスのメガ粒子砲が搭載されている・・
 ザクなどMSをなんとか回避すれば、ムサイ程度なら仕留めることは装備的には可能だ♪」

「へぇ! そりゃすごい!! それだったら本当に何か出来るかもな!」

「まぁ、見つかれば・・って事だがな・・
 というか見つかっても、もう1つ問題がある・・」

「なんだよ? 問題って・・」

「その機体なぁ、とんでもないジャジャ馬でな・・ そのため複座になっている・・」

「ん? ペアが必要なのか?」

「ああ・・ 単座でも、ある程度の攻撃はできるよう、簡単な改造はしたんだが・・
 機体の性能を100%引き出すには、やはり優秀な砲術士が必要なんだ・・」

「なんだ・・ 水臭いな! 俺ッちが乗ってやるよ♪
 戦闘機の操縦は、この足だから難しいが・・ 俺の射撃の腕は知っているだろ?」

「おいおい・・ 所帯持ちだろ? そんなリスクを・・ というか退役者に・・」

「まだ、リザーブさ! 予備役の登録はしてある!
 特務への参加を、中尉が確実に記録に残してくれれば、俺っちの年金も上がるさ♪」

「本当にいいのか?」

「ああ♪ いいさ! 実はな、退役してから無くなった足がむずむずしてたんだ♪」

「そっかぁ・・ いいのか?・・
 万が一、奥さんが未亡人になったら、私が慰めてあげるって事でいいんだな?」

「ちょっと待て! 種馬ワサビィ!! それは違う♪」

思わず二人で笑いあう・・ 戦友の絆って永遠なのかもしれない・・ そんな時

「これかなぁ・・」

情報を検索していた若者が言葉を発した・・

「B-17の昨日分の回収記録には、戦闘機の回収は無いんだけど・・
 ほらこれ・・ 『小型の武装偵察艇』という表記がリストにあるよね・・
 なんか表現が変だよね・・ 普通は『武装』なんて表記しないもん
 戦闘機って書くとなにか問題があるのかもしれない・・
 機体の大きさは、小型偵察艇という表現からすると、大型の戦闘機って事にもなるから
 ひょっとしたら、こいつがアローの旦那の機体かもしれないね♪」

「そうだな・・ ワサビィ?、機体の大きさは20メートルを越えていないか?」

「ああ・・良くわかるな・・ 20メートルは軽く越えてるぞ・・」

「だったら、可能性が高い!
 この『戦闘機』や『宇宙艇』の区分分けは機体を移動する際の基準でもあるんだな・・
 戦闘機やMSであれば、ジオン製のトレーラー、サムソンで移動可能だが、
 それよりも大きい時は特殊なトレーラーが必要だ・・
 お得意さんが物資を購入する際に、物資の名称で大まかな諸費用も解るように記載する・・
 それが我々の通例だ・・」

「そうなのか・・ だったら、登録された日付なども考慮すると、可能性は高いわけだな?」

「ああ・・ そうだな・・
 すぐにB-17に連絡を入れ、その機体の詳細を調べてくれないか・・
 そして、他の市軍や武器マニアが入札する前に、仮押さえも忘れずに、な!」

「いや・・ それがね・・ 既に売約フラグが立ってるんだけど・・
 最悪は、移動されちゃっているかもしれないね・・」

「なにぃ? もう売れちゃってるのか? 幾らで誰にだ?」

「それがさ・・ 価格とかの情報が未入力みたいでさ・・ わかんないんだけど・・
 売りには出せない事情がある時って、入札されないよう売約フラグを立てるんじゃなかったっけ?
 これ・・ そういう状態なんじゃないのかな?」

「情報だけでは解らんな・・ 至急、B-17との回線を繋いでくれ!
 あと、何か使えそうな機体が他に無いかも、ついでに探してくれないか?」

「おい・・ 何か使えそうな機体って・・
 戦争には参加していない月都市で、武器や戦闘機などが、ジャンク品で存在するのか?」

「何を言っているんだワサビィ・・
 ちょっと頭を使って考えてみてくれ・・ 月には引力があるだろ・・ そして大気はない・・
 宇宙で損傷した物が引力に引かれて月に落下する
 大概の物は破損が大きくなるが、大気で燃え尽きる訳ではない・・ ということ!
 壊れていない部品は、いくつかを組み合わせると立派な機体になる事がある・・
 ザクなども、数体はジャンク屋で組み立ててグラナダに納めた事があるんだぞ♪」

「おいおい・・ 貴様らは連邦軍側じゃあないのか?」

「確かに私達は連邦側だが、ジャンク屋商会全体が連邦側では無い・・
 そして商売をして生計を立てている・・ 解るよな? 商売となれば、どちらもお得意さんさ♪
 だから、必要であればザクを手配する事も可能だ!
 まぁ昔は高値で売れたが、時代は変化するもんだ
 今は連邦は新型MSがあるからな・・ もう高額では売れなくなってしまった・・」

「そういうことか・・」

「ああ・・ そういうことさ♪
 じゃ・・ 俺は商会長と話をしてくる、訳を話せば、安くなるかもしれないからな・・
 ただ、この機体がワサビィの『YUKIKAZE』って機体であれば・・ の話だがな・・」

「そうだな・・ そう考えると、違った場合も想定すべきだな・・
 さっきトムが言ったように、使えそうな武器があれば、洗い出してほしい、
 忙しいとは思うが、私からの正規のお願いだ・・
 作戦を考えるにしても、機体が無ければ策も無い・・ 本当に何も無ければザクⅠでも良い・・」

「ザクⅠ? 旧ザクか? どうする気だ?」

「解らん! ただ、ジオンパイロットに化け、艦内に入ることが出来れば・・」

「そうか・・ そんな手も考えているんだな・・ ワサビィの覚悟が解った・・
 チーフ! ワサビィを連れて一旦店に帰ってくれ・・
 商会長との話は、時間がかかるかも知れん、連絡があるまで店で待っていてくれ!」

「あいよトム、任せるぜ! じゃ、中尉! いや、ベリー少佐殿♪
 嬢ちゃんも待っていると思いますんで、『YUKIKAZE』である事を願って帰りましょうか?」

「そうだな・・ あとは専門家達に任せるしかないな・・
 あとな・・ 本当にお願いばかりで悪いんだが・・
 ヘルシング艦隊の想定航路などが解れば、合わせて調べておいてはくれないか・・
 そうそう・・、核弾頭を積んでいると思われる、艦艇の情報・・ 名称や特徴だな・・
 それもあれば欲しい・・ できる範囲でかまわん・・ 悪いがお願いできないだろうか?
 待ち伏せできると勝機があるが、追う展開になると全く勝ち目が無いからな・・」

「そうだね・・ 解った♪
 グラナダの同志に、情報が無いか聞いてみるね・・ あとは・・」

「目撃情報でもあればかなり有効だな?
 ジャンク商会に出入りしている、一匹狼の連中にもホットラインで問いかけてみろ!
 奴らは、いい獲物が無いか、ラグランジュ近辺を流し、ジャンク品を回収しているからな・・
 意外と、ジオン艦隊や連邦艦隊と遭遇している事も多い・・」

「解ったトム! ホットラインも使うけど・・ 報酬はどうする?」

「ワサビィ・・ 情報提供料が発生するが・・ 良いか?」

「ああ・・ 幾らか解らんが、報告にはあげておく・・ 特務であれば経費は出るはずだ・・」

「よし! 決定だな! 我々だけじゃ、足りん、休みの奴らにもエマージェンシーで集めてくれ!」

「おっ? やっちゃいますか?」

「ああ、情報戦の開始だ! 始めてくれ!」

「了解っ!!」


<第56話>妄想と現実・・」に続く・・・

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