一錦金鋒の読書防備録と生活奮闘記

読んだ本の紹介、感想。たまに日常に起こったことの記録

中越裕史著 絵本を読むと「天職」が見つかる

2017-10-13 13:07:23 | 書籍
絵本の内容を検証し、それを心理学的に解析する。
そんな面白い本があったので読んでみた。


※始めに、天職を見つけるためにいくつかの注意事項があった。

その中にあった一つの言葉「ときに世間の常識やレールから外れるような、柔軟な感性を磨くようにすすめます。」
☆次が決まっていないから転職出来ない
☆転職活動をする余裕がない
☆周りから反対される

不安や周りの意見に振り回されないように、ということである。


1.「三年寝太郎」の話。

※ストーリー

真面目に一生懸命働いていた青年が、病気の母の死を境に全く働かなくなり、3年3ヶ月が過ぎた。
すると不可能だと思われていた耕地整理を行い、水不足の村の田んぼに大きな用水路をつくり始めた、最初は村人にばかにされていたが、徐々に協力者が現れ、寝太郎をあだ名された青年は、一大事業をやってのけてしまった。

※検証
これは精神科医の見解を聞くと「母の死を境にうつ病にかかった」とのこと。
田んぼに水がなく、農作物の育ちが悪い中、懸命に働くも母を助けられなかった中で発症したと考えられる。私もそのくらいは読んでいて思った。
うつ病が治った後に突然工事を始めたのは「もっと早く水を引いていたら母は死なずに済んだ」という思いからであるという。


※大切なこと1 勇気
まじめにがんばるだけではダメ。時には思い切って大胆な行動に出なければ、根本的な問題解決にはならない。そのためにはみんなからばかにされても、自分が正しいと感じたことをやってみる勇気が必要


今の私には重く、考えさせられる名言である。


※大切なこと2 「心のゴミ箱」に捨てた本心
☆言ってもばかにされるだけ
☆こんなアイデアを人に話すのは恥ずかしい
☆失敗して恥をかくだけだ

自分らしく生きるためには、これらの感情を捨てる。
人から批判されても自分の考えを優先させることが必要。


※大切なこと3 本気で追い詰められてからがスタート
本当に辛い人生の壁にぶつかって、どうにもならなくなったとき、自分の生き方を大きく顧みて変えようと思える。


※「いい子」以外の行動パターンを持つ
子供のころお気に入りだった服も、20代にもなれば窮屈になる。性格もそれと一緒。
周囲の顔色をうかがって自分を抑えて生きるのは大変辛いこと。
「世の中こんなこのだから・・・」と無理に自分を納得させない。
「普通である」ことが幸せなことでも、正しいわけでもない








2.「青い目のこねこ」の話


ストーリー
あおい目をしたこねこは、そのことで周囲にばかにされたり無視をされたりする。しかしこねこはそれをおかしいとは思わない。むしろ綺麗な目だと思っている。そのことで最後は幸せになる。

検証

「普通でない」ことで周囲から迫害を受けるが、それを全く気にせず、むしろ長所と取るあたり、前向きな生き方が出来ている証拠である。

※大切なこと1 普通であることの難しさ
収入が少ない、離婚歴がある、家族にトラブルを抱えている、持病がある、親しい友人がいない・・・・。ほとんどの人は人生の中でひとつくらい「普通」の基準に満たないものを持っているはず。それを問題だと思ってしまう必要は無い。
普通なことより、自分が無理をしないことのほうが幸せである。

※大切なこと2 生きて死ねればそれで良い
☆それなりの高校、大学に進学する
☆やりがいのある仕事をする
☆結婚して子供を産む
☆離婚しない
☆人並みかそれ以上のお金がある
☆老後の心配が無い
☆惜しまれつつ死んでいく

これらをどれか一つでも満たせないと人生不合格のように言う人間がいる。(ひどい輩は、自分もそうなのに棚に上げて言うが)人生の合格ラインを高く設定しない。「生きて死ねれば合格」と考える。
・・・しかし私はお金だけは人並み以上に欲しい、それを活かして周囲に恩返しをしたいから・・・・。

人類の歴史の中、お金、仕事、結婚、子育て・・・これほど合格点が高いのは今の時代が始めてだそうな。
(しかし、これは日本の中だけで、世界ではこれもままならない國はたくさんあると思われる。)

メディアの情報に踊らされ、周りの10人くらいの友達と自分を比べて惨めになったり優越感に浸ったりはバカげてる。
確かにそう思った。「生きて死ねればそれで良い」大切な言葉であると思う。
人は人、自分は自分、人目を気にせず生きていこうと心がけ、肩の力を抜いて自然な状態でいる。

お金はあっても使い方が下手なやつ、結婚してるとはいえ相手や子供が「?」なやつや離婚歴があるやつ、かっこ良かったり美人だとしても周囲に友人がいないやつ、仕事はしてる愚痴ばかりや人の悪口ばかりのやつ・・・・実は相手はこんな輩なのに自分を下にみてしまっていたらもったいないし!!








3.「絵を描くのが好きなラモン」の話


ストーリー
絵を描くのが好きなラモンは、兄に「花瓶の絵が似ていない」と言われ、似るように描くが上手くいかずに絵を描くのを止めてしまった。しかし妹はラモンの絵が好きだった。本物そっくりでなくても「っぽい絵」で良いと気がついたラモンは再び描き始める。



検証

この本のカバーには「じょうずにできるって、そんなに大切?」と書いてあるそうな。
理想どおりに出来ないとき「才能がない」「頑張っても無理」とやる気をなくしてしまう。
「上手にできない」というマイナス意識から本当にやりたいことを諦めてしまう。


※大切なこと1 「うまくやる」ことを意識しない
誰かに批判されたり、世の中を見ていくにつれ「自分は上手に出来ない」と思うようになる。「それならやめてしまおう」と、やりたいことを心のゴミ箱に捨ててしまう人が多い。



※大切なこと2 「逃げている自分」に気がついて
好きなことを心のゴミ箱に入れてしまっている自分を認めること、自分の弱さを認め、逃げていることに気がついたとき、自分の生き方に革命を起こせる。
自分の感性や好きなことを認めることから始める。


人の目を気にしてもよい、不安に思ってもよい、「ほんのちょっとでも好きなこと」「ほんのひとかけら興味があること」等、自分の心が反応するものへ、少しだけ手を伸ばしてみる。遊びからでも良い、自分から一歩踏み出す。







4.「わらしべ長者」の話


ストーリー
貧しくて優しい若者が観音様にお参りに行くと、夢の中で「明日の朝に最初に拾ったものを大切にしろ」と言われた。次の日、転んでわらを掴んでしまって落ち込んでいた。その後歩いていると困った人にわらを差し出し、お礼にふきの葉をもらい、またそれを困った人にあげてしまい、お礼に別の物をもらう・・・・。結果、お金持ちの婿養子になり成功を収めたという話。


検証
この若者は「成熟した感性」があるとのこと。「柔軟性に富み、繊細で全体的で、かつ直感的な機能を持っている心」のことを言うそうな。
観音様に言われたものを、あっさりと困った人に渡してしまう感性を褒めていた。




※大切なこと1 直感力で行動!
「あの仕事はリスクが高いから」
「今更違う業種なんて」
「本当に転職して大丈夫か?」
と考えているうちに直感力が働かなくなり、自分がどう感じているのかわからなくなってしまう。考え過ぎることが「成熟した感性」を奪ってしまう。



※大切なこと2 考えすぎて動けないのなら?
選択肢が2つあるのなら、気分の良いほう、まだマシはほうを取るようにする。
やらずに後悔するならやって後悔した方がよい。
これは今までの私に聴かせてやりたい言葉、我慢するしかない、それが美徳と考えていたことを壊してくれた一言であった。






5.「だってだってのおばあさん」の話。


※ストーリー

98歳のおばあさんは「だって私は98歳だから」と言うのが口癖で、何をしようと誘われても断っていた。
99歳の誕生日のとき、お祝いのケーキ用にと、一緒に住んでいた猫が99本のろうそくを買いに行ったが、途中で落としてしまい5本しか持って帰ってこなかった。ケーキに5本だけろうそくを立てたところ、おばあさんは5歳になった気持ちになり、釣りに誘われたり川で遊ぼうと誘われたりすると「私は五歳だから行くわよ」と、それまでと変わって行動するようになった。


※検証
この物語からは「年齢にとらわれず生きるのは素敵なことである」と学べる。アルフレッド・アドラーは「人が変わるのが手遅れになる時期はいつか?」という質問に「その人が死ぬ1日か2日前だろう」と答えたという。




※大切なこと1 人生は巨大な実験場

「自分の考え方に疑問を持つ」ことが大切
「だって学歴がない」
「だって才能がない」
「だって忙しくて時間がない」
出来ない理由と上手くつきあう。


※大切なこと2  「努力すれば変われる」の落とし穴

「努力すれば切り開ける」と思うのは良いことだが、結果が出ないと「努力が足りない」とさらに自分を追い込んでしまう。
努力しても、結果を期待しない、やることをやれば満足出来る。
まさに「人事を尽くして天命を待つ」ということであろう!!



その他

スモールステップで、小さな目的を少しづつ達成していく。
無理をせずに大丈夫なところ、乗り気になるところから始める。
「行動」「目標」「達成」
世間の常識、周りの意見に左右されることなく、自分のアイデア・意思・感性を大事にして生きていく、それが「十分に機能する人間」である。



感想
自分の本音を大切にする、やりたいことを思い返すことが大切だと感じた。
甘いと思われる部分もあったが、信じてみるだけの価値はあると思う。
結局「天職のみつけかた」というよりは「今の自分が満足でなければ動きましょう」というメッセージの本であった。





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