読書・映画を通した想いの整理棚

読書をしたり映画を視たりした後、浮かんだ感想・批評を行なうブログ。ジャンルは多岐にわたる。

知の巨人ノーム・チョムスキー『9.11-アメリカに報復する資格はない!』

2007-04-12 15:40:03 | 人文書
アメリカの知の巨人ノーム・チョムスキーの『9.11アメリカに報復する資格はない!』 2001年9月11日のいわゆる9.11テロ後1ヶ月の間に行われたチョムスキーへのインタビュー集。今でこそ、アフガニスタン・イラクへのアメリカによる攻撃がヨカラヌものだったという識者は多い。しかし、テロ直後にこのような見解を明らかにすることは普通は難しかろう。真のインテリゲンチャに違いない。 . . . 本文を読む

元副大統領ゴア氏の環境問題講演記録映画『不都合な真実』

2007-02-02 08:54:46 | 映画
アメリカの元副大統領ゴア氏が環境問題で1000箇所を講演して歩いている記録の映画『不都合な真実』(原題“An Inconvenient Truth”)を視た。昨秋オーストラリアに行った時「見るべきだ」と薦められた。やっと日本に上陸した。講演記録だからエンターティメント性のない、固い映画だ。同名の書籍も同時販売されている。身近な出来事と世界と地球・宇宙を丸ごと貫いて捉えていって、どうすべきかを語っている。 . . . 本文を読む

意外に面白かった脳科学者のSF小説『プロセス・アイ』

2007-01-26 12:13:08 | その他(政策文書他)
あと3回で100投稿、それでブログは終了と思っていたので、書きたいものを探しているうちに時間がたった。結局、前回取り上げた脳科学者、茂木健一郎氏の小説を読み、最後の3回のうち一つはこれに決めた。知ってはいたが、小説なんて読みたくないと思っていた。しかし、読んでみたら面白かった。茂木健一郎『プロセス・アイ』である。「アイ」は「A.I.」にかけている。つまり人工知能のことだ。 . . . 本文を読む

複雑多様を解明する脳科学者の随筆『すべては脳からはじまる』

2007-01-04 22:57:54 | その他(政策文書他)
茂木健一郎氏は決して偉ぶらない文章を書く。ノーベル賞に一番近い人だと聞いている。氏の学術書は読むにもブログに取り上げるにもなかなか難しい。脳科学書相当に当たったが、この人の書く物で嫌な感じを受けたことが一度もない。『すべては脳からはじまる』は随筆で、脳の働きに事寄せて書かれたもの。世間の出来事を脳科学者がみるとこう言えるといった趣の書だ。 . . . 本文を読む

負のスパイラルが見事に表現された映画「ダーウインの悪夢」

2006-12-30 23:49:14 | 映画
どんな説得よりも雄弁にグローバリズムがもたらす南北問題が語られた映像ドキュメンタリー「ダーウインの悪夢」フーベルト・ザウパー監督作品。人為的に放たれたナイルパーチ(大型淡水魚)がヴィクトリア湖の生態系を変え、近隣社会の経済のシステムを変え、人々の生活・人生のサイクルを変え、人々の健康や子どもたちの身の上にも悪影響…という、負のスパイラル(悪循環)を表現。日本にも関係があって仰天。 . . . 本文を読む

忘れたのか覚えなかったのか『"忘れる脳"の構造改革』

2006-12-26 11:44:53 | 科学書
「ものを忘れる」にせよ「ものを覚える」にせよ、脳科学的には言葉の吟味が必要ということ、「構造改革」を脳の問題に適用した意味が少し解けた。人間は、概ね、強い「記憶力」が欲しい、「物忘れしたくない」と思っている。しかし、その意味を徹底してみれば、実は「覚えていなかった」りする。覚えなかったものは忘れることはできない。千葉康則著『"忘れる脳"の構造改革』はそれを教えてくれる。 . . . 本文を読む

怨みに満ちた世界の顕現『隠された十字架-法隆寺論』

2006-12-17 09:03:30 | 人文書
悪意と悪事が生じて怨みが生まれ、復讐が生まれて再復讐が生じ、負のスパイラルに陥る。現代にもいくらでも例がある。その連鎖を止めるのに一つの方法がある。「鎮魂」の行為である。法隆寺は実は「怨霊を鎮める鎮魂の寺」だった。梅原猛氏の渾身の作。今までの歴史では、聖徳太子の「氏寺」という認識。それをひっくり返す歴史書である。 . . . 本文を読む

月面着陸は嘘!ぐらい驚いた『暴かれた9・11疑惑の真相』

2006-12-06 07:31:59 | その他(政策文書他)
ベンジャミン・フルフォード著『暴かれた9・11疑惑の真相』こういうのを暴露本というのかもしれない。著者はカナダのジャーナリスト。最初は彼も「まさか!」と思っていた。取材を続けているうち、「疑惑」を持つようになったのだそうだ。「9・11テロはアメリカの自作自演だった」つまり「狂言」だったというのだ。嘘は大きければ大きいほど人を騙せるというあれである。取材の事実を列記した著書 . . . 本文を読む

腹八分目の思想『すべてがうまくいく8割行動術』

2006-12-02 06:56:36 | その他(政策文書他)
米山公啓氏の新著『すべてがうまくいく8割行動術』。この4日間、思い切りある一つのことに拘って考え、行動した。他の事は何も手につかなかった。しかし、仕事をしていれば、期限や締切りがある問題、つまり緊急課題には、すぐ最善の100%の行動をおこさなければあとあと後悔するという問題はやまほどある。しかし、日常的な生活は確かに米山方式がよい。その方が力を貯められる。 . . . 本文を読む

神経医学者の『“わかる”とはどういうことか-認識の脳科学』

2006-11-25 23:38:03 | 科学書
人間のものの分かり方、それを脳神経科学の内部から明らかにした書『“わかる”とはどういうことか-認識の脳科学-』著者山鳥重氏は脳神経科の臨床医である。記憶障害、失語症、認知障害、脳機能障害などを専門とする臨床医。人間が「あッわかった!」と思う時、脳の中で何が起こっているか、そのメカニズムが明らかにされている。 . . . 本文を読む

生物学者のクールな生き方提案『他人と深く関わらずに生きるには』

2006-11-22 06:05:23 | その他(政策文書他)
池田清彦氏は生物学者である。暗記科目と思っていた学生の頃の生物学イメージを根本から変える新しい生物学の提起者。そのクールな生き方論も斬新極まりない。『他人と深く関わらずに生きるには』は、発想を逆転させてみると、「なぁーんだ、もっと簡単に考えればいいんだ、生きるって」という思いがけない抜け道を教わっているような書である。科学者のクールさから帰結する過激な提案もある。 . . . 本文を読む

極めて現実的なSF映画「トゥモロー・ワールド」

2006-11-19 16:23:56 | 映画
 「いま、そこにある危機」というような映画があったと記憶する。「世界、今そこに迫っている危機!」そんな感想をもったSF映画だった。2027年という近未来の設定であるからであろう。20年後のことだ。原作の出版は1992年(15年前)だそうだから、越し方15年の間にテーマの現実化が進んだともいえるからでもあろう。「トゥモロー・ワールド」イギリスが舞台の映画 . . . 本文を読む

子どもは分からなくて当たり前『14歳の子を持つ親たちへ』

2006-11-16 15:59:46 | その他(政策文書他)
「子どもが何を考えているかわからなくて当たり前」「どう対処していいかわからなくて当たり前」ということを出発点にして「肚(はら)を括る」こと、それが提言といえば提言の内田樹氏と名越康文氏による対談書『14歳の子を持つ親たちへ』14歳の子どもたちとは思春期、前思春期の子どもたちで、その抱える発達の困難に親が立ち往生している状況の打破を試みた対談である。 . . . 本文を読む

このままでは日本は滅びると警告する梅原猛『神殺しの日本』

2006-11-13 22:32:08 | 人文書
「近代日本は、二度、神を殺した」というのが基本主張の書。著者は、かの、哲学者であり、闘う学長であり、スーパー歌舞伎「ヤマトタケル」の脚本家であり、縄文の3仙人の一人と言われた梅原猛氏である。2度の神殺しとは、一度目は、明治期の「廃仏毀釈」、二度目は、敗戦時、現人神の「人間宣言」。 . . . 本文を読む

私の名前を使って殺すな!が原点の『戦争の克服』

2006-11-11 07:48:42 | 人文書
 「戦争は人を殺す、それがすべてである。」に始まる対談・鼎談『戦争の克服』現代世界随一の知識人ジャック・デリダのアジアにおける高弟哲学者-鵜飼哲氏、国際法学者-阿部浩己氏、作家-森巣博氏の3者。壮大な世界戦争の分析である。20世紀が終わって、19世紀に戻ってしまったというのが3人の一致した世界の見方。勿論、戦争の頻発に由来させてのことである。 . . . 本文を読む