●広告費
電機事業連合会も含めた東電の広告費は、トヨタや創価学会と並ぶ「御三家」である。独占企業で競争相手はいないのに、年間200億円をコマーシャルに投じる。
これほどの大事故が起きる前に、正面から原発の危険性を指摘する新聞やテレビが存在しなかったのは当然だ。
以上、恩田勝亘(ジャーナリスト)/(聞き手・まとめ)「週刊金曜日」編集部・成澤宗男「カネの力で原発を押し付けた悪徳商法 『東京電力』という名の罪深き企業」(「週刊金曜日」2011年3月25日号)に拠る。
*
●マスコミへの圧力
武藤栄・東京電力副社長の記者会見において質問する記者は、3月23日から、「社名」と「氏名」を名乗らなければならなくなった。
「東電側はどの社の何という記者がどういう質問をしたかを把握できる。記者クラブメディアにとっては脅威である。東電に不利になるような質問をすれば広告を減らされる恐れがあるからだ。/23日の記者会見でうるさいほど追及したのはフリーランスと雑誌、専門誌などの記者だけだった」
以上、田中龍作「『東電情報隠し』の裏で進行する放射能汚染 その6」(「田中龍作ジャーナル」)に拠る。
*
●経産省・東電・東大のもたれあい
原発問題に詳しい科学ジャーナリストの塩谷喜雄(元日経新聞論説委員)は、次のように語る。
原発政策の裏には、東電、経産省、東京大学の産学官のトライアングルがある。そもそも、原子力を推進する経産省の中に、原発の管理・運転方法をチェックする原子力安全・保安院があること自体おかしい。ブレーキとアクセルを同時に踏んでいるようなものだ。しかも、原子力安全・保安院と東電の幹部は、東大工学部原子力工学科の出身者が多い。原子力安全・保安院のトップも、事業者の言い分に理解のある東大の学者が座っている。本来、推進する側と規制する側とは緊張関係にあることが不可欠だが、これではいかにも難しい。06年に改定された原発指針がその具体例だ。
すなわち、原子力安全委は想定するべき地震動をM6.8の直下型とした。阪神大震災(95年)や鳥取県西部地震(00年)はM7.3だったのに、なぜかM6.8となった。行政は、業界側にとって都合のよい数値を採用した。産学官のトライアングルが、緩い基準と厳しさを欠く規制を作りあげた・・・・。
経産省、東電、東大のもたれあいが福島原発事故の背景にあるのだ。
このトライアングルにメスを入れる可能性はどうか。前出の科学ジャーナリストは悲観的に見る。
東電は、研究費や個人献金などの名目で政治家や学者を取りこんできた。長年の経験に裏打ちされた政治力は、今の政権では太刀打ちできない。いずれカネと選挙(組織票)という武器で骨抜きにされ、籠絡されてしまうだろう・・・・。
事故の責任問題についても、布石を打っている気配だ。別の科学ジャーナリストはいう。
「原発事故の全体像を明らかにしないまま、大津波が想定外だったと盛んに喧伝しています。天災を強調し、事故は不可抗力だったというイメージを作りたいのでしょう。今後、情報操作まがいの“広報”が始まるかもしれません」
以上、「サンデー毎日」・武内亮/山田厚俊(ジャーナリスト)「『官邸vs.東電』不都合な真実」(「サンデー毎日」2011年4月3日号)に拠る。
に拠る。
*
●東電による情報操作
「私は今回の大事故で、東電は巧妙な情報操作をしたと思っている」
(1)地震の規模
日本のマグニチュードは、これまで日本式だった。今回も最初は日本式で、8.4だった。ところが3回数値が変わって、最後は9.0になった。これは国際式の数値で、突然説明もなく値を変えた。東電が「気象庁への工作をしたに違いない」。
(2)「炉心溶融」という発表
炉心溶融が原子炉事故の中で最大の問題、ということは知られている。炉心が溶けるには2,800度になる必要があるが、この温度を測定する方法がない。東電は、ウソを承知で誇張した。一番最初に最も怖いことを言って脅せば、後で起きたことがそれ以下ならば許されるか、重要視されないからだろう。
(3)「計画停電」
現在より数百万KW足りないからというが、自販機だけで100万KWある。それを止めてくれ、と東電は言ったか、ネオンサインを消してくれ、と言ったか。
一般の国民は停電となれば日常生活に直結するので、どうしてもそちらのほうに目がいく。東電は停電で批判されるかもしれないが、それは構わない。原発がなければ停電するぞ、と思わせたいのだ。
(4)情報を十分に公開しない
東電は、一つのデータを出せば10の質問が出ることを知っている。それがうるさい。「彼らの体質として、とにかく基本的に批判されたり、文句を言わなければいい」
しかし、より悪質なのは、メディアやそこに登場する「専門家」と称する人たちが東電に対してデータの公開を要求しないことだ。
以上、槌田敦(元名城大学教授)/(聞き手・まとめ・作表)「週刊金曜日」編集部・成澤宗男「『想定外』という言い訳は通用しない」(「週刊金曜日」2011年3月25日号)に拠る。
*
●専門家・電力会社・原子力安全委員会の信頼性
「もはや原子力エネルギーは政治的な対応などではどうにもならない。専門家が何と言おうと、電力会社がどう説明しようと、国の原子力安全委員会が何と説明しようと、原発の基本的な安全性について『一方的な情報の受け流しでは信用できない』ということを、今回の事故は日本の国民だけでなく世界に示してしまったのである」
以上、桜井淳(技術評論家)「安全神話完全崩壊 世界に衝撃を与えた福島原発事故 原子力エネルギーを放棄すべきか」(「週刊エコノミスト」2011年3月29日号)に拠る。
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電機事業連合会も含めた東電の広告費は、トヨタや創価学会と並ぶ「御三家」である。独占企業で競争相手はいないのに、年間200億円をコマーシャルに投じる。
これほどの大事故が起きる前に、正面から原発の危険性を指摘する新聞やテレビが存在しなかったのは当然だ。
以上、恩田勝亘(ジャーナリスト)/(聞き手・まとめ)「週刊金曜日」編集部・成澤宗男「カネの力で原発を押し付けた悪徳商法 『東京電力』という名の罪深き企業」(「週刊金曜日」2011年3月25日号)に拠る。
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●マスコミへの圧力
武藤栄・東京電力副社長の記者会見において質問する記者は、3月23日から、「社名」と「氏名」を名乗らなければならなくなった。
「東電側はどの社の何という記者がどういう質問をしたかを把握できる。記者クラブメディアにとっては脅威である。東電に不利になるような質問をすれば広告を減らされる恐れがあるからだ。/23日の記者会見でうるさいほど追及したのはフリーランスと雑誌、専門誌などの記者だけだった」
以上、田中龍作「『東電情報隠し』の裏で進行する放射能汚染 その6」(「田中龍作ジャーナル」)に拠る。
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●経産省・東電・東大のもたれあい
原発問題に詳しい科学ジャーナリストの塩谷喜雄(元日経新聞論説委員)は、次のように語る。
原発政策の裏には、東電、経産省、東京大学の産学官のトライアングルがある。そもそも、原子力を推進する経産省の中に、原発の管理・運転方法をチェックする原子力安全・保安院があること自体おかしい。ブレーキとアクセルを同時に踏んでいるようなものだ。しかも、原子力安全・保安院と東電の幹部は、東大工学部原子力工学科の出身者が多い。原子力安全・保安院のトップも、事業者の言い分に理解のある東大の学者が座っている。本来、推進する側と規制する側とは緊張関係にあることが不可欠だが、これではいかにも難しい。06年に改定された原発指針がその具体例だ。
すなわち、原子力安全委は想定するべき地震動をM6.8の直下型とした。阪神大震災(95年)や鳥取県西部地震(00年)はM7.3だったのに、なぜかM6.8となった。行政は、業界側にとって都合のよい数値を採用した。産学官のトライアングルが、緩い基準と厳しさを欠く規制を作りあげた・・・・。
経産省、東電、東大のもたれあいが福島原発事故の背景にあるのだ。
このトライアングルにメスを入れる可能性はどうか。前出の科学ジャーナリストは悲観的に見る。
東電は、研究費や個人献金などの名目で政治家や学者を取りこんできた。長年の経験に裏打ちされた政治力は、今の政権では太刀打ちできない。いずれカネと選挙(組織票)という武器で骨抜きにされ、籠絡されてしまうだろう・・・・。
事故の責任問題についても、布石を打っている気配だ。別の科学ジャーナリストはいう。
「原発事故の全体像を明らかにしないまま、大津波が想定外だったと盛んに喧伝しています。天災を強調し、事故は不可抗力だったというイメージを作りたいのでしょう。今後、情報操作まがいの“広報”が始まるかもしれません」
以上、「サンデー毎日」・武内亮/山田厚俊(ジャーナリスト)「『官邸vs.東電』不都合な真実」(「サンデー毎日」2011年4月3日号)に拠る。
に拠る。
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●東電による情報操作
「私は今回の大事故で、東電は巧妙な情報操作をしたと思っている」
(1)地震の規模
日本のマグニチュードは、これまで日本式だった。今回も最初は日本式で、8.4だった。ところが3回数値が変わって、最後は9.0になった。これは国際式の数値で、突然説明もなく値を変えた。東電が「気象庁への工作をしたに違いない」。
(2)「炉心溶融」という発表
炉心溶融が原子炉事故の中で最大の問題、ということは知られている。炉心が溶けるには2,800度になる必要があるが、この温度を測定する方法がない。東電は、ウソを承知で誇張した。一番最初に最も怖いことを言って脅せば、後で起きたことがそれ以下ならば許されるか、重要視されないからだろう。
(3)「計画停電」
現在より数百万KW足りないからというが、自販機だけで100万KWある。それを止めてくれ、と東電は言ったか、ネオンサインを消してくれ、と言ったか。
一般の国民は停電となれば日常生活に直結するので、どうしてもそちらのほうに目がいく。東電は停電で批判されるかもしれないが、それは構わない。原発がなければ停電するぞ、と思わせたいのだ。
(4)情報を十分に公開しない
東電は、一つのデータを出せば10の質問が出ることを知っている。それがうるさい。「彼らの体質として、とにかく基本的に批判されたり、文句を言わなければいい」
しかし、より悪質なのは、メディアやそこに登場する「専門家」と称する人たちが東電に対してデータの公開を要求しないことだ。
以上、槌田敦(元名城大学教授)/(聞き手・まとめ・作表)「週刊金曜日」編集部・成澤宗男「『想定外』という言い訳は通用しない」(「週刊金曜日」2011年3月25日号)に拠る。
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●専門家・電力会社・原子力安全委員会の信頼性
「もはや原子力エネルギーは政治的な対応などではどうにもならない。専門家が何と言おうと、電力会社がどう説明しようと、国の原子力安全委員会が何と説明しようと、原発の基本的な安全性について『一方的な情報の受け流しでは信用できない』ということを、今回の事故は日本の国民だけでなく世界に示してしまったのである」
以上、桜井淳(技術評論家)「安全神話完全崩壊 世界に衝撃を与えた福島原発事故 原子力エネルギーを放棄すべきか」(「週刊エコノミスト」2011年3月29日号)に拠る。
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