9月13日、山内知也・神戸大学大学院教授が福島市渡利地区を測定した。
渡利地区は、JR福島駅から東へ1kmに位置し、16,000人が暮らす。福島市で最も線量が高いホットスポットだ。国が「特定避難勧奨地点」指定の基準値3.2μSv(高さ1m)を超えた所はないが、最高値3.1μSvの地点がある。
地区の寺では、6月に測った数値より、むしろ増えた。雨水がたまって乾燥し、濃縮を繰り返しているのだ。【山内教授】
7月24日、住民3,337人、市職員256人、業者160人による大がかりな除染を行ったのだが、市がその4~6日後測定したところ、結果は芳しくなかった。除染後の線量が除染前より上がった場所さえあった。<例>渡利中敷地内の角の信号など2か所、1.80μSv→1.90μSv、3.67μSv→4.63μSv。
20μSvもの汚泥を入れた袋を、市が側溝脇に数日間放置するなど、処理がずさんだった。水やブラシを使って洗い流した汚染物質が別の所に移動した可能性もある。最大の原因は、山から流れてくる雨水だ。【菅野吉広・Save Watari kids(渡利の子どもたちを守る会)】
渡利地区の東側には山林が広がっている。雨が降れば汚染物質を含んだ泥水が住宅街の水路を通って阿武隈川に流れ出る。一部は、側溝内などに堆積する。
福島市内のもう一つのホットスポット、大波地区は渡利地区の東側、山間部に位置する。住民は1,380人。
8月、専門業者が、大波小の通学路を除染したが、5か所で除染前より線量が上がっていた。線量が上がった地点の多くが山林に面していた。
放射線は70mほど飛ぶ、とされる。道をきれいにしても、近くの山林や田畑のセシウムから放射線が飛んでくるので下がらない可能性がある。【市の担当者】
大波地区では、2.9μSvを計測するホットスポットが点在しているが、国が避難勧奨地点指定の基準値3.1μSvに達していないため、指定は見送られた。
事故から半年がたって、土や屋根、壁などにセシウムが染みこんでしまい、劇的な除染効果はもはや期待できない。知りたいのは、室内、庭、山などで除染効果が実証されて、しかも我々に実行可能な方法だ。今後は、ボランティアを募り、各世帯の除染を進め、放射線の飛距離を考えて住宅周囲75mの間伐、草刈り、腐葉土の除去などを定期的に行うよう行政に求めていく。【佐藤俊道・大波区自治振興協議会長/成願寺住職】
山内教授は次のように語る。
渡利地区では除染効果が見られず、至るところで、天然のレベルでは考えられない1μSvを超え、3μSv以上のところも少なくなかった。渡利のように面的に汚染された地域では、側溝や道路の土砂をどかしたり、水で洗い流しても劇的な効果は望めない。渡利小の通学路では、単に汚染ポイントを拡散させ移動させただけに留まった。
除染に過度な期待を抱かず、線量が下がるまで学校を安全な場所に移動させる発想に切り替える必要がある。
被曝リスクを考える上で重要なのは、集団線量だ。渡利のように人口密集地では、人口過疎地とは違ったリスクがある。個人の行動形態や範囲によっても被曝の度合いが異なってくる。
問題点。
(a)汚染ポイントがまだらに分布している。行政による1地点だけの定点観測では、被曝リスクや汚染実態を正確に把握することはできない。
(b)国は空間線量(1mの高さ)を指標にしているが、土壌近くを測って汚染ポイントを探さないと実態はわからないし、汚染源が放置されかねない。
(c)道路や学校などの公共の場の除染にしか力を入れていない。民間の敷地を含めて面的にやらないと効果は望めない。<例>個人の家で除染しても、隣家がしていないと、放射線が飛んでくる。
(d)材料にもよるが、屋根に付着したセシウムは高圧洗浄機を使っても簡単には落ちない。屋根の葺き替えが必要だ(補償も)。
(e)山林除染が課題だが、表土を取り去り木を切ると生態系が破壊される。現実的でない。森林に近い場所で住み続けるなら、障壁(<例>コンクリート壁)を設ける、といった策を講じるしかない。
大場弘行(本誌)「福島市渡利・大波地区ルポ 『除染しても数値が上がった!』」(「サンデー毎日」2011年10月2日号)に拠る。
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渡利地区は、JR福島駅から東へ1kmに位置し、16,000人が暮らす。福島市で最も線量が高いホットスポットだ。国が「特定避難勧奨地点」指定の基準値3.2μSv(高さ1m)を超えた所はないが、最高値3.1μSvの地点がある。
地区の寺では、6月に測った数値より、むしろ増えた。雨水がたまって乾燥し、濃縮を繰り返しているのだ。【山内教授】
7月24日、住民3,337人、市職員256人、業者160人による大がかりな除染を行ったのだが、市がその4~6日後測定したところ、結果は芳しくなかった。除染後の線量が除染前より上がった場所さえあった。<例>渡利中敷地内の角の信号など2か所、1.80μSv→1.90μSv、3.67μSv→4.63μSv。
20μSvもの汚泥を入れた袋を、市が側溝脇に数日間放置するなど、処理がずさんだった。水やブラシを使って洗い流した汚染物質が別の所に移動した可能性もある。最大の原因は、山から流れてくる雨水だ。【菅野吉広・Save Watari kids(渡利の子どもたちを守る会)】
渡利地区の東側には山林が広がっている。雨が降れば汚染物質を含んだ泥水が住宅街の水路を通って阿武隈川に流れ出る。一部は、側溝内などに堆積する。
福島市内のもう一つのホットスポット、大波地区は渡利地区の東側、山間部に位置する。住民は1,380人。
8月、専門業者が、大波小の通学路を除染したが、5か所で除染前より線量が上がっていた。線量が上がった地点の多くが山林に面していた。
放射線は70mほど飛ぶ、とされる。道をきれいにしても、近くの山林や田畑のセシウムから放射線が飛んでくるので下がらない可能性がある。【市の担当者】
大波地区では、2.9μSvを計測するホットスポットが点在しているが、国が避難勧奨地点指定の基準値3.1μSvに達していないため、指定は見送られた。
事故から半年がたって、土や屋根、壁などにセシウムが染みこんでしまい、劇的な除染効果はもはや期待できない。知りたいのは、室内、庭、山などで除染効果が実証されて、しかも我々に実行可能な方法だ。今後は、ボランティアを募り、各世帯の除染を進め、放射線の飛距離を考えて住宅周囲75mの間伐、草刈り、腐葉土の除去などを定期的に行うよう行政に求めていく。【佐藤俊道・大波区自治振興協議会長/成願寺住職】
山内教授は次のように語る。
渡利地区では除染効果が見られず、至るところで、天然のレベルでは考えられない1μSvを超え、3μSv以上のところも少なくなかった。渡利のように面的に汚染された地域では、側溝や道路の土砂をどかしたり、水で洗い流しても劇的な効果は望めない。渡利小の通学路では、単に汚染ポイントを拡散させ移動させただけに留まった。
除染に過度な期待を抱かず、線量が下がるまで学校を安全な場所に移動させる発想に切り替える必要がある。
被曝リスクを考える上で重要なのは、集団線量だ。渡利のように人口密集地では、人口過疎地とは違ったリスクがある。個人の行動形態や範囲によっても被曝の度合いが異なってくる。
問題点。
(a)汚染ポイントがまだらに分布している。行政による1地点だけの定点観測では、被曝リスクや汚染実態を正確に把握することはできない。
(b)国は空間線量(1mの高さ)を指標にしているが、土壌近くを測って汚染ポイントを探さないと実態はわからないし、汚染源が放置されかねない。
(c)道路や学校などの公共の場の除染にしか力を入れていない。民間の敷地を含めて面的にやらないと効果は望めない。<例>個人の家で除染しても、隣家がしていないと、放射線が飛んでくる。
(d)材料にもよるが、屋根に付着したセシウムは高圧洗浄機を使っても簡単には落ちない。屋根の葺き替えが必要だ(補償も)。
(e)山林除染が課題だが、表土を取り去り木を切ると生態系が破壊される。現実的でない。森林に近い場所で住み続けるなら、障壁(<例>コンクリート壁)を設ける、といった策を講じるしかない。
大場弘行(本誌)「福島市渡利・大波地区ルポ 『除染しても数値が上がった!』」(「サンデー毎日」2011年10月2日号)に拠る。
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にゃぁぁぁぁ
除染しても駄目って辛いにゃぁ
汚染させすぎると除染できないんだにゃぁ。
そんなとこは、
除染より
避難優先になるんだにゃぁ。
にゃぁにゃぁ。