語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【社会】「監視社会を拒否する会」 ~マイナンバー~

2013年06月02日 | 社会
 (1)共通番号(マイナンバー)法が5月24日に成立した。2015年10月から動き出すが、個人情報の民間活用や医療情報は今回は適用外だ。ただし、3年後の法改正時には認められる公算が高い。

 (2)古賀茂明は、国民にとってメリットはほとんどなく、どさくさに紛れて焼け太るのは官僚とITゼネコンだ、と指摘する【注1】。
 小石勝朗は、メリットがないどころか、会社員の所得把握は今にも増して厳しくなる、という【注2】。富裕層は安泰だのに。
 神保太郎は、表現の自由に規制が強まる危険性を衝く【注3】。

 (3)野中大樹は、民主党政権時の案が自民党政権によって変質した点を取り上げる。
 当初、「社会保障と税の一体改革」の理念のもと、低所得者対策への活用が考えられていた。しかし政権交代で 、この構想は立ち消えになった。
 衆議院本会議の質疑で、自民、民主、公明、みんな、日本維新の会などの修正協議によって、法案に「行政分野におけるより公正な給付と負担の確保をはかること」という文言が付加された。

 (4)野中はもう一つ、監視社会への懸念も取り上げる。
 個人情報を政府が一手に握ることへの懸念に対し、安倍晋三・首相は5月23日、「国民に役立つ制度にするよう全力を尽くす」と語った。
 しかし、法案成立を受けて5月28日、参議院議員会館内で、法案採決に抗議する院内集会が開かれた。
 我々の情報が手の届かないところまでいっている。御上の意のままに情報が一元的に管理され、コントロールされていく。そういう段階にきている。憲法改正とも連動している。盗聴法の適用拡大、秘密保全法の問題など全体状況を射程に入れて今後の対策を考えていきたい。【田島泰彦・「監視社会を拒否する会」共同代表/上智大学教授】
 同会は、今後、システムを導入する自治体などに働きかけ、具体的な問題点を指摘していく。

 【注1】「【官僚】マイナンバーで焼け太る官僚とITゼネコン
 【注2】「【社会】税務署の所得把握が会社員に厳しくなる ~マイナンバー~
 【注3】「【社会】個人番号報道に見るメディアの「国家観」 ~マイナンバー~

□野中大樹(編集部)「「社会保障」の理念は立ち消え」(「週刊金曜日」2013年5月31日号)
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