語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【NHK】籾井会長の就任会見発言 ~どこが「間違いだらけ」か~

2014年02月08日 | 社会
(1)領土問題
 ①<日本の明確な領土ですから、これを国民にきちっと理解してもらう必要がある。今までで十分かどうかは検証したい。/国際放送は、国内放送とは違う。領土問題については、明確に日本の立場を主張するのは当然のこと。政府が右と言うことを左と言うわけにはいかない>

 ①・・・・放送法第4条違反。同条いわく、「政治的に公平であること」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」。
 NHKは、公共放送だ。受信料を徴収して成り立っている。視聴者が権力を監視する放送機関だ。そのトップが<政府が右と言うことを左と言うわけにはいかない>などと言うならば、誰も受信料を払わなくなる。
 国際放送が一部税金で賄われているため国からの要請がある場合があっても、編集権は独立している。「政府の立場を主張する」などということは起こり得ない。

(2)靖国参拝
 ②<総理が信念で行かれたということで、それはそれでよろしいじゃないですか。いいの悪いのという立場にない。/ただ総理は靖国に参拝されましたというだけ。ピリオドでしょ>

 ②・・・・「信念」などと言うから、話がおかしくなる。これでは、明らかに総理の行動を容認するものとなっている。すくなくとも、そう受け止められても仕方ない。

(3)従軍慰安婦
 ③<戦争地域には、どこでもあったと思っています、僕は>
 ④<従軍慰安婦が韓国だけあって、他の国になかったという証拠はありますか? あったはずなんですよ。従軍慰安婦をいいと言っているわけではないですよ。だけど、どう思われますか? 日本だけやっていると言われて。/ドイツにありませんでしたか? フランスにはありませんでしたか? ヨーロッパはどこにでもあった。なぜオランダには今も飾り窓があるんですか? 戦争しえいるところにはだいたい、つきものだったんですよ>
 ⑤<韓国は日本だけが強制連行したみたいなことを言うから話はややこしい。だからお金をよこせ、補償しろと言っているわけですよ。日韓基本条約ですべて解決しているんですよ。それをなぜ蒸す返すんですか>

 ③、④・・・・「どこにでもあった」というが、一般的な性売買と混同している。慰安婦のような制度は、日本とナチス・ドイツだけだった。「みんなやっているから、僕は悪くない」という弁解は、あまりにも子どもっぽい言い訳だ。
 ④・・・・飾り窓は、国が認めた公娼制度。慰安婦とは根本的に違う。
 ⑤・・・・「日韓条約で解決した」は間違い。条約は1965年に締結された。戦時賠償などを取り決めたが、韓国で元慰安婦が最初に名乗りを上げて損害賠償を求めたのは1991年だった。慰安婦問題は、日韓条約の対象になってなかった。

(4)特定秘密保護法
 ⑥<特定秘密法は政府が必要と説明しているので、それはそれで様子を見るしかない。あまりカッカすることはないと思う>

 ⑥・・・・デモが起きたりして問題になっている。問題点や良い点などについて、多面的に議論する番組をつくるべきだ。それなのに、まるで自民党政治家の発言と同じ。ジャーナリスト組織のトップの発言ではない。

 
(5)政権との距離
 略。

(7)編集権
 ⑦<(個人的見解を番組に反映させることは)ありません。放送法と何度も言っているのは、それがあるから距離が保てるということ>

 ⑦・・・・責任感がなさすぎる。会長は、人事や予算配分につじて絶大な力を持つ。こういう発言をしていれば、異動や予算を気にして、現場の記者やディレクターは萎縮してしまう。「個人的見解を反映させない」と言っても、トップ発言が番組制作に影響することをまったく分かっていない。
 1月30日放送の、NHKラジオ番組で、出演者が原発をテーマに話をすることが認められなかったことも明るみに出た。現場はすでに萎縮ムードになったか。

□常冨浩太郎(本誌)「NHK籾井会長の就任会見発言は「間違いだらけ」 専門家が採点!」(「週刊朝日」2014年2月14日号)
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 【参考】
【NHK】支配計画 ~安倍晋三政権の計算がずれはじめた~
【NHK】権力と癒着し続けた歴史 ~NHK会長~



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