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Re=response=応答、感応=物事に触れて心が動くこと。小田和正さんの大好きな曲からいただきました。

「キャバレー」 観劇

2007-10-30 | 観る、聴く

「キャバレー」
10月27日(土)マチネ 愛知厚生年金会館 1階C列
台本  : ジョー・マステロフ
日本語版台本・演出: 松尾スズキ
キャスト: 松雪泰子 阿部サダヲ 森山未来
      小松和重 村杉蝉之介 平岩 紙 秋山菜津子  

ひさびさにおっきな「?」抱えて帰ってきました・・
「人生はキャバレー」
「人生の全てがここにある」
あかん・・。2日経ったけど、まったくピンと来るものがない・・
ステージは面白かったです。
どの役者さんも、歌はうまかったし、みんなキュートなキャラでした。
松尾スズキ演出の舞台、わたしはたぶん初めてだと思うけど、
これなら受けつけないこともありませんでした(笑)
ちょっと苦手なミュージカルだけど、その点もこれならまだ大丈夫(笑)
・・なのだけど、
印象に残ったのは、いくつかのイイ台詞と、
会場全体をひとつのキャバレーにしてしまったような、
エンターテイメント・ショー的な部分だけ、かなあ。
このお芝居でいう<キャバレー>っていうのが、いったい何なのか。
パンフレットもあとで読んでみたのだけど、
結局よくわからずじまいでした。
そこんところがどうもわからないので、
ただのエンタ・ショーで終わっちゃったみたい、わたしには。
ああ・・この屈辱感がたまらない・・・(泣)

サダヲちゃんのMCは、もっと観ていたいくらい楽しかったです♪
フライヤーのスタイルだとばっかり思っていたので、
「ネコ・・かよ」(爆)
会場全体をキャバレーにする、という目論みでしょうね、
しきりにある特定位置(笑)のお客さんに話しかけたり、いじったりして、
楽しませてくれました。
「マネーソング」は特に面白かった♪
そのなかにご当地ネタ入ります。(それとも日替わりかな?)
この回は「スガキヤ」でしたよ。
ただ、サダヲちゃん面白い、面白すぎ~なんだけど、
ストーリー、メインキャストとの絡みはほとんどないんだよねえ。
この話ではやむを得ないけど、せっかくの組み合わせ、残念だなあ。

あっ、もひとつ残念だったこと!
わたし、今回珍しくやや下手よりの席でした。
なぜかわたし、これまで圧倒的に上手側で観ることの方が多いんです。
今回C列というかなり前方席だったこともあって、
舞台が目に入ってくる様子に、ヒジョーに違和感がありました。
そのうえ、サダヲ~!(呼び捨て、笑)
どうみても上手方向に向かって芝居する、目線をやることが絶対多いぞ~!(笑)
これは演出的立ち位置でなく、たぶんクセみたいなものかな~って感じ。
演出的にも、上手側に行くことが多かったし~。
次のフレーズではこっち来るかな~と期待してると、
センターで止まったよ・・・
下手に侍るサダヲをこよなく愛すファンは、寂しかったぞ~~(爆)

サダヲちゃんの次に、面白かったのは杉村蝉之介さん。
いや・・サダヲちゃん以上かもしれない。(サダヲ減点↑あるから。ウソです。)
「大人計画」観たことがないので、全然知りませんでした。
なんだか・・めっちゃツボでしたわ(笑)
エルンスト役なのだけど、度々何かに扮装して出てきてたし。
かなり前だったので、表情やら細かいしぐさ、よく見えたんですよね。
じーーっと観てると、笑いが止まらなくなって困りました。
(なのに周りがあんまり笑っていなくて~。わたしヘン?)

小松和重さん、やっと生で観れた♪
演劇DVDではけっこう観ているんですよね、このひと。
で、そのたびにけっこう印象に残っているんだなあ。
今回も彼はいいお芝居せてくれました。
どこか滑稽で、やさしくて、切なくて・・キュートな初老の紳士でした。
2部が開く直前にちょっとした彼のパフォーマンスが、
客席で繰り広げられます。面白かった~~!
このひとのお芝居は、また観てみたいなあと思いました。

小松さん演じるシュルツと恋に堕ちるのが、アパートの大家、
ミス・シュナイダー、秋山菜津子さんです。
彼女って、ほんとにすばらしい女優さんですね!!
こんなコメディも全然違和感なくこなせるなんて・・さすがです。
笑わせる場面では、こんなことからあんなことまでして(笑)
じゅうぶん観客を沸かせてくれましたし、
2幕の大切な部分では、きゅっと観る者の心を惹きつけてくれます。
残念ながらこのふたりは、世情に対する生き方の違いから、
悲しい別れをすることになりますが、
最後まで、ふたりの間にはちゃんと愛が見えました。

サリー役の松雪泰子さん、クリフ役の森山未來くん。
いちおうこちらのカップルがメインだけど・・
う~~~~~ん。
このふたりの間には、どうしても愛が見えなかったなあ、わたしには。
なんかバランスが悪いのかな。
特に、シュルツ&シュナイダーのカップルがとてもいい感じなだけに、
残念です。
シュルツ&シュナイダーに比べて、ふたりが愛を深めていくプロセスが
全然描かれていなくて、あまりに唐突に「子どもができた」
ここでいきなり冷めましたよ、このふたりに。
そのあとはふたり何を言い合っていても、
言葉だけが飛び交っているようにしか感じられませんでした。
未來くん、まだちょっと背伸びしすぎの役じゃないのかなあ?
松雪さん、やっぱりちょっと苦手。
歌も思ったよりうまかったし、きれいなのには違いないけど、
このサリーって役には、何か足らない気がするなあ・・なんだろ?(笑)
ガニマタ気味に立って、身体を左右に揺らしながら台詞を言うのが、
気になってしかたがなかった・です。
そもそも、このふたりに感情移入できなかったっていうのが、
いちばんイタイのかもしれません。(苦笑)

それでも、このお芝居で最も印象的だった台詞は、
そのサリー(松雪)がクリフに言ったひとことでした。
「あなたの生きてる現実と、わたしの生きてる現実が違うという現実に、
 あなたは気づいていない」 (ちょっと違った!?)
これは、その場で心にずしんと来ました。
やり場のない哀しみと、刃のような残酷さを湛えた台詞。
それでいて、なんだかものすごい説得力のある台詞。
それまでのサリーには、ほとんど心を寄せることができなかったのだけれど、
この台詞には、サリーのやるせない怒りや哀しみを、
共有できた気がしました。

そしてふたりは、シュルツ&シュナイダー同様、
それぞれの現実へ帰っていくことになりました。
お芝居もそれからほどなく(あっけないくらいに)終わりを迎えました。

キャバレーは、つかの間の夢??
でもサリーにとっては、そこは夢でなく現実。
夢?現実?それとも??
それが人生って???

猛烈な消化不良で気持ち悪い・・
何をしていても、ふと考えてしまう・・
「キャバレーって何だよぉぉぉ」(半泣き)

もうだめ。
完全に敗北宣言いたします。誰か教えて~~。

「スワンの馬鹿!~こづかい3万円の恋」 2話

2007-10-26 | 観る、聴く

とうとう1話感想ブッチしてしまいました・・
記念すべきドラマだってのに~。
心入れ替えて、2話こそ・・。

初回、面白かったですね~!(ちゃんと楽しんだんですよ!)
いいテンポで、ドキドキしたり、ほっとしたり、ヘラヘラしたり(?)
ファン的ツボ満載、つっこみどころ満載、
うん、上川さんのこういうドラマが観たかったんだよ~♪
あと10話(笑)この調子のままいけるか、、なーー!?

ただね~、完全にファンモードになっちゃっているので、
この面白さってのは一般的にどう受け止められているのかな?
ってのは、正直あります。
ま、自分が楽しめればそれでいいのかもしれないし、
万人にウケるなんてのもありえないけど、
単なる内輪ウケだったらやっぱりカナシイ・・(ある程度は認めるけどさ~笑)
純粋に「このドラマ面白い!」って思って観てくれるひとが
どんどん増えてくれることを願ってます。←切実。。

さて・・1話はまず、家庭でのスワンぶり。
で、2話は会社でのスワンぶり、ってところかな。
それにしてもパロット文具といい、
ヒル・マイナー・インベストメントといい、
お仕事のしかた、それでよいのか~~??(笑)
だからこのコメディが成り立つんだけど・・

高宮課長~!
失敗はぜ~んぶ部下のせい、成功はぜ~んぶ自分のおかげ、
苦労はぜ~んぶ部下がして、上にはへーこらほいほい、下には気分次第、
部下に何と言われようが何のその、オイシイとこどりで生きてます♪
やだね~~!でもいるね~~!こういう上司(笑)
でも、このサイテーぶりを演じる矢島健一さん、サイコー♪♪
キャラ作り完璧ですっ! そんなアナタが好きだっ♪
あの『震度0』の堀川警備部長とは思えないぞ~、
今度は、優ちゃんの上に立ってるし~。
でもでも、あの上司としての仕事っぷりを見る限りじゃ、
「それができないのなら、今すぐバッジを外して職を辞せっ!!」
と、もっかい怒鳴られそうですぅ。

諏訪野課長代理も~!
ヒル・マイナーとの取引、な~んかうまいこと収まっちゃったみたいだけど・・
アナタもけっこうヤバイと思うわ(笑)
大失態の大モトは香月嬢のミスだけど、
図面確認を怠ったのは波戸クンのミス。
だから、すべてをひっかぶって自社のミスだと言い切ったアナタは
潔い!かっこよかった!
だけどね、波戸クンのミスを見逃したのは(つか、図面が2枚あったことすら
知らなかったじゃん)、上司であるア・ナ・タ。
あら~、高宮課長と同じミスだわよ~~、気づいてる~?(笑)
自業自得、かっこいくない~(爆)
しかし、とにもかくにも表面的には丸く?収まり、
ヒル・マイナーの常務には意外や好印象。
さすがスワン、それでこそスワン♪

ところで、諏訪野さんが自社の非を認めて頭を下げたとき、
自社の非だけじゃないことを知っていつつも、
諏訪野さんに倣い、すぐさま頭を下げた波戸クン、エライ!
今話題の「KY(空気が読めない)」営業マンじゃないみたいね~。
いい部下で、よかったねスワン♪

さて、ヒル・マイナー・インベストメント。
服部常務、上杉祥三さんですね~~!
初回を初めて観たとき、エンドロールで上杉さんのお名前発見。
タダでは済みそうになくて好きです・・この方(笑)
どこにいたよ~?ってくらい、初回はほとんどまともには映らなかったですね。
でも、この役者さんを立てるくらいだから、
この服部常務という役、けっこう重要人物かな~って期待♪
早くも2回で、その一端を垣間見せてくれました。
なかなかの大物を予感させる渋さ♪ いいね~~。
香月のミスに気づきながら、香月とパイロット文具がどう動くかを
冷静に観察していたようです。
「失敗は人を育てる」と大きく構え、諏訪野を「おもしろい男」と睨む。
川瀬が諏訪野のことを「僕を初めて殴った男ですから」といえば、
ますます興味を示したようす。
この先、スワンにいくつか試練を与えてみて、
ヘッドハンティングとか~~~!
だけど、スワンは行きませんよ。
おこづかいが5万に、いや7万に昇格するかもしれなくても、
きっとスワンはね、行かないんですよ、そういう男なの。
・・って、見えてるじゃん、結末(爆)

そうなのよ~、このドラマって、着地点は見えていると思いません?(笑)
「恋」はするんでしょうけど、「恋」で終わるんですよ、
「恋」から「不倫」に行く人じゃないの、スワンは(笑)
たとえ、↑↑みたいなオイシイ移籍話があったとしても、
きっとそれには乗らないの、スワンは。
着地点は明らかなんだけど、いえ明らかだからこそ安心して、
そこにたどり着く道すがら、
今度は何が起こるんだろう??スワンはどうするのかしら??
っていうのが、面白くてたまらないのね、きっと(笑)
上川さんがどっかのインタで(もうわけわからん)
「大輔は大変でしょうけど、こういう役は演じていて楽しい」
みたいな発言があったと思うんですが、
はい♪観てる方も断然楽しいです、大輔さんには悪いけどね~(笑)

横道逸れました。
ウチに帰れば帰ったで、スワンは大変。
へし折れたーー!
(「へしって何ですかね?」「知りませんよっ、そんなこと」ウケました!)
まあね~~、あんなかわゆいお嬢ちゃんひとりのお宅じゃあ、
そんなことが今の今までなかったのも(奥さんが一度やってるけど)
ムリないけどねえ・・
カワイイ坊ちゃんが3人もいる家庭ではね、
へし折れる、こっぱみじん、びりびり、へんしん・・数限りなく、
自分ちに留まらず、祖父母んちでも。
ま、「過去の栄光」なんてモノではないですが。
理由も聞かず、頭ごなしに怒鳴るなんざ日常茶飯事、
大事件でもなんでもないわけよ(爆)
諏訪野では、真澄ママは叱り上手の謝り下手、
大輔パパは叱り下手の謝り上手? 完璧っ!すばらしいカップル♪
ウチはね、両方叱り下手の謝り下手、サイテー!(どうでもよか)

「パパなんか、キライ」なんて涙ためて言われちゃうと、
パパ、ショックなんだ~~(笑)
わたしたぶん平気よ~、あるいは逆上とか!?
で、自らの行いを反省して「ごめんなさい!」ってか。
すばらしい!親の鏡!ツメの垢でも飲ませてください。
わたしにはできません・・

しかし、いいシーンでしたね♪(さんざんふざけておいて・・)
パパひとりの過去の栄光の品が、
こうして家族の大切な思い出になったんだものね~。
(この発想がものすごく好き!)
またリビングに置かれることに、ママ文句言えないね~。
うん、思えばウチのへし折れたあれも、こっぱみじんのあれも、
家族の忘れられない思い出ではある、、
「ヤツが壊した」ってまぎれもない事実・・。(だからもういいって・・)

そうそう(まだあるのか)、放送直後気がついた。
わが家にもある、お掃除放棄ゾーン。
二男&おちびが夏休みに作ったレゴの「秘密基地」
遊びスペースのテーブルをずーっと占拠していて、
時々遊んだり、手を加えたりはしている。
で、真澄ママじゃないけど、ある日掃除してたら・・
壊れちゃったのね、ちょこっと。
二男、泣いて怒る怒る~。で、わたしも確かに言いましたわ。
「じゃあ、もうここ、二度と掃除しないからねっ!」
はい、ほこりたまってました。(←過去形に注目っ)
今日ね、お掃除してあげましたよ(笑)彼ら立会いのもと。
スワン家のおかげです(?)

次回もますます面白くなりそうですね。
火曜日放送ってのは、なかなかありがたいです。
週後半に向けて、たっぷり元気いただけますから♪♪
では、スワンなみなさま、がんばりまっしょい!

第四十三回 吉例顔見世 

2007-10-24 | 観る、聴く

チケットがね、天から降ってきたんですよ。

名古屋御園座、毎年10月恒例「顔見世」
今日(22日)の昼の部は、JTBとある支店の貸切だそうで、
JTBにお勤めのご主人をもつ友人(彼女も元勤務)、
いわゆる売れ残りの斡旋を受けたそうで、
「半額だから・・」
のひとことに間髪入れず「行く!絶対行く!ぜひ行かせてっ!」
うわ~~~♪お初のナマ歌舞伎観劇、お初の御園座だよ~~♪
それだけで天にも昇る心地のわたしに届いた、数日後のメール。
「一番前の席だってよ~」

半額でかぶりつきのお席の「御観覧券」がね、天から降ってきたんですよ。
歌舞伎の神様がね、「いらっしゃ~~い♪」って呼んでるんですよ。
いかいでか!!!

というわけで、その日がとうとうやってまいりました。

 10月22日御園座 
  <昼の部> 
   一、歌舞伎十八番の内 毛抜(けぬき)
   二、色彩間苅豆(いろもようちょっとかりまめ) かさね
   三、権三と助十(ごんざとすけじゅう)
 
一、歌舞伎十八番の内 「毛抜(けぬき)」
  <あらすじ>
  文屋豊秀の許婚小野家の姫錦の前は、髪の毛が逆立つ奇病のため、
  婚儀が進まず、実情解明のため秀家臣粂寺弾正(くめでらだんじょう)が
  小野家を訪れる。目通りを待つ間に、鉄製の毛抜が踊り出すのを見て、
  天井裏に磁石があると確信。姫の奇病の原因も姫の鉄製のかんざしと
  気づき、槍で天井を突き、磁石のからくりを暴き、小野家乗っ取りを
  企む悪人の根を絶つ。

  粂寺弾正: 尾上松緑     
  八剣玄蕃: 片岡市蔵  ほか

  わかりやすくて奇想天外なストーリーの面白さと、
  舞台セット、衣装、小道具、多彩な見得など、歌舞伎的な面白さが満載!
  初っ端から「これぞ歌舞伎だ~♪」ってテンション上がります(笑)
  弾正役の松緑さん。(この方、前の辰之助さんですよね?)
  豪放で茶目っ気もあり、頭がキレて腕も立つ弾正。
  松緑さんの雰囲気や声は、弾正にぴったりな感じでした。
  弾正のいかにも勇壮ないでたち、衣装がとても立派です。
  裃、袴は、黒・金・銀をあしらった碁盤の斬新なデザイン。
  紋は、演じ手は松緑さんだけど成田家さんに敬意を表して、
  成田屋さんの三升なのだそうです。刀の鍔まで三升でした。
  衣装などの美しさは、やっぱりナマで観ると感動しますね♪
  毛抜が突然動き出すのを見て驚く様を、いくつか変わった見得で
  見せてくれるのが面白いです。そこまでする?みたいな(笑)
  この演目では、黒衣ではなく、素顔に紋付袴姿で出てくる後見さんが
  演出や役者さんのお世話などに大活躍です。
  何しろ、動くはずのないモノが動いたり、
  お姫さまの髪が逆立ったりするんですからね。
  (逆立つ髪ってどんなかな~と楽しみにしていましたが・・
   これはちょっと不発、そりゃないだろみたいな、笑)
  弾正さまに、堂々とお茶まで差し上げていました、ちゃんと三升の紋
  入りのでっかい朱塗りのお湯呑みで。
  ストーリーと弾正の動きがとにかく面白いのですが、
  それゆえ?ほかの方の印象がまるでなかったような・・(笑)
 
二、色彩間苅豆(いろもようちょっとかりまめ) かさね
  <あらすじ>
  与右衛門は深い仲の腰元累(かさね)を捨てて逃げ出したが、
  累は与右衛門に惚れているうえ子まで宿しているので、
  追いかけてきて、とうとう木下川堤で与右衛門に追いつく。
  そこへ鎌の刺さった髑髏と卒塔婆が流れてくる。
  与右衛門がその卒塔婆をへし折り、髑髏から鎌を引き抜くと、
  たちまち累の顔が醜く爛れ、片足まで不自由になってしまう。
  髑髏と卒塔婆は、実は与右衛門が殺した累の父・助のものであり、
  その累の姿は、まさに助が殺されたときの有様だった。
  累は与右衛門にすがりつくが、与右衛門は鎌で累を殺してしまう。
  立ち去ろうとする与右衛門を、累の怨念が引き戻す。

  累(かさね): 尾上菊之助  
  与右衛門  : 市川海老蔵

  ああ~~観にきた甲斐がありました!
  最初の「毛抜」とはまったく違う歌舞伎の面白さです。
  ためいきが出るくらい美しくて、終盤はほんとに怖い!
  以前三谷幸喜さんがパルコ歌舞伎のときに、
  「(歌舞伎で)これは面白い!と思ったときには、(演劇とか映画とか
  いろいろジャンルはあるけれどその中でも)おそらく最上級の面白さだと
  思います。それは僕たちが日本人だから感じられるものであると・・」
  云々おっしゃっていて、至極納得しましたが、
  この怖さって、まさにそういう類のものじゃないかと思います。
  
  菊之助さんの累が「もうどうしてっ!?」てくらい美しい!!
  この演目は舞踊なので、かさねには一切台詞がなく(記憶では)
  すべて舞で表現されます。
  ふたりの出会いから、子を身ごもっていることを仄めかすなど・・  
  イヤホンガイドのおかげで、所作のひとつひとつが何を表現して
  いるのかがよくわかり、こういうものを生み出した先人たちの、
  表現の豊かさとか巧みさみたいなものにもう感激しまくりました~。
  ところで、累が与右衛門に殺されるとき、
  跪いた累が後ろにぐーーーっと腕をつかないで)ブリッジするみたいに
  反り返るところがあります。
  あんなお綺麗なお姿で、むちゃくちゃスゴイです(笑)
  思わず客席から感嘆の声が起こりました。
  
  注目の海老蔵さん、色悪の典型与右衛門・・まんまじゃん(笑)
  歌舞伎若葉マークなので、この海老蔵さんの与右衛門が
  うまいのかまずいのか、そんなことはまったくわかりませんけど・・
  やっぱり華がある役者さんだな、とは思いました。
  この与右衛門なんて、海老蔵さんにはぴったりの役なんじゃないですかね。
  さて、その海老蔵さんですが、白塗りに黒の紋付を端折った姿。
  大柄なイメージだったのですが、思ったより細くて、
  身体の大きさをまったく感じなかったのが、ちょっと意外でした。
  でも、後半激しく立ち回るときの御々足の筋肉の美しいこと、
  かぶりつきでほほぅ!でした。(友人もおんなじこと言ってた、笑)
  前半、もう少し冷たく悪い感じが漂ったほうがよかったかも、です。
  累を殺そうとするあたりから、舞台は静から動に変わり
  累と与右衛門、すごい迫力で相対します。
  累、あんなお綺麗なお姿で、かな~りしぶといです(笑)
  
  与右衛門は、死んだ累をそのままにして、花道を去ります。
  すると、橋の上で死体となった累の右手だけが、かすかに動き始めます。
  (これがめちゃめちゃ怖い!)
  その指先のかすかな動きに手繰り寄せられるように、
  与右衛門が花道を、もがきながら引っ張り出されてきます。
  「連理引き」というそうですね。
  言葉は綺麗なんだけど、怖いのねぇ・・
  与右衛門がもがけばもがくほど、累の怨霊が激しく絡みつくようです。
  前半の切なく美しく艶かしい情景がウソのような激しいシーンです。
  ラストは、累の怨霊に相対する与右衛門(実際は正面を向いて、
  見得を切る)と、その後ろにいつのまにかすぅーーっと立ち上がった
  爛れた顔に無表情の累。
  ぎゃあああ!めちゃめちゃ怖ーーい!
  けれど、めちゃめちゃ美しいラストシーンでした。絵になるなあ~~♪

  前の「毛抜」のときにはなぜかなかった、大向こうからの掛け声。
  御園座では聞けないのか??と思っちゃった。
  この「かさね」ではちゃ~んと出ました。
  やっぱり、コレがなくちゃね♪♪ と思いました。

三、権三と助十(ごんざとすけじゅう)
  <あらすじ>
  江戸神田橋本町の長屋での話。
  無実の罪で牢死した小間物屋彦兵衛の倅、彦三郎に同情した
  長屋の権三と助十、そして長屋の大家さんまでもが、
  彦兵衛の無実を晴らそうと、知恵を絞って大騒動。
  すったもんだの末、真犯人の勘太郎が捕まり、
  彦兵衛も実は牢死しておらず、無事戻されることになる。

  権三   : 市川團十郎
  助十   : 尾上菊五郎
  権三女房 : 中村魁春
  家主六兵衛: 市川左團次 ほか

  「毛抜」「かさね」とはまたガラッとタイプの違う演目。
  これだから面白いんですね~。
  これは、いわゆる世話物と呼ばれる話で、
  大岡越前守で有名な「大岡政談」のなかの一件をベースにして、
  江戸長屋の住人たちを中心に描いた喜劇です。
  
  う~~ん。
  面白いのだろうな~とは思いましたが・・
  わたし、小説やドラマでもそうなのですが、町人モノがちょっと苦手。
  端から避ける傾向にあるせいで、いいモノに出会ってないだけかも
  しれませんが・・いや、きっとそうですね(汗)
  なので、この演目は気分的に乗りきらぬものがありまして・・
  正直なところ、途中で意識が朦朧としてきたし、
  観るべき(楽しむべき)ところを失していると思います(恥)
  でも、いつかこういうものも楽しめるようになりたいな、とは思います。

  神田橋のとある長屋で、恒例の「井戸替え」を長屋の住人総出で
  行うところから始まります。ここで面白いシーンが。
  井戸替え(簡単にいうと、井戸のなかの掃除)のための長い綱を、
  綱引きのごとく、老若男女みんなして引っ張るのですが、
  舞台上手から、ずーーーっと花道の先まで、総勢30人ほどの
  役者さん(子役ちゃんも数人)が綱を引いて登場します。
  この「顔見世」公演にこ~んなにたくさん来ているの??とびっくり!
  いちばん面白かったシーン。(ここかよっ!爆)
  
  團十郎さんの権三と、菊五郎さんの助十もいいのですが、
  わたしは、権三の女房おかん(魁春さん)と助十の助八
  (河原崎権十郎さん)のほうが観ていて楽しかったです。
  どうも女形に目がいってしまうんですね(笑)
  魁春さんの女房、匂い立つような姫さまや奥勤めの老局ともまた違う
  女っぷりが「どうしてこうも自然かな~」と面白くてたまりません。
  そう思うと、團十郎さん演じる生粋の江戸っ子で怠け者の駕籠担ぎ、
  わたしには、なんとな~く違和感。  
  團十郎さんは、やっぱりせっかくだから派手で豪快な役で
  観たかったな~。(ま、これからの楽しみですね♪)
  あ、猿回しの与助の猿が面白かったですよ(笑)
  ただのお猿の人形なのに、妙にリアルだったの。

  権三、助十をはじめとする長屋住人を巻き込んだ騒ぎは、
  結局、名奉行大岡越前守の仕組んだ真犯人あぶり出し作戦で、
  真犯人がみごとに捕まり、無実の罪をかけられていた勘太郎は
  無事帰されるというハッピーエンド。
  大岡越前守かい・・ 
  なんだかウルトラC級の展開に苦笑。
  しかしこれが歌舞伎じゃん。そういうのを昔の人は喜んで観たわけよ。
  ということで、あっぱれあっぱれ(爆) 
  ほんと、よく観てないのバレバレな感想しか書けません、すみませんっ。

初めての歌舞伎、ほんとに楽しかったです。
勢いで夜の部まで観たかったなあ!
夜の部は「鳴神」「絶陀(だったん)」「義経千本桜から川連法眼館の場」
またまた違う楽しさが味わえそうですよね~。
とうとう歌舞伎道の味を占めてしまったので、
これからぼちぼち、楽しんでみようかなあと思います♪♪
先輩がた、よろしくお願いしま~す。
なかなかナマでは観られそうもないのが残念ですがね~。
名古屋で観られるようなときには、次からは自ら喰いつこうと思います♪

「名門に生きること~市川海老蔵」

2007-10-15 | 観る、聴く

お芝居1本観たくらい、のめり込んでしまいました。
はっきり言って、ついこの間までほとんで興味なかったんですけどね、
特にこの海老蔵さんって人には。
風雲児というより、やみくもに突っ張って青い人ね・・みたいな(笑)
撤回します・・
まだ惚れこむには至らないけれど、
なるほど「名門に生きる」にふさわしい人物かもしれないな、と
見直しました。

豪放磊落かと思えば、実に繊細でピュアで素直な人だと感じました。
今でこそ「歌舞伎を愛している」「真剣に向かい合っている」と
明言する彼だけれど、
「歌舞伎を愛していなかった」と振り返る20代までの人生のなかでも、
彼は、ものすごく(もしかしたら人並み以上に)真摯に歌舞伎と自分を
見つめていたに違いないと、彼の若い頃のエピソードのいくつかに
感じました。

10~20代の彼は、歌舞伎を愛すがゆえに、
(それを自ら気づいていなかったか、そう認めたくなかったのかは
 わかりませんが)
それこそ幼い頃には、歌舞伎を楽しむことのできない自分に焦り怒り、
やがては、本気で闘って負けることが怖かったのかもしれません。
それでも彼は、ほんとうの土壇場で逃げなかったですね。
無意識のうちに、そのときの彼の持ち得るすべてを投じて、
彼は舞台に立ちました。
人間って、土壇場でその真価が問われるものだと思います。
彼がその舞台で絶賛を受けたということは、
彼には、やはりそこに生きるだけの力があるということを、
認められたような思いがしました。

彼は、歌舞伎そのものや名門の重責に対して、
決して反発したり逃げようとしたりはしていないと思います。
彼は、そこで「生きよう」としているのを、強く感じました。
彼の繊細でピュアな感覚や愛情と、400年受け継がれてきた伝統。
どちらも大切にしつつ、折り合いもつけながら、
彼は彼らしいやり方で、歌舞伎の世界をこれからも生き、
やがて、立派に13代目を継ぐ人物に成長するだろうと思います。
パリ・オペラ座公演を成功させた直後に、
「次の目標が見えた」それは「団十郎」だと言い切った彼が、
ことのほか頼もしく見えました。

この名門を継ぐということは、
初代をコピーし続けることではないはずです。
「傾(かぶ)く=前のめりになること」
「かぶきもの=時代の最先端をゆく異端児」
これらに由来する歌舞伎の伝統を300年以上も継承し続けてこられたのは、
基本を忠実に守りつつ、新しい色・個性を乗せ続けながら、
その時代の心、文化に寄り添い、あるいは引っ張ってきたからだと思います。

とんがって生きていいじゃないですか。
未熟者でいいじゃないですか、まだ30歳ですよ。
それが、11代目市川海老蔵の色だと思うなあ。
300年以上をしぶとく生き抜いてきた市川団十郎という名門の名は、
この海老蔵がこののちどのように成長して継承するにせよ、
きっとおおらかに受け入れるのではないかな、とそんな気がします。

いいもの、見せていただきました。
ますます楽しみになってきましたよ、御園座♪♪

「通し狂言 i染模様恩愛御書~細川の男敵討」 

2007-10-13 | 観る、聴く

どんだけあっためたんでしょ(笑)・・答=9ヶ月。すんません。
やっと観た、とうとう観た、そしてなんか毎日観てしまう。
いや・・今が<そのとき>だったんですよ、わたしにとっちゃ。
ものごとには、ここぞというタイミングってもんがあるんです(言い訳)

先月大阪松竹座で初めて片岡愛之助さんを観ました♪
22日、名古屋御園座にて、思いがけず歌舞伎初観劇でございます♪
先週、ゲキシネ朧で染ちゃんにすっかりヤられてきました♪
ね、このときのために用意されていたかのようです。(そっか~?)
市川染五郎×片岡愛之助の「染模様恩愛御書~細川の男敵討」
昨年来、とある方面ではえらく楽しそ~に盛り上がっており、
「ついてゆかねばっ」と機を逃さずしっかりDVDにも収めたにもかかわらず、
そのまんま。かくして・・
「染ちゃん♪」「愛之助さん♪」「歌舞伎っていいよね~♪」な
ハートマークいっぱいの話題には、2月も9月もちんぷんかんぷん。
もーっと早く観ておきゃよかったーー!

いやあ、面白かった、ステキでした♪
こんなにもツボにハマるとは思いもしませんでした。
もうね。。あの切な~い唄(ラストの流れる唄)が、
毎日何をしててもぐ~るぐる・・なの(笑)
「兄上さまっ、兄上っ」
友右衛門の幻を見ては空を抱き彷徨う数馬の姿が悲しくて悲しくて。
かずまぁ・・胸が痛い。

(なにしろ歌舞伎のことは全然わからないので、
用語も何も知りません。以下、あしからず。)

これが歌舞伎の様式美というものかなあ?
役者さんの容姿、立ち居振る舞い、台詞回し、
見得、立ち回り、女形、鳴り物、掛け声・・
もうことごとくおもしろくておもしろくて・・
好きだなーー、こういう感じ!と思いながらずーっと観ています。
こんなに自分の興味をそそられまくるなんて。まいった、まいった(笑)

文語の台詞がたまらない♪
本格時代劇でもこんなの聞かれない。
もっとわからないものかと思っていたけれど、全く平気ぢゃん♪
むしろ耳にやさしい感じがするんですよね。
女言葉に、武家言葉、殿様言葉(?)
それぞれに艶かし~い感じがめちゃくちゃ好き。

それから当たり前だけど、何につけ所作が綺麗。
これぞホンモノだよなあ・・とホレボレします。
日本人ってきれいだよなあ・・とうっとりします。
なかでも、愛之助さんの数馬の御前で平伏す姿勢が、
これまで観てきた誰より上品で綺麗、とっても好き。
どこがどう?って言われると困るけど・・なんかすごくいいのよ(笑)

そして女形!
はじめてじっくり観ましたけど、ほんっとにステキ♪♪
もう・・なんであんなにしなやかに艶やかに動けるんでしょ。
友右衛門よりも数馬よりも、惚れた~(笑)
先日「めざまし広人苑」に出ていた市川春猿さん。
(この人どっかで見たことあるな~)と思ったら、
腰元・あざみ殿でございました。
わたしにとっては、これまたタイムリーなご出演。
あざみ殿、嫉妬深いのですが、なんだかかわいらしいです。
捕らまる直前、友右衛門を振り返り、罵しる言葉をぐっと飲み込み、
いかにも悔しそうにプイっと顔を背けるところが、好き。
殿の奥方さまも、その年齢や立場に相応な優雅さがすてきでした。
女形に限らずどの役でも、歌舞伎って、
立場や年齢、性格などにより、化粧から所作にいたるまで、
それぞれにはっきり違いを持たせているところが、観ていて楽しい。
やっぱりね、そこが付け刃(言いすぎ~)の時代劇とは違うな。

わたしが女形とは別に、いちばん惚れこんでしまったのが
実は、細川の殿さま! もうめっちゃ殿さま!(わけわからんよ・・)
そもそも「細川」にやたら弱いわたし(爆)
相当勝手な思い込みですが、
古くより由緒正しく、武に優れ教養も豊かで、義に篤い。
一方で、家中の苦悩、悲劇も数多く乗り越えながら、
大切に守り抜かれた武家中の武家。
そういう家柄の超正統派、凛々しく、艶っぽく、聡明で情に篤い、
殿さまたるものこうでなきゃ♪
ツボにずどーーんの、細川の殿さまでございました。

歌舞伎の立ち回り。
これぞ様式美のすばらしさというんですかね。
ふだん舞台や映画できゃあきゃあ♪言って観ている(笑)
スピード感のあるかっこいい殺陣とはまったく違う。
なのに、これがなぜかものすごくかっこよく観えてしまったんですね~!
型に忠実に刀を合わせ、ここぞと見得を切り、1枚の絵になる瞬間。
日本人でよかった~♪と思ってしまいました(笑)
そうそう、歌舞伎って、斬られて死ぬとき、
わざわざ頭を客席に向けて倒れるみたいですね~、足を向けない。
これもきっと型なんですよね?

演出も、面白いものがいっぱいあるんですね。
そんなのこの舞台だけだよ~なのかもしれませんけど。
シルエットだけの表現だったり、かきつばたが空から舞い降りてきたり。
猛火の様子は映像?照明も迫力があって、
歌舞伎の舞台で、ここまでリアルに観せられるとは驚き。
火の粉をかぶった友右衛門の衣装もすごいですね、ほんとに煙が出てる!
「カン・ジン・チョウ」には、目がテン、お口あんぐりでしたが(笑)
あれも・・アリですか? 嫌な感じではないですが・・とにかくびっくり。
2幕冒頭のコメディ仕立ても面白かった♪
「いざや、かぶかん」こんなところで観られるとは~。
松本錦升さま振り付けですもんね♪
さすが、ホンモノさんたちはお上手!やってみると難しいんですよ、アレ。
歌舞伎って、楽しめる要素がてんこもりなんですね~。
(きっとほかの演目でもそうなんだろうと思います。)

して、、ストーリー。
泣かせるなあ・・好きです、こういうの(笑)

衆道的な愛情が友右衛門と数馬のあいだにはあるわけですが、
それよりも、数馬の、親の敵を討ちたいという大望成就のため、
千代に義兄弟の契りを結ぶというふたりの関係に感じ入りました。
そして、さらにそのふたりの意を酌んで、
不義密通の疑いで捕らえられたふたりを許し、それだけでなく、
友右衛門を武士に取り立て、数馬は剣術修行のため友右衛門預けにする
という大裁量を発揮する細川の殿さまに感激~。
そのうえ「大川」の姓は憚られるという家臣の進言にも、
「大川とて、もとは細川」なんていう殿さま、すてき。
そこで友右衛門が一首献上。
「谷々の 川の恵みを堰き入れて 上(かみ)は細川 下(しも)は大川」
「あっぱれ!秀逸ぅ~~」と上機嫌の殿さま♪♪
もう・・きゃあ♪です。このキメキメ感(笑)がたまらな~い。
思わず一緒に声に出しちゃいたい気分!

そして、とうとう敵討ち。
数馬の仇、横山図書は姓を偽り再婚もしていたわけですが、
その相手というのが、何の因果か友右衛門の妹。
数馬と義兄弟の契りを交わした友右衛門、
助太刀をして倒す相手は、真の義弟。
日本人にとっての「義」という観念の面白さ、せつなさを感じます。

敵討ちを果たしたもつかの間、細川家宝蔵の火災。
ご恩に報い、大切な御朱印状を救い出すため、
友右衛門がひとり猛火の宝蔵へ向かいます。
しかし火の勢いは激しく、友右衛門は最後の手段として、
自ら腹を掻き斬り、その腹のなかへ御朱印状を収めて絶命!
鎮火のあと見つかった遺骸のなかから、ご朱印状が無事取り出されます。
なんとも奇想天外な展開・・
この命を懸けた忠義に感銘を受けた殿さまは、
友右衛門を細川家の守り神と称え、
数馬にはその大川家を継ぐことを命じます。
友右衛門の義、殿さまの義、数馬の義。
「義」とは、まことに重く切ないものですねえ。

ほんとうにひとりぼっちになってしまった数馬。
舞い降りてきた、一輪のかきつばたを抱く数馬の後方に、
数馬を見守るかのように、友右衛門が立っています。
くーーーっ!! めちゃくちゃ泣かすじゃありませんか~。
この最後のシーンが、絵として最高に美しかったです。
(『SHIROH』のラストを思い出してしまいました。)

以上、何日かでぼつぼつ書いたので、長くてまとまりがなくてすみません!
そして自分でも笑ってしまうほどの、どハマリ状態(爆)
しかし、初生歌舞伎に向けて、いい踏切台になったような・・。
こんなとき、またまたタイミングよく、明日の晩には、
海老蔵さんのドキュメンタリー番組があるようです。
まったく・・すべての道は歌舞伎に通ず・・みたいな今日このごろです。

なんてことをほざいていたら、
昨日の中日新聞朝刊に、毎週金曜日折込の週間テレビガイド、
一面の「人模様」に上川さん、バ~~~ンとご登場でした♪
そうですぅ。
海老より白鳥でございました。
まるで、お迎えにきたかのようでした(笑)
染さま愛さまについてはなんとか書ききりましたので、これで戻りま~す。

ああ・・おバカなわたし。

ゲキ×シネ「朧の森に棲む鬼」

2007-10-08 | 観る、聴く

さっそく行ってきました♪♪
場所は、名古屋ミッドランドスクエア・シネマ。
ふだんは韓流ひとすじ、しかしコレだけは猛烈にハマり、
「血みどろお染サイコー♪ 絶対『SHIROH』越え~~!」
と、半年前観劇直後からのたまってくれたお友だちがいっしょ。

待ったよ、待った、8ヶ月!
わたしの観劇は大阪松竹座の1度限りだったので、
当時、朧の森を彷徨い続けるひとたちの熱~いレポが次々上がるたび、
そのあまりの興奮度に驚くやら羨ましいやら・・。
どれだけ「もう一度観たい!!」と思ったことか。
あれから8ヶ月。振り返れば・・あっという間じゃん(笑)

ストーリー、よくできているよなあ!とあらためて思った。
面白い。とにかく面白い!!
177分、まったく集中が途切れることがなかった。
2幕、さらにこれでもかというくらいにのめり込まされて、
全神経完全に持っていかれたあ!
あまりに力入りすぎて、観終わったあとには頭がガンガン・・(泣)
「また~?力入りすぎなんだよー」と友だちにまた笑われた。
(観劇直後、頭やおなかが痛くなることしばしば・・)
新感線の舞台って、ほんとに体力要るよね~。
しかし、それがよい。そこが大好き。

わたしの最初で最後の生観劇は、わけあって(笑)
1幕を最前列ほぼ中央、2幕を花道の外側で7列目くらいだった。
そんな理由から、実は今回ゲキシネの楽しみかたも1幕2幕で違う。
1幕では、ゲキシネならではの角度による映像はもとより、
引きの映像での、最前列では観にくかった舞台全体像がとても新鮮だった。
また2幕では、どうしても観られなかった役者さんたちの表情を
ひたすら追った。その迫力と繊細さにめちゃくちゃ感激!
今回のゲキシネ、表情の絶妙なとらえかた(迫りかた)が、
これまでの作品以上にすばらしかったと思う。

またCGやスローモーションなどの加工は、
もともとあまり使ってほしくないなと思っていたのだけれど、
今回の作品は、これまで以上に効果的な使われかたをしていて、
むしろあってよかった、と思えるほど。
思えば、演劇をわざわざシネマの土俵に上げて勝負するのだから、
舞台そのものの単なる中継映像では意味がない。
生の舞台の良さと、映像の良さと、
舞台だけでも映像だけでも味わえない何かを感じられるのが、
ゲキシネという新しい分野の魅力であり、
この分野に挑む理由のひとつでもあると思う。

また、ゲキシネ独特の熱の根源みたいなものを、
映像プロデューサーの金沢さんのインタビューに感じた。
(公開前日放送の「スッキリ!」でゲキシネ特集あり)
「舞台の演出家さんの意向がちゃんと反映されているかってことに、
 いちばん気をつかっています」(だったかな)
テレビ局による舞台中継録画と断然違うところは、やっぱりココ!
ゲキシネをまったくの外部の手によらず、
あくまで舞台制作の延長上にあるものとして、
映像制作側と舞台製作側との綿密な意思疎通、試行錯誤を重ねているからこそ、
双方の表現しようとするものにギャップがない。
どころか、それらが十分かみ合うことで、相乗効果を上げている。
それが、ゲキシネ特有の熱になって伝わる、と感じている。

舞台の進化もさることながら、
ゲキシネ第5弾として、ますますあっぱれな進化を遂げていると思う。
今回、初の全国同時公開、
会場はどこもかなり注目度、集客率の高い人気スポットで、
もともとの演劇ファンはもとより、
演劇をあまり知らない一般客までを相手に、
話題の映画作品たちと肩を並べての堂々たる戦いっぷり、おみごとである!
「どーーだっ!」と胸を張りたい気分。
(誰に対して?かは不明。どうしてアンタがよ?も不明。)

さて、エラそうに御託を並べるのはこれまで(爆)
ゲキシネ朧を観てのざっくばらんな感想を。

まずなんといっても、ライが森のオボロたちと契約を結んだあと、
タイトルがおどろおどろしく浮かび上がるシーン。
ゲキシネでは毎度のことではあるけど、
軽い電気ショックを受けたような、全身総毛立ち!

1幕では、キンタ@サダヲちゃんのめいっぱいのはじけっぷりが、
画面を通して活き活きと伝わって嬉しい♪
このあまりに無邪気なバカっぷり(失礼?じゃないよね)、
あらためて彼をおいて他にはできないと思うなあ!
いっぽう2幕では、まったく違う彼の芝居の巧さに魅了されるんだけど。

今回ゲキシネでナマ以上に感じ入ったのが、シキブ@高田聖子さん!
最前の席で観られなかったこともないのだけれど、
あらためてこんな表情していたんだーー!と震えたよ・・
ツナの後姿に「そういうところが、あたし、だいっきらい!」と呟く表情とか、
ライを通して亡きヤスマサの姿を求める陶酔の表情とか。
ゾクゾクの連続だった。

シュテン@真木よう子さんの表情も、
ナマではあまり観られなかったのだけれど、目がすごく良かった!
血人形の契りをめぐってのライとの駆け引き、
ものすごく観たかったんだ~!
なりゆきを知っていても、心臓がばくばくした・・
あらためて、大奮闘だったと感心。
それにしても、お顔ちっちゃいよね~!

ツナ@秋山菜津子さんについては、
ナマで表情まで細かく観てとれなくても、その情感はたっぷり
伝わってきていたので、ゲキシネで再発見したり、特別感じ入ることは、
あまりなかったかな。
ひとこと。お綺麗ではあるのだけど、ゲキシネのアップは正直つらい、かな。
舞台で観るくらいが、いい。(ごめんなさい)

ライ@染ちゃん!
あらためて思ったのは、どんどんのし上っていくほどに、
表情といい、声、台詞回しといい、しぐさといい、
そのふてぶてしさ、冷酷さ、そして艶かしさがしっくりしてくるのがすごい。
「外道? 冗談じゃねえ、これが本道だよ!」
「この世のどこに正義があるのかな」
「好きも憎いも同じことなんだよ」
ああ、それが真実かもしれない、、、
ライの赤い舌に、思わず理性の方向感覚を失いそうになる。
憎しみたぎるシュテンやツナと、
それを嘲るかのように、さらに言葉でいたぶっていくライ。
その熱いとも冷たいとも言いがたい空気。
ナマの舞台以上のものを感じた。
息を呑み、心臓がばくばくする。
シュテンもツナも、よく立っていられると思った。

ラストシーン。
オボロの剣の一撃を喰らい、ぼろぼろになったライが
花道を朦朧となりながら入ってくる。
(ココはナマで間近で観た!すごかったのよ!!)
大雨のなかオボロの森で、落武者狩りの野党を相手に奮戦するライ。
倒れては立ち上がり、立ち上がっては倒れ・・
見えない敵を相手にしているかのようなライ。
なぜそうまでして立ち上がろうと、戦おうとするのか。
この壮絶さは、映像の迫力をもってもナマの舞台には及ばなかった。
(そのことに、なぜかちょっとほっとした。)
でも、最後に一斉に飛んできた矢の蜂の巣になって絶命の瞬間、
歌舞伎役者の表情(なんていうの、あれ?笑)になっていたのに驚き!
177分間、何度総毛立ったかわからないけど(笑)
最後に思いきり震えた瞬間だった。

書いても書いても、とても書ききれない感じだなあ。
とにかくすごいよ、これはやっぱり。
(でもね、『SHIROH』越えだとは思っていない。断言。
 どちらがどうということではなく、
 そもそも互いに比べる対象でないような気がする。
 『SHIROH』特別視しすぎですか?笑)
人間の憎しみのパワーってほんとうに恐ろしいと思うお芝居だった。
舞台がやっていたころのみなさんのレビューを、
あらためてじっくり読み返して、またお芝居を思い出してみたい。
ゲキシネ、もう1回観たいなあ。
なんとか月末までやっていてくれないかしら・・
名古屋のみなさん、どんどん足を運んで上映期間を延ばして!(他力本願)

ノリノリ♪

2007-10-01 | 大好きな・・・

「今日のグレンラガンさあ、上川さんすげーーよ(笑)」
とは、夕方へろへろで帰宅したわたしへの、長男の第一声。
(あらん?コイツ、見たんだ~、グレンラガン)
と思わずわたし、ほくそ笑んでしまった。

「なんでこんなモン、お母さんが見とるの??」
アニメ自体に関する「?」よりもっとでっかい「??」が
子どもたちの頭を支配していたグレンラガン。
でも子どもって、やっぱりアニメゆえ(?)のめり込むのが早い!
内容は依然「???」だろうが、
母はヒジョーに不純な動機で見ていることに気づこうが、
なんか<面白い>らしい。
先週には、息子たち3人揃ってわたしの後ろ(笑)で真剣に見ていた。
「お母さん!来週は最終回だから、上川さん死んじゃうよ、ゼッタイ」
とは、いちばんのめり込んでいる二男。
「そうだよね~、最終回だもんね~。」
二男の真っ当な推理を認めつつ(死ぬのは上川さんじゃないしっ)とツッコミ。

今日は朝早くからカブ隊引率のため、二男&おちびを連れて外出。
長男はいちおうテスト勉強のため(ほんとか?)不参加。
録画予約はカンペキ。
で、帰宅したら、冒頭の興奮ぎみの長男の第一声。
長男は毎週けっこう小バカにするようなことを言っていたので、
相手にしていなかったのけれど・・
開口一番、こういうこと言うんだから、おかしくって!

「な、なにがどうスゴイんだーー」と気は急くものの、
今晩はすぐにお通夜に行かなくては。

まあ、それからかくかくしかじか乗り越えて・・・
「とにかく今晩これだけは!」と洗濯物たたみながら(ちと悲しい現実)
テレビに向かったのがはや0時すぎ。
第一声からラスボス。(わお♪)

笑ったのはわたしだけだろか・・・
(と、少しお散歩してきたら、やっぱりそうだよね~~♪♪みな一緒)
かっこいい。
声が、台詞が、笑い声が・・
めちゃめちゃかっこいい。
そして、めちゃめちゃノリノリである。
どんな顔して、どんなかっこしてコレを収録したんだか・・
想像できるようで、想像できない。
めちゃめちゃ見てみたいなりきりのお姿。
なりきりといっても、コスプレまではしないだろうが(爆)
アニメの片隅、10㎝角の小窓でいいから見せてほしかったわ(笑)
そして・・こんだけ思い切り叫んじゃって、
さぞ現場はすごかったろうと・・マイクは大丈夫だったかと・・
かつて優ちゃんの怒声のあまりのデカさにビビッた経験から、
ちょっと要らぬ心配をしてみたりした。

この熱さはまさに愛だよ・・。
こよなくこの世界を愛する中島さんと上川さんの。
(なるしーも入れてあげよう。)
ラスボス、最後の台詞は、いかにも中島さんらしい。
いやいや、今日は最後だけに、大グレン団はどの台詞もすごく重い。
なかなかシビレル、ナケル・・
(未見の方もいらっしゃるようなのでお口にチャック・・古っ)
アニメだと思って侮ることなかれ。(って自分だよ・・)
中島さんの生み出す台詞は、やっぱりすてきだーーー♪♪

で、思った。
このテンションは・・さすがにムリかと思うけど、
こんな台詞を小気味よく吐くようなスゴい悪役の舞台、
う~ん・・悪役というよりは絶対的支配者のような役だな、
アテガキでプリーズ、中島さん。
と思ったが・・
今のところ、極めつけの悪を染ちゃんでやっちゃったので、
しばらくその路線はマズイ・・か?
いや何年か先でもいいので(よくない)、、見せてください。

今晩もへろへろでブログ書く気もなかったのに、
一気に気分が盛り上がってしまった(笑)
元気出た♪♪
明日(ってか今日)は、お楽しみがいっぱいだしね。

しかし、まずはお葬式だわ・・
ついこんな夜更かししてしまって、寝てしまいそうだ・・(汗)
すんません、、(ダンナの)おばあさま。(94歳の大往生ございました)