「マッキーのつれづれ日記」

進学教室の主宰が、豊富な経験を基に、教育や受験必勝法を伝授。また、時事問題・趣味の山登り・美術鑑賞などについて綴る。

マッキーの随想:アジサイとカタツムリの思い出

2009年06月11日 | 時事随想

アジサイの花は、バラ・カーネーション・チューリップのような艶やかな花という形容より、瑞々しい花と形容すべきでしょう。

アジサイは日本が原産で、学名は「水の容器」という意味のHydrangea(ハイドランジア)と付けられだそうです。

一般的によく見る球状のアジサイは、セイヨウアジサイで、日本原産のガクアジサイをヨーロッパで改良した品種です。

日本原産のアジサイがヨーロッパで品種改良され、「水の容器」という意味の学名を付けられ、再び日本の至ることに植えられているというのは、興味深いものがあります。



ところで、私にはアジサイにまつわる忘れ得ぬ思い出があります。

それは、ずいぶん昔のこと、私が中学2年生だった頃の話です。

私は、理科クラブにも所属していて、そのクラブで気の合う3人で、『マイマイ』を研究課題として取り上げ、様々な調査や実験をしました。

マイマイとは、カタツムリの学術的な呼び名ですが、まず友達の協力も得て、住んでいる町の至る所から、マイマイを採集してきてもらい、集団生息地の分布図を作りました。

箱いっぱいに何百匹ものマイマイが集まり、次に私達は、採集したマイマイを種類と色帯によって分類しました。

すると、採集したマイマイすべてが、オナジマイマイ科のヒダリマキマイマイという種類であることが分かりました。

色帯別(外側の模様)に分類すると0204型が、60%を占めていました。



やけに昔のことを良く覚えているね?

そう、この研究が載っている冊子を、この研究を一緒にした友人が持っていることを最近知って、そのコピーをもらったのです。

そのコピーは、冊子の3ページに渡って載っていたもので、初めにタイトル「マイマイの研究」、その下に「県教育委員会努力賞」と印刷されて、「新津一中 2年」と続き、研究者3人の名前が載っています。


この3人の名に、偶然にも共通した点が!

それは、3人とも名に「マサキ」が付くという偶然で、私が名字に他の2人が名前に「マサキ」が付いている、冗談のような本当の話。
(ただし、その当時マサキと言う名前が流行っていたわけでもない!)


工藤甲人:創画会会員、東京芸術大学名誉教授
(安居)1988年
私の好きな作家の一人
かつてアトリエを訪問してお話を伺った。


私達は、集めたマイマイを使って、その習性や刺激に対する反応の実験を幾つか行いました。

気圧に対する反応・温度に対する反応・光に対する反応・においにる反応などを見ましたが、そのために気圧鐘を使いポンプで空気を抜いたり、マイマイの触覚を切って反応を見たり、中2三人組は、理科準備室に入り浸り、興味の向く面白い実験をしました。

気圧に対する実験は、台風が近づくと、マイマイが木から下りるという記事があったからで、私達の実験の結果では、気圧がかなり低くならないと、そうしたことが起きないことが分かりました。

したがって、もっと他の要因も絡んで、そうした現象が見られたのだと結論づけました。



ちょっとマイマイの話が長くなりましたが、私の忘れ得ぬアジサイの思い出とは、このマイマイの研究が関係した話なのです。

私達は、集めたマイマイの種類を分類しましたが、集めたマイマイすべてが、左巻きのマイマイだったことは、すでにお話ししました。

右巻きもいるはずなのに、何故か私の前に姿を現しません。

私はその研究以来、その疑問は頭から離れず、見かけると注意深くマイマイの巻き方を見てしまう習慣ができました。

ある日、私は自宅(官舎でしたが)の庭に咲いているアジサイの花を、見るとはなく眺めていました。

雨上がりのアジサイの葉の上を、ゆっくりと1匹のカタツムリが動いているのが目にとまりました。

一瞬そのカタツムリが、パッと電光に打たれて輝いたように、私には感じられました。

待てよ!もしかしたら!

急いで庭に駆け下りて、そのアジサイの葉の上を動くカタツムリを間近で見ました。

右巻きだ!

何百匹ものマイマイを観察していると、右巻きのマイマイは、私にとって遠くからでも異質なものに写ったに違いありません。

ハッとした心の動きが、そのカタツムリを輝かせたのでしょう。

「これは、青い鳥の話と同じだ!」

私はその時、やっと見つけ当てた感動とともに、そう感じました。



チルチルとミチルが、幸福の象徴である青い鳥を探しに行くけれど、結局2人のほんの身近にある鳥かごの中に、それはあったと言う童話。

まさに、その時私は、「探し求めているもの」ってのは、意外と気づくことのない「ほんの身近にあるものかも知れない」ということを実感しました。

その庭のアジサイは、雨に打たれて瑞々しい青色をしていました。

青い鳥ほどロマンチックではないけれど、その時に見た青いアジサイの花と右巻きのカタツムリを、私は決して忘れることはありません。


稲元実:日展評議員(山女魚)1987年
加藤東一風のバックの処理がアジサイと合っている



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