「マッキーのつれづれ日記」

進学教室の主宰が、豊富な経験を基に、教育や受験必勝法を伝授。また、時事問題・趣味の山登り・美術鑑賞などについて綴る。

マッキーの一問必答(4):分母・分子の因数に注目して解く

2014年11月02日 | 学習指導法



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 「一問必答」は、「一問一答」に掛けた造語として、今回のシリーズで用います。中学受験した学校に合格するために、ぜひ正解してほしい問題の中で、特に経験的に修得すべき基礎的知識を含む今春の問題を取り上げ、ポイントを解説します。

 今日の入試問題のポイントは、わり算および分数の約分において、因数に注目した解き方をマスターすることです。整数のわり算を分数に表記すれば、分母の因数がすべて分子に入っていれば、約分されて整数となります。

 また単位分数(分子が1の分数)の中で、1/2=0.5のように割りきれる分数と、1/3=0.33333・・・・のように割りきれずに、循環小数(同じ数の繰り返し)となってしまうものがあることを知っている必要があります。

 そうした基礎的な数値の知識を問う問題が、今日の一行題です。

【因数とは】
 
因数という言葉をブログでは、私は使っていますが、小学生の授業中では用いない言葉です。ただし、素因数分解という言葉を使い、さまざまな問題を解いていますので、因数とはどういった言葉かは、子供たちはおおよそ理解しています。因数とは、整数
が幾つかの整数の積の形で表されているとき、そのそれぞれの整数をいう言葉です。また,因数はその整数の約数でもあります。例えば12=2×2×3という風に、12を素数の積で表すことができますが、それぞれの数が因数です。


【今春の入試問題】 (分数の表記は、実際の入試問題と異なります。)

 このシリーズで取り上げる今春の中学入試問題は、私が作成した解説および解答を見ずに、まずは自力で解いてみることをお勧めします。大人には頭の体操になりますし、また受験生は、算数に対する興味や面白さが、倍増するはずです!

1.東京都市大学附属中学校

整数を1から81まで順にかけ合わせた数1×2×3×・・・・・・・×81は、15で□回割りきることができます。

2.慶應義塾普通部

1/4を小数で表すと0.25となり、わり切れます。1/3は0.333・・・となり、わり切れません。偶数の積2×4×6×・・・×20をAとするとき、B/Aがわり切れるような最も小さい整数Bを求めなさい。



【解答と理解しておくべきポイント】

入試問題では、特に最初に出てくる一行題的な問題には、受験生に知っていてほしい大切なポイントが必ず1つ含まれています。それが何なのか?・・・それを的確に見つけることが必要です。

まず、東京都市大学附属の問題です。

1×2×3×・・・・・・・×81÷(15×15×15×・・・)
=1×2×3×・・・・・・・×81/15×15×15×・・・
上のように、わり算を分数の計算として考えると分かりやすいですね。そして約分することにより、分母が1となる時の15の最も多い個数を求めます。

15=3×5素因数分解できます。約分とは、分母分子を同じ数で割ることです。分子の数値を素因数分解すると、3という因数はいっぱい出てきますが、5という因数はさほど多くはないことに気づく必要があります。

要するに、分子=1×2×3×(2×2)×5×(2×3)×7×(2×2×2)×(3×3)×(2×5)・・・・・・、このように10までの積を素因数分解すると、3が4個で5が2個あり、3の方が5の2倍あることが分かります。

そのことから、15の個数は分子の中の5の個数によって決まる!・・・ここを押さえることが必要です。

1×2×3×・・・・・・・×81の中に、5の因数がいくつあるかを考える場合、5の倍数がいくつあるかを調べればよいことは分かりますね。
81÷5=16・・・1(5の倍数は16個

では、5という因数が16個かと言えば、それは間違い。5×5=25の倍数は、5という因数を2個持っています。5×5×5=125の倍数は、5という因数を3個持っています。

そこで、25の倍数の個数を考えます。
81÷25=3・・・6(25の倍数は3個

ただし、25の倍数が3個あれば、その中に5の因数は6個あります。しかし、25の倍数は、5の倍数としてすでに1回数えているので、数えていない因数5は3個です。

よって分子の中の5の因数の個数は、16+3=19(個)となり、15で19回割りきることができるというのが正解です。


次に慶應普通部の問題です。

ちょっとこの問題と関連して、分母が偶数の単位分数の中で、分数を小数にしたときに、わり切れるものとわり切れないものを分類してみましょう。

わり切れる・・・・・1/2,1/4,1/8,1/10,1/16,1/20
わり切れない・・・1/6,1/12,1/14,1/18

この分類が即座にできるでしょうか。どうしてわり切れないのかといえば、分母に3または7の因数を含んでいるからです。したがって、求める分子Bが、分母に含まれる3と7の因数の積であれば、分母の中の3と7
の因数は約分されて無くなり、わり切れる分数となります。

2から20までの偶数の中で、3と7の因数を含む数は、
6=2×3、12=2×2×3、14=2×7、18=2×3×3です。

よって、求める分子のBは、3が4個と7が1個の因数で構成される数とすればよいことになります。

このことから、B=3×3×3×3×7=567が答えとなります。


 数を取り扱うさまざまな問題の学習を行う時に、数の性質をしっかりと理解して行うことが大切です。ただ単に、解答を得るだけではなく、数が持つさまざまな性質に目配りすることは、数を鳥瞰的に見て利用する力を養成することにつながります。

 一流のサッカー選手が、自在にボールを操るのと同様に、与えられた数を自由に使えるよう練習するとともに興味を持って楽しんで学習することが大切です。



コメント (5)
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