喜多院法興寺

住職のひとりごと

「安愚楽牧場」元社長が詐欺容疑で逮捕

2013-06-21 09:01:42 | Weblog
6月19日 よみうり寸評 読売新聞

 {〈安愚楽鍋あぐらなべ〉――仮名垣魯文かながきろぶんの作。明治の初期、牛鍋屋であぐらをかいて鍋をつついた庶民の会話を通して文明開化の世相を描いた◆魯文が今書けば、経営破綻の末、元社長が逮捕された「安愚楽牧場」(栃木県那須塩原市)のあれこれを取り上げるに違いない。牧場の社名そのものが安愚楽鍋からとったものだという◆警視庁は18日、同牧場の元社長、三ヶ尻久美子容疑者ら3人を逮捕した。同社の「和牛オーナー制度」の商法が特定商品預託法違反(不実の告知)に当たるという容疑◆顧客は繁殖牛のオーナーとなり、生まれた子牛の売却代金から配当を受けるシステムだが、契約の際の説明が不実◆飼育牛の数を過大に説明したり、架空の牛の耳番号で契約するなど虚偽だった。顧客数7万3000人、同社の負債は4200億円。返金見込みは210億円。この種の消費者被害としては戦後有数の規模◆経営破綻は一昨年8月のこと。被害者にしてみれば契約は不実どころか詐欺。逮捕は遅すぎ、行政の目は甘すぎた。}

 安愚楽牧場への出資者は約7万3千人、被害額は約4200億円にも上り、わが国史上最大の消費者被害で、詐欺容疑に問われている。騙される方もうかつであるが、雑誌の特集記事で、エコノミストが顔を出し「安心して投資できる」とPRしているのを読んで信用したと言う。当時の銀行の金利は年6~7%。同社は年10%超の高配当をうたっていた。100万円から始めて徐々に出資額を増やした出資者も多いという。当初からおかしいと思っていたが、関係省庁まで気がつくのが遅すぎた。出資金はほとんど戻ってはこないであろう。



今が蛍の季節か

2013-06-19 12:10:21 | Weblog

6月19日 編集手帳 読売新聞

 {妻が亡くなり、男のもとには二人の幼い子供が残された。男は子供たちを連れて蛍を見にいった。みどり色の、光の尾をひいて舞う蛍を見て思う。さびしいわが子を慰めようと、亡き妻が蛍に姿を借りてあの世から訪れたのだ、と◆〈其子等そのこらに捕とらへられむと母が魂たま蛍と成りて夜を来たるらし〉。窪田空穂うつぼである。一首の「母」を「父」に、「祖父」や「祖母」に、そっと置き換えて読んだ人もいるだろう。震災から迎えた3度目の、蛍の季節である◆何日か前の本紙・東京版で、東京都板橋区にある「ホタル生態環境館」の記事を読んだ◆福島第一原発の事故で全町避難がつづく福島県大熊町の川から卵を採取したゲンジボタルを、縁あって24年前から繁殖させてきたという。明滅する光に故郷の山や川が映るのだろう。期間の限られた一般公開の日には、涙を流す来館者もいると聞く◆〈太宰忌の蛍ゆきちがひゆきちがひ〉(石川桂郎)。都会の雑踏に暮らす身で、旅に出たときのほかはゆきちがう機会もあまりないが、この梅雨はどうだろう。「もしかして、あなたは…」と、昔の名前を尋ねてみたい虫である。}

 昔は家の近くで蛍を見たが、ヘリコプターでの稲の空中散布の影響と河川のコンクリートで囲まれた事で、蛍に欠かせない「かわにな」貝が減り、蛍がいなくなってしまった。いすみ市では山田川周辺を源氏ほたるの里として、自然保護を実施してうる。「源氏ほたるの里鑑賞の夕べ」は5月29~6月1日まで開催していた。あくまで鑑賞のためで、飛んできた源氏ほたるの捕獲は禁止している。今ならもしかしてほたるの光りが見えるかもしれない。

サザエさん一家の銅像に課税で地元ビックリ

2013-06-17 06:39:29 | Weblog
6月16日 編集手帳 読売新聞

 {漫画の無断使用に一石を投じたのは、長谷川町子さんが起こした「サザエさん裁判」である。<サザエさん勝つ>の見出しが1976年(昭和51年)5月の本紙にある◆頭に三つもお団子を付けた女性は、そうはお目にかかれまい。被告のバス会社はよく似た絵を車体に描きながら「サザエさんではない」と言い張った。「とかく甘くみられがちな漫画の著作権を守りたかった」。漫画界全体を思う長谷川さんの遺のこした談話には、無私の心がにじむ◆東京・世田谷の商店街に立つサザエさん一家の銅像は、地元の長谷川町子美術館の厚意で著作権料は支払われていない。そんな無私の像に都が固定資産税を課した◆今年度は約59万円。像の制作費には都の補助金も含まれる。突如舞い込んだ納税通知書に商店組合が面食らうのも無理はない。今頃になって、「返せ」と言われたも同然である◆行政に寄付して道路の一部になれば、無税で済んだ。都庁の商店街振興と税務をになう部署の“縦割り”を思わざるを得ない。きょうは都議選が告示されて、最初の日曜日である。像の周辺では、どんな演説が聞かれるのだろう。}

 公共の施設と同等のサザエさん一家の銅像の制作費に都も補助金を出していた。この地元の為にと長谷川町子美術館の著作権なしで建てた地元愛の象徴に、都に寄付しろとの脅迫に等しい。
東京都議選23日に開票されるが、民主党が凋落し自民党の「アベノミクス」もこのところの株の乱高下や、円高傾向で経済立て直しに暗雲が立ちだしている。維新の会も橋本徹代表の従軍慰安婦問題をめぐる発言で、人気を落としている。そんな中ではやはり自民党が票を伸ばしていくのであろうか。血の通った政策に期待したい。