喜多院法興寺

住職のひとりごと

ウナギの値段が高騰

2012-07-20 06:54:22 | Weblog

7月20日 編集手帳 読売新聞

 {神に仕える人にも食いしん坊はいるのだろう。13世紀に在位した教皇マルティヌス4世は 鰻 ( うなぎ ) が好物だったという。ダンテの叙事詩『神曲』では 煉獄 ( れんごく ) で亡霊となり、暴食の罪を償わされている◆〈いま断食によりてボルセーナの鰻とヴェルナッチャを 浄 ( きよ ) む〉(煉獄篇第二十四曲、岩波文庫)。生前にたらふく食べた鰻を断食で浄化した、と。ボルセーナは湖の名前、ヴェルナッチャとはワインのような酒らしい◆もうすぐ土用の 丑 ( うし ) の日(今月27日)がめぐってくる。きのうは東京都心でもこの夏初めての猛暑日となった。炎暑があの匂いを連れてくる◆いつもならば、斎藤茂吉のウナギ賛歌や大伴家持〈 夏痩 ( なつや ) せに良しといふものぞ…〉の歌があちこちで飽きもせずに引用されて、安直なりに食欲を刺激してくれる季節である。品薄で価格の高騰した今年は常連さんの名歌を引く心境でもない。煉獄で断食をする人の話ならば、わが“禁欲”の助けになろうかと、叙事詩をひらいてみたのだが…◆訳注によれば教皇は、鰻をヴェルナッチャ酒に漬けて酔わせてから、焼いて食べたそうな。これがまた、うまそうで 癪 ( しゃく ) に障る。}

 ウナギの稚魚であるしらすウナギの不良で、ウナギの値段が高騰している。原因はまだ分かっていない。ワシントン条約にこのしらすウナギを規制する動きが出ている。ますますウナギが庶民には手が届かないものになるのか心配である。夏のウナギは暑気払いに最高で食欲をそそる。日本人はウナギが大好きだ。これからも安くておいしいウナギが食べたものである。

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