のたりずむ♪ぷれ ~門耳(カドミミ)~

門耳=聞。小耳に挟んだ歌舞伎関連情報や見たお芝居の感想メモです。

2006年10月:松竹座「染模様恩愛御書」_3_のたりの眼(全体)

2006-10-28 03:24:08 | 書いたぞ: 感想書きました~
■のたりの眼(全体に対して)
・舞台装置
回り舞台に2階建ての屋台があり、片側には3つの階段があり、料理屋にもなれば
浅草寺境内にもなり、細川屋敷の宝物蔵にもなります。
もう一方の側はブラインドを下ろすと
大名屋敷の一間にも壁にしみのある医者の家にもはや代わりする便利な装置です。

名古屋の雪之丞の舞台のように2階もうまくつかいながら 話しが進んで行きます。

・講談師さんの語り
義太夫の代わりというポジションでしょうか。
義太夫を聞きなれた耳には、聞きやすい語りではありますが、
あまりにもスルスル スルスル語りが進むような気がしますし、
なんとなく説明的な語りが多いなぁ という気もします。

でも、義太夫も語るスピードをこのくらいにしたら似たようなもんなのかな(^_^;)

抑揚なく、棒読みのような語り口がいい演出効果をもたらしてたのが、火事場。
まるで念仏のように聞こえて、友右衛門の死を効果的に演出していました。

見終わって、講談師さんと歌舞伎のコラボは演出のひとつの型として
いけるんじゃないだろうか

という気がしました。

・照明
舞台を照らすライトは模様いりのライトです。3階席から見ていたときは
床が良く見えるため、その模様が動いているのがはっきり見え、なんとなく
うるさいような感じもしましたが、1階席から見た時は、舞台面がほとんど
見えないせいか、それらが舞台装置に当たって かえってリアルな陰影を
生み出してるように感じました。

あと1幕目の終わりが 幕を下ろすのではなく、最後に数馬と友右衛門の二人の顔を
浮かび上がらせるような暗転で終わるのも、普段の歌舞伎ではまず見られないものでした。
この物語、暗転を多用しますが、スーパー歌舞伎のように、お客さんを
暗転の中に待たせない工夫が随所にしてあるのは、うれしいところです♪

あと、普段の歌舞伎ではまず見られないと言う意味でもうひとつ。
休憩時間途中から、舞台の幕があいて、青いライトに満ちた空っぽの舞台
(2階建ての舞台装置は そのまま)を観客に見せてしまいます。
現代劇なんかでは 時々ありますが、歌舞伎の舞台では、めずらしいというか
少なくとも私は初めてかと思います。

・音
主役2人の出会いの場面や濡れ場、最後のモノローグなど「二人の世界」な場面で効果的に
つかわれるのは琴の音です。なかなかいい音楽だと思うんですが、ひとつ、個人的に
いただけなかったのが、その音楽についた歌。
う~ん・・・音だけでよかったかな~と。(^_^;)

【その他】
・なぜ、図書は 発端の事件後、印南姓を名乗ったのか
今回そうだったように、「印南」姓の人がいたら、わかるから、という逃げるため
なのか、それとも、罪を忘れないため なのか。
一応、細川家で「過去に失敗したから」と酒を固辞してるとこみると、あの惨劇を
反省はしてるみたいなんだよね~。あの時殺してしまった奥さんそっくりの娘さんと
再婚してるわけだし。うーん??

・発端の妖刀
発端以外にでてこないんですよね、この妖刀。いいアイテムだと思うんですが、
なんかもったいない。
せっかくなら、そのあとのお芝居に絡めてもよかったんじゃないかな~と
思ったりもするのですが。


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