三遊亭圓丈の「師匠 ご乱心」は最高に面白かった。
年末には毎年自分なりに今年読んだ本のベストワンを考えるのであるが、今のところこれかなと思うくらい面白かった。
扱われている題材は1973年から1978年の5年間に渡って繰り広げられた落語協会分裂騒動の顛末である。
実在の人物が実名で登場し、円丈によれば95パーセント事実であるという事態が生々しく描かれている。
もちろん週刊誌的な暴露本的な面白さ、事実を知りたいというドキュメンタリー的な面白さもあるが、三遊亭圓丈を主人公にした抱腹絶倒の青春私小説であると思った。
圓生 小さん 談志 円楽 志ん朝 馬生 円蔵 円鏡 そして円丈など実在の落語家が登場し実に生き生きと生々しく描かれている。
もちろん師匠圓生も愛憎入り混じって実に的確に描かれているが、なんと言っても円楽。これが最高に素晴らしい!これでもかというくらい悪役に描かれている。この小説を抜群に面白くしてるのはこの悪役円楽であると思う。
実に人間臭くていい!彼無くしてこの小説はこんなに面白くならなかったと思う。この本が出た当時、今から言うと40年前くらいになるかな。流石の5代目圓楽も頭に来たと思う。殴り込みをかけたくなるくらいの怒り心頭ではなかったかと思う。しかし公的には一切の反論なし。ここが凄い!円丈この小説でだいぶん印税が入ったろうが半分以上は円楽に差し上げなくってはと思う。
今まで落語家円楽には興味がなかったがちょっと彼の落語を聞いてみたくなった。
抱腹絶倒!
ぜひ多くの人によんでほしい