安全問題研究会~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

公共交通と原発を中心に社会を幅広く考える。連帯を求めて孤立を恐れず、理想に近づくため毎日をより良く生きる。

なぜ「とろろ昆布」なのか

2008-07-28 23:25:17 | 気象・地震
7月25日のエントリで、我が家の地震対策として「原発破壊による放射能飛散に備えた「とろろ昆布」の備蓄」を挙げたが、そもそもなぜ「とろろ昆布」なのか。

大地震の際の原発崩壊事故の予想されるシナリオは、大地震で原子炉被災→冷却水系統が崩壊→冷却不能となり原子炉の温度が上昇→原子炉の融点を超え、炉心が溶け始める「メルトダウン」→放射能が大量飛散…というものである。

放射能の中でも人体に大きな影響を与えるのが放射性ヨウ素であり、主な症状は甲状腺障害である。このため、大規模な原発崩壊では放射性ヨウ素の体内への蓄積をいかに食い止めるかが重要になってくる。

ところで、人体が蓄積できるヨウ素の量は決まっているので、放射性ヨウ素が飛来する前に、汚染されていないヨウ素を大量に摂取し、体内に蓄積しておけば、放射性ヨウ素を吸入したとしても体内に蓄積されず排出されてしまう(人体は良くできたもので、放射性ヨウ素も普通のヨウ素も区別しない)。
この、ヨウ素を大量に含んだ食品こそ、「とろろ昆布」なのである。

当ブログ管理人より年齢が上の世代は、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故の際、周辺住民が老若男女入り乱れ、いっせいにヨウ素剤をガブ飲みしている異様な光景をご記憶の方も多いだろう。要はあれと同じことを、食物を通じてやるわけである。

当ブログ読者の中には、「そんな原発被災なんて」と、一笑に付される方も多いかもしれないが、米国スリーマイル島、チェルノブイリと、大規模原発事故は2度起きている。世界の核兵器の大半を保有し、核物質の管理には厳重を期しているはずの米ソ両国で起きた原発災害が、日本で起きないという保証はどこにもない。備えをしておいて悪いということはないのだ。
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