図書館で手にとったある作者の句集から、十句ご紹介させていただきます。
風鈴も鳴らず八月十五日
隣の子をたのまれてゆくウソ替え(*1)に
分譲地今年限りのつくし萌ゆ
この垣根この茶の花も父の家
婚礼の荷が湖畔ゆく揚雲雀
少し前の時代の、例えば寅さんの映画の中に出てきそうな情景です。
平易な言葉の、ゆったりとした印象の17文字なのに、読み手に、景色や状況、ちょっとしたドラマまでも、明確に豊かに想像させてくれるように思います。
水鉄砲孫二十分にて飽き果てし
屏風ゆっくりと倒れ子供の笑い声
日蔭より日蔭へ移る立ち話
打ち水に打たれたがりの裸ン坊
顔が綻んでしまうような描写を、何でもないように読み手にポンと渡して、作者はすましているような感じがします。
作者の名前をご覧になったら、ああその人らしいとお感じになるのではないでしょうか。
うちの子でない子がいてる昼寝覚め 桂米朝
* 以上『桂米朝句集』(岩波書店)より
*1「ウソ替え」(鷽替え)
「新年」の季語としか知りませんでしたので、ウィキペディアで調べてみました。
「主に、菅原道真を祭神とする神社(天満宮)において行われる特殊神事である。
鷽(ウソ)が嘘(うそ)に通じることから、前年にあった災厄・凶事などを嘘とし、本年は吉になることを祈念して行われる。」
とあります。
もともと大宰府天満宮で行われてきた神事が、全国に広がったそうです。
「木彫りの鷽の像を「替えましょ、買えましょ」の掛け声とともに交換しあう」
そうで、また大宰府天満宮に、
「道真が蜂に襲われた時に、鷽の大群が飛んできて助かった。」
という伝承があることから、木、張り子、土人形の鷽が配られるところが多いそうです。
大宰府では1月7日ですが、他の天満宮では別の日(1月25日が一番多い)のようです。
* これもウィキペディアで初めて知ったのですが、米朝さんは、実家が兵庫県姫路市の「九所御霊天神社」の神職だそうで、ご本人も神職の資格を取得していたそうです。
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風鈴も鳴らず八月十五日
隣の子をたのまれてゆくウソ替え(*1)に
分譲地今年限りのつくし萌ゆ
この垣根この茶の花も父の家
婚礼の荷が湖畔ゆく揚雲雀
少し前の時代の、例えば寅さんの映画の中に出てきそうな情景です。
平易な言葉の、ゆったりとした印象の17文字なのに、読み手に、景色や状況、ちょっとしたドラマまでも、明確に豊かに想像させてくれるように思います。
水鉄砲孫二十分にて飽き果てし
屏風ゆっくりと倒れ子供の笑い声
日蔭より日蔭へ移る立ち話
打ち水に打たれたがりの裸ン坊
顔が綻んでしまうような描写を、何でもないように読み手にポンと渡して、作者はすましているような感じがします。
作者の名前をご覧になったら、ああその人らしいとお感じになるのではないでしょうか。
うちの子でない子がいてる昼寝覚め 桂米朝
* 以上『桂米朝句集』(岩波書店)より
*1「ウソ替え」(鷽替え)
「新年」の季語としか知りませんでしたので、ウィキペディアで調べてみました。
「主に、菅原道真を祭神とする神社(天満宮)において行われる特殊神事である。
鷽(ウソ)が嘘(うそ)に通じることから、前年にあった災厄・凶事などを嘘とし、本年は吉になることを祈念して行われる。」
とあります。
もともと大宰府天満宮で行われてきた神事が、全国に広がったそうです。
「木彫りの鷽の像を「替えましょ、買えましょ」の掛け声とともに交換しあう」
そうで、また大宰府天満宮に、
「道真が蜂に襲われた時に、鷽の大群が飛んできて助かった。」
という伝承があることから、木、張り子、土人形の鷽が配られるところが多いそうです。
大宰府では1月7日ですが、他の天満宮では別の日(1月25日が一番多い)のようです。
* これもウィキペディアで初めて知ったのですが、米朝さんは、実家が兵庫県姫路市の「九所御霊天神社」の神職だそうで、ご本人も神職の資格を取得していたそうです。
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