旅と酒とバッグに文庫本

人生3分の2が過ぎた。気持ちだけは若い...

THE BEEを観る

2012年06月08日 | 映画

昨日、北九州リバーウォーク、芸術劇場中ホールにて野田秀樹の「THE BEE」を観た。
公演初日でもあり、客席は、ほぼ満席。
僕はあまり演劇は観ないというか、興味が無かったので
若い頃の唐十郎の赤テントなど以来、しばらくぶりだった。

開演の挨拶やコメントも無く、舞台はいきなり始まった。
大きなベージュの紙一枚、ホリゾント風の舞台にいきなりサラリーマン風の男と
マスコミのレポーター風の3人が、男にインタビューをする光景から始まった。
男は妻と子供を人質にとられたサラリーマン。
演じるのは野田秀樹。

実直なサラリーマンの彼が怒り狂い、犯人の家庭に押し入り妻と子供を
逆に人質にとることからストーリーは展開する。
あまり詳細にストーリーをここで述べても仕方ないので割愛するが
犯人の男と犯人の妻子を人質にとったサラリーマンのやりあいが
テンポ良く進み、いつしかお互いの妻子の指を1本ずつ切り落としては
送りつける狂気の世界へと突入して行く。
しかしその狂気の毎日も日常と化す。
朝起きて歯を磨き、顔を洗い、飯を食う。
夜になればセックスをし眠る。
その繰り返し。
いつしか日常と非日常の見境がなくなって行く。

舞台は全くの幕間無しで75分の上演である。
テンポの良さと、道具使いの上手さとで、息をつかせる間もなく
緊迫状態が続く。
いや~久しぶりに面白いものを見せてもらった。
野田秀樹は天才だった。

秀逸なのが宮沢りえ。
ドリフターズのコントなどに出演してたのが彼女が高校生の頃だから
もう20年近く前のことだが、恋をし、その恋に破れ、拒食症、結婚、出産などを経て
実に良い女優になった。
立てこもり犯人の妻であるストリッパーの役だが、太股をさらけ出した
下着のような衣装で、その妖艶さはエロティックというよりも
なんだか透明感さえ感じさせる存在である。

劇の最後はちょっと陳腐な感じだが、たった4人で10人役をこなし
シンプルな装置でいろんな場面を想起させるテクニックは素晴らしく
演劇の可能性が垣間見えた芝居だった。
この演劇の存在を教えてくれたのは、カミさんで
彼女はこういったものに関する感覚だけは実に冴えている。
僕はミュージカルや新劇などは全く興味がないけれど
この手の芝居は実に面白いというか、好きなのである。

「好きか嫌いか 嫌いか好きか はっきり聞かせてよ~ チャララ~ン」
ハチャトリアンの「剣の舞」の曲にあわせて歌う、尾藤イサヲの歌詞に合わせて
思わず野田秀樹のサラリーマンのようにステップを踏みたくなったね。
タフな役者だね~彼は。
noda mapはこれから注目しておこう。



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2 コメント

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Unknown (大分のおばさん)
2012-06-10 13:48:21
野田秀樹さんの演劇とは知らなかった(宮沢リエが好演という風には聞いていた)
北九州で観られたのかぁ!
私も 演劇はあまり観る機会がなかったので…。ちょっと興味がありました。
最後に観たのは 劇団四季のオペラ座の怪人ですね。その後は 映画のみ…(最近は映画も行けてませんが!)

最近 父が入退院を繰り返しているので、毎週のように 北九州には行っていました。
2日は 田中君を囲む会がありましたし。(20人くらい集まりました)大変な盛り上がりでした。
まだまだ 行ったり来たりが続きそうです。
Re. 大分のおばさん (いしやん)
2012-06-10 21:45:52
久しぶりです。

正木君からメールが来ていて、田中君が北九州に来るので飲み会やりますとは知っていたのですが
その日は仕事だし、もともと田中君とはあまり面識も無いので、行かず仕舞い。

このところ忙しくて、ヨットもお預け。
明日、久しぶりに、ヨットの船底塗装の手伝いに行きます。
ガマさんや井上君、辻君とも久しぶりです。

完全に仕事をリタイアするまでなかなかですね。

野田秀樹は結構面白いですよ。
ファンになってしまいました。

今度、平山君の映画の上映会とトーク会があるみたいですが、それも行けるかどうかわかりません。
彼とは一度、じっくり話してみたいのですけどね。

それにしても、りえちゃんは綺麗でした。

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