(有吉佐和子著 [新装版]『和宮様御留』 講談社文庫)
見事、というほかない著作。
祖父母世代かそれより少し前の、昔ながらの京都弁を聞き知っている者が読むと、
最初の一下りからぐいぐいと綴られている京の町人言葉と御所言葉、
そして季節の描写に惹きこまれる。
圧倒的な筆致と緻密に調べ上げられた史実が織りなす、
和宮関東降嫁をめぐる女たちの物語が、
真実に違いないという確信に近づいていく。
感想として多くを語るにはあまりにもずしりと重みのある読後感。
時代という名の時間の洪水に、いったいどれだけの、
小さき者、弱き者、名もなき者たちの生涯がからめとられていったろう――
目に見えないところで大きく動き出そうとしている気運に、
両足を踏ん張って立ち向かわねばならないのではという予感。
身を堅くせずにはいられない、いまこそ読むべき一冊。
『ヒイラギ日記』2000回目まであと回
(全然関係ないけど日付とおそろいの回数♪)
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