がんばれチャラ男

うちのオフィスのお隣のラボに入ってるのも大学発ベンチャーで、
そこにほぼ毎日やって来る30歳そこそこの茶髪のにーちゃんを、
陰でこっそり「チャラ男」と呼んでいる。

チャラ男、ここ一週間ぐらいずっと、
どうやら風邪でもひいてるらしい、という物音を立てていた。
部屋にいる間ずぅーーーっとノドに何かがからんでる感じの咳払い。

あんまりずぅーーーっと咳払いしてるから、
隣の部屋にずかずか入ってって、
強力ミントののど飴わけてあげたかったくらい。

週が明けて静かになったから、どうしたのかなと思っていたら、
壁一枚へだてた向こうでは、何やらもめてるらしい会議の様子。

スカイプででも話してる様子の、隣の部屋にいる人じゃなくて、
そのスピーカーの向こうから聞こえてくるほうの声が今日はチャラ男だった。

けっこう深刻そうな内容の話し合いっぽくて、
こちら側でしゃべってる人たちはスピーカーの向こうに相談してる雰囲気。

（へー、ちゃんと仕事できるんだ、チャラ男なのに。）

毎日、聞こえてくる声だけで知ってる相手に、勝手なドラマを想像する。
インキュベーションセンターって、長屋っぽくて面白い。