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JR九州②

2017-08-10 11:55:39 | お話
JR九州②


(唐池会長はどのような経緯で国鉄に入社されたのですか)

🔹私は、あまり鉄道が好きじゃなかったんですけど(笑)、

大学の柔道部の10年上の先輩が国鉄に勤めていまして、

その先輩に誘われたのがきっかけです。

4年生の最後の試合が7月半ばだったんで、

当時は就職活動のことなんか考えてもいませんでした。

稽古のために、いろんな企業を回っていたんですけど、

ちょうど北海道に遠征合宿していた時に、

先輩が我われ柔道部員に餃子300人前を差し入れしてくれたんです。

餃子はあっという間になくなったんですけど、

それがトレードマネーだったんですね(笑)。

餃子300人前と私の身柄とが引き換えになって、

「おまえ、何も就職活動していないなら、国鉄へ来い」と。

1976年の夏でした。

それで私は何も考えず、就職活動もしないまま、

とにかく試験を受けて、何となく合格して、翌年4月に入社したんです。


(ご縁があったんですね)

🔹私が入社する10年ほど前は、国鉄に入るには難関な試験をクリアしなければなりませんでした。

ところが、その頃は赤字の連続で、職場は乱れ、

ギスギスした労使関係で組織の体を成していなかったんですね。

そういう中で、時の国鉄総裁が

「頭でっかちなエリートはいらない。

運動部の経験者を取ろう」

と採用方針を変えまして、私はその枠に入ったんです。


(しかし、唐池会長は京都大学法学部ですから、どちらも兼ね備えていたわけでしょう)

🔹いやいや、その頃の私の脳みそは筋肉でできていると言っていいほど、柔道ばかりやっていました。

私がこのように知的になったのはね(笑)、

40代になって本を読み始めてからです。

年間100冊から120冊は読みました。

(読書に目覚められたのは何かきっかけが?)

🔹特にないんですけど、もともと中学・高校時代は文学少年でした。

だから本を読むのは好きなんですよ。

大学時代は柔道に明け暮れ、

社会人になってからの17、18年は現場の仕事に追われていたので、

読書から遠ざかっていたものの、

40代を境に、司馬遼太郎や池波正太郎、藤沢周平、浅田次郎といった作家の小説を片っ端から読むようになりました。

中でも私は池波正太郎の大ファンでしてね。

『鬼平犯科帳』全24巻、『剣客商売』全16巻、『真田太平記』全12巻は40代の時に一度読み、

昨年1年間で再び全部読破したほどです。

(読書を通じて学ばれたことは何ですか)

🔹それは何と言ってもリーダーシップですね。

『鬼平犯科帳』はその指南書だと思います。

組織の一人ひとりに声を掛けて、褒めて、労っている鬼平の姿が描かれているんですけど、

私はそこに感動しました。

やはりリーダーっていうのは組織の中の一人ひとりを、いかにその気にさせるかです。


(実際に入社されてからはいかがでしたか)

🔹私が入社して11年目に、国鉄は破綻してJRに分社化したんですけど、

入社2年目の1978年10月に国鉄始まって以来の大合理化のダイヤ改正がありましてね。

私はその年の1月に東京北鉄道管理局の営業部総務課に配属され、

ダイヤ改正までの約8カ月、国鉄当局側の団体交渉員を務めました。

東京駅の地下の団交室には100人も200人も労働組合員がいるんですよ。

そこに課長でも係長でもない入社2年目の平職員が1人責任を持って出なきゃいけない。

部屋中、タバコの煙だらけ。

皆ものすごくピリピリしていて、

こちらが少し言い間違えたり、変なことをすると、

すぐ糾弾され、吊るし上げを食う。

だから、ものすごくしんどかったし、逆に面白かったし、

今から思うと、私の基礎をつくってくれた時代でしたね。

(ああ、その厳しい状況が基礎をくつってくれたと)


🔹その後、隅田川駅や貨物局での勤務を経て、

6年目に福島県棚倉にある国鉄バスの営業所長に赴任しました。

職員数100名くらいの営業所なんですが、

職場は荒廃していまして、管理者と職員は対立して口も利かないんです。

私は赴任した翌日から、職員が待機している詰所に毎朝行って、挨拶回りを始めました。

最初は全然挨拶が返ってこない。

無視される。

睨まれる。

ところが、これを2週間続けたら、
1人、2人と挨拶が返ってくるになり、

1ヵ月半ほどで全員が気持ちよく挨拶するようになったんです。

(職員の心が変わったのですね)

🔹ずっと憎しみ合いたいと思っている人間はいませんからね。

どんなに対立していても、できるだけ仲良くなりたいと思っているんです。

挨拶ひとつ継続することで、荒廃した職場を和気藹々とした職場に変え、

いくつもの合理化事案をまとめることができました。


(そういう仕事に当たる際に、心掛けていたことはありますか)

🔹まずね、最初に話した「誠実」ですよ。

これは当時の上司に教わったことですが、

どんなに敵対関係にあっても一旦約束したことは絶対に守る。

嘘をつかない。

ごまかさない。

相手を信頼する。

そうすると、今度は相手がこちらを信頼してくる。

「あいつが言うなら大丈夫だ」と。

こうなれば交渉はうまく運ぶんですね。

逆に嘘をついたり、ごまかしたり、

その場凌ぎのことを言ったりすると、

いつまでも信頼してくれません。

それから、やはり心を通わせるためには2メートル以内に近づくことが大事です。

電話じゃダメ。

2メートル以内の距離に近づいて、フェイス・トゥ・フェイスで話をする。

これが1番いい。

こういう人間関係の機微を学ぶことができました。


(つづく)

(「致知」9月号 唐池恒二さんより)


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