キネオラマの月が昇る~偏屈王日記~

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「25時」

2006年11月05日 | 映画
うん、観て良かった!
今年観た映画のNo.1になるかも。

黒いウディ・アレン、スパイク・リーが2002年に撮った映画。
映画の隅々まで彼の知性と才能が煌いています。

9.11を批判した映画は多々あれど、これほどソフィスティケイティッドされた作品は二度と出てこないでしょう。
この映画はグラウンド・ゼロこそ出てきますが、別に9.11を真正面から批判する内容ではありません。

モンティというヤクの売人が刑務所に収監される前日の24時間を描いているだけ。
それでいて、アメリカ、ひいては9.11を引き起こすにいたった諸々の事象に対する鋭い風刺にもなっています。

モンティ=N.Y.=アメリカなんですね。

それにしてもなんてすごいストーリーだろう。
「ガープの世界」「ロイヤル・テネンバウムズ」「誘惑のアフロディーテ」なんかと一緒で、凡人にはこんな話到底書くことができません。

原作・脚本のデヴィッド・ベニオフ、その名を覚えておこうと思います。

この映画には、いかにもニューヨーカーのスパイク・リー監督らしく、ニューヨークへの強い愛情が溢れています。
それは愛憎相半ばするものであったりもするんですが。

「これからずっと西へ行っても、どんなに小さな町に住んでも、どこへ行こうとお前は生粋のニューヨーカーだ」

モンティの父親の台詞が胸に残りました。


*オマケ*

この映画は吹き替えで観たんですが、翻訳の人がすばらしかった。

“シャンペイン(シャンパン)”と“ペイン(痛み)”とで韻が踏んであるのを、“シャンパン”と“審判”と訳してました。

英語の翻訳や通訳は最後はその人のもってる日本語力が勝負になるんだなぁ、とシミジミ。

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