キネオラマの月が昇る~偏屈王日記~

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「リロ・アンド・スティッチ」

2004年05月19日 | 映画
ハワイを舞台にした暖かいタッチのディズニー・アニメ。
物語を彩るのはエルヴィス・プレスリーの名曲の数々。

しかし、最近のディズニー映画はレイシズム(人種差別)に非常に気を使ってますね。
アラジン(アラブ人)、ムーラン(中国人)、ポカホンタス(アメリカ先住民)、そしてノートルダムの鐘(障害者)
白人が主人公のものが少ないくらいです。

「リロ・アンド・スティッチ」の舞台はハワイ。
主人公の女の子リロもハワイ先住系民族で、白人ではありません。

破壊本能のみしか持っていないエイリアン(スティッチ)が地球にやってくる。銀河連邦政府に追われている彼は、犬になりすましてリロと姉のナニのうちに棲み付くのだが・・・・というストーリー。

ナニとリロの両親は自動車事故で死亡。
ナニが一人でリロの面倒を見ていますが、リロはなかなか破天荒な子供で友達と上手く馴染めません。
「友達を下さい」と神に祈ったリロのもとに現れたスティッチを、リロはそれはもう愛情を込めて育てます。

何故なら
「オハナ(ハワイ語で家族)はいつも一緒にいるものだから」

リロが孤独なように、スティッチも孤独だし、20歳そこそこの若さで子育てしているナニも孤独。
でも孤独な3人が頑張ってひとつのオハナを作る。

この映画はシングル・マザー奮闘記にもなってるんですね。
ディズニーだから姉妹という設定だけども。

・・・・とまあ、コアのところはシリアスだけど、ふんわりしたコメディー・タッチで包んであるし、南国ムードもたっぷりで、サーフィンのシーンなんか本当に楽しそう。

ほのぼのと癒される佳作です。
ラストは絶対泣けます。

エンド・ロールにエレ・ポップ風にアレンジした「好きにならずにいられない」が流れるんですが、非常に良かった!

「スクール・オブ・ロック」

2004年05月17日 | 映画
今年観た映画NO.1になるかもってな勢いの「スクール・オブ・ロック」

キアヌ・リーブスやブルース・ウィリスのようにロック・バンドやってる俳優はいるかもしれないけど、ジャック・ブラックはモノホンのラケンローラーが俳優やってます。

熱いぜ、ジャック!

ハード・ロック版の「がんばれ、ベアーズ!」なんですが、笑わせて泣かせるすばらしい脚本。
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」や「マスク」に勝るとも劣らない中だるみなしのノン・ストップで最後まで突っ走ります。
生徒の一人ひとりが持っている長所を見つけ出し、褒めちぎり、励ますデューイ(ジャック・ブラック)は、たとえ無免許でも素晴らしい教師。
ロックを教えたつもりが、最後は逆に熱いロック・スピリッツを生徒から教えられているという素敵な結末。

えーと、ロックはあまりよく知んないけど、と言う方にも十分楽しめます。

エンド・ロールに工夫があって可愛いんだよな。
席を立たずに最後までたっぷり楽しんでください。

※この映画あんま宣伝にお金かけてないけど、「オースティン・パワーズ」や「ショーシャンクの空に」のように、口コミでジワジワ人気が出るでしょう。
上映館数が増えるの絶対間違いなし。


「インファナル・アフェア」

2004年05月11日 | 映画
これは大人の男のための映画。
「男たちの挽歌」「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」「フェイス・オフ」が好きなあなたの・・・・そして私のために作られた映画だ。
酒にたとえたら生(き)のウイスキーか、それともうんとドライにしたマーティニか。
お嬢ちゃん向けの、赤やピンクの甘ったるいカクテルみたいな映画とは訳が違う。

優秀な警官でありながら潜入捜査官として生きることを強いられるヤン(トニー・レオン)と、マフィアの内通者として警官を欺き続けるラウ(アンディー・ラウ)と・・・・。
二人の男の哀しい生き様を描いたエレジィは破滅の旋律が基調に流れている。

互いに「犬」が潜んでいる事に気付いた、警察とマフィアの行き詰るような心理戦は一瞬たりとも気が抜けない。
主演の二人は勿論、それぞれの上司に当たるマフィアのボスと警視も強かで喰えない、渋い大人の男だ。
美しい女も出てくるがあくまで添え物。
情事のシーンすら削って描かれるのは男と男のガチンコ勝負だ。
互いに拳銃を手にして対峙するヤンとラウ。
誰かを激しく憎むというのは、誰かを激しく愛することと結局は変わらないのかもしれない。
相手を自分の意のままにできないという点においては・・・・。
ふとそんなことを思った。

抑制の効いた演出。
日本の日活アクション映画の正統な嫡子は香港フィルム・ノワールかもしれない。
アジアの男の美しさを存分に見せてくれるトニーとアンディ。
茶髪やピアスなんてちゃらちゃらしたものは、黒髪・短髪に清潔なシャツという男本来の美しさの前では幼稚にすら思える。

個人的にはヤンの弟分のキョン(チャップマン・トウ)の純朴さに一番泣けた。
ハリウッドが過去最高のリメイク権を支払って買い付けたというこの映画。
男の色香に存分に酔い痴れてくれ、ご同輩。



※インファナル・アフェア公式HP※