キネオラマの月が昇る~偏屈王日記~

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乗せたのは運命そのもの 「ヒッチャー」(1985)

2007年10月29日 | 映画
「ヒッチャー」がリメイクされますね。
実は私、この映画が大好きなんですよ。

ルトガー・ハウアーの代表作として「ブレードランナー」を挙げられる方は多いでしょうが、私は同率1位でこの映画を推します。



ストーリーはというと・・・。

少年(C・トーマス・ハウエル)が荒野でヒッチハイカー(ルトガー・ハウアー)を拾って乗せます。
全くの好意から。

ところが拾った男が殺人鬼で、少年はその殺人鬼にずっと付け狙われる事になります。
命を危険にさらし、挙句に男の犯した殺人の濡れ衣まで着せられ、警察に追い掛け回される羽目になるのが、ほんの親切心から・・・というところが不条理でものすごく恐ろしいです。

何か悪いことをしたわけではない。
むしろ善良で親切な人間が、酷い目にあう。

こんな恐ろしい話って、実は世の中にゴロゴロしてるんです。
「因果応報」なんて嘘っぱちもいいところだったりしますからね。

少年が乗せたのはね、「運命そのもの」なんですよ。
ルトガー・ハウアーはこの映画で、「ブレードランナー」のレプリカント同様、
「人間の形をしていながら人間ではないもの」を演じたんです。


私はそう認識しています。


この映画を観て、なんで殺人鬼がそこまで少年を付け狙うかが説明不足だ、なんて感想を持つ方が多いみたいですが、簡単ですよ。

「愛しているから」
これは「信頼しているから」でもいいし、「感謝しているから」と言い換えてもいい。


「太陽を盗んだ男」は観ましたか?
ジュリーがルトガー・ハウアーで、菅原文太がC・トーマス・ハウエルです。

もしくは浦沢直樹の漫画「MONSTER」のヨハンがルトガー・ハウアーで、天馬賢三がC・トーマス・ハウエルです。

要するにこの殺人鬼はね、自分で自分を持て余して、殺して欲しいんですよ、「愛する人」に。

この映画のルトガー・ハウアーはものすごく歪んだ人間だから、その愛情の発露もものすごく歪(いびつ)です。

でもそれは確かに「愛情」なんです。
常人には理解不能でしょうが・・・。
私のように若干歪んだ人間には手に取るように解ります(笑)。


あー、なんかまた観たくなってきちゃったな。

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2 コメント

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TBありがとうございます! (たお)
2007-12-22 01:14:05
こんばんは♪
そう!愛なんですよ!愛!
そこがこの映画の重要なポイントなんですよねぇ。
まだ観ていないんで何とも言えないんですが、きっとリメイク版はそこだけきれいサッパリと抜け落ちた作品になっているんでしょうねぇ。。。
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たおさんへ (偏屈王)
2007-12-22 20:59:37
こちらこそ、コメント&TB有難うございます。

>そう!愛なんですよ!愛!

個人の方の感想で
「何でそこまで殺人鬼が少年に執着するのか説明不足だ」
なんて書いてあるのを目にするにつけ、もどかしい思いをしてたんですが、
さすがたおさん、解ってらっしゃる!と心強く思いました。

>きっとリメイク版はそこだけきれいサッパリと抜け落ちた作品になっているんでしょうねぇ。。。

ありそう。すごーくありそうでコワイ(笑)。
そういえば、「ポセイドン・アドベンチャー」のリメイク「ポセイドン」も、オリジナルで一番大事なヒューマン・ドラマの部分が何故か綺麗さっぱり抜け落ちてました(笑)。
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