キネオラマの月が昇る~偏屈王日記~

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ミザリー

2005年11月18日 | 映画
この世で一番怖いものは何か?
幽霊?ゾンビ?バンパイア?
いいえ、気の狂った人間です。
キ○ガイほど怖いものはない。
そのキ○ガイに山の中の一軒家に監禁されるとしたら・・・!?
しかも自分は交通事故で両足複雑骨折。
ベッドから動けないとしたら・・・!?

キング作品の映画化では成功した部類に入るでしょう。
「ミザリー」は本当に面白い作品です。

まず、キャスト。
これに止めを刺します。
「一体全体この役者どっから連れてきたんですか!?」
ってくらい、キャシー・ベイツにはほんとびっくりしました。
「ミザリー」は架空の物語なのに、アニー・ウィルクスは架空の人物なのに、現実世界にちゃんとアニーが存在してた驚き。
「帝都物語」の嶋田久作を見た時くらいのショックでした。
どちらも舞台出身の役者だというのが面白い。

そしてポール・シェルダン役のジェームズ・カーン。
実は原作の雰囲気とは多少異なるんですが、この人も本当に本当に上手い!
キャシー・ベイツの演技があまりにも素晴らしかったがために(なんたってオスカーも獲っちゃったしw)ちょっと霞んでしまったのは可哀想。
ちょうど、「アマデウス」でサリエリを演じたF・マーレイ・エイブラハムが素晴らしかったがために、モーツァルトを演じたトム・ハルスだって只事でない上手さなのに、霞んでしまったのに似てます。
カーンの身体の動きを極端に制限された中でのあの名演技には唸らされました。

私が特に好きなのはアニーが
「私がデンバーで証言台に立ったときも・・・」
とポロッと口を滑らせたときに
(証言台って何のだよ!?やっぱこの女おかしい!)
って顔をするシーン。
台詞はないけど、胸のうちの言葉がはっきり聞き取れます、マジで。

最後の格闘シーンは、アニーとポールの闘いであるのと同時に、キャシー・ベイツとジェームズ・カーンという二人の素晴らしい俳優の火花散る演技の闘いでもあるわけです。
空間にスパークする二人の役者魂が画面からビリビリ伝わってきました。

「ミザリー」は本当に人生そのものみたいな物語です。
怖くて残酷で不条理で。
ゲラゲラ笑っちゃうくらい滑稽で。
そして結局誰も助けてはくれない、自分で頑張るしかないんだ、という点も人生に似ているかもしれない。

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