「プロデューサーさん…」
「…いや、俺は俺の出来ることで最大の事を」
「で、これですか?」
「…はい」
あきれる春香の前に置いてあるのは黒い消し炭
もとい玉子焼き…になる予定だったものだ
オーディションに自らが考え付いた奇策で勝った春香
それのご褒美ということで何が欲しいか聞いたのだが
なぜか春香からでて来た答えは
「プロデューサーさんの手料理が食べたい」
とのある意味最強クラスの無理難題が飛んできたのだ
自慢ではないが俺は料理はほぼ出来ない
いや、しないのだ、だからやれば出来る!
…んじゃないかな?と意気込んで出来たものが目の前のこちらになります
「プロデューサーさんって不器用なんですねー」
春香の鋭い一言が胸に痛い
しかもなぜか嬉しそうだし
「じゃ、じゃあ春香は…って聞くだけあれだった」
「ええ、私はそれなりに出来ますから」
お菓子作りが趣味な春香は普通の料理もやはり美味い
時々作ってくるサンドイッチなどに俺の胃袋は癒されているのだ
「しかし何だって俺の料理なんか…」
ふさくれる俺に春香は笑顔で答えた
「食べたことありませんでしたから」
「まあ結局食べれなかったんだが」
消し炭を見つめる俺
「でもそのことがわかっただけでいいかなって」
「…俺が消し炭しか作れないことがか?」
「はい」
どこまでも笑顔だ
くそう、春香に手玉に取られてる
というより再結成からずっと手玉に取られてる気すらする
時は俺と春香のパワーバランスさえ崩してしまったのか!
「次は何のオーディションですか?」
「ん、ああ…実はな…」
言いにくい
現在のランクはC
そう前回のプロデュース時と同じ所まで来たのだ
本当ならばここからはじっくり行きたい
レッスンを重ね、実力と時勢のタイミングが重なった時にオーディション
そうしたい
そうしたいのだが…
あの事務員さんはまたもや笑顔で無茶を告げた
「「特別レベルのオーディションだけ受けてください」なんて無茶を言いやがって…」
今度の指令は特別オーディションの連戦制覇
極端に合格枠が少ないオーディションを特別オーディションと呼ぶ
先日合格したダンスマスターもその一つなのだが
それぞれに難易度が高いそんなオーディションがまだまだあるのだ
そしてそんな中でも今回は…
「HIT-TVだ」
「…」
告げる俺
それを聞き思案顔の春香
そりゃあそうだ
HIT-TVは事実上のTOPアイドルオーディション
現時点の春香では正直勝つ方法が思い浮かばない
自殺行為とも言えるのだ
「プロデューサーさん?」
「な、なんだ?」
「おかしいですよね」
「何がだい?」
「…何か隠してるでしょ?」
「そ、そんなことはないぞ」
思わず目を逸らす
まさか「とんでもない指令の元にプロデュースしてる」なんて言えるはずが…
「目を見てください」
「春香…」
そのまっすぐな瞳は
隠し事をしてる者には直視できない瞳
やはり目を逸らしてしまう
「プロデューサーさん…」
「いや、あのな」
「私達はなんですか?」
「アイドルとプロデューサーで…」
「そんなことじゃなくて!」
口調が荒くなる
逸らした目を戻せないが震えてる
見えないが、わかる
「私達は…パートナーでしょう…」
静かに重く春香は呟く
「私達に関することなのに…私には秘密なんですか?」
「…春香」
「私はプロデューサーさんを信頼してます!でもプロデューサーさんはっ!」
「俺だって…」
ダメだ、これは単なる言い訳だ
自分の保身のために春香を利用していると
それが事実だから、言いたくなかった
春香は賢く、そして感の利く子になったのだろう
その事実に、自ら気が付いてしまった
多分俺は、怒られた子供のような顔をしていたんだろう
そして春香は泣いている
怒りながら、目の端に涙をためて
「…ごめんな春香」
「…」
「全部話す」
「…聞いた上で辞めるか辞めないか決めますから」
「ああ、聞いてくれ、それから判断して欲しい、俺は無茶を言ってるから」
「…いや、俺は俺の出来ることで最大の事を」
「で、これですか?」
「…はい」
あきれる春香の前に置いてあるのは黒い消し炭
もとい玉子焼き…になる予定だったものだ
オーディションに自らが考え付いた奇策で勝った春香
それのご褒美ということで何が欲しいか聞いたのだが
なぜか春香からでて来た答えは
「プロデューサーさんの手料理が食べたい」
とのある意味最強クラスの無理難題が飛んできたのだ
自慢ではないが俺は料理はほぼ出来ない
いや、しないのだ、だからやれば出来る!
…んじゃないかな?と意気込んで出来たものが目の前のこちらになります
「プロデューサーさんって不器用なんですねー」
春香の鋭い一言が胸に痛い
しかもなぜか嬉しそうだし
「じゃ、じゃあ春香は…って聞くだけあれだった」
「ええ、私はそれなりに出来ますから」
お菓子作りが趣味な春香は普通の料理もやはり美味い
時々作ってくるサンドイッチなどに俺の胃袋は癒されているのだ
「しかし何だって俺の料理なんか…」
ふさくれる俺に春香は笑顔で答えた
「食べたことありませんでしたから」
「まあ結局食べれなかったんだが」
消し炭を見つめる俺
「でもそのことがわかっただけでいいかなって」
「…俺が消し炭しか作れないことがか?」
「はい」
どこまでも笑顔だ
くそう、春香に手玉に取られてる
というより再結成からずっと手玉に取られてる気すらする
時は俺と春香のパワーバランスさえ崩してしまったのか!
「次は何のオーディションですか?」
「ん、ああ…実はな…」
言いにくい
現在のランクはC
そう前回のプロデュース時と同じ所まで来たのだ
本当ならばここからはじっくり行きたい
レッスンを重ね、実力と時勢のタイミングが重なった時にオーディション
そうしたい
そうしたいのだが…
あの事務員さんはまたもや笑顔で無茶を告げた
「「特別レベルのオーディションだけ受けてください」なんて無茶を言いやがって…」
今度の指令は特別オーディションの連戦制覇
極端に合格枠が少ないオーディションを特別オーディションと呼ぶ
先日合格したダンスマスターもその一つなのだが
それぞれに難易度が高いそんなオーディションがまだまだあるのだ
そしてそんな中でも今回は…
「HIT-TVだ」
「…」
告げる俺
それを聞き思案顔の春香
そりゃあそうだ
HIT-TVは事実上のTOPアイドルオーディション
現時点の春香では正直勝つ方法が思い浮かばない
自殺行為とも言えるのだ
「プロデューサーさん?」
「な、なんだ?」
「おかしいですよね」
「何がだい?」
「…何か隠してるでしょ?」
「そ、そんなことはないぞ」
思わず目を逸らす
まさか「とんでもない指令の元にプロデュースしてる」なんて言えるはずが…
「目を見てください」
「春香…」
そのまっすぐな瞳は
隠し事をしてる者には直視できない瞳
やはり目を逸らしてしまう
「プロデューサーさん…」
「いや、あのな」
「私達はなんですか?」
「アイドルとプロデューサーで…」
「そんなことじゃなくて!」
口調が荒くなる
逸らした目を戻せないが震えてる
見えないが、わかる
「私達は…パートナーでしょう…」
静かに重く春香は呟く
「私達に関することなのに…私には秘密なんですか?」
「…春香」
「私はプロデューサーさんを信頼してます!でもプロデューサーさんはっ!」
「俺だって…」
ダメだ、これは単なる言い訳だ
自分の保身のために春香を利用していると
それが事実だから、言いたくなかった
春香は賢く、そして感の利く子になったのだろう
その事実に、自ら気が付いてしまった
多分俺は、怒られた子供のような顔をしていたんだろう
そして春香は泣いている
怒りながら、目の端に涙をためて
「…ごめんな春香」
「…」
「全部話す」
「…聞いた上で辞めるか辞めないか決めますから」
「ああ、聞いてくれ、それから判断して欲しい、俺は無茶を言ってるから」