試合が始まってすぐ、いつものパナではないとわかった。
動きがぎこちない。地に足がついてない感じ。
何でそう思ったか。
木下が動けていないということ。
それ以上に、広瀬の硬さが目に付いた。
どちらかというとダメバージョン、5段階評価でいうと2みたいな、「何でそこでそれやるのよ」というプレイを時々やらかすときのオーラが出ていたから。
広瀬がこれじゃあ、ちょっとチームが機能しないぞと。
案の定、ボールが入らない。
外で回してばかりで、中に入れられない。
アイシンのDFがいいにしても、青野を活かせないことにはパナのバスケにならない。
かといって、外から打てるわけでもない。
だいたい、最初の5分で広瀬が3本も3Pシュート打ってること自体がおかしい。
そういう役回りじゃないのに。
パナは、それしか選択肢がない状況だったということ。
ただ、長い目で見たとき、広瀬は3Pシュートの成功率を上げる必要があるのは事実。
DFをゾーンに変えたり、選手交代したり。
いろいろ試みて、何とか前半を10点差以内で折り返すことはできたけど。
最後の木下の3P、必死になって止めに来なかったところに、アイシンの余裕を感じた。
3Q、パナはゾーンDFからの速攻が奏功し、43-41、2点差まで追い上げた。
が。
ここで木下がシュートを外して同点にする機会を逃すと、柏木に3連続3Pシュートを決められる。
大舞台でのキャリア、勝ち続けるために必要なことを知っている、力の差を感じた瞬間。
それでもパナは、選手を変えない。
ここまで数人変えたけど、カスタス⇔ハニーカットの交替を除いては、ほんの数分しか主力を下げていない。
主力組も、悪くはないけど、決していいとは言えない状態。
ここで渡邉という選択肢はないんだろうか。
考え始めて間もなく、その渡邉がコートインした。
渡邉は、それなりにいい仕事をした。
やっぱりちょっと硬くなっていた気もするけど、流れを引き戻すようなスティール/速攻は見せた。
もっとも、渡邉にしては中途半端な感じではあったけど。
働きとしては及第点。
こうやって経験積んで、結果出して、信頼得て。
少しずつ成長して、プレイタイム伸ばして。
まだまだ、伸びるよね。
4Qになってやっと、パナらしくなってきた。
でも、肝心のところでちょこちょこミスが出る。
アイシンの強みは、ミスとミスによる影響を最小限に抑えられること。
ミスが多いパナがアイシンに勝とうと思ったら、そのミスを帳消しにするような流れを引き寄せなければならない。
その流れを持ってきたかに見えたのだけど。
柏木がFTを決めていれば、OTにはならなかった試合。
アイシンは、40分で勝てなかったけど、負けもしなかった。
パナソニックは、40分で負けなかったけど、勝つことはできなかった。
これが、今年のAJファイナルだったんじゃないだろうか。
ミスをなくすか、ミスを織り込んだゲームプランを立てるか。
ある意味、対照的な両チームの対戦だったともいえる。
それぞれのチームに対し、思うことは多々あるけど。
後半戦追う中で書く機会があればその時に。
でも少しだけ。
青野が45分フル出場したこと、FTの成功率が上がったこと、その他諸々。
ホント、20代の君は何だったのよ!!と言いたくなる。
今の青野を代表で使わない手はないんじゃないだろうか。
表彰式、青野が銀メダルを首にかけていた時間はわずか数分。
アイシンの選手がメダルを授与されている時、青野の右手にはすでに外したメダルがあった。
こんなのが欲しくてやっているのではない。
あと何年、現役でいられるのか。
限られた時間の中、青野は挑戦し続ける。
このまま終わるつもりはない。
「力不足を感じ、このままでは優勝を目指すチームの助けにはならない」
どんな眼をして、どんな表情で広瀬は言ったのか。
心底悔しいと思った時に、広瀬の感情は顕れる。
新人戦決勝で敗れた時の涙、リーグ戦で東海大に敗れて優勝を許した時に見せた凄みのある眼差し。
この敗戦は、おそらくそれらに匹敵する、あるいはそれ以上の悔しさだから。
でも、そこから這い上がってきた。
きっとまた、上ってくる。
その時は、どんなプレイを見せてくれるのだろう。
いつかパナ-トヨタでファイナルを。
そしてベスト5に正中・岡田・広瀬が選ばれるのが夢だったりするのです(笑)