【子規365日】■5月1日
摘(つ)みためし手のひらの茶のこぼれけり 1900(M33)年
夏井いつき【子規365日】朝日文庫
金田一春彦「ことばの歳時記」新潮文庫 より 《八十八夜》
《八十八夜》の俳句
立春から八十八日目に当る日をいう。農事暦では大事な日で、種蒔や茶摘・養蚕に、忙しく明け暮れる。
・ふるさとのあすは八十八夜かな ゆり子
・茅野の花紅きは八十八夜なり 源 義
・八十八夜穂麦の伸びも全(まつた)かり 素 風
《茶摘》の俳句
茶摘は八十八夜から二、三週間が最も盛んで、初めの十五日間位のが一番茶である。特に八十八夜に摘んだ
茶は不老長寿の妙薬といわれる。二、三十日たって二番茶となり、三番茶・四番茶まで摘む。手甲に脚絆、
菅笠姿の茶摘娘たちが、茶畠で歌う茶摘唄はもう聞かれない。
・しがらきや茶山しに行く夫婦づれ 正 秀
・一とせの茶も摘みにけり父と母 蕪 村
・前山の茶摘み始まる手摺かな 静 雲
横田正知編「写真 俳句歳時記 春」現代教養文庫 より