ハナママゴンの雑記帳

ひとり上手で面倒臭がりで出不精だけれど旅行は好きな兼業主婦が、書きたいことを気ままに書かせていただいております。

映画 “Invictus”

2014-01-11 23:55:50 | エンターテインメント

年が明けたら仕事が閑古鳥なので、この機会を利用して『つん読』ならぬ『つん見』になっていたDVDを見ています。

働きに行かなくていいのって、シアワセ~  一日中家にいて好きなことしてられるって、シアワセ~ 引きこもりになってしまう人の気持ち、わかる~! (←ちょっとキケン

先日はモーガン・フリーマン/マット・デイモンの『インビクタス』を見ました。 

 

   

 

クリント・イーストウッド監督作品というこの映画。恥ずかしながら私は、先月のマンデラ氏の死去がニュースになるまで、この映画のこと全然知りませんでした。DVD買って見ようかなと思っていたところ、偶然入ったソーンビュリーのチャリティー・ショップで2ポンドで売っていたので買っちゃいました。

 

マンデラ氏が解放され、初の黒人大統領に選出されたとはいえ、アパルトヘイトの余波が根深く残る南アフリカ共和国。マンデラ氏は、ラグビーが対立する白人と黒人を団結させるインスピレーションになると考えます。

『白人のスポーツ』のイメージが強く、“多数を占める黒人の国民のあいだでは非常に不人気なスポーツだった”ラグビー。当時不調だったこともあり、代表チームのチーム名もユニフォームも変更してしまおうという意見に傾きかけていました。マンデラ氏はそれを止め、懐疑派を説得し、チームを励まします。

そして本当に、1995年のワールドカップで優勝してしまうって・・・・・ 信じられないほどドラマチックで、実話と聞いても、まだ信じられない!

 

 

映画の題名『インビクタス』は、30年近い監禁生活中のマンデラ氏が心の支えにした詩の題名だそうです。作者はウィリアム・アーネスト・ヘンリー(William Ernest Henry)という、19世紀後半のイギリスの詩人。全文と邦訳はこちらをどうぞ。 

・・・今知ったのですが、作者の詩人ヘンリーはグロスターの出身で、今もグロスターにあるクリプト・スクール(The Crypt School)の学生だったんですね! 我が町ダーズリー発のグロスター行きのバスはクリプト・スクールの前を通るから、場所、知ってます。ちょっとビックリだわ~

 

 

自分の自伝が映画化されるとしたら、「モーガン・フリーマンに自分を演じてもらいたい」と述べたとされるマンデラ氏。なるほど、こうして穏やかな笑顔で並ばれると、確かにお二人、似ています。マンデラ氏を演じるモーガン・フリーマン、アクセントを彼に似せていて、とてもよくできていたと思いました。

              

 

感銘を受けた場面を紹介させていただきますね。DVDをプレイ中の画面を一時停止して撮った写真を切り貼りという、原始的な方法ですが。(他にやり方わからん

大統領に選出されたマンデラ氏が初出勤すると、白人のスタッフの一部のオフィスが空だったり、私物が箱にまとめられていたりに気づきます。マンデラ氏にクビにされることを予期してのことでした。すぐにスタッフを全員集めると、彼は言います。

「辞めたいというのなら、よろしい。あなた方にはそうする権利があります。また新しい政府のためには働けないと感じているのなら、去ってもらった方がいいでしょう。しかし自分の話す言葉や肌の色や、これまで誰のために働いてきたかが理由でここでは働けないと怖れているのなら、そんな怖れを持つ必要はありません。過去は過去です。

 

今は未来を見据えるときです。我々にはあなた方の助けが必要なのです。我々を助けていただきたい。もし助けていただけるのなら、あなた方はこの国に多大な奉仕をしてくれることになります。私があなた方にお願いすることはただひとつ。仕事に、善き心をもって、でき得る限りの最善を尽くしてください。私も、そうすることを約束します。」

 

大統領の警備チームは、白人のシークレット・サービス員が混入されることに反発し、リーダーのジェイソンは「あいつらは、ついこの間まで我々を殺そうとしていたんですよ!」とマンデラ大統領に詰め寄ります。そんな彼をマンデラ氏は、こう言って説得します。

「大統領の護衛官は世界に注目される。和解はここから始まるのだ。赦しもまた、ここから始まる。赦しは魂を解放する。怖れを消し去る。だからこそ赦しは、強力な武器なのだ。」

  

黒人が大多数を占めるスポーツ協会は、白人のスポーツとみなされるラグビーの南アフリカ代表チームの名称とチームカラーを変更しようとします。連絡を受けたマンデラ氏は、「それが国民の願いなのだから、いいじゃありませんか」と言う側近のブレンダに向かってこう言います。

「わかっている。しかしこの場合、間違っているのは皆の方だ。私は彼等に選ばれたリーダーとして、誤りを指摘しなければならない。そうすることを怖れたとき、私はリーダーとしての資格を失うのだ。」

  

スポーツ協会の会合に駆けつけたマンデラ氏は、こう言って説得にあたります。

「彼らはもう敵ではない。民主主義のパートナーだ。そして彼らは、スプリングボク(チームの通称)を大切にしている。その宝物を取り上げてしまったら、我々は彼らを失う。

 

彼らが恐れていた通りの我々になり下がってしまう。                    我々はその上をいかなければならない。 

 

我々は多くのことを禁止されてきた。                               しかし今は、けちな復讐を喜んでいるときではない。

 

君たちは私をリーダーに選んだ。                                 私に君たちを率いらせてくれ。」

 

白人のスポーツだったラグビーの南アフリカ代表チームを、白人も黒人もなく国民が一体となって応援することができれば、国民の和解と団結の助けになる。そう考えたマンデラ氏は、チームのキャプテンのフランソワ・ピナールをお茶に招待し、間接的に意向を伝えます。

 

大統領の意向を察知したピナール。1995年のラグビー・ワールドカップは南アフリカ開催だったため、実力に関係なくチームは参加できたのでした。しかし不調のチームにとって、優勝などとても無理な話に思えるのでした ・・・・・

 

チームは、マンデラ氏が27年に及んだ監禁生活のうちの18年を過ごしたロベン島の監獄を訪れます。 “・・・こんなちっぽけな牢に30年も閉じ込められていたのに、解放されたときにはすでに自分を投獄した人間たちを赦すつもりでいたとは・・・” マンデラ氏が過ごした狭い牢内に立ち、ピナールは改めてマンデラ氏に感嘆します。 

 

映画の中の、「赦しは魂を解放する」というセリフが心にひっかかりました。 “死の鉄道”泰緬鉄道建設で酷使され虐待された、元日本軍捕虜たち。

「日本人を決して赦さない」という意志を貫いた元捕虜と、ローマックス氏のように、赦したことにより心の平穏を取り戻した元捕虜。

黒人を差別し、抑圧し、迫害し、自分を30年近くも投獄していた白人。マンデラ氏には、多数を占める黒人の国民を煽って白人に復讐を果たすことは、いとも簡単だったことでしょう。でもマンデラ氏は、それをしなかった。 「今はけちな復讐を喜んでいるときではない。」 復讐を煽れば、さらなる流血、さらなる混乱、さらなる闘争、さらなる悲劇が避けられないことは明白だったので、全力でそれを阻止したのですね。

マンデラ氏の死のニュースが入ったとき、少数派ではありますが、今でも彼を「テロリスト」と呼ぶコメントがあったのに驚きました。私は歴史に疎いので、何を根拠にマンデラ氏をそんな風に呼ぶ人がいるのか知りません。でも大統領になったマンデラ氏は、復讐などまったく考えず、アパルトヘイトの過去を忘れて国民を一致団結させることに全力を注いだ。

それだけでもマンデラ氏は屈指の偉人だと、私は思います。

 

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