約五年前に遡る。
俳句の授業をはじめようと決意して、最初に読んだ本が
「坪内稔典の俳句の授業」という本だ。
「ふーん、俳句とはこんな風に教えるものか」
刺激になり、やり方が少しわかったような気なった。
坪内稔典の代表作は、何と言っても甘納豆の句であろう。
三月の甘納豆のうふふふふ 坪内稔典
これは、甘納豆シリーズの三月バージョンですべて出すとこうなる。
一月の甘納豆はやせてます
二月には甘納豆と坂下る
三月の甘納豆のうふふふふ
四月には死んだまねする甘納豆
五月来て困ってしまう甘納豆
甘納豆六月ごろにはごろついて
腰を病む甘納豆も七月も
八月の嘘と親しむ甘納豆
ほろほろと生きる九月の甘納豆
十月の男女はみんな甘納豆
河馬を呼ぶ十一月の甘納豆
十二月をどうするどうする甘納豆
他にもユーモラスな句が多くある。俳句集団「船団」の船長でもある。
本職は大学の先生である。
基本的には、取り合わせの句の指導なのだが、最初に自分の名前を読み込ませると言うのが変わっていて、しかし作りやすい。
例えば、コスモスの花を教室に持ち込む。
すると
コスモスや小山正見はうろたえる
つまり下五だけを考えればよいと言う風にあっという間になるのだ。
この五文字の違いと名前の違いで愉快な句がたくさんできることになる。
飛び込みで授業をすれば、ちょっとしたマジックになる。
興味のある人は、一度読むと良いと思う。
![]() | 坪内稔典の俳句の授業