はぶて虫のささやき

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(旧:はぶて日記)

映画評1160 ~ 鬼平犯科帳 血闘

2024-05-11 | 映画評
今回は「鬼平犯科帳 血闘」です。

これまで幾度も映像化されてきた池波正太郎のベストセラー小説「鬼平犯科帳」シリーズを、十代目・松本幸四郎主演で新たに映像化する時代劇シリーズの劇場版。2024年1月放送のテレビスペシャル「鬼平犯科帳 本所・桜屋敷」に続く本作では、主人公の鬼平こと長谷川平蔵の過去と現在を交錯させながら、それぞれの時代で愛する者を救うため立ち上がる平蔵の熱き姿を描き出す。
テレビスペシャルに続いて、若き日の鬼平・長谷川銕三郎を幸四郎の実子である八代目・市川染五郎が演じた。そのほか平蔵の妻・久栄を仙道敦子、密偵・おまさを中村ゆりが演じ、劇場版ゲストとして志田未来、北村有起哉、松本穂香、中井貴一、柄本明が出演。

主演:松本幸四郎
共演:市川染五郎、仙道敦子、中村ゆり、火野正平、本宮泰風、浅利陽介、山田純大
その他:久保田悠来、柄本時生、松元ヒロ、中島多羅、志田未来、松本穂香、北村有起哉、中井貴一、柄本明など

<ストーリー>
長谷川平蔵のもとに、彼が若い頃に世話になった居酒屋の娘・おまさが現れ、密偵になりたいと申し出る。平蔵にその願いを断られたおまさは、平蔵が芋酒屋主人と盗賊の2つの顔を持つ鷺原の九平を探していることを知り、独断で調査に乗り出すが・・・


これまで、ず~っと中村吉右衛門バージョンを見てきた私としては、今回のメンバーはまったくの新顔なので、どう感じるのかちょっと不安を持ちながら見た。

事実、最初に鬼平役の松本幸四郎を見た時に「若いなあ」と思ってしまったし、おまさ・久栄さらには筆頭同心の田島を見た時も「何か違う」感が結構あった。

しかし、見ていくうちに、何となく慣れてきたのもまた事実。

特に、おまさ役の中村ゆりは、一見ガッキー(新垣結衣)を思わせるようなかわいい子だったので、途中から邪な感情移入。

とは言え、決定的だったのは、ラスボスがあまりにもショボかったこと。

今回北村有起哉が演じた網切の甚五郎は、最初ただのザコキャラかと思っていたのだが、何回も捕り物を潜り抜けて生き抜き、結局最後まで凶盗の親分だったので、ちょっと驚いた。

しかもこの親分、火盗改めに踏み込まれるたびに、手下を捨ててすぐに逃げる。

ある時は、手下を盾にして逃げたこともあるし、こんなヤツが盗賊の親分とは情けない。

これが1時間ドラマの一つのエピソードであれば、そんなに違和感もなかったろうが、何せ映画にまでして登場させた人物。

以前鬼平で映画化された際の盗賊は、岩下志麻をはじめとして藤田まこと・石橋蓮司・世良公則など錚々たるメンバーだった。(もちろん、この人たちは全員私よりも年上なので、どうしてもそう見えてしまうのかも知れないが・・・)

とにかく逃げまわるだけのクソみたいな親分なのに、どうしてその都度こんなに手下が湧いて出てくるのかわからないくらい、かなりの大集団だった。

さらに、最後この親分と鬼平が対峙する場面は、老舗の料理屋を甚五郎がまるごと乗っ取って、鬼平を騙し討ちにしようというものだった。

しかし、この料理屋は日頃鬼平が利用している店ではなく、鬼平の上司である京極備前守が招待した形になっている。

つまり、甚五郎の手下が、ニセの備前守の使いの者に化けて、ニセの書状を持ってきて鬼平を呼んだわけだ。

確かに、劇中で鬼平が若年寄京極備前守から「一度飲もう」と言われていたのだが、そんなことを盗賊どもが知っているわけがないし、こんな上級武士の書く手紙なんて、簡単に真似できるものなのか?

当然備前守の字のクセもあるだろうし、本人であるという署名とかあるんじゃないの?

もし簡単にできるとしたら、この手の書状を乱発すれば、邪魔な火盗改めや役人なんて簡単におびき出して始末できるだろうに。

少なくとも、上層部に裏で糸を引くヤツがいない限り、こんな盗賊という裏社会でしか生きてこなかった連中に、このような高度なテクニックが使えるとは、とても思えない。

鬼平をおびき出して大勢で始末しようと考えるのはいいのだけど、その方法にはかなりの違和感が残ったので、最後のバトルはあまり気持ちが入っていかなかった。

しかも、やっぱり甚五郎は手下を差し置いて逃げようとするし。

岩下志麻みたいに「あたしの負けだよ」と潔く縛につくような粋な場面がほしかった。

そのためにも、今回の北村有起哉の起用そのものもそうだけど、このような展開は失敗のような気がする。

だったら、いっそ京極備前守を演じた中井貴一を甚五郎役にした方が良かったんじゃないの?

ということで、好きな時代劇なので楽しむことはできましたが、今ひとつ盛り上がりに欠けた感じがしたので、評価は「C」にします。

ところで、あくまでも個人の感想だけど、中村吉右衛門バージョンの配役と比べてみた。

〇鬼平(中村吉右衛門⇒松本幸四郎) どちらも演技はうまいけど、鬼気迫るさまは完全に吉右衛門の勝ち
〇おまさ(梶芽衣子⇒中村ゆり) どちらも好きなタイプ!? 貫録で梶芽衣子の勝ち
〇久栄(多岐川裕美⇒仙道敦子) 仙道敦子がこのような役をやるような年になっていることに驚いたが、気品の差で多岐川裕美の勝ち
〇相模の彦十(江戸家猫八⇒火野正平) 昔ワルやってた感がバリバリの火野正平の圧勝
〇木村忠吾(尾美としのり⇒浅利陽介) 尾美としのり版のウサギはイヤらしさ全開だったので好きではなかった、よって浅利陽介の勝ち。
〇筆頭与力・田島(高橋悦史⇒本宮泰風) 本宮もいい男だけど、どうしても侍よりもヤクザに見えるし、貫録の差で高橋悦史の勝ち。

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