笑う隣人

近くのクリーニング屋さんに家内に頼まれ冬物ば袋に詰め込んで
行ったとです。
そしたら狭い店内にはこの日までが半額割引き期間やったけん3人の先客がいたとです。
時間ならたっぷりあるけん、車に戻って本ば取りに行き店内で読みながら待ったとです。
椅子は無いけん壁にもたれて立ち読みです。

そしたら次々お客さんが来たとです。
中に入りきらん人は店の外で待っていたとです

そんでヤッとオイの番になって洋服ば袋から出したら後ろで待っていたオバちゃんが
横から我が家の洗濯物ばジッと見つめるとです。

何かおばちゃんから我が家ば覗かれとる気がして、よか気持ちはせんやったとです。
そんな訳でスーツのシミ取りのお願いも、つい小声になってしまったとです。

そこでオイは「のぞく女」とか言う小説のタイトルで隣の洗濯物の干し方が気になって、ついに
隣にこっそり上がり込み、洗濯しなおし、ついでに部屋の掃除までしてしまう
完璧と潔癖癖のオバちゃんば考えたとです。

物語は、そのオバちゃんの掃除がエスカレートし、ある日、引き出しの中から
どこかに失くしてしまったオバちゃんの結婚指輪に良く似た指輪を見つけてしまったり
隣のご主人はここ数年、姿が見えないのに洗濯物には、いつも男物の下着が
しかもオバちゃんの旦那さんとよく似た柄のパンツが・・・・・・・。

まぁ　こんな感じでお話ば書いたらどうだろうかとクリーニング屋さんの帰り道考えたとです。

ウィスキーとバタピー

夏美のホタル　　森沢　明夫

昨夜　11時30分過ぎに読み終えました。

ある夏の日、慎吾と夏美は山奥の淋しい集落にあった小さくて古びた店
「たけ屋」のヤスばあちゃんと地蔵さんと呼ばれる親子に出会う
ひと夏を村で過ごす事になった慎吾と夏美・・・・・・
せつなくてあたたかいお話しです。

登場する人たちは本当にいい人たちばかりで。
オイは時々のどば詰まらせながらサントリー角のストレートがグイグイ入ったとです。

以上　今月　最後の本でした。

月夜の銀の波風に

読んだ本の紹介が少したまっているとです。

そのうちにと思っていた時、佐藤　友哉の「デンデラ」が映画化される事ば知りました。
２１年の１２月に読んだ本でものすご印象に残っておった本でブログでも書いておりました。

早速、出演者ば調べたら　浅丘ルリ子、倍賞美津子、山本陽子、草笛光子 だそうです。
よかった本当によかった酒井和歌子は出演しとらんで・・・・・・ホント皆さん適役だと思うとです。

では連休前に読んだ本の紹介は簡単にザッとで行きます（いつもばってん）

刑事さんさようなら   樋口　有介 

う～～ん、結末に思わずうなる、何か　そこま でせんでも・・・・。
施設からひきとられたヨシオは寂れた歓楽街の、小さな焼肉屋で住み込みで働いていた。
夕美に想いを寄せるヨシオの美しくも哀しき愛の行く末は・・・・・
そいにしてもヨシオ　お前は　・・・・・・・・・。
 
坂物語       佐藤洋二郎

達磨坂　おっぽり坂　男坂　梯子坂　地蔵坂　どりこの坂　やりくり坂　ひぐらし坂　あかぢ坂　開運坂　錦華坂　ひきずり坂　　
色んな坂にまつわる男と女の出会いとよぎる心ば描き出した１２の話しです。
別に坂でなくてもいいと思うばってん
 
再会    横関　大  ５６回江戸川乱歩賞

23年前、小学生で幼なじみだった４人が校庭にタイムカプセルと一緒に埋めた拳銃は
２３年後に起きた殺人事件の凶器として再び・・・・・・・・。
まぁ　そいにしても　審査員の先生方の作風と人間性が選評に見えて面白かったです。
 
エルニーニョ    中島　京子

暴力ばふるう恋人から逃げた２１歳の女子大生・瑛（てる）は、南の町に身ば隠すとです。
そこで出会った７歳の少年の「ニノ」も何者かから逃げていたとです。
さぁ　どげんなるとじゃろかね？そいにしても途中ですぐ分かったとばってん
遠い南の島とは天草諸島やったとたいね・・・・
関係なかばってんオイにとっては日帰りドライブやけん少し笑った・・・。

 
ダンシング・バニティ   筒井　康隆

途中であほくさくて読むとばやめた本、作者だけがのっているギャグ小説
ばってん1400円も出して買った読者がおるとたいねぇ。
 
グロウブ号の冒険 　　井上ひさし
 
井上氏の未完の作品、図書館には今月の21日に入って来たとです。
ユーモアと風刺はさすがです。
東大出の元力士「山田山」は相撲部屋の男衆、親方に頼まれ南の国へ新弟子スカウト探しに出発するが
途中で遭難、小さな島へ流される。島の娘と結婚させれたり
海賊に襲われたり、宝探しをさせられたりで、さぁこれからどうなるかと言う時に
絶筆となりました・・・・・。
残念です　　改めてご冥福をお祈りします。
 
崩れる  　　　　結婚にまつわる八つの風景 　　　貫井　徳郎

崩れる　怯える　憑かれる　追われる　壊れる　誘われる　腐れる　見られる  
幸せな結婚をぶちこわす８つの事件。
14年前の本ばってんタイトルだけで読んだとです。
ばってん　　結婚は結果がすべてだけと・・・・・・じゃろかねぇ・・・・。

大絵画展　 　望月　諒子　　第１４回日本ミステリー文学大賞新人賞

消えてしまったゴッホの「医師ガシェの肖像」ば取り戻そうと大仕掛けの罠ば仕掛けた
ある集団・・・・・そいにしても絵画の世界がマネーゲームになっているとは
やっぱ　おかしかばい
そげん高か金出さんでもオイは孫の描いた絵が一番好いとる・・・・。
 
    
「とげ」　　山本　甲士

大阪は南海市役所市民相談室係長　倉永　晴之
ムチャクチャな市民からの相談にヘトヘトになりながらも対応して行く晴之
さらに職場での人間関係、所内での建前の中で翻弄する晴之はブチギレ状態！！
おもしろい！！とにかく　おもしろかったです。

 

　　　　　　以上
　
    
    

 

今から博多阪急に・・・・・

「きことわ」 朝吹　真理子　　（芥川賞受賞）

141頁の薄くて小さい本のサイズは手のひらに

優しく馴染み、特に考えることも疲れることも無く

短時間で読み終える事が出来ました。
又、

貴子（きこ）と永遠子（とわこ）以外の登場人物の少なさと

２５年前のあの日のことだけを語られる文体の無駄の無さに

おしなべてエコを感じ取ることができました。

ひるがえり

賞金金額１ページ当たりイクラかの換算は、

読後にしばし「きこと、とわこ」の夢のお話しの余韻に

ひたれなかった俗人のする事です。

私はそんな人が許せないけど理解はできるのであります。

 

「煙が目にしみる」　石川　渓月　
　　　　　　　　　日本ミステリ文学大賞新人賞

地元の新聞に紹介されとった本でした。

 

西日本一の歓楽街、博多は中州を拠点に、しがない街金業者の小金欣作は
ひとりの少女を助けた事から地元で悪評高い暴力団と対決してしまう・・・・・。
すべて博多弁やったとです。

言葉も場所もよう分かります。

そいばってん、あえて作者に言わせてもらうなら、博多の女の人たちはそこまでは方言は言わんし、その方言もどこかおかしいですばい。

東京出身の作者さんは3年間福岡に勤めておったて紹介されとったばってん、その3年間で自分が面白かった博多弁ばことさら強調しすぎた気がするとです。

そいけん何か知らんばってん、東京んもんが、面白がって
博多弁ば喋っているごたる気がしたとです。

だけん

吉田修一の「悪人」の方言がオイの中にスッと入ってきたとは吉田氏が九州は長崎出身やったとかも知れんとオイは勝手に思い込んでしまったとです。

そいばってん物語はおもしろかったです。

 

 

 

春のたそがれは

軽蔑　 中上　健次

 

１９年前の本でした。

若くして亡くなった中上さんの本ば初めて読みました。

新宿は歌舞伎町、トップレスダンサーとして働く真知子が恋焦がれる男は

「カズさん」と言う実家は造り酒屋で大金持ちの一人息子のどうしようも

無か放蕩息子・・・・・・・・・。

ある夜、歌舞伎町を逃げ出した二人はカズさんの田舎で夫婦として

暮らすことになった・・・・・・・・・・。

 

男と女の微妙な心理ば書いておられて上手いとじゃろばってん

すんませんオイの好みでは無かったとです。

 

わらの人　　 山本　甲士

 

オイは次に読む本は、ガラリと前と作風の違う本ば

選んで読む事にしとるとです。

 

そして、やっぱ山本　甲士です。

これは面白い！！本当に元気になれそうな本でした。

 

６話で構成された物語はすべて同じ床屋さんで散髪してもらった人たちの

大変身と、その後に起こる痛快なる奇跡のお話です。

 

全編ワクワクしながら今度の髪型は何になるとじゃろか？

最後はどんな結果が待っているのだろうか・・・とか

 

久しぶりに愉快に楽しませてもらった本やったとです。

 

 

今でも君は歌うだろうか

夜は一緒に散歩しよ　　　黒　史郎

 

第１回『幽』怪談文学賞長編部門大賞受賞ばってん

何のことはないホラー小説やったとです。

母を亡くした幼いひとり娘の千秋に悪霊が憑いてしまうお話です。

千秋のまわりの人たちも悪霊の犠牲になり住んでいる町の住民にも次々と・・・。

お馴染の悪霊物語で恐怖を煽りたいとじゃろばってん

この悪霊は、あまりにも我がまま過ぎるばい！

この位の事で悪霊になるな！！と怒鳴り倒したかったです。

 

フラミンゴの家　　　　伊藤　たかみ

 

６年前、別れた妻は入院中だった。ある日、元妻「祥子」から別れて一度も会っていない小学６年生になる娘の晶を、しばらくの間面倒見てくれと頼まれた正人。

大阪から数時間の田舎町のホームに降りた晶。久しぶりに会う娘と父は・・・・。

 

父と娘の言葉はギクシャクしとってもどこか温かい大阪弁、優しさと人情味あふれる響きを持つまわりの大人たちの言葉がオイは好きやったとです。

 

そいにしても最近映画化されとる

有川　浩の「阪急電車」も万城目　学の「プリンセス・トヨトミ」も

やっぱ大阪弁です。

 

そこで最後にまとめさせてもらうなら上記のホラー小説「夜は一緒に散歩しよ」も

いっそ大阪弁に書き直したらグッと良くなってヒョッとしたら映画化されるかも

知れんとオイは思うとです。

 

本

みんなのふこう　　若竹七海  

葉崎FMの町井ひとみ子パーソナリティーが放送する「みんなのふこう」
コーナーに一見不幸な１７歳フリーター「ココロちゃん」の不幸話がココロちゃんの友人ペンペン草ちゃんの投稿で紹介され葉崎町で大反響を呼んでしまう。
次々にココロちゃんに襲いかかるどんな不運と災いにもめげないココロちゃんに
がんばれ！と応援したくなるごたる青春物語やったです。

 

   シューマンの指　 奥泉　光   

天才美少年ピアニストの永嶺修人と、彼に焦がれる音大受験生の「私」。卒業式の夜、彼らが通う高校で女子生徒が殺害された。現場に居合わせた修人はその後、指にピアニストとして致命的な怪我を負って…と言う本の紹介ばってん

まぁそいにしてもシューマンとか言う
がばい、すごか音楽家のこれでもかの造詣と、クラッシック音楽に対する
その薀蓄の羅列には、青春歌謡しか知らんオイには少々退屈したとです。
（すんません・・・・・）

ばってん結局は最後のさいごで、どんでん返しの「これってミステリーだったの？」で
終わるとばってん、この本は、案外最後から逆に読んでも面白いとじゃなかろうかと勝手に思いながら、シューマンの名前からシューマイば急に食べたくなったり古くなった娘のピアノば高値で下取りする業者ば探しとるオイは作者から絶対嫌われると思うたとです。

ばってんはやっぱ芥川賞作家たいね
 最後の余韻はココロに残る作品やったと思うたとです。

年度始め

あたり（魚信）   山本甲士

その地方には昔から「奇跡を信じたければ、釣りをするがいい」と言われていた。
・おいかわ　・らいぎょ　・うなぎ　・あゆ　・たなご　・まぶなの釣りを通じて
人と人との交流が生まれ、どんな奇跡が起きるとでしょうか・・・・・心が安らぐよか本でした。

 

盤上のアルファ 　塩田　武士

関西弁の絶妙なるテンポの良さが心地よく可笑しく面白く、そして将棋の勝負の世界に引き込まれる良か本やったです。
物語はプロ棋士を目指す家も職も無い年中黒いタンクトップば着ている坊主頭に無精ひげの真田信繁３３歳と
性格が災いして将棋、囲碁担当へ左遷された神戸の地元新聞社に勤める将棋が大嫌いな秋葉隼介３３歳
この二人の最初の出会いは秋葉が想いを寄せる小料理屋「水明」の女将「静」の店での喧嘩から始まったとです・・・。
そしてラストは思いもしない事実が秋葉を待っていたとです・・・・・・・・・。

第５回小説現代長編新人賞受賞　　本書が作者のデビュー作です。